家電は誰の生活にも、ヲタクのシングルライフにも必須なもの。しかし同じ家電でも「ファミリー」と「シングルヲタ」では、何を基準にどんな製品を選ぶべきかはもうぜんぜん違います! 我らに必要な家電情報は主夫目線・主婦目線とかではない!
というわけで、ヲタクの自由なシングルライフに役立つ家電情報をヲタク目線でお届けする連載「ヲタ家電!〜ヲタクのお宅に推せる家電〜」、今回の推しは「小型軽量」アイテムです。荷物が増えがちなヲタクにこそ、大型重量級アイテムと小型軽量アイテムを組み合わせるメリハリが大事なのです。
……いや、ダイエットしてメリハリボディを手に入れようとかそういうんじゃないです。そういうのはいいんです。ここで言いたいのは、普段持ち歩くアイテムの大きさ・重さの話です。ヲタクって多趣味じゃないですか? すると手荷物の数が増えます。しかも趣味のアイテムには「どうしてこうなった?」的な大きさ・重さのものもありがちです。
一例をあげるとすると、ポータブルオーディオやカメラってまさに「持ち歩く系の趣味」ですよね。そしてヲタ的症状の重さが、持ち歩くアイテムの大きさ・重さに反映されがちです。たとえば、オーヲタにとってのポータブルオーディオプレーヤー。
Astell&Kern「KANN CUBE」は500gに迫る重さだけどそれだけの価値があるDAPなんだ!
「ポータブルとは?」と問いかけたくなるようなこの重厚感! しかし趣味とはそういうものです。大きさ・重さ、値段や希少性。そういう現実的な話が度外視されがちなのが趣味の世界なのです。
とはいえ、我々は残念ながら現実世界に生きているので、現実世界との折り合いもつけねばなりません。「荷物が多くて大きくて重いならバッグも大きくすればいいじゃない」的な力技も、度を超えると、じゃまになりすぎるとか体力を削られるとか、我慢の限界を迎えます。
そこで検討したいのが、「大型重量級になってしまいがちな趣味のアイテムへのカウンターとして、ほかの実用手荷物はできるだけ小型軽量なものを選ぶ」という対応。大型重量級と小型軽量級。持ちもの選びにメリハリをつけることで、トータルでの大きさや重さをできるだけシェイプアップしよう! ってことです。
でも趣味じゃないものにまで「小型軽量」とかこだわりを持ち始めたら変な負担になってしまうのでは? ……いいえ、安心してください! ヲタクは「小型軽量」というキーワードも大好物です! I LOVE 世界最小・最軽量! 楽しくダイエットしましょう! 実際に筆者がヲタ活動する中で便利に使っているアイテム、3カテゴリーを厳選して紹介します。
まずは現代ヲタ、というか現代人の必須アイテム、モバイルバッテリーから考えてみましょう。モバイルバッテリーの大きさは単純に、ほぼ「充電容量の大小≒サイズの大小」となっています。「小型軽量なモバイルバッテリーは充電容量も小さい」わけです。
なので、容量の余裕はあきらめ、「いざというときの必要最小限だけまかなえる容量」の製品を選ぶというのが、小型軽量志向でのモバイルバッテリーの選び方ということになります。
では必要最小限の容量とは? まあ「スマホを1回は満充電にできる程度」は必要でしょう。具体的には5000mAhほどを目安にしておけばよいかと思います。
そして容量と並ぶポイントは、外形、カタチです。5000mAh級のモバイルバッテリーはメーカーも携帯性を特に重視して企画してくれているようで、フォルムにおいても携帯性が重視されています。代表的な形は「薄型」と「スティック型」でしょうか。
たとえばcheeroの場合、5000mAh級薄型は「Slim CHE-104」
5000mAh級スティック型は「Power Plus 5 Stick CHE-108」
どちらの形を選ぶべきかと問われれば、答えは「あなたが普段使っているバッグへの収まりがよいほう」です。たとえばインナーポケットが豊富なバッグなら、そこに収めるには薄型バッテリーのほうがしっくりくることが多いかと思います。ポケットがあまりなくてバッグの底面や側面の隙間に潜り込んでおいてもらうなら、スティック型のほうがよさげです。バッグに入れるほかの荷物との兼ね合いも含めて検討してみてください。
こちらOwltechのLightning充電入力モデル「OWL-LPB10008」は薄型というほどではありませんが、これ系の形はポケットへの収まりがいいです
こちらはcheeroのスティック型「Slim CHE-104」。こういう隙間にスルッと収まります
