ダッチオーブンを使ってみたいけれど「大きくて重い」という理由で使っていないなら、イワタニのアウトドアブランド「FORE WINDS」から発売されている「ミニダッチオーブン」がいいかも! コンパクトで軽量なうえ、カセットコンロ専用なので炭を起こす手間がなく、気軽にダッチオーブン料理を楽しめます。
ダッチオーブンの主なサイズはメーカーによって異なりますが、大人数向きの12インチ(容量7L前後)、3〜5人で使いやすい10インチ(容量4L前後)、1〜2人に適した8インチ(容量2L前後)が一般的。「ミニダッチオーブン」は容量1.45Lなので、8インチよりひとまわり小さいサイズ感です。しかも、アルミ製なので軽量。8インチの鋳鉄製ダッチオーブンに比べると半分以下の重さです。
サイズは約205(幅)×163(奥行)×100(高さ)mm。製品名に「ミニ」とあるので、かわいらしいサイズ感を想像していましたが、思っていたよりも大きめ。しかし、重量は約1.21kgと軽量です
フタも、フライパンのように調理に使用可能
また、鋳鉄製ダッチオーブンの場合、事前に「シーズニング」と呼ばれる油慣らしを済ませておく必要がありますが、「ミニダッチオーブン」はフッ素樹脂加工が施されているので、その作業は不要。「中性洗剤で洗う→火にかけて乾かす→植物性オイルを薄く塗り込む→再び火にかけ、野菜クズを炒めて鉄臭さを除去する→火からおろして冷めるのを待つ」というシーズニング作業をしなくていいのはとても楽です。
また、ダッチオーブンは、焚き火や炭火などで調理するイメージがありますが、「ミニダッチオーブン」はカセットコンロ専用。焚き火台などでの調理には対応しません。同ブランドのシングルバーナーとイワタニ「カセットフー」シリーズ(※)でのみ使用できます。
※一部製品を除く
家庭でよく使うカセットコンロからアウトドア向けのカセットコンロまで、対応製品であれば使用可能。シングルバーナーも、「ジュニアコンパクトバーナー」やFORE WINDS「コンパクトキャンプストーブ」なら使えます
「ミニダッチオーブン」の本体とフタの底面には、調理中の安定性を高めるために溝が設けられています。対応のカセットコンロやシングルバーナーのゴトクに合うように設計されているので、必ず、対応製品を使いましょう
同ブランドの「コンパクトキャンプストーブ」に載せた様子。底面の溝がゴトクにハマるのでズレにくく、安心して調理できます
さっそく、「ミニダッチオーブン」で調理してみましょう。ダッチオーブンはオーブン調理が醍醐味なので、塊肉を使ったローストポークを作ります。今回は、付け合わせの野菜(じゃがいもとにんじん)も一緒に作るので、最初に野菜の調理からスタート!
付け合わせの野菜を蒸し焼きにします。途中で野菜の上に豚肉を載せるので、あまりかさばらないように、じゃがいも2個、にんじん2/3本にしました。大きめにカットしても中まで火が通ります
フタをした「ミニダッチオーブン」をバーナーに載せ、着火。中弱火くらいでゆっくり加熱します
10〜15分くらい加熱したら、反対側にも焼き色が付くように野菜をひっくり返します。フタはかなり熱いので、付属のハンドルを使って取り外しましょう
野菜の加熱が終わったら、「ミニダッチオーブン」を火から下ろします。蒸し焼きした野菜の上に豚肉を載せてローストポークを作りますが、豚肉の表面を焼いてからのほうがいいので、「ミニダッチオーブン」のフタをバーナーにセット。
フタは熱い状態なので、ハンドルを使って移動させましょう。着火し、十分温まったら豚肉を焼いていきます
塩、コショウを振った豚肉に、まんべんなく焼き色を付けます。フタの上で調理していますが、グラつきもなく、安定感バツグン!
豚肉の表面を焼いたらフタをバーナーから下ろし、蒸し焼きにした野菜が入っている「ミニダッチオーブン」本体をバーナーに戻します。そして、野菜の上に焼き色を付けた豚肉とローズマリーをオン! 360gの豚肩ロースを使いましたが、「ミニダッチオーブン」にぴったりの大きさでした
フタをして、中弱火で約15分加熱
ローストポークが完成! 豚肉とローズマリーのいい香りが漂ってきます
カットしてみると、いい感じの仕上がり。火が通りすぎて硬くなった部分はなく、ふわふわでプリプリの食感です。野菜もほくほくで甘い! ダッチオーブンでじっくり蒸し焼きにしたから味わえるおいしさです
当然、オーブン料理だけでなく、スープや煮物料理、炊飯も可能。炊飯中は蒸気が結構出るので、フタが持ち上がって外れるのでは? と心配されるかもしれませんが、アルミ製とはいえ極厚でそれなりに重さがあるので問題なし!
