長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第38回は、夏にかけて本格的な需要期を迎えるエアコンの最新状況と、エアコンを安く買うなら、一体いつ買い替えたらよいのか、といった買い時についても紹介していきたい。
【図1】価格.com「エアコン・クーラー」カテゴリーの閲覧者数推移(過去2年)
まずはエアコンの需要がどのように高まってくるかを確認しよう。図1は、過去2年間における価格.com「エアコン・クーラー」カテゴリーの閲覧者数推移を示したもの。これを見ればわかるように、毎年暑くなる7月くらいをピークに、需要が大きく高まっていることがわかる。需要が伸び始めるのは4月下旬くらいからで、7月頃にピークを迎えた後は、急激に需要が下がりはじめ、9月にはピークアウトする。年によって気温の上がり方などが異なるので、多少前後することはあるが、およそこのような需要の動きとなる。
【図2】価格.com「エアコン・クーラー」カテゴリーにおける主要5メーカーごとの閲覧者数推移(過去1年)
図2は、価格.com「エアコン・クーラー」カテゴリーにおける主要5メーカーごとの閲覧者数推移を示したもの。これを見ると、価格.comで人気が高いのは、ダイキンと三菱電機がトップ2といった感じで、3位を日立とパナソニックが争い、単独5位に東芝が位置するという状況となっていることがわかる。今シーズンに関して言えば、日立が急激に伸ばしており、首位グループにからんでいっている。
【図3】価格.com「エアコン・クーラー」カテゴリーにおける売れ筋製品のメーカーシェア(2024年4月時点)
図3は、2024年4月時点における、価格.com「エアコン・クーラー」カテゴリー内のメーカーシェアを示したもの。図2の内容と同様に、ダイキン、三菱電機の2社が強く、次いで日立、パナソニックといった形となっており、この大手4社で8割以上のシェアを占めていることがわかる。
【図4】価格.com「エアコン・クーラー」カテゴリーにおける売れ筋製品の畳数目安の割合(2024年4月時点)
なお、価格.com上でどのような出力の製品が売れているかを示しているのが、図4だ。これを見ると、「主に6畳用(冷房能力2.2kW)」を筆頭に、全体的には、個室向けの比較的小出力の製品が人気なのがわかる。リビングルーム向けでは「主に14畳(4.0kW)」がいちばん人気で、次いで「主に18畳(同5.6kW)」の順となる。
【図5】価格.com「エアコン・クーラー」カテゴリーにおける売れ筋製品の販売価格帯の割合(2024年4月時点)
これを販売価格別で見たのが図5だ。価格帯は比較的ばらけているが、やはり多いのは「主に6畳用(2.2kW)」の製品が多い4万円台で、続いて6万円台、5万円台となる。10万円を超える製品の割合は全体の3割程度となっており、全体として見ると、やはり低価格の小出力製品の人気が高い傾向があることがわかる。
【図6】価格.com「エアコン・クーラー」カテゴリーにおける人気5製品ごとの閲覧者数推移(過去3か月)
【図7】価格.com「エアコン・クーラー」カテゴリーにおける人気5製品ごとの最安価格推移(過去3か月)
そんな小出力製品の人気が高い価格.comの「エアコン・クーラー」カテゴリーであるが、2024年5月上旬時点で人気が高い5製品の閲覧者数を示したのが、図6だ。ダイキン「S253ATES-W」を除けば、すべての製品が冷房能力2.2kWのいわゆるベーシックモデルであり、小出力の製品が人気であることがここからもわかる。なかでも、日立「白くまくん RAS-AJ22N(W)」が4月末に大きく人気を得たのが特徴的で、これが図2で見た日立のシェアを大きく押し上げた原因と思われる。
これら5製品の最安価格推移を示したのが図7だが、ダイキンの2製品が現時点で5万円以上と高く(うち1モデルは2.5kWモデル)、三菱電機の「霧ヶ峰 MSZ-GV2223-W」が4.5万円程度、残るパナソニック「エオリア CS-223DFL-W」と日立「白くまくん RAS-AJ22N(W) 」が4万円強といった最安価格となっており、同レベルのベーシックモデルでも、メーカーによってだいぶ価格差があることがわかる。なお、日立「白くまくん RAS-AJ22N(W)」が人気を得た理由は、この相対的な最安価格の安さが大きく影響している。
ただ、ここに掲載したいずれの製品も、2023年初旬に発売された型落ちモデルであり、そろそろ市場在庫がなくなりつつあるため、元々安かったモデルがここ数か月で値上がりに転じているという状況だ。出力2.5kWのダイキン「S253ATES-W」を除き、すべてのモデルが2.2kWクラスの製品だが、2月初旬くらいまではいずれも4万円を若干下回る最安価格で売られていたのが、人気モデルから順に流通在庫が薄くなり始め、最安価格も上昇に転じてきたことが見て取れる。今はまだ安く購入できるパナソニック、日立のモデルも、5月に入ったころから徐々に値上がりしてきていることから、流通在庫が徐々に薄くなってきていることが予見される。
