冬は朝起きるのが特に辛い。眠い・寒いはもちろんだが、ノドと鼻の穴はカラカラ、肌やくちびるもパサパサで気分が最悪なのだ。だが、寝ている間中部屋を加湿するとなると、今度は窓や壁の結露が心配。そんな悩みを解決してくれるのが、睡眠時に約45℃のスチームで最大8時間顔まわりのみを保湿してくれるオムロン「パーソナル保湿機 HSH-101」(以下、パーソナル保湿機)だ。3週間ほど使用してみた感想をお伝えしよう。
パーソナル保湿機は、スチームの上から常温風を出すことでスチームの上昇を抑える機構が特徴。スチームが上方向に噴出する加湿器と違い、水平方向に約50〜75cm先までスチームが届けられるので横になった人の顔まわりだけを保湿可能だ。そのため部屋の結露や過加湿の心配をせずに、寝ている間中ノドや鼻、肌や髪の乾燥ケアができる。
サイズは約150(幅)×277(高さ)×328(奥行)mm。小さくはないがベッドサイドに設置することを考慮し、幅が狭いデザインになっている。加湿方式はスチーム式で、スチーム発生量は最大210ml/h
使用時は天面の送風ダクトを手前に引き出す。上の送風口から常温風が、格子状の蒸気吹出口からスチームが出る。蒸気吹き出し口の温度は約45℃で、寝ている間に手や顔が近づいてもやけどの心配はない
背中側のカバーを外すとタンクが現れる。容量は約1L。コンパクトで給水が手軽だ
運転モードは低温スチームと常温風を同時に放出する「保湿モード」と、常温風のみを放出する「そよ風」モードがある。タイマーは4〜8時間で設定可能で、「保湿モード」の場合は70秒の運転と70〜90秒の停止を交互に行う「間欠運転」(運転開始後30分と運転終了前60分は連続運転)となる。タイマーを使用しない場合は、タンクの水がなくなるまで(満水から最長4時間)運転が続く。
電源を入れると自動的に8時間タイマーの「間欠運転」がスタート。タイマーボタンの上に大まかな残り時間が表示される。なお、残り時間表示ランプは消灯可能
パーソナル保湿機を使用するにあたり、重要なのが設置場所だ。枕元にスチームを届けるためには蒸気吹出口を枕と同じ高さかつ、50~75cm離れた所にセットする必要がある。今回はスツールを使用したため枕元からの距離を自在に調整できた。また、スツールとベッドの高さがほぼ同じだったので高さの調整も不要だったが、設置場所に制限がある家庭ではこの条件は懸念ポイントとなるかもしれない。
ベッドにサイドテーブルが接触している場合や、高さが低かったり高かったりする場合は「ベッドの端のほうに寝る」「高さを加える台を敷く」などの工夫が必要
微妙な高さの違いは吹出口の角度で調整できる。可動角度は30°程度
さっそく寝ている間にスチームを浴びようと寝る体勢になってから運転を開始したところ、運転開始後3分ほどは常温風のみが出て、顔に当てるとちょっと寒かった。就寝時に使用する場合は、布団に入る3分ほど前に電源を入れておくといいだろう。
スチームはほとんど目に見えないが、顔に届くと温かくしっとりとした空気の膜が顔を覆うような感覚で気持ちがよい。熱い飲み物が入った湯のみを「フーフー」とした時の感覚に似ている。運転音は27dB(ささやき声は30dB)と小さく、筆者はほとんど気にならなかった。睡眠時間が8時間未満の場合、起床時もスチームが顔まわりを保湿してくれているので目覚めがよい。冬の間は筆者の悩みの種となるくちびるの皮剥けも、最近は軽減されているようだ。
エアコンやファンヒーターの風によってスチームが顔まわりからそれてしまうこともある。暖房器具と併用する際は、両者の風向きを考慮しておこう
ちなみ室温約19℃、湿度40%前後の部屋でパーソナル保湿機を使用した際の枕元の湿度を確認してみると、湿度計は67%で「間欠運転」による運転停止時も50%程度までしか下がらなかった。快適な湿度を安定して保つことができているようだ。ちなみに部屋全体の湿度にはほぼ影響は見られず、窓際で使用しても結露は起きなかった。
就寝時は抜かりなくパーソナル保湿機を使用していたが、それ以外はついうっかり乾燥した室内で長時間過ごしてしまいそうになることも多かった。そんな時に助かったのが、本体内の温度・湿度センサーが部屋の環境を検知して保湿が必要なタイミングを教えてくれる「保湿ナビ」だ。「保湿ナビランプ」が点灯していると湿度計を見なくても空気が乾燥していることに気付けるため、「スチーム浴びなくては!」と、本を読んだりテレビを見ている時などにもを忘れずに使用できた。
電源がOFFの状態でもコンセントを差していれば、湿度が40%前後まで下がるとサボテン形の「保湿ナビランプ」が点灯する
スチームの噴出方向を顔方向にセットすれば、スチームを浴びながら読書をしても本が湿ってシワシワになることはなかった
パーソナル保湿機の基本の手入れ方は、本体から水と水垢やカルキを捨て、内部の「フード」「蒸気ガイド筒」「クリーニングフィルター」を外して水洗いするというもの。この作業を週1回のペースで行えば問題ない。週1度であれば面倒くさがりの人でも許容範囲だろう。
「フード」「蒸気ガイド筒」「クリーニングフィルター」は外し水洗いをし、よく水気を切っておく
本体は内部の水を捨て、蒸発皿の水垢やカルキを歯ブラシなどで落とす
3週間ほどパーソナル保湿機を毎晩使用しているおかげか、毎冬ノドから来る体調不良に悩まされていた筆者も、今年はその気配がない。起き抜けに肌がパリパリになったりノドが痛むこともほとんどなくなった。美容に気を使う人はもちろん、風邪予防にもうってつけだ。
スチームは平行もしくは下向きにしか出ないため設置には調整が必要な場合も多いが、適切な位置にセットさえできれば加湿器よりも保湿効果は実感しやすい。また、一般的な加湿器と違って、部屋の広さを気にせずに使用できるのもいいところ。やけどの心配がほとんどないので、子どものそばでも使用しやすいはずだ。“1人に1台”欲しいところではあるが、サイズが通常の加湿器ほどあり、価格が2万円を越えることを考えるとちょっと難しいかも。サイズ、価格ともにもう少しお手頃になってくれるとなおうれしい。
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