価格.com 家電トレンド研究所

コロナ禍で消費者のニーズが変化。“加湿なし”空気清浄機がじわじわ人気のワケ

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第25回は、コロナ禍で再注目された、冬場の必需家電・空気清浄機の最新トレンドについて解説する。

シャープ、ダイキン、パナソニックの国内御三家に外資系のAirdogとダイソンが迫る

【図1】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの過去1年におけるメーカー別閲覧者数推移(2023年10月30日時点)

【図1】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの過去1年におけるメーカー別閲覧者数推移(2023年10月30日時点)

空気清浄機とひと口に言っても、さまざまなタイプの製品が存在する。元々は、空気中のホコリやさまざまな浮遊物質(花粉、粉じん、微粒子など)をフィルターで濾して、空気を清浄化するという製品だったが、徐々に多機能化し、加湿機能が付加されたり、プラズマクラスターやナノイーなどの空気イオンの放出機能が付加されたりして、さまざまなバリエーションが出てきた。

こうした付加機能の追加搭載が加速した結果、国内市場では、加湿機能と空気イオンの放出機能が搭載された製品がいつしかスタンダードになり、空気清浄機を製造するメーカーも、これらの技術を自前で用意できる、シャープダイキンパナソニックの3社のほぼ寡占状況となってきた。

しかし、コロナ禍をきっかけに家の中の空気をきれいにしたいという要望が高まり、従来の空気清浄機よりもより高性能な集塵性能を持った製品が登場して話題をさらった。外資系メーカーが製造・販売するAirdogがその代表格で、価格.comの「空気清浄機」カテゴリーの閲覧者数シェアでもそこそこの位置に付けるようになった。また、元々は「羽根のない扇風機」として製品を展開してきたダイソンも、空気清浄機能を付加した製品群を発売し、こちらも常に一定の人気を保っている。こうした変化の結果、価格.comの「空気清浄機」カテゴリーにおいては、トップシェアのシャープと、2位のダイキンは比較的安定した推移を見せているものの、やや人気の落ちてきた3位パナソニックに、Airdogやダイソンが迫ってきている状況となっている(図1)。

国内メーカー製の空気清浄機でも加湿機能なしのモデルが増えつつある

このように、海外勢の追い上げが著しい日本国内の空気清浄機市場だが、このような状況になった理由の1つに、空気清浄機自体のあり方に対する消費者の見方が変わってきたことがある。上述したように、国内メーカーの空気清浄機のほとんどは、これまで、加湿機能と空気イオンの放出機能を標準機能として搭載してきた。加湿機能がプラスされることで、空気清浄機と加湿器の2台を買わなくて済むようになるし、空気イオンの放出機能があれば、部屋の空気をさらにきれいにできるから、メリットは大きいということで、これまではこのようなスタイルの空気清浄機が人気となってきた。

しかし、3年間のコロナ禍で空気清浄機に求められる性能が変化してきた。つまり、ウイルスを含む空気中の有害物質をよりしっかり除去してくれることに、主眼が移ってきたのだ。また、空気清浄機の加湿機能についても、人によって要/不要の違いがハッキリしてきた。空気清浄機に搭載される加湿機能は、いわゆる「気化フィルター式」だが、比較的お手入れの手間が発生するうえ、空気清浄機とセットになっていることで、加湿機能だけをフルに使うということがなかなかできないというデメリットが徐々に明らかになってきたためだ。その結果、これまで国内メーカーの多機能モデルを使ってきた人のなかにも、「加湿機能はいらないから、とにかく空気清浄機能が強力な製品が欲しい」といった需要が出始めた。そこにうまくハマったのが、「世界最強クラス」をうたうAirdogなどの外資系メーカーが販売する製品であったと言える。

ただ、こうした消費者側のニーズの変化はメーカーも敏感に察知したようで、ここ数年の最新モデルを見てみると、国内メーカーの製品ラインアップにも変化が起き始めていることがわかる。その1つは、これまでは標準搭載だった加湿機能を省略したシンプルな製品だ。加湿機能をなくすことで、本体体積をコンパクトにできるほか、価格も安くできる。ボディデザインも比較的自由に設計できるということで、こうした製品が徐々に人気を得てきているのだ。

