本機ならではの機能が豊富。スマホ好きをうならせるドコモの実力機

LG「V20 PRO L-01J」を1週間使ってわかったこと

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NTTドコモのスマートフォン今冬モデルは、「らくらくスマートフォン」などを含めて合計8機種。その中でも、ひときわ高いハードウェアスペックを備えるのが、今回取り上げる「V20 PRO L-01J」(LG電子製。以下、V20 PRO)だ。ボディおよびハードウェア、バッテリー、カメラなどを中心に1週間ほど使ってみた評価レビューをお届けしよう。

V20 PROは、比較的コンパクトなボディに、最新のハードウェアを搭載したAndroid 7.0機。高いポテンシャルを秘めた、スマホ好きの琴線に触れる製品だ

少々武骨だが、性能や機能を考えれば驚きのコンパクトさを実現

「V20 PRO L-01J」は、1440×2560のQHD表示に対応する約5.2インチの液晶ディスプレイを備えたハイエンドモデル。ボディサイズは、約72(幅)×149(高さ)×8.0(厚さ)mmで、最厚部約9.0mm、重量は約146gと、最近のAndroidスマートフォンとしては、標準的なサイズにまとめられている。しかし、後述する性能・機能性を考えれば、このコンパクトなボディはちょっとした驚きのレベルと言ってもよいだろう。ボディは、IP5/7等級の防水仕様と、なお、このIP6Xの防塵仕様もクリアしている。デザインは、率直に言えば武骨。カラーバリエーションもグレー系の「チタン」のみで、地味な印象だ。

カラーはチタン1色の設定。華やかさにはかけるが、剛性感が高いうえに軽量で、高級機らしい質感もある

カラーはチタン1色の設定。華やかさにはかけるが、剛性感が高いうえに軽量で、高級機らしい質感もある

QHDという高解像度表示に対応する液晶ディスプレイも、ハイエンドスマートフォンでは珍しくはないが、本機は約5.2インチという比較的小さな画面サイズで実現しているのがポイント。それだけ、1画素あたりのドットピッチは細かい。画質はクリアで、液晶が苦手とする黒の表現も悪くない。

なお、本機はディスプレイの右上部分に、サブディスプレイも備えている。このサブディスプレイは、時間を常時表示させられるほか、最近使ったアプリのアイコンを4個まで表示させたり、メールや電話の着信を表示させることもできる。なお、バッテリー消費を抑えたい場合は、消灯させることも可能だ。

高精細ディスプレイでネックになりやすい輝度も十分。肉眼で見ると発色の偏りが少ないので、電子書籍の背景もきちんと白く見える

画面右上のサブディスプレイは、設定次第で、スリープ時でもずっと点灯させたり、逆に使わないようにもできる

基本性能を見てみよう。処理性能の要となるCPU(SoC)には、クアルコムのクアッドコアプロセッサー「Snapdragon 820 MSM8996(2.1GHz×2+1.5GHz×2)」を採用。これに、4GBのRAMと32GBのROMを組み合わせており、microSDXCメモリーカードスロットは256GBまで対応する。OSは、最新世代のAndroid 7.0で、NTTドコモ初のAndroid 7.0プリインストール機となっている。Android 7.0は、2画面のマルチウインドウや、強化された節電機能「Doze(ドーズ)」などを備えており、使いやすさが大幅にアップしている。

なお、V20 PROは、後述するように、オーディオ性能やカメラ性能が魅力だが、その分、取り扱うデータ量は膨大になりやすい。しかしながら、本機のストレージは32GB と、ごく一般的な容量しかないので、フル活用するなら、大容量のmicroSDXCメモリーカードを組み合わせて使いたいところだ。

検証機のアプリのバージョンアップをひと通り行った時点でのストレージの空き容量は12.88GB。高性能カメラや、ハイレゾ対応オーディオ機能を搭載するハイエンド機としては潤沢な容量とは言えない。存分に使いこなすなら大容量のmicroSDカードはぜひ組み合わせたいところ

