基本的に、面倒くさがりな筆者。そんな筆者がとくに嫌いな家事といえば、“階段の掃除”です。片手で重い掃除機本体を持ち、反対の手で掃除機のブラシ(これも意外と重い!)をゴシゴシと動かすのは、けっこうな重労働。しかも、階段の途中で電源コードの長さが足りなくなって、電源コンセントを差し替えるために階段を下りたり登ったり……と、とにかく手間がかかるので、どうしても好きになれないのです。
そんな筆者の目に付いたのが、アイリスオーヤマの「超軽量スティッククリーナー IC-SLDC1」(以下、IC-SLDC1)というコードレス掃除機。コードレスであることに加え、「超軽量」の文字。惹かれないわけがありません。これなら、骨の折れる階段掃除が少しはラクになるかも! さっそく我が家でチェックしてみました。
IC-SLDC1は、ハンディ掃除機にもなる2WAY仕様。“ちょい掃除”にかなり役立ちそうな予感!
まずは、製品名にもある“超軽量”についてチェックしましょう。気になる本製品の重量は、延長パイプとフロアヘッド装着時で1.3kg。高機能スティッククリーナーは、だいたい2kg以上のものが多いので、かなり軽く感じます。ちなみに、本体だけの重さは0.98kg。なんと1kgを切る軽さです。
あまりにも本体が軽いので、最初は“バッテリーが小さいのでは?”と疑ってしまいました。しかし、バッテリー持続時間は自動モードで約30分、標準モードで約20分、ターボモードで約12分と、コードレス掃除機としては比較的長い運転時間を実現しています。ちなみに、充電時間も約3時間とスピーディです。
サイズは、延長パイプとフロアヘッド装着時で、21.8(幅)×95.1(高さ)×16.2(奥行き)cm。本体カラーは、写真のシルバーのほか、ブラック、ピンクの全3色
本体だけならば、ハンディクリーナーとしても利用できます。サイズは、10.1(幅)×10.7(高さ)×45.9(奥行き)cm。重さは0.98kgと、なんと1キロ以下!
操作は手元のボタンで行います。「標準/ターボ」で強/弱運転の切り替えが可能。また「自動」では、「ゴミセンサー」により、ホコリの多い場所では強運転、少ない場所では弱運転に自動で切り替わるようになります
充電用の電源プラグ差し込み口は、ハンドル部分横に配置。“置くだけで充電”ができないのは少々面倒に感じました
IC-SLDC1は、本体単体では自立しませんが、ハンドル部分に磁石が入っており「壁置きパーツ」(写真上)や冷蔵庫などの磁性があるものに近づけるとピタッとくっつけておくことができます。壁置きパーツは、約6.5cm四方の大きさで、裏面の粘着テープ(繰り返し使用可能)か木ネジなどで壁に付けられるようになっています。壁置きパーツには電源コードを繋ぐことができるので、プラグ先を本体の差し込み口の近くに配置できて便利でした。壁に貼り付けた際に余ったコードを巻き付けておけるようになっている仕様が◎
本体が小さくバッテリーの持ちがよいとなると、今度は“集塵パワー”が不安になってきます。その点、IC-SLDC1は「サイクロンストリームヘッド」という独自システムを採用。これは、ヘッドの吸い込み口を空洞にし、この空洞部分に高速回転する気流を発生させることでチリやゴミを吸い取るというもので、これにより、高い集塵力を実現しているといいます。
ちなみに、最近はヘッド内に回転ブラシが搭載されており、このブラシで掻き出したゴミを吸い取るという仕組みの掃除機が多いのですが、ブラシで床材を傷めてしまうこともあります。空気の流れでゴミを吸い取るサイクロンストリームならばこのような心配はないので、デリケートな床材を使用しているお部屋などにもいいかもしれません。
ヘッドを裏からみると、中が空洞になっているのがわかります。ここに高速気流を発生させ、強力にゴミを吸い取ります。回転ブラシがない分ヘッドが軽く、取り扱いもラクです
また、回転ブラシがないことで一番うれしかったのが、髪の毛が絡まらないこと。筆者宅が今まで使用していた掃除機は回転ブラシ式でしたが、これは長い毛が一定以上絡まるとブラシが停止してしまいます。そのため、掃除中に何度も回転ブラシに絡まった毛をハサミで切る必要があり、かなりのストレスでした。さらに、回転ブラシの場合はヘッド内のローラー幅しかブラシが届きません。しかし、サイクロンストリームは、ヘッドギリギリまで強力にゴミを吸引してくれるのも特徴です。とはいえ、物理的にゴミを引きはがすわけではないので、カーペットを掃除する場合は回転ブラシ式に比べて劣るように感じました。とくに、カーペットの毛に絡みついているようなゴミは苦手なようです。逆に、フローリングのゴミはほぼすべて吸い取ったので、フローリング床の掃除を考えているならば、かなり満足のいくパフォーマンスを発揮してくれるはずです。
我が家は一部の床がカーペットですが、何度も回転ブラシ式掃除機をかけているので、ひどい毛玉になっています。しかし、本製品ならこういった心配はなさそうです
・カーペットについた犬の毛
・カーペットにこぼした砂
苦手とするカーペットでも、ほとんどのゴミは強力に吸い取ってくれました。犬の毛と湿った砂をカーペットに擦り込み、中心部をゆっくり2往復したところ、写真のように、かなりキレイになりました
回転ブラシを使用しないので、部屋の端を掃除しても、ギリギリまでゴミを強力に吸い込みます
吸い込むのに苦労したのが、カーペットに張り付いて団子状になった髪の毛。フローリングの髪の毛はグイグイ吸い込むのですが、カーペットの抜け毛を掃除する目的で本製品を利用するのは厳しいかもしれません
実際に使用してみると、バッテリーや吸引力といった基本性能以外にも使いやすい機能が多数ありました。とくに嬉しかったのは、コンパクトな掃除機なのにほこり感知センサーを搭載していること。ゴミが残っている場所では、手元のセンサーが赤色に発光、ゴミを吸い取ったあとは緑色に変わります。また、自動運転モードで掃除している場合は、ゴミセンサー反応時はターボ、ゴミを感知していないと標準モードで吸引するので、効率よくバッテリーを使えます。
本体手元にある「ほこり感知センサー」。ほこりがある場所では赤色、ほこりが除去されると緑に光ります。ほこり量に合わせて吸引力を調整する「自動モード」は、省エネにもなりますね
また、本体の先にはブラシが格納されており、使用したいときに90度まわすだけで装着できるのも便利でした。パーツが分離していないので、使用したいときにすぐ使えるというだけでなく、紛失の心配がないのがいいですね。
そして、筆者が一番気に入ったのは、ヘッドの“自由度”。ヘッド関節部の曲がる範囲が広いため自由度が高く、パイプを床と平行にできるため、狭い場所でもスイスイ入りこんでくれました。
本体先にはブラシが格納されており、90度回転させることでブラシが使用できるようになります。ブラシサイズは、約5×3cmで、細かな場所のゴミをサッと掃除するのに重宝します。使わないときにも本体から外す必要がないので、必要なときにいつでも使用できて便利!