空気清浄機市場は、しばらくの間、技術的には停滞していた感もあるが、コロナ禍を経てこうしたトレンドの変化が起こってきている。製品選びを行う際には、何を重視したいのかをよく見極めて、必要な機能と不要な機能とをよく考えて選ぶようにしたい。

空気清浄機のニーズが高まるのは、気温が下がり空気が乾燥してくる11月

【図2】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの閲覧者数推移(2023年10月30日時点)

【図2】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの閲覧者数推移(2023年10月30日時点)

では、空気清浄機のニーズが増える時期はいつか。図2は、価格.com「空気清浄機」カテゴリーの過去2年間における閲覧者数推移を示したものだが、いずれも冬期に需要が集中して上がっているのがわかる。特に、気温が下がり空気が乾燥してくる11月くらいから、年をまたいで2月くらいまでが需要のピークとなっている。これは、やはり加湿機能を搭載する製品が多いため、加湿器代わりとしての期待値が高いのと、風邪やインフルエンザの流行に合わせ、これを予防したいという思いが高まるのがこの時期だからだ。

これに対して、国内メーカー製品のほとんどは10〜11月に新モデルを発売するというスケジュールなので、需要の高まりと新モデルの発売時期が絶妙に合っている希有なカテゴリーと言える(家電製品の場合、需要が高まる数か月前に発売ということが多い)。

となると、今の時点では、昨年発売された型落ちモデルを選ぶのが、得策ということになるだろう。前述のとおり、空気清浄機はここ数年大きな技術的革新がないので、1年前、2年前くらいの製品でも性能的に見劣りするということはほとんどない。であれば、安くなっている型落ちモデルを積極的に狙いにいったほうがよいだろう。

ただし、先に触れたように、最近のトレンドに沿った、加湿機能なしのコンパクトモデルや、デザイン性にすぐれたモデルなどを狙うのであれば、今年発売の最新モデルも考慮して考えたほうがよいだろう。昨年にはまったくなかったようなモデルが、今年は発売されているといったケースも出てきているので、こだわりがある人は、最新モデルもよくチェックしてほしい。

なお、空気清浄機の空気清浄機能を左右するのは、1に(集塵)フィルター、2に風量である。集塵フィルターは、多くのモデルは「HEPAフィルター」あるいはその進化版を採用しており、その意味では、それほどフィルター性能に差はない。一部のモデルでは、これに静電気の力をプラスして強力に集塵する「電気集塵」という方式を採用しているが、効率としてはこちらのほうが上と言ってよい。

いっぽう風量については、その製品が一気に空気を吸い込める性能を表している。もちろんこれが高いほど、空気を短時間に清浄化できるので、風量についてはなるべく大きなものを選んだほうがいいが、空気清浄機を使う場所の広さにもよるので、適切な風量の製品を選べばOKだ。風量と適用床面積の関係はあくまでも目安なので、たとえば12畳のリビングで適用床面積20畳という製品を使うのはまったく問題ない。むしろ12畳の部屋なのに適用床面積8畳の製品を選ぶということはやめたほうがよいだろう。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目する空気清浄機5選

※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年10月31日 時点のものです。

シャープ「KI-PS40」

KI-PS40

価格.com最安価格:17,770円
発売日:2021年11月発売
ユーザー評価:★4.50(7人)

シャープが2021年に発売した、幅270mmのスリムタイプの加湿空気清浄機。最大風量4.0㎥/分で適用床面積は18畳、空気清浄機としてはやや控えめのスペックだが、その分価格も安く、2023年10月末時点で18,000円前後から購入できるのが魅力。集塵フィルターにはHEPAフィルターを採用する。シャープならではの「プラズマクラスター25000」も搭載。加湿機能は最大加湿量420mL/時で、タンク容量は約2.0Lとなる。どちらかといえば、寝室や書斎などに置いて使いたいモデルだ。

