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あえて画質以外で勝負するサムスン4Kテレビ

ドイツで毎年9月に行われる世界最大級のコンシューマーエレクトロニクスショー「IFA」。これに先駆け、世界中のメディアとジャーナリストが集うプレイベント「IFA Global Press Conference」が、4月20日〜23日にポルトガル・リスボンで開催された。カンファレンスに登場したサムスンやフィリップスがアピールしていた最新製品をご紹介しよう。

“画質以外”の魅力をアピールしていたサムスンの4Kテレビ

“画質以外”の魅力をアピールしていたサムスンの4Kテレビ

フィリップスはスマホとつながる歯ブラシなどヘルスケア製品群をアピール

フィリップスはスマホとつながる歯ブラシなどヘルスケア製品群をアピール

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サムスンの最新4Kテレビはあえて“画質以外”で勝負

サムスンは、「QLED TV」の名称が付けられた量子ドット液晶テレビ「Q8C」や、まるで絵画のように壁にかけられる「THE FRAME」シリーズなど、同社の最新4Kテレビを披露。今回のカンファレンスで印象的だったのは、それぞれ“画質”ではなく、テレビの“設置スタイル”がメインにアピールされていたことだ。同じ韓国のLGが有機ELテレビのラインを強力展開しているのに対して、別の角度から4Kテレビの魅力を高める取り組みと言える。

CES2017でも公開されていたサムスンの「QLED TV」。写真は65型のカーブドモデル「Q8C」。QLEDの“Q”とは、Quantum dot(=量子ドット)の頭文字で、その名の通り、量子ドット技術を採用するタイプの液晶テレビだ。近年の同社の液晶テレビは、この量子ドット技術をメインで採用してきていた。量子ドットを液晶テレビに使用すること自体も、かつてソニーの「ブラビア」で採用されていた時期もあるなど、特に目新しいものではないが、今回サムスンではそのデザイン性と組み合わせて魅力を訴求している

まるで絵画のように壁にかけられる液晶テレビ「THE FRAME」。こちらは量子ドットではない、普通の55型4K液晶となる。スタンダードにテレビを表示するほか、アートを表示するモードも備えていて、絵画のように使うことができる

BDレコーダーやゲームコンソール、オーディオシステムなど、接続機器が増えることでテレビ周りは複数のケーブルがこんがらがってしまいがち。そこで、サムスンではテレビをスタイリッシュに設置できるよう、各外部機器からの入力を管理できる別筐体のユニットボックスを用意。この専用ユニットとディスプレイを、HDMIではないオリジナルのコネクターで接続するスタイル「ONE CONNECT」を訴求していた。専用ユニットとディスプレイ部を接続する独自開発のケーブルは光ファイバー製で、室内でも目立たず、接続距離を伸ばせることもポイントになるだろう。実際、最大15mまで延長できる。これにより、映像を映すディスプレイ部をシンプルにキレイに設置できる。

さらに、Q8Cシリーズはイーゼル型のスタンド、THE FRAMEシリーズはその名の通りフレーム(額縁)で壁にマウントするデザインとし、見た目のスタイリッシュさにもこだわっている。サムスンでは最新の4Kテレビとして、これら「量子ドット」「壁かけ」「イーゼルスタンド」「ONE CONNECT」といった各要素を組み合わせることで、その魅力をアピールしていた。なお、いずれも日本での展開は未定。

Q8Cの背面端子部。HDMIではない、独自開発の端子を設けている

Q8Cの背面端子部。HDMIではない、独自開発の端子を設けている

光ファイバーを採用した専用ケーブルを使い、専用ユニットとテレビを接続する。15mまで距離を伸ばせるほか、光ファイバーなので目立ちにくいのもポイント。4K解像度までの映像とサラウンド音声を伝送できるという

