レビュー

左右非対称フレームから生み出される素直な乗り味! ゆったりと走りたくなる、ピナレロ「RAZHA」


1953年、元プロロードレーサーのジョヴァンニ・ピナレロが小さな工房からスタートし、今や世界最強のロードレースチームといわれるチームスカイと、そのエース、クリストファー・フルームとともにツール・ド・フランス3連覇(2018年6月現在)を成し遂げ、イタリアを代表するロードバイクのブランドにまで上り詰めた「Pinarello(ピナレロ)」。一般的に「イタリア製=おしゃれ」というイメージを持たれることが多いが、ピナレロの自転車もその例にもれず、“官能的”と言われるほど美しい。今回紹介する「RAZHA(ラザ)」はレースの世界で名を馳せたブランドでありながら、官能的なデザインも備えたミドルグレードのロードバイク。その特徴と乗り心地を紹介しよう。

ピナレロの代名詞といえる曲線デザインを採用したフロントフォークとリアステイ

「RAZHA(ラザ)」はミドルグレードのバイクだが、フレームにはカーボン素材を採用し、トップモデルの「DOGMA 65.1」のデザインを受け継いでいる。ピナレロの自転車は見た目のかっこよさだけでなく、「デザインが機能性も包括しているところ」が大きな魅力なのだが、その特徴をもっとも現しているのが「ONDA(オンダ)」と名付けられたフロントフォークとリアステイだ。この部分は、一般的な自転車の場合、わずかに弓なりになっているが、ONDAはウネウネと曲がっている。これは、衝撃を緩和するとともに、下りでしっかりと体重を支え、安定感を増すための工夫だ。また、メインコンポーネントにレースでも使用できる「シマノ 105」を搭載。リアは11速で、トップレーサーが使用する「シマノ デュラエース」と同様の段数、互換性を持っており、購入後にブレーキをグレードアップしたり、ホイールを交換したりすることもスムーズに行える。

カーボンフレームを採用した「RAZHA」は44SL、46SL、50、51、53、54、55、56cm(一部モデルに42cm)のサイズが用意されている。メーカー希望小売価格は243,000円(税別)
※写真のカラーは2019モデルにはラインアップされていません

曲線デザインを採用したONDAフォーク。スピードを出した下りのコーナーでも安心感のある走りをもたらしてくれる

リアのシートステイもウネウネとしたデザインを採用(ONDAリアステイ)。荒れた路面からの振動を緩和し、快適性を向上させる

リアディレイラー、フロントディレイラー、フロント・リアブレーキには、レースにも対応するシマノのコンポーネント「105」を採用している。変速のギア段数はリア11速

ブレーキやシフトケーブルはフレーム内に通し、スッキリとした見た目に。泥汚れが付着しにくいのもメリットだ。なお、電動シフトのシマノ Di2にもアップグレードしやすい

リム幅をワイド化したシマノ WH-RS100を標準装備。太めの25Cのタイヤが使用しやすくなったことで、さらに乗り心地がアップ

乗り心地をチェック!

さっそく、RAZHAで街中を走ってみよう。まず、平坦な道を走り出して感じたのは加速のなめらかさ。ペダルを踏んだ際にドンッと加速するのではなく、スーッと伸びていく感じで、スムーズにスピードが乗る。とにかくスピードを出して走りたい人には不向きかもしれないが、ゆったり走りたい、ロングライドを疲れずに走りたいという人には最適な味付けだろう。


上り坂でも、この走り心地は同様で、超軽量な自転車のようにグイグイ上っていくようなとがった特徴はあまりないものの、踏み込みにしっかりと応えてくれる印象。そして、下りになると、ONDAフォークとONDAリアステイの恩恵を多大に感じることになる。フロントまわりに重心がかかってくると、剛性が低いフォークの場合、ふわふわした感覚が身体に伝わり、体重を預けるのが怖いと思うこともあるのだが、ONDAフォークの安定感はバツグンで、まったく不安を感じることがなかった。それなりのスピードで下っても、ハンドリングにも安定感がある。下りが怖いと感じる初心者ライダーには、うってつけだ。


実は、ONDAはアシンメトリ(非対称)のデザインとなっている。左右のペダルに加えられる踏み込み力はほぼ同じだが、ホイールを回転させるチェーンは右側のみにあり、フレームにかかる力は左右非対称となるため、右側のフォークやダウンチューブ(下方向に伸びるフレーム部分)、シートステイ、チェーンステイなどは右側に特に剛性をもたせてバランスをとっているのだ。どのような道でもバランスにすぐれていると感じたのは、このおかげなのかもしれない。

フロント、リアなどはわずかながら左右非対称のデザインとなっており、チェーンがついている右側の剛性を高めている

まとめ

RAZHAの走りの特徴をひと言でまとめるなら、「バランスが取れている」となる。上りでも下りでも平坦な道でも、スムーズに走ることができる“穴のない”バイクだ。その分、硬すぎる、加速がすごいというようなとがったところはないのだが、それゆえに快適。気取らずに、いつでも乗っていたいと思わせてくれる。

ロードバイクが欲しいと思ったら、最初に、どのように自転車を使いたいのかを決め、それに合ったものを選ぶと失敗が少なくて済む。とはいえ、1度も乗ったことがない人には、どのように乗りたいかなど想像できないのが正直なところだろう。そんな人は、まずRAZHAのようなオールラウンドに使えるバイクに乗ってみて、ゆっくりと自分のスタイルを見つけるのもいいかもしれない。

今 雄飛

今 雄飛

ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。

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