近ごろ、アップル「iPhone XS」などハイエンドのスマートフォンを中心にワイヤレス充電に対応した製品が増えている。これにともない、ワイヤレス給電の標準規格「Qi(チー)」に対応した充電器のバリエーションも増えてきた。これから「Qi充電器」を選ぶときのポイントを解説するとともに、厳選した9製品をカタログ形式でお届けする。
ワイヤレス充電は、「Qi(チー)」という標準規格が使われているが、サムスン「Galaxy」やアップル「iPhone」シリーズなどの世界的なスマートフォン最新モデルが採用してきたことで、近ごろ普及に弾みがついている。2015年に策定されたQiの新しい規格では扱える電力が増え、充電にかかる時間が短縮されてきており、より便利になっている。製品のバリエーションも増えてきているが、その分、製品選びもやや複雑になってきた。以下に製品を選ぶ際のポイントを解説しよう。
Qi充電器は、ボディ形状によって充電器が水平の「平置き型」と、スマホを立てて置ける「スタンド型」に大別できる。平置き型は充電する機器の形が制限されにくく、製品数も多い。いっぽうスタンド型は「Pixel 3」に最適化されたGoogle「Pixel Stand」や、Xperiaシリーズ向けのソニー「WCH20C」のように、特定モデルに最適化された製品が多い。
ワイヤレス充電器と対応デバイスには、それぞれ入力/出力の電力(W)に上限が定められている。2010年代初頭に登場したものはどれも上限5Wだが、近ごろは7.5〜10Wのものが主流。もちろん対応電力が大きいほど速く充電できるわけだが、使用するデバイスの入力以上の出力を持った充電器を使っても意味がない。電力の上限を確認して、それに対応するものを選ぶのが基本だ。
以下に、近年のおもなQi対応スマートフォンの入力電力の上限値をまとめた。
上限5Wまで
サムスン「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」
京セラ「TORQUE G03」
(このほか、おおむね2015年までに発売されたQi対応スマートフォン)
上限7.5Wまで
アップル「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X」「iPhone XS」「iPhone XS MAX」「iPhone XR」
上限10Wまたは9Wまで
ソニー「Xperia XZ2」「Xperia XZ2 Premium」「Xperia XZ3」
サムスン「Galay S7 Edge」「Galaxy S8」「Galaxy S8+」「Galaxy S9」「Galaxy S9+」「Galaxy Note8」「Galaxy Note9」
LG「isai V30+」「V30+」「JOJO L-02K」
Google「Pixel 3」「Pixel 3 XL」(Pixel Stand使用時)
15Wまで
ファーウェイ「Mate 20 Pro」(HUAWEI Wireless Charger使用時)
ワイヤレス充電器にはUSBアダプターが製品パッケージに含まれていないものが比較的多い。USBアダプターは、基本的にはスマートフォンに付属する手持ちのものを流用できるが、別途ACアダプターを選ぶ場合、出力が何W以上、または「QuickCharge」や「USB PD」などどんな規格に対応するものが必要かを確認しよう。
iPhone用のケーブルなどで知られるベルキンの製品。本製品は「iPhone 8」シリーズ以降のQi対応iPhoneシリーズに最適化されており、確実で安全なワイヤレス充電が行える。iPhoneシリーズの最大入力電力となる7.5Wの給電が可能だが、それ以外のスマートフォンでも5Wまでの電力で充電が行える。また、ACアダプターが同梱されているのもうれしいところだ。カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色が用意される。
スペック
・形状:平置き型
・重量:110g(ACアダプター別)
・対応出力:5W/7.5W/10W
・ACアダプター:同梱
最大15Wの大出力に対応しており、デバイスを選ばないのが特徴。もちろんiPhoneの最大入力である7.5Wにも対応している。ACアダプターは別売りとなっているが、その分価格はリーズナブルだ。なお、最大の能力を発揮する場合はQuickCharge 2.0以上の能力を持つACアダプターが必要だ。カラーバリエーションは、ブラックとホワイトの2色が用意されている。
スペック
・形状:平置き型
・重量:57g(ケーブル・ACアダプター別)
