今や“欲しい家電”の1つとなった「ロボット掃除機」。登場当初は「本当にキレイになるのが不安」「価格が高い」などの問題から購入に至らない人も多かったが、最近ではその”掃除力”が認められ、市民権を得つつある。ルンバが切り拓いたロボット掃除機市場は、年々参入企業が増え大競争時代に。切磋琢磨による掃除能力の向上には目を見張るものがある。
ラインアップも増え、ユーザーがそれぞれのニーズに応じて選べるようになったのも魅力だ。今回は、そんなロボット掃除機の最新トレンドと選び方を紹介。あなたにピッタリの一台を見つけてほしい。
ロボット掃除機は各メーカーのバックグランドや考え方から、それぞれ個性がある。過去、機動力で勝負する体育会系、センサーと緻密な計算で効率を重視する知能派、日本の住宅事情やユーザーの好みを反映した地元密着系……など、各社各様の時期があったが、最近では各社とも、ライバルよい所を見習って進化しているといってよいだろう。いずれも、「掃除能力」と「スマートさ」が進化の特徴となっている。
では2015年冬の最新トレンドは? ズバリ、「ナビゲーション」と「WiFi+アプリ連携」による”スマート化”。最先端の最上位モデルは、カメラを搭載することで部屋の間取りや自身の位置を把握し、部屋の中を無駄なく効率的に走行。つまり、ナビゲーション機能によって、より短時間でムラ無く隅々までキレイにできるようになった。また、複数の部屋の存在を認識し、ある部屋の掃除が終わったら次の部屋へ移動するといった賢さも実用レベルになっている。
もう1つの進化が、Wi-Fi対応。アプリをインストールしたスマホでの操作はもちろん、モデルによってはスケジュール運転をきめ細やかに設定できたり、掃除の履歴を確認することも可能。単にスマホがリモコン代わりになるだけでなく、スマホやネットワークの活用で、新しい機能性と利便性を追求したかっこうだ。
もちろんこれらは全ての製品に当てはまるわけではなく、シンプル機能で基本性能に磨きを掛けた実力派の製品も見逃せない。以下、そのほかのトレンドとなるキーワードも含め“自分にピッタリ”の1台を選ぶ際の目安をまとめてみたので、チェックしてみてほしい。
カメラ搭載(ナビゲーション機能)
カメラ搭載モデルは、部屋の内部をイメージとして捉えて分析することで、高精度に間取りや自身の位置を把握し、部屋の中を賢く走行。結果、短時間でムラ無く隅々までキレイにすることができる。価格は少々高くなるが、効率を重視するユーザーは注目すべき機能だ。
ミーレ「Scout RX1」(写真左)とダイソン「360 Eye」の上部に搭載されいるカメラ
WiFi+スマートフォン
スマホアプリでの操作が可能なモデルが増えている。運転開始や停止といったリモコン的な使い方に加え、スマホの高精細画面を利用することで、細かなスケジュール設定も簡単かつ確実に行えるように。また、掃除の履歴として、運転時間や面積などを確認できるものや、インターネット経由で運転の指示ができるモデルも。留守中に掃除を任せるなら、「WiFi+アプリ」対応モデルが便利だろう。
ダイソン「360 Eye」では、開始・停止指示だけでなく予約や掃除のした軌跡をスマホで確認できる
衝突回避(センサーの種類と特徴)
ロボット掃除機で気になるのが、家財との衝突。大切な家財は片付けておくのが原則だが、この部分は各社で違いがある。注目すべきは、搭載しているセンサーの種類。「赤外線センサー」を利用した製品は進行方向に壁を検知すると減速し、バンパーが壁に触れると行き止まりと判断して方向を転換する。人工知能を搭載した製品ならばコスト面でも優れた合理的な方式といえるだろう。日本メーカーが積極的に採用しているのは「超音波センサー」。「超音波センサー」はガラスのような透明の物体も検知可能。また、壁面や障害物までの距離を精密に把握でき、接触を最小に抑えるのも得意だ。衝突が少ないと壁面や家具へのダメージを低減できるほか、衝突音が減ることで静音性の面でも有利だといえる。
