映画制作をターゲットとしたシネマカメラでは、8Kではないものの映画用のスーパー35mmのセンサーサイズでオーバー4Kの画素センサーを備えたカメラが多数登場している。
ソニーが発表したデジタルシネマ制作用カメラ“CineAlta”シリーズの最上位機「VENICE」は、最大キャプチャーサイズとして3:2のアスペクト比で6Kの解像度に対応する。パナソニックは、同社のデジタルシネマ制作カメラの新製品「AU-EVA1」を出展。5.7Kのスーパー35mm MOSセンサーを搭載しており、撮影フォーマットは4K/60Pに対応する。
映像編集向けに多数の機器を展開するBlack Magic Design社は、シネマカメラ「URSA Mini Pro」を披露。スーパー35mmセンサーで4.6K解像度である4,608×2,592ピクセルの映像撮影に対応するなど、映画制作用のカメラも高精細化が進められている。
ソニーの“CineAlta”シリーズの最上位機「VENICE」
パナソニックのデジタルシネマ制作カメラの新製品「AU-EVA1」
Black Magic Design社のシネマカメラ「URSA Mini Pro」
いっぽう、放送用の機器の4K/HDRの映像制作のデモは、映像機器メーカーを問わずカメラやレコーダー、スイッチャーまで組み合わせられる多数が出展されていた。4K 12G-SDI対応の伝送システム、さらにはIP伝送まで対応がトレンドだ。カメラシステムは超高感度を始めとした特殊用途向けのカメラも多数登場し、放送収録にはさまざまなカメラのバリエーションが用意されている。
キヤノンの出展していたフルHDの超高感度多目的カメラ「ME20F-SH」
35mmフルサイズCMOSセンサーを使用しており、ISO換算400万相当の0.0005lux以下の撮影に対応
プロフェショナル用の映像機器展として実際に導入できる機器を紹介する側面の強い「InterBee」だが、未来の技術デモに積極的に取り組んでいたのがキヤノンだ。
特に来場者からの注目を集めていたのが「自由視点映像生成システム」と呼ばれるもので、スタジアムのような会場で複数台の高解像度のカメラをネットワークで繋いで同時撮影し3D空間情報としてキャプチャし合成することで、自由の位置からの仮想カメラ映像を表示できるというもののだ。実際にブース内の上映ブースでサッカーの映像を観ると、ゴールを決める選手のすぐ後ろの位置からカメラで追いかけるという、ピッチ上のようなカメラの立ち入れない場所からの映像は、臨場感抜群でスポーツ観戦用に是非欲しいと思えたほど。
キヤノンが参考出展していた「自由視点映像生成システム」
撮影映像を解析して3Dモデル化
カメラの入れない位置からも仮想カメラで映像を生成
キヤノンブースにはほかにも「超高精細2.5億画素CMOSセンサー」というデモも出展。4K2Kの約30倍にもなる19K13Kの静止画(19,580×12,600)の静止画や5fpsの動画、タイムラプスの撮影ができるもので、ブース内では静止画から一部を切り出し拡大するデモを表示されていた。映像表現としては全体から拡大するだけで空撮をしたような演出が可能。ほかにもセキュリティ分野での応用も期待されている。
「超高精細2.5億画素CMOSセンサー」による画像拡大デモ
ワンダービジョン社の半球体スクリーンに8K映像を上映する「Sphere 5.2(4K&8K)」もユニークな出展だった
普段は馴染みのないプロフェッショナル向けの映像機器群だが、来年には8K実用放送もスタートすることもあり、放送・映像制作業界の準備も急ピッチに進むことが肌で伝ってきた。コンシューマーの映像ファンとしても、実戦投入された放送や作品の登場に期待だ。