・対応出力:5W/7.5W/10W/15W
・ACアダプター:なし
高品質なモバイルバッテリーや充電器で知られるAnkerの製品。最大10Wの出力に対応している。こちらもACアダプターを別売りとすることでリーズナブルな価格を実現。ACアダプターは5V/2A以上の能力が必要だが、対応出力である10Wの充電を行う場合はQuickCharge 3.0 に対応したものが必要となる。
スペック
・形状:平置き型
・重量:63g(ケーブル・ACアダプター別)
・対応出力:5W/10W
・ACアダプター:なし
ワイヤレス充電器を備えた容量5000mAhのモバイルバッテリー。モバイルバッテリー部とスタンド部が分離するので、持ち運びもラクだ。ワイヤレス充電器としては、充電コイルが2か所に備わり、縦置きまたは横置きの両方で充電が可能。10Wまたは5Wの出力に対応しており、iPhoneシリーズでは5Wの給電となる。
なお、有線のモバイルバッテリーとしては、5V/2.4Aの対応出力:に対応。本機はACアダプターが別売りとなるが、10Wのワイヤレス充電を行う場合、QuickCharge 2.0以上に対応するアダプターが必要。5Wのワイヤレス充電の場合は5V/2Aの出力が最低でも必要となる。
スペック
・形状:スタンド型
・重量:255g(ケーブル・ACアダプター別)
・対応出力:5W/10W
・ACアダプター:なし
2台同時のワイヤレス急速充電に対応。10W×2台はもちろん、7.5WのiPhone×2台、AndroidとiPhoneそれぞれ1台ずつと言った組み合わせでの急速充電も行える。ACアダプターが同梱されており、本機だけでフル性能を発揮できる。
スペック
・形状:平置き型
・重量:143g(ケーブル・ACアダプター別)
・対応出力:5W/7.5W/10W
・ACアダプター:同梱
最大10Wの出力に対応。冷却ファンを備えており、充電を行うデバイスを冷却することで充電時間を短縮できる。なお、ACアダプターが別売りで、最大の充電性能を発揮する場合、QuickCharge 2.0以上の規格に対応するACアダプターが必要となる。カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色だ。
スペック
・形状:平置き型
・重量:90g(ケーブル・ACアダプター別)
・対応出力:5W/7.5W/9W/10W
・ACアダプターの有無:なし
2017年11月発売だが、2018年12月5日時点の価格.com最安価格はわずか1,391円。基本性能は十分で、iPhoneシリーズを最大7.5Wで充電できるほか、Galaxyシリーズなど9W対応のAndroidスマートフォンと組み合わせてもスピーディーな充電が行える。なお、ACアダプターが同梱されておらず、出力5V/2AのACアダプターを使った場合は5Wの出力となる。それ以上の出力で給電する場合、QuickCharge 2.0対応ACアダプターが必要となる。カラーバリエーションはブラック、シルバーに加えて、ユニークなゴールドも用意されている。
スペック
・形状:平置き型
・重量:28g(ケーブル・ACアダプター別)
・対応出力:5W/9W
・ACアダプター:なし
Googleのスマートフォン「Pixel 3」および「Pixel 3 XL」用に設計されたスタンド型充電器。これらと組み合わせたときに限り10Wの出力で充電が可能。それ以外の端末の場合5Wの給電となる。なお、製品パッケージには18Wの出力に対応するUSB PD対応のACアダプターが同梱されている。充電以外の機能として、音声アシスタント「Googleアシスタント」の拡張機能も備えており、「スマートアラーム時計」などが利用できるが、こちらも「Pixel 3」と「Pixel 3 XL」と組み合わせて使うものだ。
スペック
・形状:スタンド型
・重量:160g(ケーブル・ACアダプター別)
・対応出力:5W/10W(Pixel 3/Pixel 3 XL使用時のみ)
・ACアダプター:同梱
ファーウェイの最新ハイエンドスマートフォン「Mate 20 Pro」に備わる独自の15Wワイヤレス充電に対応する。それ以外のスマートフォンのワイヤレス充電にも対応しており、この場合10W/7.5W/5Wの出力となる。iPhoneシリーズの急速充電も可能だ。ACアダプターも同梱されている。
スペック
・形状:平置き型
・重量:78g(ケーブル・ACアダプター別)
・対応出力:5W/7.5W/10W/15W(Mate 20 Pro使用時のみ)
・ACアダプター:同梱