室内ライドを楽しくするギアをリリースするブランド「Wahoo(ワフー)」のオフィスを訪問!
“鉄人レース”とも呼ばれるトライアスロンは、過酷なスポーツというイメージが強い。そんな競技に今、ひとりの男がチャレンジしようとしている。「価格.comマガジン」編集者、牧野(37歳)だ。トライアスロンを趣味にしているライターの私からその魅力について吹き込まれ、ちょっと興味があるそぶりをしていたら、いつの間にかチャレンジすることに……。準備期間は1年間。果たして、超初心者の牧野は完走し、トライアスロンの魅力と感動をお届けできるのか?
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新緑が生い茂り、天候も安定。初夏はアウトドアスポーツに最適な季節……なんですが、今ひとつトレーニングのモチベーションが上がらない牧野。秋のレースデビューを目指すなら、このスポーツに最高の季節から、練習量を増やしていく必要があるのに……。
そこでちょっと目先と気分を変えて練習に取り組むために、トライアスリートやサイクリストに流行中の室内トレーニングを取り入れて、モチベーションを高めることにした。
Wahooジャパンのオフィスには、室内トレーニング用のセットが設置されている
今回、室内トレーニングを行ったのは、Wahoo(ワフー)のオフィス内。Wahooは、アメリカのアトランタに本社を置くIT系のフィットネス企業。新興のIT系企業ということもあり、スポーツシーンとインターネットがリンクするギアを数多くリリースしている。
その代表的なものがスマートトレーナー「KICKR(キッカー)」だ。自転車を室内で使えるようにセットする「ローラー台」は昔から自転車業界にはあるが、これはインターネットに接続できるローラー台と思っていい。
このオフィス、デスクのすぐ脇にこんなモニターとトレーナーが置いてあるところが、いかにもIT企業っぽい。そんなオフィスにジャイアントのマイバイク「PROPEL ADVANCED 2」を持ち込んで、トレーニングさせてもらった。
「KICKR」は音が静かで、オフィスの中でトレーニングしても問題なし
「KICKR」は、「ツール・ド・フランス」を現在4連覇中の最強ロードレースチーム「チームSKY」が使用していることでもよく知られ、このようなスマートトレーナーを使って室内で走るのが、今ドキのサイクリストやトライアスリートには一般的になりつつある。
1番の特徴は、インターネットに接続し、さまざまなWebサービスを使用できること。Webサービスには、ゲーム感覚で世界中のライダーと一緒に走ることができる「ZWIFT(ズイフト)」や、ユーザーが撮影してアップロードしたサイクリングデータを使って、同じコースを走れる「FULGAZ(フルガス)」などがある。これらのサービスとスマートトレーナーを接続することで、画面の中で上り坂が出現すればペダルが重くなり、反対に下り坂になればペダルが軽くなるなど、室内にいながら実走と変わらないサイクリングを体験できるのだ。
今回のトレーニングに使用したのは、「KICKR」と「KICKR CLIMB(キッカー クライム)」。「KICKR」が自転車のリアに接続して、ペダルにかかる負荷を変化させるもので、「KICKR CLIMB」はフロントに装着して、自転車の傾き(上下)を変えるギアだ。
動画内では少し大げさに動かしてみたが、「KICKR CLIMB」はフロントを上下に動かすギア。最大で20%の斜度と下り勾配-10%を再現する。実走データを再現させる時にはこのように激しく動くわけではなく、少しずつ上ったり下ったりするので、自転車が上下しても倒れることはない。
「KICKR CLIMB」は、一般的なロードバイクに簡単に取り付け可能。ホイールを外して固定するだけだ
リアの「KICKR」も同様に取り付けは簡単。慣れれば、前後でセッティングするのに5分もいらないだろう
ペダルをこぐとそのスピードに合わせて、画面内のライダーが走る
もうひとつトレーニングに使用したのが、Webサービス「ZWIFT」。月額1,500円で「KICKR」のようなスマートトレーナーを使い、世界中のライダーと一緒に走ることができる。