本機が採用するCPU 「Snapdragon 820」は、現在国内で正規販売されるスマートフォン向けCPUとしては屈指の高い処理性能を備えている。4GBの大容量メモリーも高性能機らしく申し分ない。定番のベンチマークアプリ「Antutu ベンチマーク」を動作させてみたところ、総合スコアは142277となっており、同じCPUで、3GBのRAMを搭載する「Xperia XZ」のスコア127487(価格.comマガジン調べ)を少し上回った。サブスコアを見ても、「Xperia XZ」と傾向は似ているが、それぞれ1割ほど上回っている。大容量のRAMが処理速度を底上げしているのだろう。

「Antutuベンチマーク」の総合スコアは、142277。同じCPUを備える「Xperia XZ」よりも1割ほど高いスコアだ

「Antutuベンチマーク」の総合スコアは、142277。同じCPUを備える「Xperia XZ」よりも1割ほど高いスコアだ

通信キャリア版の高性能機と言うこともあり、付加機能も抜かりがない。録画や予約視聴対応のフルセグ・ワンセグのテレビチューナーや、FeliCaポート、NFCポート、QuickCharge 3.0対応のUSB Type-Cポート、指紋認証センサーなどの各機能を網羅している。LTEの対応バンドは、NTTドコモでサービス中のB1/3/19/21および、中国で展開する最大の通信事業者、中国電信でサービスが予定されているB5にも対応している。また、情報密度を高めた新しい変調方式である「256QAM」や3波のキャリアアグリゲーションに対応しており、下りで最大500Mbpsの高速通信が行える(2017年3月より順次サービスを開始する)。なお、現時点で500Mbpsの通信に対応しているスマートフォンは、本機のほかでは「Xperia XZ」のみ。VoLTEにももちろん対応しており、さらに高音質なVoLTE(HD+ )にも対応している。また、Wi-Fiについては、MIMOには対応していないもののIEEE802.11a/b/g/n/ac対応で、5GHz帯も利用できる。

USBポートは Type-C。Quick Charge 3.0対応なので充電速度も速い

USBポートは Type-C。Quick Charge 3.0対応なので充電速度も速い

オーディオ専用機に迫るレベルのスマホ離れした高音質

本機の大きな特徴のひとつは、高いオーディオ性能だ。オーディオ用のDACとしてESSテクノロジー社の「ES9218」を搭載している。このDACは、同じ回路を4個並列にして同時に処理を行い、差分を排除することでノイズを除去するクアッドDAC仕様で、量子化ビット数32bit/サンプリングレート384kHzまでのデータに対応するなど、幅広いハイレゾ音源に対応する。このほか、Bluetoothコーデック「aptX HD」に、いち早く対応している点も注目だろう。再生だけなく、録音性能も高く、最大24bit/192kHzの高音質ステレオ録音が行える。

プリインストールされる再生アプリ「音楽」は、ユーザーインターフェイスが直感的でわかりやすいうえに、イコライザー機能や再生ピッチやスピードを調整できるなど高機能で、なかなか使いやすい。ハードウェアだけでなくソフトウェアの面も充実したオーディオ性能と言えるだろう。

実際の音質だが、聴いてすぐに思うのは普通のスマホと違う、すっきりクリアなサウンドだ。これはやはりクアッドDACによるノイズ削減効果が効いている。ノイズが減ったことで、これまで埋もれていた音がハッキリ浮かび上がり、ハイレゾ音源対応のデジタルオーディオプレーヤーの入門機となら、十分渡り合えるレベルだ。なお、クアッドDACの動作切り替えは通知メニューにあるショートカットから簡単に行えるので、オン/オフの効果のほどがわかりやすい。

本機とよく似たオーディオ性能に特徴のあるZTE「AXON 7」が手元にあったので、音質を比較してみた。どちらも原音に忠実な、モニターライクな音質で、優劣はつけ難い。だが、機能面を見ると両機には違いがある。V20 PROはハイレゾ音源のフォーマットのひとつ「DSD」が再生できるが、AXON 7は、再生できない。しかし、こちらはステレオスピーカーを備えるという違いがある。AXON 7は、複数のユーザーで音楽や動画を楽しむような使い方に向いており、V20 PROはもっぱらひとりで音楽を聴くような使い方に適していると言えそうだ。