こちらが各入力を一括管理できる専用ユニット

こちらが各入力を一括管理できる専用ユニット。HDMIやUSB、光デジタルなどの各インターフェイスを備える

「THE FRAME」シリーズは、欧州で5月下旬に、55型モデルを2,199ユーロで発売予定。アート作品の中にディスプレイが違和感なく溶け込んでいる

こちらも、同じように独自形状のコネクタを使った専用の光ファイバーケーブルで、専用ユニットボックスと接続する。今回の展示では、壁面にケーブルを仕込んで接続していた

専用のマウント用金具を使用し、まさに額縁のように壁にぴったりと設置できるようにしている

専用のマウント用金具を使用し、まさに額縁のように壁にぴったりと設置できるようにしている

自動の明るさセンサーや人感センサーを搭載していることも特徴。人が画面の前からはなれると、テレビ表示モードからアートを表示するモードに自動で切り替わって、本当の絵画のように壁にディスプレイできる

オプションでフレームを変えられるようになっていて、インテリア性を高めていることもポイント

オプションでフレームを変えられるようになっていて、インテリア性を高めていることもポイント

フィリップスは“スマート歯ブラシ”などヘルスケア製品を発表

フィリップスは、製品の展示は行っていなかったが、カンファレンスにてスマホとつながるヘルスケア製品群を発表した。センサーで歯の状態を検知してそれをスマホアプリにフィードバックして管理できる“スマート歯ブラシ”「Sonicare DiamondClean Smart」や、専用アプリで外出先から操作できる空気清浄機「2000i」などをラインアップ。そのほかに、レシピをシェアできる料理アプリや、赤ちゃんの育児を管理できるアプリなどもあった。いずれも日本で展開されるかどうかは不明だが、今回のカンファレンスでは、暮らしのさまざまなシーンを便利にするテクノロジーとして各国メディアに大きなインパクトを与えていた。以下、カンファレンス時のスライドでその一部をご紹介しよう。

カンファレンスで大きな歓声が上がっていたのが、センサー付きの歯ブラシ「Sonicare DiamondClean Smart」。歯を磨くと、リアルタイムで歯の状態をアプリにフィードバックしてくれる

専用アプリ「Philips Sonicare app」を使い、スマホと歯ブラシをBluetooth接続して歯の状態を管理できる

専用アプリ「Philips Sonicare app」を使い、スマホと歯ブラシをBluetooth接続して歯の状態を管理できる

日本では未展開の空気清浄機「2000i」もアピール。専用アプリを使用し、外出先からも稼働操作が行える

日本では未展開の空気清浄機「2000i」もアピール。専用アプリを使用し、外出先からも稼働操作が行える

レシピをシェアできる料理アプリ(写真上)や、赤ちゃんの育児を管理できるアプリ(写真下)など、暮らしに関わる全般をサポートするソリューションを訴求

そのほか、スタイリッシュなプロダクトデザインで知られるドイツのメーカー“ポルシェデザイン”からは、OSにWindows 10を搭載するノートPC「BOOK ONE」が公開された。通常のノートPCとしてのスタイルのほか、ディスプレイとキーボードの接続部を360℃回転させて設置することもできる。また、キーボード部の取り外しにも対応しており、デタッチャブルPCとして利用可能だ。今回のカンファレンスでもそのデザイン性の高さで注目を集めていたが、残念ながら日本では発売されないそうだ。

BOOK ONEは、ポルシェデザイン初となるノートPC

BOOK ONEは、ポルシェデザイン初となるノートPC

なおフィリップスとは反対に、カンファレンスには出ていなかったが、会場で製品の展示だけを行っていたメーカーもあった。ドイツのキッチン家電ブランド“CARERRA”は、1560Wというハイパワーなブレンダー「No655」をメインにアピール。食材を砕くことはもちろん、これ1台で温かいスープも作れる高い性能を備えている。

No655は、刃の回転数は2万回を確保。操作は本体ディスプレイに備えるタッチパネルで行うスタイリッシュな仕様だ。自動洗浄にも対応しており、ボタンをワンプッシュするだけでよい

杉浦みな子
Writer
杉浦みな子
1983年生まれ・たまに絵も描くライター。価格.comマガジン編集部やオーディオ・ビジュアル専門サイトの編集/記者/ライター職を経て、2023年に独立。コンシューマーエレクトロニクスから「ムー」までを網羅し、各種媒体でAV機器・家電のレビューやオカルト映画のコラムを執筆中。読書と音楽&映画鑑賞が好きで、自称:事件ルポ評論家のオタク系ミーハーです。
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