【図8】ダイキンの冷房能力2.2kW、2022-2023年モデルと、2023-2024年モデルとの最安価格比較(過去1か月)
ちなみに、図8は、ダイキンの冷房能力2.2kWの2022-2023年モデル「S223ATES-W」と、2023-2024年モデル「S224ATES-W」との最安価格を比較したもの。これを見るとわかるが、最新モデルは6万円前後の価格を付けているのに対し、型落ちモデルは1か月前でも5万円弱と1万円くらいの価格差があった(2月上旬なら2万円近くの価格差)。しかし、このひと月で型落ちモデルの最安価格がじわじわと上がって53,000円近くになり、逆に最新モデルの最安価格が若干下がって58,000円程度になったことで、両者の価格差は5,000円程度まで縮んでいる。ここまでくると、あえて型落ちモデルを選ぶ理由もなくなってくるので、自然とモデルチェンジシフトが進んでくる。これは一例だが、多くの製品がこの時期、最新モデルへのシフトを迎え、型落ちモデルは徐々に市場から姿を消してくる。
このことから考えると、エアコンの型落ちモデル(2022-2023年モデル)を狙うのであれば、本来は1〜2月くらいの時期が最も底値を狙いやすいということになりそうだ。ただ、5月中旬の今でもモデルによっては、まだかなり格安で購入できるので、そうした製品を狙うのであれば、早めに動くのが吉と言えそうだ。
※最安価格とユーザー満足度・評価は、いずれも2024年5月14日 時点のものです。
価格.com最安価格:41,333円
発売日:2023年3月発売
ユーザー満足度・評価:★4.60(57人)
冷房能力:2.2kW(主に6畳向け)
4万円強で買える高コスパのベーシックエアコン。室内機・室外機ともに比較的コンパクトで設置性にすぐれている。機能としては基本的な冷房・暖房・除湿機能のみの搭載となるが、冷房・除湿運転後に自動的に熱と風で熱交換器を乾燥させる「エアコン内部クリーン」機能を搭載する。「価格.comプロダクトアワード2023」にて銀賞を受賞。
価格.com最安価格:41,300円
発売日:2023年1月発売
ユーザー満足度・評価:★4.38(43人)
冷房能力:2.2kW(主に6畳向け)
4万円強で買える高コスパのベーシックエアコン。基本的な冷房・暖房・機能に加えて、除湿機能では、はじめは冷房、徐々に冷房を弱めて除湿する「冷房除湿モード」を備える。内部クリーン機能としては、熱・風のほかに冷房や除湿で発生したドレン水を使った熱交換器洗浄にも対応する。
価格.com最安価格:53,900円
発売日:2023年2月発売
ユーザー満足度・評価:★4.64(27人)
冷房能力:2.5kW(主に8畳向け)
ダイキンのベーシックシリーズ「Eシリーズ」の8畳用モデル。ひとつ下の6畳用モデル「S223ATES-W」も人気だが、価格差がほとんどなくなってきたため、現時点ではこちらを選んだほうがお得だ。ベーシックモデルでありながら、内部クリーン機能が充実しており、ドレン水で熱交換器を洗浄する「水内部クリーン」機能のほか、同社独自の「ストリーマ」を搭載し、カビなどの発生を抑制する。「寒すぎ」「暑すぎ」を検知して自動運転する「室温パトロール」機能を搭載するなど、機能性も高い。
価格.com最安価格:139,700円
発売日:2023年2月17日発売
ユーザー満足度・評価:★4.76(15人)
冷房能力:4.0kW(主に14畳向け)
三菱電機「霧ヶ峰」の上級機「Z」シリーズの14畳モデル。独自のバイタルセンサー「エモコアイ」が、離れた場所から部屋にいる人の脈を測定。搭載されるAIが、その人の温度の感じ方に合わせて気流を調整し、快適な状態を作り出してくれる。また、体感温度や室温の変化を予測して、自動的に温度や風量を調節してくれる機能も備える。内部クリーン機能としては、フィルターの「おそうじメカ」をはじめ、ナノレベルのミスト「ピュアミスト」による菌の抑制機能も搭載。部屋の空気を清潔に保ってくれる。
価格.com最安価格:159,400円
発売日:2022年11月発売
ユーザー満足度・評価:★4.61(23人)
冷房能力:4.0kW(主に14畳向け)
ダイキンのフラッグシップ「うるさらX」の14畳モデル。除湿だけでなく加湿機能も備えているのが特徴で、乾燥する冬場などは空気中の水分をエアコンが取り込み、部屋の中を潤してくれる。また、室内換気機能も搭載し、窓を開けることなく部屋の空気を入れ替えることが可能。冷房運転時には、強力な除湿機能を活用し冷やしすぎない「プレミアム冷房」や、梅雨寒の時期にも寒くならずに快適な室内環境を整えられる「さらら除湿」を利用できる。内部クリーン機能としては、ドレン水で熱交換器を洗浄する「水内部クリーン」機能のほか、同社独自の「ストリーマ」を搭載し、カビなどの発生を抑制することが可能だ。
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