レビュー

セラミックファンヒーターは加湿機能付きを選んだほうがいい? シャープ「HX-RK12」で確かめてみた!

比較的場所を選ばずに使用でき、価格も手ごろ。そして、運転を開始するとすぐに温風が出て暖まれるのがセラミックファンヒーターの魅力ですが、部屋の空気が乾燥してしまうという課題があります。これは、セラミックファンヒーターに限ったことではなく、エアコンなど熱源が電気の暖房器具では仕方のないこと。その対策として、加湿器を併用している人も多くいます。しかし、セラミックファンヒーターと加湿器の両方を置くにはスペースが……という人もいるでしょう。そんな人に最適なのが、加湿機能を搭載したモデル。1台2役の製品ですが、暖房と加湿のどちらも十分な性能を備えているのか気になります。そこで、外気温がひと桁の寒い時期にシャープ「プラズマクラスター加湿セラミックファンヒーター HX-RK12」(以下、HX-RK12)を使用し、その実力を確かめてみました。

加湿の衛生面にも配慮した加湿機能付きセラミックファンヒーター

一般的にセラミックファンヒーターは、広い部屋を暖めるほどのパワーは備えていないため、エアコンなどの暖房を使っていても暖まりにくい場所や足元を温めるサブ暖房として併用したり、子ども部屋などの小さめの部屋ではメイン暖房として使用されることが多い暖房器具。今回紹介するシャープ「HX-RK12」も、想定される主な使用シーンは同じです。

サイズは420(幅)×175(奥行)×420(高さ)mmで、重量は5.5kg。。プレミアムホワイトとダークブラウンの2色が用意されています

サイズは420(幅)×175(奥行)×420(高さ)mmで、重量は5.5kg。プレミアムホワイトとダークブラウンの2色が用意されています

「HX-RK12」は、2021年に内部構造を大きく見直し、暖房性能と加湿量を高めた「プラズマクラスター加湿セラミックファンヒーター」の最新モデル。本体内に空気を取り込む風路が前側1方向だったのを、前後2方向からに変更して吸い込む空気の量を増やし、テントウムシの羽根を応用した形状をファンの羽根に採用するとともに、羽根の枚数を増やすことで強くて速い風を生み出せるようにしました。この改良により、風量は従来モデルの約30%アップ。吹出口にあるルーバーの可動域も広がったので、下向きにした場合には、温かい空気の上昇を抑え、足元にしっかりと温風を届けてくれます。

風量がアップしたことで、温風の到達距離は改良前のモデルと比べて2倍に!

風量がアップしたことで、温風の到達距離は改良前のモデルと比べて2倍に!

ルーバーは上下に向きを変更可能(上向き約15°、下向き約7°)。足元を暖めたいときは下向き、部屋を暖めたいときは上向きにするといいでしょう

ルーバーは上下に向きを変更可能(上向き約15°、下向き約7°)。足元を暖めたいときは下向き、部屋を暖めたいときは上向きにするといいでしょう

大風量になったことで、従来モデル(2020年発売「HX-L120」)では540mL/hだった加湿量も650mL/hと約20%アップ。本体の横幅と奥行きを従来モデルより削減しながら、加湿使用時の適用床面積(木造和室〜プレハブ洋室)が従来の8.5〜14畳から11〜18畳になったのもうれしいポイントです。

加湿方式は、水を含ませた加湿フィルターに風を当てて湿らせた空気を放出する気化式ですが、給水方式には、シャープ独自の「ポンプアップ給水方式」を採用。水タンクから流れ落ちた水がトレーに溜まり、その水を加湿フィルターで吸水する一般的な仕組みに対し、ポンプアップ給水方式は、加湿フィルターがトレーの水に触れない設計となっており、トレーの水をポンプでくみ上げて加湿フィルターに降りかけるため、加湿フィルターが水に浸かりっぱなしなりません。さらに、余分な水はトレーに落ちるので、必要のないときに加湿フィルターが水を含んだ状態になることがなく、清潔性をキープしやすいのがメリット。しかも、加湿運転を停止した後には、加湿フィルターをキレイな水で洗浄する機能も搭載されているので、加湿フィルターへのミネラル成分の付着を抑えられます。