画面内には、自分のアバターのほか、速度や心拍数、コースマップ、斜度などが表示され、さらに世界中で「ZWIFT」にログインしているライダーが前後左右を走っている。まるでゲームみたいな感覚だが、周りを走っているライダーは実際にその時間どこかで走っている人なのだと思うと、「追い越してやる!」なんて思わずペダルに力が入る。
さまざまなコースをラインアップ。写真のように溶岩の中を走るコースもあり、ライダーを飽きさせない
今回は画面をながめながら20分走るというトレーニングを行ったが、「心拍数140を10分間キープ」「速度25km/hを5分間キープ」というようにメニューを決めて走ってもいい。歩行者やクルマに気をつける必要もないため、走りにグッと集中できる。しかもわずか20分くらい乗っただけでも、汗がびっしょり。その効果を実感できた。
室内トレーニング専用の「KICKR HEADWIND(キッカー ヘッドウインド)」
外を走るのと違って、風が当たらないため汗だくになるのが室内トレーニングのデメリット。しかし、そんなところにも対応しているのがWahooのスゴいところだ。
「KICKR HEADWIND」は、トレーニングの状況に合わせて風量を調節するハイテク扇風機。心拍センサーと連動させておけば、頑張ってペダルをこいで心拍数が上がった際、その上がり具合に合わせて風量が増えるように設定できる。また、スピードと連動させておけば、スピードが上がるのに合わせて風量を増やすこともできる。
すでに20分のトレーニングで、いい汗をかいてしまったが、次に試してみたのが「FULGAZ(フルガス」というWebサービス
「FULGAZ(フルガス)」は、「ZWIFT」とは異なり、実際に撮影された動画を見ながらレースを追体験できるサービス。世界中のライダーが自分が走って撮影した動画とGPSのデータをサイトにアップしており、アクセスしたユーザーは自由に使用できる
サービス内で検索してみると、「ツール・ド・フランス」のコースもあれば、トライアスロンの世界大会が行われているハワイ島のコースもあった。牧野は、今年の秋に挑戦しようとしている「九十九里トライアスロン」のコースを発見。実際に走ってみた。
エンタメ性の高い「ZWIFT」のコースに比べれば、千葉の海岸の映像なので、いささか地味ではある。しかしリアルさはハンパじゃない! 九十九里名物の焼きはまぐりの香りまで漂ってくるようだった。
しかし、さすがにこの時点で疲労困憊。40km続くコースをすべて走ったわけではないが、普段自転車で走ることができない有料道路(「九十九里トライアスロン」のコースに含まれている)を室内にいながらにして走ることができたので、テストとしては十分だろう。もちろん、今回のようにレースのテストとして使用してもいいし、世界で行われている実際のレースのコースを楽しみながら走ってもいい。「KICKR」と「KICKR CLIMB」があれば、斜度と傾斜が再現されるので、実走と変わらない体験ができるのだ。
「室内トレーニングは効率がいい」という話は聞いたことがあったが、実際走ってみて、そのことを納得できた。流れる景色をながめて、風を感じながら外を走るのは確かに気持ちがいいが、歩行者に気を使わなければいけないし、横をすり抜けて走っていくクルマに恐怖することもある。さらにいいペースで走っていたかと思えば、信号でそれが阻害されることもあり、まともに走り続けるのは難しい。
しかし室内なら、何にもジャマされず、極端にいえば1時間でも2時間でも走り続けることが可能だ。実際、今回走ったのは40分くらいだったが、汗はかくし、脚にもキている。
ただ、1番驚いたのは40分間走ってもまったく飽きなかったこと。冷静に見れば、同じところでペダルをこいでいるだけなのだが、気分的にはいろんなところをサイクリングした気持ちになっている。
初夏の今は天気がいいけれど、これからすぐに梅雨の季節に突入する。さらに梅雨が明ければしゃく熱の夏。気候がよくても悪くても、意外と室内トレーニングのほうが練習しやすいのかもしれない。そんな時に、この「KICKR」などのスマートトレーナーがあれば、まさに最強だろう。
ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。