進入禁止機能
進入して欲しくない部屋や場所もあるはず。そうしたケースに役立つのが進入禁止機能だ。これにはおもに、ルンバのように赤外線を利用して“見えない壁”を作るタイプと、磁気ストリップ(テープ)を床に設置するタイプがある。進入禁止機能が必要か否かは、間取りや環境によるが、特に近年流行の間仕切りの少ないワンルームタイプのご家庭では、重宝する機能なのでチェックするとよいだろう。
Neato Robotics「Botvac」シリーズでは磁気テープで進入禁止エリアを作れる
大きさ
最大幅や高さに注目。幅は、おおむね35cm程度ですが、シャープのココロボは31cmとコンパクトなタイプもラインアッ プ。椅子の脚の間など、狭い隙間も軽快に走り抜けることができる。高さは、なるべく低いほうがソファーやベッドの下に潜り込めて有利。ロボット掃除機に初参入し話題のダイソンは、幅が24cmと非常に小さいのが特長です。背が高く見えるが、実はこれは幅が狭いため。実際の高さは12cmと、他社製品の“おおむね9cm”とお大幅に大きいわけではないのだ(とはいえ、その差が重要になる場合も)。
左から、iRobot「ルンバ980」、ダイソン「360 Eye」、パナソニック「RULO(ルーロ)」
バッテリー
ロボット掃除機がキャニスタータイプと大きく異なるのは、バッテリーが必須である点。バッテリーは消耗品で、製品により500〜1500回程度の充電で寿命に達し、目安としては3〜5年程度で交換が必要となる。使用条件にもよるので単純に比較できないが、 交換バッテリーの寿命や価格も把握しておきたい。なお、最新のカメラ+ナビゲーション搭載タイプは、効率よく走行し清掃時間も短い傾向にあるので、バッテリーの負担は少ないと言えるだろう。
大手メーカーの最新上位モデルを中心に、チェックポイントを比較検討できるようピックアップ。せひ、製品選びに役立ててほしい。
ロボット掃除機の元祖「ルンバ」の最新最上位モデル。定評のある掃除力がさらに進化。新たにカメラを搭載し、センサーとの相乗効果で高精度ナビゲーションを実現。従来とは違う直線的な動きが採り入れられた。また、進入して欲しくないエリアを設定できるバーチャルウォール機能もさらに充実。従来通り間仕切りのような働きのほか、「ヘイロー」モードを利用すると、直径約1.2mの立ち入り禁止エリアを設けることが可能に。例えばペットの餌皿や水皿も、手軽にルンバが接触しないようにできる。
また、ルンバとしては初めて「WiFi+アプリ」に対応したのもトピック。アプリでは曜日毎の清掃開始時間を分かり易く手軽に設定できたり、清掃時間、清掃面積、ゴミの検出回数といった履歴の確認、メンテナンスタイミングを知るための情報、さらに、消耗品の注文も可能。新型モーター採用による吸引力のアップやカーペットを検知してのブースト機能など、掃除能力の向上も見逃せない。
ロボットメーカーが考える合理的かつ効果的な掃除力がさらに進化し、進入禁止エリアも手軽に設定できるなど、ユーザーの細かなニーズを満たすなど完成度の高さが魅力。広いお宅の留守中の掃除も安心して任せられるはずだ。
本体サイズ(最大幅×高さ):353×92mm、重量:3.9kg、走行補助:カメラ、Wi-Fi+アプリ連携:○、掃除時間:最長約120分、走行パターン:縦・横(カメラ検知)、床ゴミセンサー:○(ローラー)、壁検知/回避:赤外線+バンパー、侵入禁止:バーチャルウォール+ヘイロー、別売バッテリー価格(税抜):12,000円
ダイソン初のロボット掃除機。掃除機界に革命をもたらしたサイクロン技術をベースに、その名の通り360°を見渡すカメラを搭載し、無駄なく高精度な走行を実現。卓越した吸引力と高度な走行性能の相乗効果により、短時間でキレイに掃除してくれる。アプリを利用すると、走行の軌跡と清掃した場所が視覚的に確認でき、留守中の掃除成果もハッキリ確認できるのが楽しい。