シャープ「KI-PX70」

KI-PX70

価格.com最安価格:35,779円
発売日:2022年1月発売
ユーザー評価:★4.71(14人)

シャープの2021-2022モデルでは中級に位置する加湿空気清浄機。最大風量7.0㎥/分、適用床面積は31畳で、広めのリビングでもしっかり対応できる性能を持つ。加湿性能では二重の加湿フィルターを使うことで、最大750mL/時という大加湿量を実現。シャープ独自のプラズマクラスターも高濃度の「プラズマクラスターNEXT」を備えるなど、さまざまな点で高性能な製品となっているが、35,000円台で購入できるのはコスパも高い。「価格.comプロダクトアワード2022」では金賞を受賞

ダイキン「ACM55Z-W」

ACM55Z-W

価格.com最安価格:28,109円
発売日:2022年10月発売
ユーザー評価:★5.00(1人)

ダイキンの加湿機能を省いたスリムタイプの空気清浄機。幅270mm、高さ500mmと、圧迫感なくコンパクトに設置できる点が魅力だ。集塵フィルターには、ダイキン独自の静電HEPAフィルター「TAFUフィルター」を採用。また、独自の除菌機能「ストリーマ」を搭載しており、フィルターで捕獲したさまざまな物質に照射することで除菌できるなど、空気清浄機能は高性能だ。風量は最大5.5㎥/分で、適用床面積は25畳。加湿機能が不要な人や、加湿機を別途利用している人に最適なモデルと言える。

ダイキン「MCK70Y」

価格.com最安価格:41,637円
発売日:2021年10月発売
ユーザー評価:★4.08(21人)

スリムなタワー型ボディを採用したダイキンの加湿空気清浄機。発売は2021年だが、最新モデルにひけをとらない性能で、4万円台前半で購入できるため、コスパは高い。ダイキン独自の静電HEPAフィルター「TAFUフィルター」と、独自の除菌機能「ストリーマ」を搭載し、最大風量7.0㎥/分、適用床面積31畳と、広めのリビングでもしっかり空気を清浄化できる。スリム型のデザインで、幅315×奥行315mmという面積で設置可能。最大700mL/時の加湿量があり、給水も水タンクを取り外してシンクで行うほかに、本体上部からポットなどで給水できる2way方式を採用しており、使いやすさにも特徴がある。

ダイソン「Dyson Pure Hot + Cool HP00I

Dyson

価格.com最安価格:39,980円
発売日:2019年4月発売
ユーザー評価:★4.20(33人)

ダイソンの「羽根のない扇風機」こと「Air Multiplier」シリーズに、ヒーターと空気清浄機能をプラスした、涼風・温風・空気清浄と1台3役の製品。空気清浄機能としては、胴体の周囲360度に設置されたHEPAフィルターで集塵する仕組み。ここで清浄化された空気を、独自の「Air Multiplier」テクノロジーで強力に吹き出す。30分で9畳(60分で26畳)の空気清浄能力があり、空調家電であまり部屋の場所を取りたくないという人に向いているモデル。

>>価格.comユーザーのおすすめは? 空気清浄機の人気売れ筋ランキング
>>価格.comでそのほかの空気清浄機をチェックする

鎌田 剛(編集部)
Writer
鎌田 剛(編集部)
1996年にソフトバンクにて複数のパソコン情報誌の編集・立ち上げに携わった後、2002年にカカクコム入社。2006年「価格.comマガジン」を創刊。以降、編集長としてメディア運営に携わる。日経MJにてコラム連載、ラジオ出演なども幅広く行う。家電製品アドバイザー資格保持者。
記事一覧へ
北島圭介(編集部)
Editor
北島圭介(編集部)
出版社で10数年、編集者として経験を積み、2022年にカカクコム入社。家電製品から文房具など、さまざまな商品を検証するモノ雑誌の編集経験を生かし、価格.comマガジンで生活家電を中心に気になる製品をレビューしている。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×