近頃、一見するとバイクのようにも見える、極太のタイヤを履いたe-Bikeを街中で目にすることが増えてきた。今回は、そんなルックスのBRONX BICYCLE「BRONX BUGGY(ブロンクスバギー)」を紹介しよう。最近、アシスト比率が道路交通法の基準を超える電動アシスト自転車があるとニュースで取り上げられたが、本製品は型式認定を取得した安心して乗れる信頼性の高いe-Bikeだ。
カラーは、今回試乗したSHADE OF PALEのほか、MAROON、MATTE ARMY GREEN、MATTE BLACK、ABYSS CLASSIC、GRANITE CLASSIC、POLISHの計7種類
ABYSS CLASSIC、GRANITE CLASSIC、POLISHの価格は242,000円(税込)で、その他のカラーは231,000円 (税込)
「BRONX BICYCLE」は、ワイドなハンドルと太いタイヤを備えたクルーザータイプの自転車を手掛ける「RAINBOW CRUISERS」のファットバイクブランド。そこに新たに加わったのが、特徴的な形状のフレームに、前後とも20×4インチの極太のタイヤを履いた“太足系”e-Bike「BRONX BUGGY」だ。このタイプのe-Bikeは、その迫力のある見た目から、街中で出会うと忘れられないインパクトがある。ただ、そのなかには、海外仕様のままで日本国内の法規に対応していないモデルも少なくない。その点、「BRONX BUGGY」は日本国内の法規に準拠していることを認める型式認定を取得しているので、正規品であれば道路交通法に抵触しないアシスト比率であると言える。
サイズは1,800(全長)× 740(全幅)mmで、重量は29kg。写真のフロントライトはオプションの「特大LEDフロントライト」(7,480円/税込)なので、標準装備には付かない
タイヤは20×4インチのVee Tire製「Zig-Zag」
フロントのタイヤもリアと同じ。両輪に、泥はねを防ぐ大きめのフェンダーを備えている
アメリカンバイクを思わせるハンドル形状。グリップはエルゴノミック形状の革タイプで、右手側にシフトレバー、左手側にディスプレイを装備している
左手側のブレーキレバーにはベルを内蔵。目立たない位置に装着されているので、デザイン性をそこなわない
購入時は標準サイズのシートを装着しているが、同梱のロングサイズに付け替えられる。今回試乗した車体にはロングサイズのシートが装着されていた
設置面が大きく安定性の高いサイドスタンドも装備。街乗りで重宝する
フレームはアルミ製とすることで軽量化を図り、バイク的なルックスに貢献するかなりゴツい形状のフロントフォークにはスチールを採用。e-Bikeの心臓部と言えるドライブユニット(モーター)は後輪のハブ(軸)部分に一体化したタイプで、スッキリとした見た目に仕上がっているが、バッテリーはフレームにマウントする設計だ。サスペンション機構は付いておらず、変速ギアは一般的な外装タイプで、リアのみの8段。前後に備えた機械式のディスクブレーキで制動力を確保する。
バーファン製のハブモータータイプのドライブユニットを採用
バッテリーは、パナソニック製のセルを使用したリチウムイオン電池。バッテリー容量は300Wで、残量ゼロの状態から満充電まで約4.5時間かかる
8段階変速のMicroshift社製の変速ギアをリアに搭載。裾の汚れを防止するチェーンガードを装着している
ブレーキは前後とも機械式のディスクを装備
最初に自転車に乗るときは通常、安全に、かつ効率よくペダリングするためにシート(サドル)の高さを調整するものだが、「BRONX BUGGY」は高さを変えられない。これは「BRONX BUGGY」に限ったことではなく、バイクっぽい見た目のe-Bikeに多い仕様だ。身長175cmの筆者の場合、「BRONX BUGGY」のシートに座った状態で両足のかかとまでしっかり接地する。ただ、そのいっぽうで、ペダルに足を載せるとひざが深く曲がってしまう。スポーツタイプの自転車では、シートに座った状態でペダルをかかとで踏み、ペダルがいちばん下に来たときに足が伸びきるくらいのシート高が最も効率よくペダリングできると言われているので、筆者の場合、少々力が入れにくい体勢となる。
シートの高さは調整できないので、身長が160cmより低い場合、やや不安に感じるかもしれない。小柄な人は購入する前に、実際にまたがってみたほうがいいだろう
筆者の場合、ひざがかなり曲がった状態でペダリングすることになるが、実際に走行すると電動アシスト機能が搭載されているおかげで、漕ぎづらさや負担はほとんど気にならなかった。また、ロングサイズのシートを装着していれば、着座位置を後ろにずらすことでひざの窮屈さを緩和できる。シート高は変えられないが、着座位置でひざの曲がり具合は調整できそうだ。
ロングサイズのシートの意外な効果を発見。標準サイズも同梱されるが、着座位置を変えられるのでロングサイズのシートを装着しておくほうが便利かもしれない
アシストモードは5段階で切り替えられるが、アシストがかなり強力なので平地ではアシストが最も弱い「1」で難なく走り出せる。少しスピードを出したい場合でも「2」か「3」で十分だ。そして、登り坂にさしかかったタイミングでアシストモードを「4」にチェンジ。かなり急勾配な坂でなければ「4」で登りきれる。筆者の場合、ペダルを踏みやすいポジションではないものの、かなり急勾配の登り坂でも立ち漕ぎをしようと思わないくらいスイスイ登れた。
座った状態のまま、アシストモード「4」で登れた。この坂が登れれば、ほとんどの坂は苦労せずに登れるだろう。坂の途中でいったん停止し、再スタートするという乗り方も試してみたが、アシストモード「5」にておけば簡単に走り出せた
アシストモードやバッテリー残量はディスプレイで確認できる。アシスト可能な走行距離は約30〜55km
長時間走ったときに少し気になったのが、フレーム形状。中央部が2本に分かれていることで幅もあるため、ひざを真っ直ぐにして漕ぐと内ももにフレームが接触する。回避するには、ひざをやや開き気味にしなければならない。この乗り方でもアシストが強力なので負担には感じないが、ヒザを少し開いた状態で漕ぐことに抵抗のある人はいるだろう。
ほんの少しひざを開いて漕げば、フレームが内ももに当たることはないが、普段、ひざを真っ直ぐにして漕いでいるとちょっと気になる
筆者はこれまでかなりの数のe-Bikeに試乗しているが、太足系e-Bikeの場合、すれ違う人からの多くの視線を感じる。以前に比べると都市部ではこのタイプのe-Bikeは見慣れたものになってきたが、「BRONX BUGGY」で走った際にも相変わらず注目された。目立つ乗り物が好きなら、型式認定を取得している「BRONX BUGGY」はベストな選択肢だ。
走行性については、太いタイヤならではのふわふわした浮遊感のようなものが味わえる。一般的に太いタイヤを履いた自転車はタイヤの重さや摩擦抵抗でペダルを漕ぐのに力が必要になるが、e-Bikeならアシスト機能のおかげで楽に走行可能。太いタイヤが転がるのを感じながら、風を切って走るのはかなり気持ちいい。荒れた道や未舗装路も走破できるので、街中の足としてだけでなく、少し足を伸ばして遠出もしたくなるe-Bikeだ。
カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。