新製品レポート
ハイアール アジア訪問第1弾! 〜一見普通だけれど“価伝”な縦型洗濯機〜

縦型とドラム式の“いいとこ取り”なハイアールの洗濯機「スラッシュ」大調査!

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2015年6月に開催された戦略発表会「Innovation Trip! 2015 feat.AQUA」で、家電ではなく“価値を伝える「価伝」&可能性を伝える「可伝」”を提案していくと宣言したハイアール アジア。会場には、スケルトンな洗濯機や“動く”「R2-D2」型冷蔵庫など、これまで見たことのないような製品が展示されており(開発段階のものも含む)、新たなライフスタイルを彷彿とさせられた。しかし、同会場にあった縦型洗濯機「スラッシュ」は、目を引くデザインではあるものの造形は“普通”だ。どこに「価伝/可伝」の要素があるのかを、説明会で探ってきた。

「スラッシュ AQW-GT800」

「スラッシュ AQW-GT800」の洗濯容量は8kg。オーシャンブルー、パッションレッド、プレミアムゴールドの3色がラインアップされている

「スラッシュ」は洗濯槽が斜めになった縦型洗濯機

先の発表会で斬新な製品を目にしただけに“価伝/可伝=ユニークで奇抜な家電”と思いがちだが、“他社があまり取り組まないような製品や機能を企画・開発することで新しい提案を行う”のがAQUAブランドのコンセプト。これに基づき誕生した縦型洗濯機「スラッシュ」は、洗濯槽を斜めに配置したことがポイントだ。この構造により、使い勝手が向上したとともに、縦型の高い洗浄力を保持しながらドラム式のようにやさしく洗うことが可能となったそう。つまり、双方の“いいとこ取り”をした「価伝/可伝」というわけだ。そんな「スラッシュ」の“斜めになったメリット”を詳しく見ていこう。

洗濯槽を手前側に約10°傾けた構造

洗濯槽を手前側に約10°傾けた構造とした

メリット1 洗濯物が取り出しやすい
縦型の洗濯槽は垂直で深いため、どうしても手前側が見えにくい。洗濯槽を斜めに傾けた「スラッシュ」は、パッと覗き込んだ時に手前側までしっかり視認することが可能。靴下やハンカチなど、小物の取り忘れが防げる。また、本体も手前に向けて低くなる構造となっており、洗濯物の取り出しにおける腕や腰への負担も軽減されるという。

この程度の角度で、洗濯槽全体が見える

この程度の角度で、洗濯槽全体が見える

腰をほどんど曲げなくても、槽全体が見渡せるのは

上の女性の視点から撮影してみると、手前側まできちんと写った。腰をほどんど曲げなくても、槽全体が見渡せるのは間違いないようだ

ここまでの写真でお気づきかもしれないが、通常手前側にあることの多い操作部を「スラッシュ」は右側に配置。手前側を何もないデザインにすることで、そのスペースを有効的に使えるようにしている。その利用方法とは?

電源やコース設定などのボタン類は、すべて右側に配置

電源やコース設定などのボタン類は、すべて右側に。洗濯機の正面に立って手を伸ばした直線に、操作部がまとまっているのは意外と扱いやすい

部分洗いの洗剤を襟や袖に塗布する際などは、手前側のスペースで

部分洗いの洗剤を襟や袖に塗布する際などに、手前側のスペースを活用してほしいという

フタを閉めても電源と一時停止ボタンだけは押せる

フタを閉めると操作部は見えなくなるが、電源と一時停止ボタンだけは押せるようになっている。ボタン上に表示されているのは、運転の残り時間。ちなみに、フタがスケルトンになっているので洗濯中の様子をチェックできる

メリット2 縦型のしっかり洗浄は残したままドラム式のようにやさしく洗える
洗濯は“衣類の汚れを落とす”だけでなく、“衣類の状態をキープする”ことも重要だと考えた結果、たどり着いたのが洗濯槽を傾けること。たとえば卵を混ぜる場合、容器を傾けて混ぜるほうが効率よく攪拌できる。これは、水平な状態よりも斜めにするほうが複雑な対流が発生するからだ。この原理を利用するために“斜めドラム”とともに欠かせないのが、水流を生み出すパルセーター。傾いた洗濯槽にマッチするように、パルセーターは独自形状となっている。この2つの相乗効果により、従来と比べて洗いムラが低減。さらに、モーターへの負担が抑えられたことで消費電力量は従来の約3/4になったという。

羽根や間隔の広さが異なるパルセーターを採用

羽根や間隔の広さが異なるパルセーターを採用。洗濯槽が傾いているため、手前側に洗濯物が偏りやすいが、それを間隔の広い部分と中央にある突起が持ち上げる

斜めになった洗濯槽のメリット

洗濯槽が斜めになったことにより、水平方向だけでなく縦の水流も生み出すことが可能に。衣類がしっかり入れ替わるので、ムラなく洗えるのだそう。また効率よく洗えるため、必要以上に負荷をかけずに済むことで布の傷みも低減する

下の動画で、水流の動きをチェックしてみよう。縦型では洗濯槽の回転にあわせて水平方向に衣類が動くものだが、立体的な水流が発生する「スラッシュ」では洗濯物が上下に入れ替わっている。

