Thunderbolt 3(USB Type-C)オンリーは一長一短がある

注目の「Touch Bar」は使いやすいのか? 新型「MacBook Pro」レビュー

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アップルから新型の「MacBook Pro」が登場した。約4年ぶりの大きなモデルチェンジということで、さまざまな点が変わっている。その中でも注目なのは、タッチ操作ができる細長いディスプレイ「Touch Bar」だ。ファンクションキー部分に搭載されたTouch Barは、利用するアプリによって表示がめまぐるしく変わり、あるときはアプリケーションのコントローラーとして、あるときはツールバーとして、そしてあるときはファンクションキーとして動作する。タッチ操作をするなら、同社の「iPhone」や「iPad」のように、画面全体がタッチできたほうが便利そうだが、なぜ新型MacBook Proはこのような細長いディスプレイを搭載したのだろうか。その使い勝手はいったいどのようなものなのか、実機を使って試してみた。

新型のMacBook Pro。前がTouch Bar非搭載の13インチモデル、後がTouch Barを搭載する15インチモデル

新型のMacBook Pro。前がTouch Bar非搭載の13インチモデル、後がTouch Barを搭載する15インチモデル

ハイスペックのまま薄型・軽量化を実現

Touch Barをチェックする前に、新型MacBook Proの概要を整理しておきたい。

新型MacBook Proには、従来通り、2つの画面サイズがある。持ち運びしやすい13インチモデルと高性能な15インチモデルだ。13インチモデルには、Touch Bar付きモデルのほかに、物理的なファンクションキーを備えたモデルがあり、こちらは10月末に先行して発売された。価格は、Touch Barなしの13インチモデルが144,800円から、Touch Bar付きの13インチモデルが178,800円から、15インチモデルは238,800円から(アップルストアでの税別価格)。13インチモデルは3万円アップでTouch Bar付きを選べるが、搭載するCPUや外部インターフェイスの数が違うので、単純にTouch Bar分が3万円というわけではないので、この点は知っておきたい。

本体は従来機種よりも薄く、軽くなった。容積だと23%も小さいので、かなりのダイエットに成功している。特に13インチモデルは厚さが14.9mmと、アップルの定番薄型ノートパソコン「MacBook Air」(厚さは17mm)よりも薄く、設置面積も小さい。重量は1.37kgとMacBook Airよりも0.02kgだけ重いが、携帯性はMacBook Air並みと言っていいだろう。それでいて、高精細なRetinaディスプレイや高性能なCPUを搭載しているので、MacBook Airから買い替えた場合の満足度は高いはずだ。Touch Barのないモデルは価格が手ごろなので、予算を重視する人はこちらを選ぶといいだろう。

いっぽうの15インチモデルは重量が1.83kgとずいぶんと軽くなった。厚さも18mmから15.5mmへと薄くなっている。多くはないだろうが、15インチモデルを持ち運んでいる人にとっても、薄型化と軽量化の恩恵は大きい。これなら13インチモデルからサイズアップを検討する人も出てくるのではないだろうか。パフォーマンス面では、専用グラフィックスチップ「Radeon」を搭載し、グラフィックス性能が1世代前のモデルよりも最大130%速くなっている。

今回は、新色のスペースグレーを試してみたが、シルバーよりも引き締まって見えるせいか、どことなくコンパクトに見える。シルバーもMacBook Proらしくて捨てがたないが、買い替えるなら新色のスペースグレーだろうか。

Touch Bar非搭載の13インチモデル。アップルストアでの価格は148,800円(税別)と手ごろな価格が魅力。MacBook Airの13インチモデルより5万円高いが、ディスプレイが2560×1600のRetinaディスプレイで、CPUもより高性能なものを搭載する

新旧の13インチモデルを重ねてみた。上がTouch Bar非搭載の13インチモデル、下が旧モデル。薄くなっているのが一目でわかる。奥行きも短くなっている

新旧の13インチモデルのディスプレイを比較。画面サイズは13.3型で解像度は2560×1600で同じだが、色域が広くなり、輝度も67%アップしている。輝度は500ニト

15インチモデルは、Macノートの中で最高スペックのモデルだ。標準でメモリーが16GBで、CPUもクアッドコアの「Core i7」を搭載する。4K動画も問題なく扱えるスペックでありながら、2Kgを切る軽さと薄さを実現している。高性能なノートパソコンはほかにもあるが、高性能でありながら薄くて軽いモデルとなると選択肢は少ない

MacBookと重ねてみると、さすがに厚みはある

MacBookと重ねてみると、さすがに厚みはある

15インチモデルの天板。中央のアップルマークは光沢仕上げとなり、光らなくなった。新色のスペースグレーは、シルバーよりも落ち着いた雰囲気。アルミニウムのボディは質感が高く、剛性も高い

