長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第56回は、新生活シーズンとなる春先に需要が伸びる縦型洗濯機の最新トレンドについて解説する。
【図1】価格.com「縦型洗濯機」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)
【図2】価格.com「縦型洗濯機」カテゴリーの閲覧者数推移(過去半年)
洗濯機には大きく分けて、縦型洗濯機とドラム式洗濯機の2種類があるが、新生活シーズンとなる春先にかけてはいずれの需要も伸びる。なかでも縦型洗濯機は、学生や新社会人、単身赴任の会社員などに人気があることから、この時期に需要のピークが来る傾向にある。図1、図2は、価格.com「縦型洗濯機」カテゴリーの閲覧者数推移を示したものだが、いずれの年も1〜3月の時期が需要のピークとなっており、今シーズンについても同様の動きが見て取れる。なお、1月に需要のピークが来ているのは、いわゆる年末年始商戦の影響が強いため、それを除く2〜3月が新生活需要のピークと言ってよい。
【図3】価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける売れ筋製品のタイプ別割合(2025年1月時点)
ちなみに、価格.comでの縦型洗濯機とドラム式洗濯機の売れている割合だが、図3を見るとわかるように、およそ6:4で縦型洗濯機のほうが多く売れている(図3では、全自動洗濯機と縦型洗濯乾燥機を合わせたものを縦型洗濯機としている)。この割合はここ数年間ほとんど変わることがなく、縦型洗濯機のほうがやや人気が高いという状況だ。この理由としては、縦型洗濯機のほうが比較的洗浄力が高く、設置スペースを取らないこと。そして、販売価格がドラム式洗濯機のほぼ半額レベルで済むことなどがあげられる。
【図4】価格.com「縦型洗濯機」カテゴリーの主要メーカー別閲覧者数推移(過去3年)
そんな縦型洗濯機であるが、図4のメーカー別閲覧者数推移を見てみると、人気のメーカーがここ数年でも若干変化してきていることがわかる。価格.comでは、「ビートウォッシュ」シリーズを展開する日立の人気がずっと高く、ほぼ首位をキープし続けてきているが、ここ3年間ではやや右肩下がりの様相を呈しており、ほかの競合メーカーとの差は埋まりつつある。その日立とはよきライバル関係にあるパナソニックはほぼ横ばいで推移していることもあり、日立を抜いて首位となることもあるなど、その人気は堅調だ。
3位以下を見ると、東芝が単独3位の座をキープしているが、その人気がやや右肩下がりになっているのに対して、4位のシャープはやや右肩上がりとなっており、その差は狭まりつつある。5位はAQUAで、大きな伸びはないものの、コスパの高さなどから一定の人気を得ている状況だ。
【図5】価格.com「縦型洗濯機」カテゴリーにおける人気モデル別閲覧者数推移(洗濯容量7〜8kg/過去半年)
ただし、図5の人気モデル別閲覧者数推移を見ると、その人気がかなり偏っていることも見えてくる。このグラフで1位の日立「ビートウォッシュ BW-V80K」は、価格.comでの人気モデルで、他の追随を許さないほどの人気を得ており、その人気は今もなお上昇中だ。2位はパナソニック「NA-FA8H3-W」だが、1位の「ビートウォッシュ BW-V80K」とはかなりの差が開いている状況で、グラフもほぼ横ばい。これに対して、3位の東芝「ZABOON AW-8DH4(W)」がかなり迫っている状況だ。4位以下のシャープ、AQUAについてはあまり大きな差がなく、もつれ合っている状況だが、直近ではAQUA「AQW-V7R-W」の人気がやや高まってきている。
なお、ここに掲載したモデルは洗濯容量8kg前後の製品だが、価格.comの縦型洗濯機の売れ筋人気ランキングを見ると、日立の製品がベスト3を占めており、日立製品の人気はかなり高い状況が続いていることがわかる。
【図6】価格.com「縦型洗濯機」カテゴリーにおける人気モデル別最安価格推移(洗濯容量7〜8kg/過去半年)