「スプラッシュ」独自の洗浄方式には、“強力でやさしい洗い”のほかにもメリットもあるので紹介しておく。

Y字バランス構造

一般的な縦型の場合、洗濯槽の下側を“吊り棒”と呼ばれるパーツで吊っている。いっぽう「スラッシュ」は手前側に洗濯槽を傾けるために、洗濯槽の奥側を中央部分から引っぱり上げるような構造とした。洗濯槽の下側と中央部分を支えるカタチとなることで、洗濯中に洗濯槽の上のほうで衣類が偏っても振動(洗濯槽の揺れ)が少なくて済むという

布の絡みが少ない

立体的な水流で洗濯物が上下にもきちんと入れ替わるので、洗濯後の衣類絡みが軽減される。無理やり引っぱることが減れば、布の伸びや傷みも防げそうだ

誰もが満足できるように“こだわり”の洗い/脱水を用意

洗濯槽の角度とパルセーターを見直し、新しい洗浄方式を採用した「スラッシュ」には衣類や用途に応じて仕上がり具合を選べる機能が搭載されている。おしゃれ着用に「手洗いコース」や「ドライコース」、ガンコな汚れのために「念入りコース」というように多様なコースがあるのは当たり前じゃない? と思われるかもしれないが、それらとはひと味違うこだわりとなっている。

こだわり1 選べる「標準コース」
一般的に「標準コース」といえば、1つ。洗濯機が持つ能力をバランスよく発揮できるプログラムが組まれており、普通に洗うならば「標準コース」で問題ない。しかし、大半の時間を室内で過ごす人と外で遊びまわる子どもというように、汗のかき方や汚れ具合があきらかに違う場合でも「標準コース」1つで対応するのは非効率という発想から、3つの「標準コース」を用意した。

洗濯コース

使用水量を抑える「標準(節水)コース」と布の傷みをさらに低減する「標準(やさしく)コース」がポイント。「標準(おまかせ)コース」は、一般的な「標準コース」と同様のものとなる

「標準(やさしく)コース」とは
「標準コース」とひとくくりにしているが、その洗濯/脱水性能は日本電機工業会の規定に基づいて制定されている。近年は高い洗浄力を求められるため、「標準コース」の範囲内でもハイパワー寄りの基準値で設定されていることが多いという。そこで、「標準コース」の基準値をクリアしながらも、弱めに洗う「標準(やさしく)コース」を開発。タグに「弱洗い」や「ネット使用」と記されている衣類にうってつけのコースだ。

衣類の洗濯方法の指示

ポリエステル65%、レーヨン35%の衣類には「弱洗い」と「ネット使用」が推奨されている(写真左)。写真右の綿100%のポロシャツでも、「弱洗い」の指定あり。このように、意外と「弱洗い」や「ネット使用」な衣類は多い

「標準(やさしく)コース」の水流を下の動画で見てほしい。前述の動画の動きと比べると、あきらかに攪拌が弱いのがわかる。これできちんとキレイになるのか不安になるが、「標準コース」の規定内なので汗などの汚れもしっかり落ちるという。

やさしく洗いたい時に利用する「ドライコース」は、ほとんどパルセーターは動かさず、洗剤の力で洗浄するというものとなる(下動画参照)。しっかり汚れは落としたいけれど、弱洗いしたいなら「標準(やさしく)コース」がベストだ。

「標準(節水)コース」とは
名称どおり、使用水量を抑えながら洗濯するコース。洗濯工程でのパルセーターの動きは「標準(おまかせ)コース」と同じだが、すすぎ工程が異なる。「標準(節水)コース」は、縦型の一般的なすすぎ方である“溜めすすぎ”ではなく、シャワーを降りかける手法を採用することで節水性を高めた。

一般的な縦型洗濯機 スラッシュ

洗剤ケースのある所から水が洗濯槽に放出されるのだが、「スラッシュ」はその部分に穴を開けることでシャワーのように水が出るようにしている。「標準(節水)コース」は、このシャワー水ですすぐというわけだ

こだわり2 選べる「脱水」
洗濯コースだけでなく、脱水も絞り具合(洗濯槽の回転数)を変えることで選べるようにした。標準時の回転数は800回転/分だが、「やわらか」では400回転/分となり、「しっかり」にすると850回転/分で脱水される。

脱水仕上がり

シワや布の傷みを低減したい衣類には「やわらか」、厚手の衣類には「しっかり」というように使い分けられる

こだわり3 糸くずが残らないように洗い上げる
「こだわり1」「こだわり2」のように自分で選べる機能ではないが、“キレイに洗う”ためには欠かせない構造を紹介しておきたい。洗濯機には、洗濯時に出るゴミをキャッチする糸くずフィルターが搭載されている。近年は洗濯槽の側面に沿うように配置された固定式が多いが、「スラッシュ」は水の流れにあわせて左右に可動する仕様を採用。たとえ、うっかりポケットにティッシュを入れたまま洗ってしまっても、しっかり糸くずフィルターで捕獲するから衣類への付着が低減されるという。

糸くずフィルター

ゴミを誘導できるように糸くずフィルターの両サイドに溝を設けているほか、写真右のように、糸くずフィルターを外した所にも流入口を設置。循環する水のゴミも、これでしっかり捕集する

捕獲の違い

Tシャツとティッシュを一緒に洗い、その捕獲を検証してみた。左が固定式の糸くずフィルター搭載機で、右が「スラッシュ」で洗った結果。糸くずフィルターの違いだけで、ここまでティッシュの付着量に差が出るとは!

中村 真由美(編集部)

中村 真由美(編集部)

モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいマス。

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