ヘッドの可動角度の自由度が高いのも嬉しいポイント。パイプを床と平行にできるので、ベッド下などの狭い場所にもスイスイ入り込みます。また、ヘッドを90度横にできるので、幅約14cmの隙間にも入り込みます
狭い場所にグイグイとヘッドが入り込むので、筆者の苦手な階段掃除にも力を発揮します。最初は嫌だった階段掃除が手軽にできるようになりました
最近は「サイクロン方式」の掃除機も多いですが、本製品は「紙パック方式」を採用。我が家の掃除機がサイクロン方式のため、じつは最初は紙パック式に抵抗がありました。しかし、一度紙パックを使ってみると、意外なほど便利なことがわかりました。最大のメリットは、なんといってもメンテナンスが簡単なこと。ほとんどのサイクロン方式掃除機は、ゴミを捨てたあとのカップが汚れています。しかも、吸い込んだゴミの量がわかるように透明なカップが多いので、汚いカップは丸見えで不潔な見た目になることも……。しかし紙パック方式ならば、パックを捨てるだけで本体は清潔に保てます。
さらに、サイクロン方式の場合ゴミを捨てるときに埃が舞うことも多いのですが、紙パック式ならこの心配もありません。また、パック内の汚いゴミを見ないで、ポイッと捨てられるのも個人的に気分がよかったです。そして、IC-SLDC1の専用紙パックはAg+(銀イオン)加工がされているので、排気の嫌な匂いを抑える効果もあるとのこと。これはペットを飼っている家にはうれしい仕様ではないでしょうか。
専用の使い捨てダストパック「FDPAG1414」は、25枚入り。大きさは約14cm四方で、銀イオン加工により、排気臭を抑えてくれます
カバーボタンを押すと、紙パックごとゴミを取り出すことができます。オレンジ色の「パックホルダー」を引き出し、白い紙パックを捨てればメンテナンス終了。本体に汚れがつかないので、サイクロン式掃除機より手軽で清潔です
ゴミは紙パックごとポンと捨てるだけ。汚いゴミに触る必要はなく、見た目もキレイなのはうれしいポイントです
ちなみに、専用紙パックの価格はアイリスオーヤマ公式ネットショップで646円(税込み/2015年3月現在)。25枚入りなので、1枚約26円程度。サイズは約14×14cmと、一般的なキャニスター式掃除機より小さめ。そのため、1ヶ月使い続けるといった利用方法は厳しそう。我が家は抜け毛の多い犬がいるため、だいたい約90u(2階建て4LDK)の床全体を3回ほど掃除したら交換が必要になりました。
本製品が我が家にきて感じたのが、“掃除は意外に面倒ではない!”ということです。考えてみれば、筆者はフローリングワイパーでの掃除はそこまで苦ではありません。窓際に立てかけてあるワイパーを持って、気になる床をサッと掃除するのは面倒ではないのに“掃除機で掃除”と考えたときには何が嫌なのか? そう考えたとき、「物置から掃除機を出す」「コードを伸ばしてコンセントにプラグを挿す」「部屋ごとにコンセントの位置を変更する」「後ろからついてくる本体がジャマで重い」「コードが絡まらないように動く」、……など、ひとつ1つは小さな手間なのですが、それが多数重なることで面倒になっていたのです。でも、IC-SLDC1で掃除をした場合、これらの問題点がほとんどクリアされていることに気が付きます。筆者がIC-SLDC1で唯一面倒に感じたのは“充電するときにプラグを差し込む”動作が必要だった点くらい。なにしろ非常に使いやすく手軽なので、こんな些細な動作さえも面倒に感じてしまうのです(笑)。充電プラグに関しては、今後のバージョンアップで“立てかけるだけで充電開始”できる充電ステーションができることを願っています!
そして、本製品の最大の特徴でもある“超軽量”は、本当に便利でした。約1.3kgという軽さは、長時間掃除をしていてもストレスを感じませんでした。手軽で使いやすい本製品は、今後我が家ではフローリングワイパー並の頻度で使われそうです。