続いて、ここ最近で一気に定番化したモバイル家電のひとつ「モバイルファン」です。くわしくは後述しますが、ヲタクが最も熱くなるイベントのときにとても重宝するんです。
まあ一般的には、夏の暑さも過ぎたので今シーズンはもう不要かと思いますが、次の夏に向けてポイントを押さえておいてもいいはず。モバイルファン選び、その最大のポイントは、またもや「形」です。「扇風機型」「首かけ型」「吊り下げ型」みたいな話です。
モバイルファンとしていちばんイメージされやすい手持ち式の「扇風機型」。こちらはアイリスオーヤマ「KHF-01」
去年2019年夏あたりに一気に増えた感覚のある「首かけ型」。こちらはスパイス「WFan DF201OR」
今回推したい「吊り下げ型」。こちらはエレコム「flowflowflow FAN-U206」
結論から言うと、筆者のおすすめは「吊り下げ型」。ここでいう吊り下げ型とはちゃんと説明すると、「ネックストラップで首から提げて使う形で」「横や下から吸い込んだ空気を上=顔方向に向けて吹き出す」……というスタイルです。
まず本題の「小型軽量」の観点からも、大きさというよりは形の面で、首かけ型には優位があります。ストラップでバッグの外とかに吊しておくのであればどのスタイルのものでも大差ないかと思いますが……使わないときはバッグの中に入れておきたい場合、扇風機っぽくなく普通にスクウェアに近い形な吊り下げ型は、バッグ内にいい感じに収めやすいのです。「小型」とは少し違うかもですが、「収納性の高さ」によって得られるメリットはそこに通じるものがあります。
ですが吊り下げ型を強く推す理由はそれだけではありません。ファンとしての最大のポイントである暑さ対策として、吊り下げ型こそがヲタにいちばんフィットする! と筆者は考えているのです。
なぜかというと、吊り下げ型ってストラップで首からシャツの中に入れるように吊り下げて使うのが快適なんです! 暑さの不快感を増し増しにしてきやがる服の中の汗をかなり抑え込めます! このことは、2018年夏からこの状況になるまでの間にさまざまなライブで実戦投入して確認済みです! 汗のかきっぷりは個人個人の体質やライブの楽しみ方によって変わるでしょうが、筆者の場合は効果を実感できました!
しばらく使い込んでその実力を実感した大作商事「マイファンモバイル」。今やめずらしい(?)乾電池駆動です
さりげなくその言葉を出しましたけど、ヲタがいちばん熱く暑くなる瞬間、そうそれはライブ!現状では開催が難しいですが、オールスタンディングライブなんてのは、まさにヲタが最も熱を発する瞬間と言えるでしょう。そこで求められるのが「服の中から涼める」「(ペンラやドリンクを持つ)手をふさがない」そして「周りの気にさわらない」といった要素。
説明が必要なのは「周りの気にさわらない」でしょうか。さらに普及が進めば変わってくるかもですが、現状では、周りの人がモバイルファンをぶん回してたら視覚的にも聴覚的にもうるさいですよね。そこで吊り下げ型を服の中に隠して使うと……
まず、視覚的には見えなくなります。そしてファンの位置が耳の高さから離れた鳩尾あたりまで下がることで、聴覚的なうるささも随分と抑えられます。それでも「できるだけ低騒音の製品を選び」「基本は弱モードで使い」「静かな曲ではオフにする」などの気遣いも必要と思いますが。
なお服の中に風を送り込める形のものとしては、ベルトに着けて腰の側から服の下に風を送り込むタイプというのもあります。いつか、大好きな熱いライブが観客入りで復活するその日に向けて、ぜひこれらの形のモバイルファンをチェックしてみてください。
ヒロコーポレーション「エアベルトファン」。ライブで動きまくるならベルトへの固定を何かで強化したほうがいいかもです
最後に、「それ自体は家電ではないけれど、それを小型軽量化することで趣味のポータブルアイテムや上記のモバイル家電の重さを相殺していける持ち歩きアイテム」についても検討してみましょう。
ミニ財布とか、丸めてコンパクトにできるエコバッグとかいろいろあるかと思いますが、ここでは例として「ミニボトル」に注目! ヲタ活動的には、やはりライブでの水分補給に必須のアイテムなので、筆者も以前からいろいろ愛用しています。
筆者が使っているのは定番「POKETLE S」と……
「POKETLE(ポケトル)」の成功によって、マグカップ1杯分程度、まさに必要最小限のお水を持ち歩くための超小型なミニボトルが出そろってきているんです。持ち物を小型軽量化しつつ最小限のお水を持ち歩くためのベストアンサー!
