一般家庭にでも無理なく置けるほど小型化し、価格も数万円から買えるモデルが増えるなど、ますます身近になってきた3Dプリンター。ですが、実際にはどれくらい本格的にモノを印刷することができるのでしょうか? また、身近になったとはいえ、3Dデータの設計に詳しくない一般人に操作できるものなのでしょうか。
そこで、価格.com の「3Dプリンター」人気ランキングでも上位にランクインするXYZプリンティングジャパン社の、スキャンもできる小型家庭用3Dプリンター「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」(税込89,800円)を実際に試してみました! iPhone 5s 用ケースの作成と、スキャン機能に挑戦です。
「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」。本体の大きさは380×420×430mm(高さ×幅×奥行き)。重さは約15kgです。出力方式は、熱融解樹脂積層方式で、積層ピッチは0.1〜0.4mm。インターフェイスはUSB2.0。Wi-Fiに対応し、SDカードスロットも搭載しています。15×15×15cmまでの大きさのものをプリントすることが可能。対応OSはWindows 7以上とMac OS X 10.8以上
「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」でオブジェクト(プリントしたいもの)をプリントするには、まず3Dデータを用意し、それを「3W」という形式のファイルに変換する必要があります。3Dデータの作成は、慣れていない方には難しいもの。ですが、XYZプリンティングジャパンの公式サイトの「ギャラリー」には、世界のユーザーが投稿した3Dデータの設計図が多数アップされており、無料でダウロードすることができます。
今回は、「ステゴザウルス」と「iPhone5 ケース」を選んで印刷してみることにしました。
XYZプリンティングジャパンの公式サイト内「ギャラリー」ページ(http://jp.gallery.xyzprinting.com/)。 ここからさまざまな3Dデータを見ることができます
まずは、ステゴザウルスの設計図をダウンロード。「○○○.stl」という形式のファイルがダウンロードされます
ファイルをダウンロードしたら、「XYZware」というソフトでファイルを開きます。(ダウンロードサイトはこちら。http://support.xyzprinting.com/jp_ja/Help/download)。ここで、オブジェクトが印刷される向きやオブジェクトの大きさを編集したり、積層ピッチを変更したりすることができますが、わからなければ、そのままでOK。プリントの準備ができたら、左上の「書き出す」ボタンを押します
「○○○.stl」から、「○○○.3W」という形式のファイルが書き出されます。この3W形式のファイルが、「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」で印刷するときに必要になるファイルです。今回はこのファイルをSDメモリーカードに保存して、「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」で読み込めるようにします
ちなみに、3Wファイルに書き出したあとのオブジェクトを拡大するとこんな感じ。オブジェクトを作るフィラメント(樹脂素材)がどんな層に出力されるかがわかるようになっています
次は、プリンターのセッティングをしましょう!
プリンターの電源を入れる前に、まず、フィラメントを案内するチューブを差し込みます
フィラメントのリールは向って左に装着。斜めにカットしたフィラメントの先を挿入口に挿入します。その後、レバーを手前に引きながらフィラメントを送り込みます
こんなふうにチューブの中をフィラメントが通るようにし、フィラメントの先をノズルにぴったりと挿入します
本体の電源を入れ、印刷する3Wファイルを保存したSDメモリーカードを本体に挿入。手前の液晶画面で、SDカードの中の3Wファイルを確認できるので、右の十字キーで印刷したいファイル名を選択。「インサツカイシ」画面になったら「イエス」を選択。プリントが開始されます
しばらく眺めていると、ステゴザウルスの足と思われる部分ができてきていました!
真横から見るとこんな感じで、ノズルから出るフィラメントが積み上げられていきます。完成にかかる時間も液晶画面に表示されるのですが、ステゴザウルスの完成には2時間弱かかるとのことでしたので、何層かきちんとフィラメントが出ていることを確認し、またちょくちょく様子を見つつ放置することにします
プリント開始から約30分後。けっこうできてきています。なお、オブジェクトの内側の密度は「XYZware」で調整することが可能。内部に積み重ねるフィラメントの形状も、格子か六角形かで選ぶことができます
そろそろ完成です! でも、なんとなく、ステゴザウルスのあごにヒゲがあるような……
完成! 取り出してみましたが、やはりヒゲが!
「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」は、「熱溶解樹脂積層(FFF:Fused Filament Fabrication)方式」と呼ばれるプリント方式で、糸状に溶かしたフィラメントを底部より積み上げる方法でオブジェクトをプリントしていきます。(ソフトクリームみたいな感じ。)なので、このヒゲも、あごの部分のフィラメントが、重力にしたがって下へ垂れながら、垂れる途中で冷えて固まったものと思われます。
ヒゲはニッパーで除去し、ついでに軽くヤスリがけもしてみました。元の3Dデータとそっくり! 当たり前なんですけど、すごい〜!
大きさはこのくらい。今回は3Dデータをそのままプリントしましたが、「XYZware」上でオブジェクトの縮小拡大は可能です。なお、今回は、積層ピッチを0.4にしてプリントしました
続けて、iPhone5s 用ケースも作ってみました。細やかな描写は3Dプリンターならではです
角の部分。プリント終わりの部分はすこしガサついていますが、積層ピッチを小さくすれば解決しそう
iPhoneに装着するとこのような感じに
次ページでは、3Dスキャンからの3Dプリントに挑戦です!