本体サイドにある水タンクから下部のトレーに水が流れて溜まり、その水をくみ上げて加湿フィルターに含ませるのがポンプアップ給水方式の仕組み

本体サイドにある水タンクから下部のトレーに水が流れて溜まり、その水をくみ上げて加湿フィルターに含ませるのがポンプアップ給水方式の仕組み

加湿フィルターは仕切りの上にセットするので、トレー水に触れることはありません。また、この仕切り(加湿トレーカバー)には穴が空いており、そこから余分な水が落ちてトレーに戻ります

加湿フィルターは仕切りの上にセットするので、トレー水に触れることはありません。また、この仕切り(加湿トレーカバー)には穴が空いており、そこから余分な水が落ちてトレーに戻ります

もちろん、加湿トレーカバーは取り外せるので、トレーもしっかり水洗いできます

もちろん、加湿トレーカバーは取り外せるので、トレーもしっかり水洗いできます

加湿+暖房運転の効果を検証

さっそく、「HX-RK12」を使ってみましょう。「HX-RK12」は加湿しながら暖房できる製品ですが、暖房運転のみで使うことも加湿運転のみで使うこともできます。暖房の適用床面積は住宅に断熱材が使われているかによって異なり、木造住宅(断熱材なし/断熱材50mm)は約3畳/約6畳、コンクリート住宅(断熱材なし/断熱材50mm)は約4.5畳/約8畳。加湿の適用床面積は木造和室が11畳、プレハブ洋室が18畳なので、使用する部屋の広さと暖房の適用床面積をチェックしておけばOKです。メイン暖房と併用し、足元を中心に暖める用途として導入する場合は、暖房の適用床面積はそれほど気にしなくてもかまいませんが、加湿の効果をきちんと得たいなら、加湿の適用床面積を確認しておきましょう。

暖房運転と加湿運転を同時で稼働させることも、それぞれで使うことも可能。ちなみに、「プラズマクラスターイオン7000」も搭載されているので、暖房運転や加湿運転と一緒に、浮遊カビ菌の除菌や浮遊ウイルスの作用抑制、静電気除去、付着臭の消臭も行えます

暖房運転と加湿運転を同時で稼働させることも、それぞれで使うことも可能。ちなみに、「プラズマクラスターイオン7000」も搭載されているので、暖房運転や加湿運転と一緒に、浮遊カビ菌の除菌や浮遊ウイルスの作用抑制、静電気除去、付着臭の消臭も行えます

今回の検証は、コンクリート住宅(断熱材あり)の約8畳の部屋で行います。暖房運転と加湿運転はどちらも「自動」に設定。ちなみに、暖房運転の「自動」は自動で温風の強弱を切り替えて、室温が約22℃になるように運転するというモードで、加湿運転の「自動」は室温が〜18℃のときは湿度を65%に、18〜24℃のときは60%というように室温に合わせて湿度を自動調整するモードです。

加湿運転もオンにするので、水タンクに水を入れてセットしておきます。タンク容量は約3.1L

加湿運転もオンにするので、水タンクに水を入れてセットしておきます。タンク容量は約3.1L

使用前の部屋の温度は約13℃で、湿度は33〜35%。わずかですが、床近くのほうが温度は低めです

使用前の部屋の温度は約13℃で、湿度は33〜35%。わずかですが、床近くのほうが温度は低めです

「運転」ボタンを押してから暖房運転と加湿運転をそれぞれ設定すると、加湿しながら暖房する運転が始まります

「運転」ボタンを押してから暖房運転と加湿運転をそれぞれ設定すると、加湿しながら暖房する運転が始まります

運転が始まるとすぐに温風が出てくるので、温風が当たる足元は温か!

運転が始まるとすぐに温風が出てくるので、温風が当たる足元は温か!

そのまま運転を続けた結果、机の上あたりの温度は30分後には約3℃上昇して16℃、湿度は23%アップした58%に。その後、1時間後には温度は17.1℃、湿度は64%になり、2時間後には温度は19℃、湿度は65%になりました

そのまま運転を続けた結果、机の上あたりの温度は30分後には約3℃上昇して16℃、湿度は23%アップした58%に。その後、1時間後には温度は17.1℃、湿度は64%になり、2時間後には温度は19℃、湿度は65%になりました

いっぽう、床付近の温度は30分後には約5.3℃上昇して18.2℃、湿度は20%アップした53%に。その後、1時間後には温度は19.4℃、湿度は58%になり、2時間後には温度は21.5℃、湿度は56%になりました