洗練されたメカニズムとデザインに魅力を感じる方も多いだろう。優れた吸引力は、特に、カーペットが多い家庭で威力を発揮。もちろん、フローリングや畳も得意だ。
本体サイズ(最大幅×高さ):240×120mm、重量:2.4kg、走行補助:○、Wi-Fi+アプリ連携:○、掃除時間:最長約45分、走行パターン:縦・横(カメラ検知)、床ゴミセンサー:×、壁検知/回避:赤外線、侵入禁止:×、別売バッテリー価格(税抜):9,000円
スマートフォンで走行軌跡や掃除時間のチェックが可能
COCOROBO(ココロボ)の特徴は、「ココロエンジン」を搭載したおしゃべり機能。音声で操作できるだけでなく、コミュニケーションの楽しさを加え、ロボット掃除機が家族の一員に。関西弁にも切り替えられる遊び心もシャープならではだ。もちろん掃除能力や機能も充実。吸塵能力はもちろん、超音波センサーやジャイロセンサーを駆使し、無駄なく走行。部屋をくまなく、賢く、効率よく掃除することができる。
最大幅31cmのコンパクト設計で、狭い隙間の掃除も得意。椅子の脚を検知すると、脚に沿ってくるっと回る「くるりん走行」や、風を吹き付けて隅のゴミを吹き飛ばす「エアーすみブラシ」もユニーク。「夜間充電」機能は、電気の需要が少ない夜間に充電し、ピークシフトに 協力できる好機能。もちろん、夜間電力料金プランを利用していれば、僅かながら電気代もお得に。そのほか、ココロボにはシンプル機能で低価格が魅力の「RX-A50」から、クラウド対応で遠隔操作、家電のコントロール、内蔵カメラによる室内の確認もできる高機能モデル「RX-V200」まで豊富なラインナップを展開。ユニーク機能で選ぶならココロボにご注目を!
本体サイズ(最大幅×高さ):310×90mm、重量:2.3kg、走行補助:×、Wi-Fi+アプリ連携:×、掃除時間:最長約100分(40畳)、走行パターン:縦・横、床ゴミセンサー:○、壁検知/回避:超音波、侵入禁止:×、別売バッテリー価格(税抜):9,800円
ゴミ捨てまで自動化した究極のロボット掃除機。充電ベースにダストボックスを備え、本体が収集したゴミを回収してくれるので、ゴミ捨ては1ヶ月に一度程度で済むのが最大の特徴(使用環境により、ゴミ捨ての頻度は異なる)。ゴミ捨ての手間が減らせるほか、掃除を終える毎に本体のダストカップが空になることで、吸引力の低下を防ぎ、安定した掃除能力を持続できるのもポイント。
超音波センサーと赤外線センサーを備え、賢く多彩な走行パターンも最新鋭。壁際、家具の足回り、ゴミを検出しての念入り掃除、部屋を右回りと左回りを組み合わせ、同じ場所を平均4回、あらゆる角度から掃除。モーターの回転音を抑え、静音重視で運転する「マナーモード」は、夜間の掃除にも重宝しそうだ。
本体サイズ(最大幅×高さ):350×87mm、重量:3.4kg、走行補助:×、Wi-Fi+アプリ連携:×、掃除時間:最長約70分、走行パターン:ランダム、床ゴミセンサー:○、壁検知/回避:超音波+赤外線、侵入禁止:○(別売)、別売バッテリー価格(税抜):修理扱い 13,000〜15,000円程度
アメリカでは、ルンバに次ぐシェアを誇るNeato Robotics(ネイトロボティックス)のロボット掃除機。天面に突起部からレーザー光線をぐるりと360°照射し、部屋の形状や障害物、自身の位置を精密に把握。縦と横を基本に重複することなく、また漏れなく走行することで、スピーディーかつ広範囲の掃除が得意だという。部屋を自動認識し順番に掃除する賢さを持ち、家中を効率よく走行。充電が切れると一旦ベースに戻って充電を行い、続きから掃除する機能により、最大約126畳の大面積も任せることが可能だ。
最新モデルのD8500は、従来モデルに対してブラシ周りをブラッシュアップ。毛足の長い絨毯への対応や、メンテナンス性の向上が図られている。