プリインストールされる音楽プレーヤーアプリは、わかりやすい操作性と、高機能性を併せ持つ

プリインストールされる音楽プレーヤーアプリは、わかりやすい操作性と、高機能性を併せ持つ

イコライザー機能(左写真)に加えて、再生中の音楽のピッチや速度もコントロール可能(右写真)

イコライザー機能(左写真)に加えて、再生中の音楽のピッチや速度もコントロール可能(右写真)

通知メニューのショートカットから、このクアッドDACの動作オン/オフを切り替え可能。聴き比べることで、その効果を実感しやすい

Android標準では8段階のボリューム調整が、本機は75段階で調節可能。また、左右の出力を独立してコントロールすることもできる。本格的なオーディオプレーヤーのような機能を備えている

広角と標準の2つのレンズを切り替えられるメインカメラ

スマートフォンにとってカメラ機能は、製品選びの重要な要素だが、このV20 PROのカメラ機能はかなりの高機能だ。メインカメラには、画角75°でF値1.8の標準レンズと1620万画素のイメージセンサーを組み合わせたカメラと、画角135°でF値2.4の広角レンズと約820万画素のイメージセンサーを組み合わせた2つのカメラを備えており、両者を切り替えて使うことができる。また、高速なレーザーオートフォーカスや、デュアルフラッシュ、ジャイロセンサーなどを活用した強力な手ブレ補正機能などを備えており、機能面でもかなりの充実ぶりだ。

いっぽうのサブカメラは、約510万画素のイメージセンサーを採用しており、こちらも標準画角の82°と、広角の120°という2つの焦点距離を切り替えて利用できる。

メインカメラに並ぶカメラ、写真の並びで左のレンズが標準レンズ、右が広角レンズ。カメラアプリ上の操作で切り替えて使う

作例1:同じ場所で画角を比較

標準レンズで撮影。建物の全景はわからないが周辺のゆがみが少ない(露出時間:1/311秒、ISO:50)

標準レンズで撮影。建物の全景はわからないが周辺のゆがみが少ない(露出時間:1/311秒、ISO:50)

広角レンズで撮影。建物の全景がほぼ構図に収まるが、周辺部分の変形は目立つ(露出時間:1/297秒、ISO:50)

作例2:背景のボケの量を比較

標準レンズの持ち味のひとつは、背景のボケ。下の広角レンズと比べると、背景のボケがつけやすい(露出時間:1/299秒、ISO:50)

背景までピントが合うのが広角レンズの特徴。ただし、意図する被写体が何かはわかりにくくなる(露出時間:1/170秒、ISO:50)

作例3:夜景撮影時の手ブレや明るさをチェック

標準レンズで夜景を撮影強力な手ブレ補正やF値1.8のレンズの効果で手持ちでも手ブレは押さえこまれている(露出時間:1/9秒、ISO:0)

F値2.4という点では広角レンズは夜景に不向き。だが、明るく幻想的なシーンを手軽に撮影できた(露出時間:1/9秒、ISO:0)

作例4:明暗差の大きな構図を撮影

標準レズを使い、オートモードで門を北向きで見上げるように撮影したところフレアが発生。ぼんやりとした仕上がりになった(露出時間:1/40秒、ISO:50)

広角レンズでも同じようにフレアが発生。明暗差のある場所では、マニュアル撮影で感度を調整したほうがよさそうだ(露出時間:1/30秒、ISO:100)

マニュアル撮影では、ホワイトバランス、AFモード、ISO感度、露出、シャッタースピードを調整できる。画面で露出や色味がプレビューされるほか、ヒストグラムが表示されるので、仕上がり結果がイメージしやすい

スマートフォンで使われるカメラは広角の短焦点レンズが一般的なので、どの機種を使っても構図が似通いやすい。しかし、本機は画面をタッチするだけで75°の標準画角を選べるので構図に変化を持たせることも容易に行える。また、標準レンズは、周辺部のひずみが少なく、背景をぼかした表情のある撮影を行う場合にも有利だ。このように本機のカメラ機能はほかの機種にはないユニークなもので、購入の強い動機となりうるだろう。