いっぽう、床付近の温度は30分後には約5.3℃上昇して18.2℃、湿度は20%アップした53%に。その後、1時間後には温度は19.4℃、湿度は58%になり、2時間後には温度は21.5℃、湿度は56%になりました

室温の数値だけを見ると、あまり暖かくないように思われるかもしれませんが、湿度が60%近くまで上昇したので数値以上に暖かく感じます。筆者の体感としては、15℃に達したくらいで十分暖かく、体全体がじんわり暖かい状態になりました。床上の温度のほうが高いのは、温風が出る位置に近いところに温湿度計があったからですが、セラミックファンヒーターは近くで暖まる使い方をすることが多いので、この温度差は気にしなくていいでしょう。湿度については、運転開始から30分くらいで部屋の中心部の湿度は58%に到達し、1時間後には部屋全体が60%前後の湿度になりました。短時間で湿度が上がるので、温度の上昇はゆるやかでも早く暖かさを感じられるはずです。

暖房運転のみと、加湿しながら暖房運転した際の体感温度の比較。空気の乾燥を防ぐと、体感は2〜3℃ほど高くなるようです

暖房運転のみと、加湿しながら暖房運転した際の体感温度の比較。空気の乾燥を防ぐと、体感は2〜3℃ほど高くなるようです

試しに、「HX-RK12」の加湿運転をオフにしてまま暖房運転してみたところ、上述の検証と同じくらいまで温度は上昇しましたが、湿度は大幅にダウン。加湿機能を搭載していないセラミックファンヒーターでは、こういう状態になります

試しに、「HX-RK12」の加湿運転をオフにしてまま暖房運転してみたところ、上述の検証と同じくらいまで温度は上昇しましたが、湿度は大幅にダウン。加湿機能を搭載していないセラミックファンヒーターでは、こういう状態になります

まとめ

エアコンや燃焼系の暖房器具(石油ファンヒーターやガスファンヒータ−など)と比べると、部屋全体が暖まるスピードはゆるやかですが、セラミックファンヒーターは暖かさが足りないときにプラスするサブ暖房として使うことが多いもの。ほかの暖房器具が使えないなどの理由から、子ども部屋など狭い空間でメイン暖房として使われることもありますが、広い部屋でもメイン暖房として使えるものとはパワーが違うので、使用場所や用途がマッチしているかをちゃんと考慮しましょう。

というのも、一般的にセラミックファンヒーターは消費電力が高いため、フルパワーで長時間使用すると電気代がそれなりにかかるからです。「HX-RK12」の場合、加湿+暖房運転を「強」で使用した際の消費電力は1,200W(50Hz)。8時間使用すると電気代は約300円弱かかります(1kWhあたりの電力量料金は31円で算出)。この消費電力は特別高いわけではなく、同クラスのセラミックファンヒーターとしては一般的。暖房運転だけではなく、加湿運転も含めての消費電力なので、「HX-RK12」はむしろ抑えているほうだと言えるかもしれません。また、サブ暖房として使用するときには「弱」で運転すれば「強」運転の半分程度の消費電力(620W)で済みますし、「自動」運転でも「強」運転で使い続けるより消費電力は抑えられそう。そもそも、メイン暖房と併用するなら、それほど長時間使わないかもしれませんしね。

今回使用して、特に感じたのは加湿することの大切さ。部屋の湿度を60%くらいにキープしておくと肌や喉の乾燥が防げますし、体感温度が高くなるので、室温が低めでも暖かく感じられます。こうしたメリットを考えると、加湿器のない部屋で使用するなら「HX-RK12」のように加湿機能を搭載したモデルを選んだほうが快適に過ごせそう。加湿の効果で体感温度が上がれば、暖房を控えめにして電気代を抑えることにもつながりそうですし。また、加湿運転のみでも使えるので、エアコンのサブ暖房として用意しておき、暖かさが十分なときには加湿器として使ってもいいでしょう。しかも「HX-RK12」は、加湿フィルターが水に浸った状態にならず、フィルターの自動洗浄機能を備えているのもいいところ。小さめの部屋で使うのにも、サブ暖房として使うにも最適な製品です。

毛利真大

毛利真大

編プロでの広告制作、雑誌編集を経てフリーライター/エディターに。家電をはじめ、自動車、ファッション、ビジネス関連など幅広い分野で活動。86年、秋田県出身。「大曲の花火」とグミをこよなく愛する。

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