レビュー

最速のゲーミングGPUをうたうNVIDIA「GeForce GTX 1080 Ti」の実力は本物か?

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GeForce GTX 1080 TiとGeForce GTX 1080を比較。最大35%のパフォーマンスアップは本物か?

ここからは、実際のベンチマーク結果を見ていこう。今回は、リファレンスクーラーを搭載したGeForce GTX 1080 Ti Founders Editionに加え、比較対象としてGeForce GTX 1080 Founders Editionを用意した。検証環境は以下の通りだ。

検証環境
CPU:インテル「Core i7 6700K」
マザーボード:AASRock「Z170 Extreme4」
メモリー:Corsair「VANGEANCE CMK16GX4M2A2666C16(8GB×2)」※DDR4-2133に設定
ストレージ:crucial「MX300 CT525MX300SSD1」
電源ユニット:Silverstone「SST-ST75F-PT(750W)」
OS:Windows 10 Pro

編集部に到着したGeForce GTX 1080 Tiのパッケージ

編集部に到着したGeForce GTX 1080 Tiのパッケージ

カードは2スロット占有タイプ。Founders Editionということで、クーラーはおなじみの金属製のものだ

カードは2スロット占有タイプ。Founders Editionということで、クーラーはおなじみの金属製のものだ

バックプレートにはしっかりとGeForce GTX 1080 Tiの刻印が入っている

バックプレートにはしっかりとGeForce GTX 1080 Tiの刻印が入っている

補助電源コネクターは8ピン+6ピン仕様

補助電源コネクターは8ピン+6ピン仕様

ディスプレイ出力は、ディスプレイポート×3とHDMI×1。GeForce GTX 1080にあったDVIが廃止され、その分エアフロー用の開口部が広くなっている

「GPU-Z」を使用し、GeForce GTX 1080 Tiの詳細を表示したところ

「GPU-Z」を使用し、GeForce GTX 1080 Tiの詳細を表示したところ

3DMark

まずは、Futuremark 社のベンチマークプログラム「3DMark」の結果から見ていこう。今回は、「Fire Strike」の各プリセットと「Time Spy」を実行した。結果は以下の通り。

グラフ1:3DMark Fire Strike

グラフ1:3DMark Fire Strike

グラフ2:3DMark Fire Strike Extreme

グラフ2:3DMark Fire Strike Extreme

グラフ3:3DMark Fire Strike Ultra

グラフ3:3DMark Fire Strike Ultra

グラフ4:3DMark Time Spy

グラフ4:3DMark Time Spy

総合スコアを示すTotal scoreを見ると、GeForce GTX 1080 TiはGeForce GTX 1080の約118〜130%の結果となった。これだけを見るとNVIDIAが示す+35%に足りてないと思う人もいるだろうが、純粋なグラフィック性能のテスト結果を示すGraphics scoreだけを抜き出してみると、GeForce GTX 1080 TiはGeForce GTX 1080の約129〜134%のスコアをたたき出している。NVIDIAの示す+35%はあながち間違いではなさそうだ。

ゲームベンチマーク

続いて、実際のゲームタイトルでのパフォーマンスを見ていこう。タイトルは、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」「Rise of the Tomb Raider」「Tom Clancy's The Division」「HITMAN(2016)」「DOOM」をチョイスした。いずれのタイトルも、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3つ解像度でテストを行っている。結果は以下の通りだ。

グラフ5:ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク

グラフ5:ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク

グラフ6:Rise of the Tomb Raider

グラフ6:Rise of the Tomb Raider

グラフ7:Tom Clancy's The Division

グラフ7:Tom Clancy's The Division

グラフ8:HITMAN(2016)

グラフ8:HITMAN(2016)

グラフ9:DOOM

グラフ9:DOOM

ゲームのベンチマークは、基本的に解像度が上がるとグラフィック処理のGPUへの依存度が高まるため、GeForce GTX 1080 TiとGeForce GTX 1080の間の平均フレームレートのかい離も、解像度が高くなるにつれて大きくなる。今回テストした5つのタイトルでも、この点はすべて共通しており、4K解像度でGeForce GTX 1080 TiとGeForce GTX 1080の間の平均フレームレートのかい離が最大になっている。これがGPU性能の差であるわけだが、タイトルによって多少ブレはあるものの、おおよそ30%前後高い平均フレームレートを実現できていた。GeForce GTX 1080では60フレームを切るようなタイトルでも、GeForce GTX 1080 Tiでは60フレーム越えやそれに近い値を出しており、4K解像度でのゲームプレイにおいては、GeForce GTX 1080 Tiのポテンシャルの高さをしっかりと示せている結果といっていいだろう。