本家POKETLEシリーズへの対抗馬としては、ボトルの定番ブランドであるサーモスの新製品「JOJ-150」が注目株です。
「JOJ-150」も予約購入してさっそく使い始めました!
こちら、真空断熱魔法びん構造による保温性はもちろんですが、驚きなのは容量に比しての大きさ・重さ。POKETLEシリーズも含めて容量の小さいほうから並べて比べてみると……
●POKETLE S:容量120ml/高さ13.1cm×直径4.5cm、115g
●POKETLE:容量120ml/高さ14.3cm×直径4.3cm、120g
●JOJ-150:容量150ml/高さ14.5cm×直径4.5cm、95g
●POKETLE+6:容量180ml/高さ19.6cm×直径4.5cm、160g
際立つのは重さ、というか軽さです。さらにお水をフル容量入れた状態での重さで比べると、
●POKETLE S 容量120ml+ボトル115g=235g
●POKETLE 容量120ml+ボトル120g=240g
●JOJ-150 容量150ml+ボトル95g=245g
●POKETLE+6 容量180ml+ボトル160g=340g
となります。JOJ-150はPOKETLE Sより10g、POKETLEより5gだけの重量増で30ml多くのお水を携帯できるわけです。コスパならぬ「合計重量/容量比」みたいな観点からはかなり優秀!
ですが、筆者が実際どちらも購入して使ってみての実感は「どちらも捨てがたい! ……使い分けよう」だったりします。たとえば飲み口の口当たりはPOKETLEシリーズのほうが好みだったりするんです。背が低くてずんぐりした感じも手になじむし。
スリムなJOJ-150、かわいらしいPOKETLE Sという印象
JOJ-150は真空断熱のためか飲み口に厚みがあります。POKETLE Sは薄口
なので筆者としては、今後は、行く先や季節ごとで持ち歩くお水の量の必要性を考えて使い分けてみようかなと。ちなみにこの超小型ボトルマグ。外出時だけじゃなく、おうちでの就寝前に枕元に置いておくと、夜中に目が覚めて喉が渇いているときにちょっとうれしかったりもしますよ。
というわけで、今回は「持ち歩き荷物のうち、趣味のものではない実用品の部分を小型軽量化して、全体をできるだけコンパクトにまとめよう」という考え方、そしてそれに役立っているなと筆者が感じている小型軽量アイテムを紹介してみました。ここで紹介したほかにも、小型軽量化の余地があるアイテムはいろいろとあるはず。みなさんもバッグの中身を確認して、「これもっと小さくて軽いやつに置き換えられるのでは?」というアイテムを探してみませんか?
……まあそこにハマりすぎると、今度は「小型軽量の沼」にもハマることになって、荷物は軽くなっても出費は重くなるんですけどね。
オーディオ界隈ライター。現在はポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に、下からグイッとパンしていくためにてさぐりで活動中。