米2合と具材を入れて炊いたら、こんな感じに。ごはんを炊く場合は2合以下がよさそう。炊き上がったごはんは、ムラなく火が通ってふっくらしており、とてもおいしかったです
フタをお皿代わりに使えば、洗い物が減らせますね。取り分ける際にも、本体とゴトクががっちりハマっているので片手で押さえる必要はありませんでした
ダッチオーブンの多くは、フタを使って食材を焼いて料理できます。ローストポークを作る際にも使用したとおり、「ミニダッチオーブン」もこの点は同じ。ただ、小さくて軽いので使い勝手が非常にいい。ミニフライパンを使う感覚で、手軽に調理できます。
ハンバーグを焼いた後、チーズを載せてチーズハンバーグを作ったら、付属のハンドルを使ってテーブルに移動。そのまま食べれば、保温しながら食べられます。テーブルに置いてもじゃまにならないサイズなのがいい!
フタの素材も本体と同じ、アルミ製。熱伝導率が高いので、着火してから温まるまで待つ時間が短く、素早く調理が始められます。さらに、厚さ6mmの極厚仕様なため、蓄熱性が高く、食材をじっくり加熱可能。使い勝手がいいだけでなく、おいしく焼き上げられるので、ついつい使う機会が増えます。
このほか、鉄板のように使うのもあり! 1品作るのではなく、焼きながら食べてもいいでしょう。
ソロキャンプなら、フタとバーナーだけ持って行くのでもいいかも
鋳鉄製のダッチオーブンは長時間水分に触れると錆びてしまうため、調理した料理をひと晩入れっぱなしにしておけません。いっぽう、「ミニダッチオーブン」はフッ素樹脂加工が施されているので、入れっぱなしにしておいても問題なし! キャンプの夕食で残ってしまった料理をダッチオーブンごとクーラーボックスに入れ、翌朝、温め直して食べることも可能です。
汁物は余りがちですが、深さのある鍋にそのまま入れておけるのは便利。コンパクトなので、クーラーボックスに入れやすいのもメリットです
シーズニングが必要な鋳鉄製ダッチオーブンは、洗剤を使って洗うと油分が落ちて錆びやすくなるため、タワシで水洗いが基本。それに対し、「ミニダッチオーブン」は普通の鍋のように洗ってOK。フッ素樹脂加工が施されているので、キッチンペーパーで拭き取るだけでかなりの汚れが落とせます。
ローストポークを作った後のダッチオーブンには肉の脂や野菜の焦げ付きなどが残っていますが、キッチンペーパーで拭くだけできれいに! 何度か試しましたが、焦げ付いてもこびり付くことはありませんでした
洗うときも、軽くて小さいので片手で持ちながら中から外側まで洗いやすかったです
ちなみに、付属のハンドルにはヘラが付いています。シリコーン樹脂製なので、フッ素樹脂加工を傷つけずに焦げやこびり付きをこそぎ落とすことが可能
ダッチオーブンというと、多くの人が、焚き火や炭火で使っているシーンを思い浮かべるでしょう。「ミニダッチオーブン」はカセットコンロやシングルバーナー専用なので、そういう使い方はできません。フタの上に炭を載せ、上下から加熱することもできません。でも、できあがった料理は本格的。オーブン料理も煮込みも焼き料理もおいしく仕上がります。
鋳鉄製ダッチオーブンでは「手入れを怠って錆びてしまった」「重い」「思っていたより手間がかかる」といった話を耳にすることがありますが、「ミニダッチオーブン」は、そうした不満や失敗を心配しなくていいのもいいところ。おいしく作れて、炭や薪を使うよりも準備や片付けに手間取らないので、手軽に気軽にダッチオーブンを楽しみたい人に最適です。普通のクッカーよりもいろいろな料理が作れるので、ソロやペアキャンプなら、クッカーの代わりに「ミニダッチオーブン」を使うのもアリなのでは!?
スクエア型なので、食パンを収納することも可能。6枚切りの食パン4枚がジッパー付き食品保存袋に入れた状態で収まりました。これならパンが潰れる心配がありません
もちろん、食パンもフタを使って焼けます