Touch Barは意外と実用性が高い

続いて、本題のTouch Barを詳しく見ていこう。Touch Barは、キーボード上部にあるEscキーとファンクションキーがある部分に搭載された、タッチして操作する細長いディスプレイだ。ファンクションキーは、押しやすい場所にある割には、まったく使わない人もいるキーで、これをアップル流に再定義したものだ。Touch Barは、作業に合わせて表示内容が変わる、インタラクティブなディスプレイ。あるときはアプリケーションのコントローラーとして、あるときはツールバーとして、そしてあるときはファンクションキーとして動作する。

Escキーとファンクションキー部分に搭載されたTouch Bar

Escキーとファンクションキー部分に搭載されたTouch Bar

このTouch Bar、発表時にはネガティブな意見が見られた。過去に同じようなタッチ対応のサブディスプレイを搭載したパソコンがあり、それが失敗したと記憶していたので、筆者も実はあまり期待していなかった。しかし、実際に使ってみると、実用度の高いものに仕上がっていることがわかった。タッチ操作に対する反応がスピーディで、画面も60×2170の高精細なRetinaディスプレイなので、シールが貼っているかのように見やすい。やはり、自然に指でタッチできる場所にある、というのも大きい。これが画面だと腕を伸ばさなくてはならないし、キーボードとの距離も離れてしまうため、タイピングして、タッチして、またタイピングしてを繰り返すとなると不便だ。Touch Barは、キーボードの延長線上にある新しい操作スタイルとでも言えそうだ。

実際に使ってみて、Touch Barが便利だと感じたのが「写真」と「Safari」。写真アプリは、サムネイルがTouch Barに表示され、スライドすると次々と写真が表示される。角度調整やちょっとした編集もTouch Barだけでできる。トラックパッドでも同様の操作はできるが、iPhoneやiPadに慣れている人なら、Touch Barのほうが作業しやすいかもしれない。Safariは、タブがTouch Barに表示され、スライドするとタブが切り替わる。複数のタブを開いて作業するときに便利そうだ。新規ページを開くとお気に入りのアイコンがずらりと並ぶので、よく見るサイトにアクセスしやすい。

写真アプリはサムネイルが表示され、スライドすると次々と写真が見られる。iPhoneのような使い勝手だ

写真アプリはサムネイルが表示され、スライドすると次々と写真が見られる。iPhoneのような使い勝手だ

動画再生時にはスライドして見たい場所に素早くジャンプできる

動画再生時にはスライドして見たい場所に素早くジャンプできる

Fnキーを押している間はファンクションキーが表示されるので、日本語入力時にF7やF9、F10を使っているという人も心配はない。常にファンクションキーを表示することも可能だ。また、表示したい項目を選んで、使いやすいようにTouch Barを自分流にカスタマイズすることもできる。カスタマイズ方法もユニークで、表示したいアイコンを画面外のTouch Barに向かってドラッグすると、メインの画面とTouch Barがつながっているように動作する(下動画参照)。物理キーならでは押した感じがせず、ブラインドタッチも難しいなどの難点はあるが、意外と困ることはなかった。

Touch Barは、作業に合わせて表示がめまぐるしく変化する。下の2段は文字入力時で、「かかくかかく」と入力すると、ひらがなで「かかくかかく」、カタカナで「カカクカカク」(F7)、ローマ字大文字「kakakuk…」(F9)、ローマ字半角「kakakuk…」(F10)と表示される。確定すると、次に入力するであろう文字列(の上昇、で購入、で販売、が高い)が表示される

もうひとつ、Touch BarにはiPhoneでおなじみの指紋認証システム「Touch ID」が組み込まれている。物理的に押せる電源ボタンも兼ねており、Macのロック解除、決済システム「Apple Pay」の認証、iTunes/App Storeの認証に利用できる。対応アプリを使えば、WebサービスへのログインにTouch IDを使うことも可能だ。

Touch IDでロックを解除できる。センサー部分は物理ボタンになっており、長押しで強制終了などが可能だ

Touch IDでロックを解除できる。センサー部分は物理ボタンになっており、長押しで強制終了などが可能だ

キーボードと外部インターフェイスには少しクセがある

操作性に関しては、「MacBook」と同じバタフライ構造のキーストロークの浅いキーボードを採用する。構造はMacBookと同じだが、フィーリングは少しだけ異なる。底に当る感じが緩和されており、比べてみると打ちやすくなっているのだ。慣れてしまえば大きな問題はないだろうが、好みは分かれるところなので購入前に実際に試してみるといいだろう。トラックパッドは、約2倍に大きくなり、複数の指でのマルチタッチがしやすくなっている。手の大きな人でも使いやすいだろう。Touch Barと役わりが少しかぶるところはあるが、トラックパッドしか使わないという人でも、使いやすさはアップしている。大きいと誤動作を心配するかもしれないが、Macノートのトラックパッドは非常に優秀なので、カーソルが飛んだりすることはない。