上記の人気5モデルの最安価格推移を示したのが図6になるが、これを見ると、洗濯容量7kgのAQUA「AQW-V7R-W」を除いて、洗濯容量8kgのモデルは、昨年8月くらいの段階では10万〜11万円ほどするものが多いが、そこから半年ほどかけて価格が下がり、7〜8万円くらいにまで下がってきていることがわかる。縦型洗濯機の発売時期は6〜7月くらいが多く、発売から約半年で3〜4割ほど価格が下落していることになる。特に、人気1位の日立「ビートウォッシュ BW-V80K」は価格下落の幅が大きく、8月には11万円ほどしていた最安価格が、10月には9万円を切り、年明け1月には8万円を切って、今や7万円すら切っている状況。もともとその洗浄力や静音性などでは評価の高い「ビートウォッシュ」シリーズの製品だけに、図5と合わせて見ると、大きな価格下落とともに人気が急増したと見ることができる。
いっぽう、東芝「ZABOON AW-8DH4(W)」のほうも最安価格は、9.7万円程度から7万円程度にまで大きく下がってきているが、こちらについては日立「ビートウォッシュ BW-V80K」ほどの大きな人気上昇は見られない。こちらも性能面では評価の高いモデルではあるが、それでも日立やパナソニック製品に比べてあまり人気が高まらないのは「ZABOON」というブランドの弱さが出てしまっているのかもしれない。
最後に、この中では圧倒的に安いAQUA「AQW-V7R-W」だが、洗濯容量が唯一7kgと若干少ないものの、性能面で特に劣る部分はなく、同じ7kgモデルの中でも5万円を切る最安価格というのはかなりの高コスパと言える。メーカーにこだわらないのであれば、こうした製品を選ぶのもいい選択と言えるだろう。
※当記事のデータは、「価格.com DataCompass」を使って作成しています。
「価格.com DataCompass」とは、価格.comのビッグデータを基に購入検討ユーザーの動向を分析できる法人向けのマーケティングサービスです。
※最安価格とユーザー満足度・評価は、いずれも2025年2月18日 時点のものです
価格.com最安価格:68,560円
発売日:2024年6月中旬
ユーザー満足度・評価:★4.19(9人)
洗濯容量:8kg
高い洗浄力で人気の「ビートウォッシュ」シリーズの洗濯容量8kgモデル。高濃度の洗濯液と、たっぷりの水量で汚れをしっかり落とせる「ナイアガラビート洗浄」を搭載。「シワ低減洗濯」コースや、1.5kg程度の洗濯物なら約10分で洗える「おいそぎ」コースなども便利だ。この半年で価格が大きく下落し、7万円以下の最安価格はまさにお買い得。狙うなら早めが吉だ。
価格.com最安価格:93,000円
発売日:2024年6月中旬
ユーザー満足度・評価:★5.00(5人)
洗濯容量:10kg
上記「BW-V80K」と同じ「ビートウォッシュ」シリーズの洗濯容量10kgモデル。基本性能は「BW-V80K」とほぼ同じだが、液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能を搭載しており、より手間なくラクにお洗濯できるのが特徴。最安価格が9万円近くまで下がっており、自動投入機能付きの10kgモデルとしてはかなりお買い得な製品だ。
価格.com最安価格:77,560円
発売日:2024年6月1日
ユーザー満足度・評価:★4.64(6人)
洗濯容量:8kg
パナソニックの縦型洗濯機の洗濯容量8kgモデル。洗剤の洗浄力を高める「スゴ落ち泡洗浄」機能を搭載し、「パワフル立体水流」でしっかり汚れを落とす。4kgの洗濯物を約22分で洗濯する時短コースも搭載する。操作系が洗濯槽の奥にあるので、手前が広く、毛布などの大きなものでも出し入れしやすいのも特徴だ。
価格.com最安価格:71,800円
発売日:2024年6月
ユーザー満足度・評価:★4.50(2人)
洗濯容量:8kg
東芝「ZABOON」の洗濯容量8kgモデル。繊維のすき間より小さいナノサイズの泡が、洗浄効果を高める「抗菌ウルトラファインバブル洗浄」を採用。繊維の奥の皮脂汚れもしっかり落とし、黄ばみ予防にもなるという。洗い約26dB/脱水約37dBの低振動・低騒音設計も特徴。性能が高い割に7万円強まで最安価格が下がってきているので、お買い得だ。
価格.com最安価格:49,553円
発売日:2024年6月19日
ユーザー満足度・評価:★4.00(1人)
洗濯容量:7kg
AQUAのベーシックラインの縦型洗濯機の容量7kgモデル。洗濯容量8kgの「AQW-V8R-W」などもあるが、容量7kgで最安価格が5万円を切っているこちらを推したい。ガンコな汚れを繊維の奥から洗い上げる「高濃度クリーン浸透&3Dパワフル洗浄」を搭載し、洗浄力は十分。ガラストップで中身が見やすいのも特徴だ。幅が520mm、奥行きが540mmというコンパクトボディもうれしい。
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