バッテリーの消費ペースはかなり速め

最後にバッテリー機能をチェックしよう。本機は容量2900mAhの内蔵式バッテリーを備えている。実際の利用条件に近いバッテリーの持続性を示す指標である「電池持ち時間」は、約75時間となっているが、サブディスプレイを常時点灯させる場合は、約60時間まで短くなる。NTTドコモ版の「Xperia XZ SO-01J」が約95時間、「Galaxy S7 edge SC-02H」の約100時間と比較すると、率直に言って電池持ちは悪い。

今回の検証は5日間行ったが、その間に充電は2回行った。ただし、そのうち2日間は、サブディスプレイを常時点灯と消灯それぞれ切り替えてバッテリーの減り方の比較検証に使ったので、フルに使えば充電を行う回数はもっと増えていただろう。体感的にも、本機と競合する高性能スマートフォンと比較してもバッテリーの消費ペースは速く、筆者の利用ペースで見る限り、フル充電で24時間持たせるのは少々厳しい。ACアダプターやモバイルバッテリーの持ち歩きでフォローするのが現実的だろう。なお、V20 PROは、急速充電の規格である「QuickCharge 3.0」対応となっており、NTTドコモの「ACアダプタ 06」などと組み合わせればわずか90分でフル充電が行える。バッテリー消費の速さを少しでも補うためにも、本機にはQuick Charge 3.0対応の充電器をぜひ用意したいところだ。

そのいっぽうで、発熱はかなり抑えられている。急速充電中に39.7℃を記録したが、それを除けば、使用中のCPU温度は大体34℃前後を推移。体温よりも少し低めで、不快な熱を感じることはなかった。

検証を行った5日間のバッテリー消費の様子。この間充電を行ったのは3回。途中急激にバッテリーを消費している部分があるが、そこは「ポケモンGO」を使った時間帯だ

こちらは、上と同じ期間におけるCPUの温度推移を示すグラフ。瞬間的に39.7℃を記録したが、通常は大体34℃前後で推移しており、体温よりやや低いレベルに抑えられている

高音質かつ高機能。NTTドコモの今期モデル一番のハイエンドモデル

やや武骨なボディにこだわりの機能性を詰め込んだV20 PROは、まさにハイエンドユーザー向けのスマートフォンと言える。本機のライバルとなりそうなのは、伝統的にカメラとオーディオに力を入れている「Xperia」シリーズになるだろう。だが、最新の「Xperia XZ」と本機を比較すると、画面解像度やRAMの容量といった基本スペックでは本機に軍配が上がる。カメラ機能では、「Xperia XZ」のほうが、ARなど楽しい機能を備え、本機と比較すれば完成度は高いが、Xperiaに対して、本機では、2系統の異なるカメラを切り替えて使えるという魅力がある。オーディオの音質についてみれば、クアッドDACなど、本機のほうが明らかに上だ。

また、音質重視のスマホという視点で比較すると、ドコモ系SIMカードに対応するSIMフリースマホのZTE「AXON 7」やオンキヨー「GRANBEAT」も面白い存在だ。特に、GRANBEATは音響メーカーの老舗オンキヨー初のスマホということもあり、音質は文句ない。だが、キャリアアグリゲーションに対応していないなど、10万円近いスマートフォンとしては、既存の製品とは目指しているものが違う。

ネックとなるのはやはりバッテリーの持続性だ。今期のハイエンドスマホに使われるCPU「Snapdragon 820」の搭載機はどれもバッテリーがよく持つが、本機は数少ない例外と言ってよい。この点をモバイルバッテリーの併用などでフォローできるのであれば、本機の満足度は高いと言える。

気になる価格だが、NTTドコモ直営の「ドコモオンラインショップ」では、月々サポートを利用した一括払いの買い替え時の実質負担金が31,104円で、今期モデルでは最も高い。だが、新規契約やMNP契約の場合なら15,552円で、「arrows NX F-01J」や「Xperia XZ」などと同じ価格になる。むしろ本機のほうが割安な印象さえあるので、やや悩ましい選択になりそうだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

製品 価格.com最安価格 備考
V20 PRO L-01J docomo 0 1440×2560表示対応の約5.2インチ液晶やクアッドDACなどを備えた今期屈指の高性能Androidスマートフォン
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2017.4.28 更新
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