Touch Barを備える15インチモデルのキーボード

Touch Barを備える15インチモデルのキーボード

Touch Bar非搭載の13インチモデルのキーボード

Touch Bar非搭載の13インチモデルのキーボード

旧型の13インチモデルのキーボード。カーソルキー部分が微妙に変わっている。旧モデルはトラックパッドが小さく、新モデルはかなり大きくなっている

左が新型MacBook Proの15インチモデル、右がMacBook。キーストロークの数値は変わっていないようだが、押したときのフィーリングは、新型のほうが深く感じられる。MacBookのキーボードは苦手という人でも、こちらは少し改良されているので、試してみる価値はある

新型MacBook Proを使う上で、一番問題になるのが外部インターフェイスだ。15インチモデルとTouch Bar付きの13インチモデルは、Thunderbolt 3(USB Type-C)ポートを左右に2基ずつ、合計4つ備える。Touch Barなしの13インチモデルは、Thunderbolt 3(USB-C)ポートを左側面に2つ備える。転送速度が非常に高速で、充電にも、外部ディスプレイの接続にも利用できる万能型のポートだが、いかんせん対応機器が少なく、アダプターは必須だ。映像などの大容量データを扱う場合には、短時間でデータを転送できるので便利な半面、普及はこれからだ。この問題はアップルも把握しているようで、アダプターを期間限定で安く販売しているので、これを機にいっしょに購入しておくといいだろう。

Thunderbolt 3は充電にも利用するが、接続部分を磁石で固定する「MagSafe」が廃止されたのは残念。ケーブルに足をかけると本体がテーブルから落ちてしまう危険があるので注意したい。Thunderbolt 3化にはよい面もある。Touch Bar付きの13インチモデルや15インチモデルは左右どちらにでも充電ケーブルを接続できるので、机がすっきりするのだ。左右どちらからでも充電できるのは、ホテルや新幹線など、外出先でも地味に便利で助かる。

15インチモデルの外部インターフェイス。高速なThunderbolt 3を左右に2基ずつ配置する。iPhone 7では廃止されたヘッドホン端子は残されている。なお、13インチモデルは、左右で転送スピードに差があり、左側面のほうが高速だ

ACアダプターもThunderbolt 3端子に変わっている。15インチモデルのバッテリー駆動時間は、「最大10時間のワイヤレスインターネット閲覧」「最大10時間のiTunesムービー再生」と前モデルよりも1時間長くなっている

まとめ

新型MacBook Proの注目機能であるTouch Barは、使い勝手を損ねるものではなく、操作をより直感的にしてくれる機能だ。ファンクションキーのままに設定して使わないこともできるので、それほど神経質になることはない。自分流にカスタマイズしながら、楽しんで使ってみるのがいいだろう。マイクロソフトとアドビがTouch Barへの対応を表明しているが、サードパーティのアプリでも使えるようになると、利用シーンは広がるはずだ。画面をタッチできたほうが便利という意見もあるが、ノートパソコンの画面をタッチするのは、腕を伸ばさなければならず、案外自然に操作するのが難しい。Windowsパソコンを見ても、画面をタッチできるのはタブレットスタイルで使える2in1タイプが主流で、ラップトップ型は数が減ってきていることからも、タッチ操作とクラムシェル型のノートパソコンの相性が悪いことがうかがえる。自然に使えて、タッチ操作のよさを活かすと言う意味では、Touch Barは理にかなっているのではないだろうか。新しい操作スタイルなので、慣れや、アプリの対応は欠かせないが、ソフトウェアとハードウェアの両方を手がけるアップルだけに、すぐに廃止されることはないだろう。今後、Touch Barがどう進化していくのか楽しみだ。

外部インターフェイスがThunderbolt 3しか搭載していない点は、将来性は高いが、現時点では変換アダプターが必須であることは理解しておきたい。また、パフォーマンス面で「もっとパワフルなものを」という意見もあるようだが、携帯性とのバランスを考えると、MacBook Proはよくまとまっている。より高性能なCPUやグラフィックスをつんだモデルはあるが、バッテリー駆動時間が短かったり、重量が3kg以上だったり、完全に据え置きでの利用がメインとなってしまう。なお、CPUがインテルの「第7世代Coreプロセッサー」ではないので、パフォーマンスが少しでも高いものが欲しいという人は、少し待ってみてもいいかもしれない。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。

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2017.12.11 更新
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