本体サイズ(最大幅×高さ):335×100mm、重量:4.1kg、走行補助:レーザー、Wi-Fi+アプリ連携:×、掃除時間:最長約90分、走行パターン:縦・横(レーザー検知)、床ゴミセンサー:×、壁検知/回避:レーザー+バンパー、侵入禁止:○磁気ストリップ、別売バッテリー価格(税込):5,980円
部屋の隅や壁際に強いおにぎり型が画期的。ハウスダストも検知できるゴミセンサーを搭載し、ゴミの量に合わせて吸引力、走行速度、走行動作をきめ細かく調整する繊細さが魅力。赤外線センサーに加え、超音波センサーも搭載し、ガラスも検知。接触を最小限に抑えつつ、壁際までしっかり掃除する。
走行パターンが多彩なのもルーロならでは。壁際を重点的に掃除する「ラウンド走行」、部屋の内部を効率良く掃除する 「ランダム走行」、手動で目的の場所付近を掃除する「スポットモード」、時間を掛けて掃除する「念入りモード」から選択可能。さらに、指定した場所から掃除を始める「エアメモリー」機能など、ユーザーの細かなニーズに応えてくれる。ハウスダストが気になる、また、清潔好きで几帳面なユーザーと相性がよさそうな製品だ。
本体サイズ(最大幅×高さ):330×92mm、重量:3.0kg、走行補助:×、Wi-Fi+アプリ連携:×、掃除時間:約60分、走行パターン:ランダム+壁際、床ゴミセンサー:○、壁検知/回避:超音波+赤外線、侵入禁止:×、別売バッテリー価格(税抜):13,000円
特徴は「スマートナビゲーションシステム」と呼ぶ、独自の高度な走行システム。天面のカメラで天井を捉え、部屋の形状を推定して走行ルートを決定。ジャイロセンサーで正確に壁と平行を保ち、縦と横に規則正しく走行することで、ムラなくスピーディーな掃除が得意だという。掃除モードは、「Auto」、1.8m四方を掃除する「Spot」、時間短縮の「Turbo」、部屋の隅や壁際を掃除する「Corner」の4から選べるようになっている。進入防止は、同梱の磁気ストリップで境界線を作る方式で、手軽かつ正確にエリアを設定できるのもポイント。
本体サイズ(最大幅×高さ):350×78mm、重量:2.9kg、走行補助:カメラ、Wi-Fi+アプリ連携:×、掃除時間:最長約120分(45畳)、走行パターン:縦・横(カメラ検知)、床ゴミセンサー:×、壁検知/回避:赤外線+バンパー、侵入禁止:○磁気ストリップ、別売バッテリー価格(税込):修理扱い 16,300円
ほかのモデルとはちょっと毛色が異なるがロボット掃除機の1つとして紹介しておきたいのが、この「ブラーバ」。ゴミの吸引機能を持たず、フローリングの拭き掃除に特化したユニークな製品だ。水拭きと乾拭きの両方が可能で、市販のウエットシートも使用可能。コンパクトながら高度な頭脳を持ち、直線的に効率良く拭き上げたり、清掃完了後はスタート位置に戻るスマートさは、まるで自動運転車のよう。静音性に優れ、昼寝中やテレビ視聴中もジャマにならない。フローリングの面積が多い家庭なら、ブラーバはかなり重宝しそう。
本体サイズ(最大幅×高さ):244×46mm、重量:1.8s、走行補助:○、Wi-Fi+アプリ連携:×、掃除時間:最長約240分、走行パターン:縦・横、壁検知/回避:バンパー、侵入禁止:×、別売バッテリー価格(税抜):8,200円
実際に最新モデルを自宅で使ってみたが、特にルンバ980とダイソン360eyeは、カメラを搭載したというスペック的な向上のみならず、的確な走行が印象的。スピーディーで集塵能力も高く、ロボット掃除機も新世紀を迎えた感がある。また、アプリが利用できることで、煩雑になりがちだった週間スケジュール設定も驚く程簡単かつ確実に。使い勝手も大幅に向上しており、本当の意味で“任せてOK”な域に達してきたと思う。
ロボット掃除機を初めて導入するなら、シンプルでお手頃価格のモデルがよいだろう。買い替えなら最新&最上位モデルで、ロボット掃除機の最前線を体感するのもよし。まだまだ進化を続けるロボット掃除機。今後も目が離せない!