レビュー

注文殺到で2度も販売中止に! 2in1タブレット「YOGA BOOK」の人気の理由に迫る

今年10月に発売され、想定以上に注文が殺到したことで受注を一時停止していたレノボ・ジャパンの2in1タブレット「YOGA BOOK」。オンラインストアでは、11月下旬に受注を再開したものの、またしても注文が殺到し、現在もAndroid版は注文できない状態となっている。製造台数や日本に割り振られた台数が少ないのかもしれないが、2度も販売中止になる2in1タブレットは極めて珍しい。YOGA BOOKのWindows版を使って、その人気の理由に迫ってみた。

【関連記事】
・「YOGA BOOK」の「Haloキーボード」はただのスクリーンキーボードじゃない! 将来性にも期待(2017年4月6日公開)

価格.comの「ノートパソコン」カテゴリーの売れ筋ランキングで7位に入っている「YOGA BOOK with Windows ZA150019JP」(2016年12月19日時点)。価格.com最安価格は47,934円(同)

斬新なコンセプトのモデルでありながら、手ごろな価格が魅力の2in1タブレット

YOGA BOOKは10.1型液晶を搭載した2in1タブレット。基本ソフト(OS)に「Windows 10 Home 64ビット」を搭載したWindows版と、「Android 6.0」を搭載したAndroid版をラインアップする。この2モデルは、搭載するCPUやメモリー、ストレージ容量は共通で、違いはOSだけ。人気が高いのはWindows版で、価格.comの「ノートパソコン」カテゴリーの売れ筋ランキングで7位、LTE対応のSIMフリー版が18位に入っている(2016年12月19日時点)。そのため、今回はWindows版を試用している。

YOGA BOOKの人気の理由はいくつか考えられる。超薄型・軽量ボディ、タッチ式の「Haloキーボード」、紙に書いたものをデジタル化できる「REAL PEN」など、注目すべき点が多い。物理キーボードを廃止した斬新なモデルでありながら、価格.com最安価格で5万円を切る「安さ」も人気の理由だろう。

まずは本体から見ていきたい。本体サイズは256.6(幅)×170.8(奥行)×9.6(高さ)mm。物理キーボードがない分、非常にスリムで重量も約690gと軽量だ。アルミニウムとマグネシウムを使ったボディは質感が高く、薄型ながら堅牢な仕上がり。同社のほかのYOGAシリーズと同じ360度回転ヒンジにより、「ウォッチモード」や「タイプモード」、「クリートモード」など、さまざまなスタイルで利用できる。メカメカしいヒンジもカッコいい。

約690gの超軽量ボディは片手でも楽に持てる。サイズ感は大学ノートに近い

約690gの超軽量ボディは片手でも楽に持てる。サイズ感は大学ノートに近い

本体の厚さは約9.6mmと非常にスリムだ

本体の厚さは約9.6mmと非常にスリムだ

360度回転するヒンジにより、さまざまなスタイルで利用可能。写真はWebページの閲覧やインターネット動画の視聴に適したウォッチモード

「Haloキーボード」は斬新だが、実用度は低め

YOGA BOOKの一番の特徴は、Haloキーボードだ。タッチ式のキーボードで、使い心地はタブレットのソフトウェアキーボードに近い。キーピッチは18.1mmを確保し、キーの数は同社のビジネスノートパソコン「ThinkPad 10」と同じ85キー。キーをタッチすると振動する触感フィードバックがあり、タイプしたことを認識できるが、慣れるまでは誤操作の連続だった。ブラインドタッチもできないことはないが、正直、このHaloキーボードで長文を作成するのは難しい。ユーザーのクセに合わせてキー検知エリアを調整し、ミスタイプを減らせる機能が組み込まれているというが、短時間での試用では、その恩恵を確認することはできなかった。この機能がうまく動作すれば、もう少し快適にタイピングできるようになるのかもしれない。

タッチパッドは面積が狭く、クリックボタン(エリア)が左右に設けられた変形型。こちらも使いこなすまでに少々慣れが必要になるだろう。Windows版は、Android版よりもキーボードとタッチパッドを使う機会が多いと思うので、この普通ではないキーボードとタッチパッドをどこまで許容できるかが評価の分かれ目になるだろう。