■ゲームベンチマークの設定・計測値について
【ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク】
グラフィックAPI:DirectX 11、グラフィック設定プリセット:最高品質でベンチマークを実行したときの平均フレームレートを採用
【Rise of the Tomb Raider】
グラフィックAPI:DirectX 12、垂直同期:OFF、アンチエイリアス:FXAA、グラフィックプリセット:最高でベンチマークを実行したときの平均フレームレートを採用
【Tom Clancy’s The Division】
グラフィックAPI:DirectX 12、垂直同期:OFF、グラフィック品質:ウルトラ(※垂直同期OFFでプリセット名称はカスタムに変更)でベンチマークを実行したときの平均フレームレートを採用
【HITMAN(2016)】
グラフィックAPI:DirectX 12、垂直同期OFF、アンチエイリアス:FXAA、オーバーメモリーサンプリング:No、その他クオリティ最大でベンチマークを実行したときの平均フレームレートを採用
【DOOM】
グラフィックAPI:Vulkan、全体のクオリティ:ウルトラ設定でゲームプレイ中の1分間の平均フレームレートを計測。フレームレートの計測には「OCAT」を使用し、3回の計測の平均値を採用

消費電力

最後は、消費電力をチェックしよう。測定値は、ラトックシステムの「Bluetoothワットチェッカー REX-BTWATTCH1」を使い、システム全体の消費電力の最大を採用している。なお、3DMarkの値はGraphic Test1でのピーク消費電力を、ゲームベンチマークでは、4K解像度でのベンチマーク実行中のピーク消費電力の値を採用している。

グラフ10:消費電力

グラフ10:消費電力

GeForce GTX 1080 Tiは、補助電源コネクターが、GeForce GTX 1080の8ピン×1から8ピン+6ピンへと変わったことでもわかる通り、パフォーマンスが向上した分、消費電力はしっかりと大きくなっている。ピーク時の消費電力は、GeForce GTX 1080と比べて約80〜100Wほと上昇しており、補助電源コネクターが増えた分がほぼそのまま反映されている形だ。このクラスのビデオカードを導入するユーザーならそれほど心配ないとは思うが、一応それなりの電源ユニットは用意しておく必要はあるだろう。

まとめ

というわけで、GeForce GTX 1080 Tiの実力をここまでくわしくチェックしてきてが、結果を見る限り、NVIDIAが示したGeForce GTX 1080比で+35%のパフォーマンスアップという内容はおおむね達成できているといってよさそうだ。絶対的なパフォーマンスという面では間違いなく現行で最速のGPUとなっており、GeForce GTX 1080では実現できない4K解像度で高品質なゲームを楽しめるようになるというのはハイエンドゲーマーにとっては大きな魅力といえるだろう。

いっぽうで、悩ましいのが価格だ。GeForce GTX 1080 Ti は3月11日より日本でも販売がスタートしたが、その価格は10万〜10万5千円前後。いっぽう、発売からある程度経過したGeForce GTX 1080は、GeForce GTX 1080 Tiの登場による値下げもあり、現状だとメーカーオリジナルファン搭載モデルが6万円中盤から購入することができる。ほぼ同じスペックのTITAN Xが18万円弱で売っていることを考えると、コストパフォーマンスがかなりよくなっているのは確かなのだが、GeForce GTX 1080との価格差を考えると、まだまだ高価であることは否めない。GeForce GTX 1080 TiとGeForce GTX 1080のどちらを選択するかは、4K解像度で高画質なゲームをプレイするかしないかが大きなポイントになりそうだ。

遠山俊介(編集部)
Writer / Editor
遠山俊介(編集部)
2008年カカクコムに入社、AV家電とガジェット系の記事を主に担当。ポータブルオーディオ沼にはまり、家にあるイヤホン・ヘッドホンコレクションは100オーバーに。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットにも手を出している。家電製品総合アドバイザー資格所有。
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