Haloキーボードは、使うときにライトアップされる仕組みだ

Haloキーボードは、使うときにライトアップされる仕組みだ

タッチすると振動によるフィードバックがある。物理キーボードのようにキーの上に指を置いておくことができないので、慣れるまでは苦労するだろう

Haloキーボードの設定画面。タッチしたときの音と振動はオフにできる。輝度も調整可能

Haloキーボードの設定画面。タッチしたときの音と振動はオフにできる。輝度も調整可能

「REAL PEN」は文具のようで面白い

キーボード上部のペンボタンを押すと、Haloキーボードのライトが消え、その上でペン入力ができる「クリエイトパッド」に切り替わる。付属のスタイラスペンは2048段階の筆圧レベルに対応した本格的なもので、細かな描写もできる。また、クリエイトパッド上に紙のノートをセットし、そこに書いた文字などをデジタル化できるREAL PENという機能も搭載。紙とペンのほうが好きなアナログ派でも、簡単にメモなどをデジタル化して残せる便利な機能だ。紙とペンで書いたほうが小さな文字が書きやすく、快適にメモをデジタル化できる。ペンの色を変更するときは、画面をタッチして色を選択しなければならず、使い道としてはとっさのメモやアイデアを書き留めておく程度かもしれないが、アイデアは面白く、今後に期待できる機能だ。

紙は何でも使えるが、付属のメモ帳は磁石で読み取りエリアにしっかり固定できるので、エリア外に書いて読み取れないといったこともなかった。REAL PENによる、この文具感もYOGA BOOKの人気の理由の1つだろう。

ペンボタンを押すと、キーボードのライトが消えて、その上でペン入力ができるクリエイトパッドに切り替わる

ペンボタンを押すと、キーボードのライトが消えて、その上でペン入力ができるクリエイトパッドに切り替わる

REAL PENでは、紙に書いたメモをそのままデジタル化して残せる。Windows版ではマイクロソフトの「One Note」、Android版では「Lenovo Note Saver」がREAL PENに対応している

付属のスタイラスペンは、ペン先を変えることで、通常のペン入力とボールペンを使ったREAL PENを切り替えられる

Windows版にはLTEモデルもラインアップ

最後に主なスペックをチェックしておこう。CPUには「Atom x5-Z8550」(1.44GHz、最大2.40GHz)を搭載する。メモリーは4GB、ストレージ容量は64GBだ。ディスプレイは1920×1200のWUXGAで、フルHDよりも縦方向に余裕があり、Webページが見やすく、作業がしやすい。肝心の動作は、サクサクとまではいかないが、インターネットやメール程度であればストレスなくこなせた。タッチ操作やペン入力に対するレスポンスも問題ない。バッテリー駆動時間は約13時間で、実利用でも8時間程度は余裕で利用できた。

外部インターフェイスはmicroUSB2.0、microSDメモリーカードスロット、microHDMI出力、ヘッドホン出力/マイク入力を備える。なお、Windows版には、SIMフリーのLTEモデルもラインアップされている。こちらの価格.com最安価格は55,000円(2016年12月19日時点)と、通常モデルよりも7,000円ほど高い。

まとめ

YOGA BOOKは、物理キーボードを廃止し、独自のHaloキーボードを搭載した意欲的な2in1タブレットだ。Haloキーボードは正直、物理キーボードより使いにくいが、REAL PENという面白い仕組みを実現するのに一役買っている。タッチ式なら、日本語配列から英語配列へ自由に切り替えられるなどの柔軟性があってもよかったが、それは次期モデルに期待したい。

実際に購入を検討している人の中には、Windows版かAndroid版かで悩んでいる人がいるのではないだろうか。ノートパソコンとして使うならWindows版だが、ペン入力を重視するなら、対応アプリが豊富にそろっているAndroid版を選んだ方がいいだろう。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
プレゼント
価格.comマガジン プレゼントマンデー
SPECIAL
ページトップへ戻る