2018年4月23日、ソニーからブルーレイレコーダーの2018年モデルが発表された。ラインアップは、トリプルチューナーモデル「BDZ-FT3000」(3TB)、「BDZ-FT2000」(2TB)、「BDZ-FT1000」(1TB)、ダブルチューナーモデル「BDZ-FW2000」(2TB)、「BDZ-FW1000」(1TB)、「BDZ-FW500」(500GB)の全6機種。いずれも、同社製レコーダーで初となるUltra HD Blu-ray対応や、まったく新しい録画機能の搭載など、同社製ブルーレイレコーダーとしては久々に面白い製品に仕上がっている。
今回発表された6機種は大きく3つのポイントで進化を遂げている。まずひとつ目が、Ultra HD Blu-rayへの対応だ。
レコーダー2018年モデルはチューナー数とHDD容量の違いで6モデルラインアップされているが、筐体デザインはすべて同じだ
フロント部分にはUltra HD Blu-rayのロゴがしっかりとプリントされている
ライバルメーカーは昨年ごろから徐々に搭載をはじめ、いまでは普及価格帯のモデルにまで搭載されるようになってきているが、同社はこれまでUltra HD Blu-ray対応機種として、専用の再生機(プレーヤー)しかラインアップしていなかった。Ultra HD Blu-ray対応作品を販売するグループ会社もあり、エンターテイメント業界を牽引してきたこれまでの同社からするとかなり珍しい。
実はブルーレイレコーダーの2017年モデルが発表された際も、なぜソニーはUltra HD Blu-ray対応レコーダーを出さないのかと質問したことがある。この質問に対して同社は、『検討はしているが、「Netflix」や「Hulu」といった動画配信サービスの普及による視聴スタイルの変化もあり、国内のUltra HD Blu-rayの普及度合いなどを見て総合的に判断したい』と答えていたが、国内のUltra HD Blu-rayタイトルが着実に増えてきていることもあり、ついに導入に踏み切る決断を下したのだろう。「君の名は」や「シン・ゴジラ」といったUltra HD Blu-rayで提供されるコンテンツが増えてきたことで、ブルーレイレコーダー選びに“Ultra HD Blu-rayへの対応”を挙げる人も増えてきているが、こういう人たちの選択肢が増えたことは素直に歓迎したいところだ。
ブルーレイレコーダーの2018年モデルの進化点、ふたつ目のポイントが、新機能「新作ドラマ・アニメガイド」を使った“先録(サキロク)”だ。
ブルーレイレコーダーの自動録画機能のトレンドが、放送中の全番組を録画する“全録”タイプに移り行くなか、同社は全録機能を搭載した新製品を投入することなく、「おまかせ・まる録」と呼ばれるキーワードをベースにした自動録画機能を一貫して展開している。2018年も自動録画機能についてはこの流れを踏襲しているのだが、この自動録画機能にプラスアルファとして今回の新モデルから加わったのが、新機能「新作ドラマ・アニメガイド」である。
同機能は3月/6月/9月/12月の年4回、ネットワークを通じてKADOKAWAが提供する新作アニメ・ドラマの番組情報をブルーレイレコーダーに配信し、そこから先行予約が行えるというもの。これまでのレコーダーは電子番組表(EPG)が配信される8日前からしか録画予約が行えなかったが、新作アニメ・ドラマの番組情報は配信月の中旬頃までにレコーダーに取り込まれ、そこで予約受付した番組情報データから電子番組表(EPG)とのマッチングを行うため、最長で放送開始の1か月前から先行予約が行えるというのがウリだ。
新機能「新作ドラマ・アニメガイド」の画面
“全録”タイプの自動録画機能の場合、録画予約が不要な反面、長時間録画するためにどうしても画質の劣化が避けられないが、新作ドラマ・アニメガイドからの先行予約なら、録画設定が1か月前から必要なものの、高画質なDRモードで確実に先行予約するといったことも可能となっている。KADOKAWAが提供するデータを活用しているということで、画像や番組概要をまとめた豊富なテキストで、新番組について事前に多くの情報が得られるのもうれしいところ。毎クールごとにドラマやアニメを録画している人にとっては、かなり注目な機能といえそうだ。
3つ目のポイントは、同社のブルーレイレコーダーが近年もっとも力をいれている機器連携機能の強化だ。
なかでも、2018年モデルで大きく進化したのが“4Kハンディカム連携”。2017年モデルの“4Kハンディカム連携”でも「保存」「再生」「共有」の3つの機能が提供されていたが、2018年モデルはこれらの機能が大きく拡充されている。
「保存」に関しては、「4K MP4動画の差分取り込み」に新たに対応。4Kコンテンツでレコーダーに取り込んでいないコンテンツのみを判別して取り込みできるため、取り込み作業の利便性が大きく向上している。「再生」については、4K MP4動画を収めたブルーレイディスクの再生に新たに対応。100Mbpsの高ビットレートで録画された4K MP4動画でも映像が乱れたり、音声が途切れることなく安定して楽しめるという。また、4Kハンディカムから取り込んだ4K MP4動画をサムネイル表示できるようになったのも、地味にうれしいポイントだ。
「共有」に関しては、4Kハンディカムから取り込んだ動画を、従来の2Kのブルーレイディスクレコーダー/プレーヤーで再生できる方式に変換し、ブルーレイディスクにダビングできるようになったのがポイントだ。これまでにも内蔵HDDへの4K動画の取り込みや再生をウリにしたブルーレイレコーダーはあったが、BDメディアへ記録できるのは同社が初。ハンディカムで撮った4K動画をメディアに保存して手軽にシェアできるようになったのは大きな進化点といえる。
4Kハンディカム連携以外の機器連携機能としては、BRAVIAとの連携機能「4Kブラビアモード」がさらに強化された。ハイビジョン映像信号を対応する4K BRAVIA のアップコンバート処理に適した形に処理したうえで出力し、4K BRAVIA側のアップコンバート処理を最大限引き出すことで高画質なアップコンバートを実現する同機能は、もともと4K 液晶BRAVIAを想定した機能だったが、今回、4K有機ELパネルを搭載したBRAVIAでも高画質なアップコンバートが行えるように機能が拡張された。
ディスクメディアやゲームコンテンツなどを中心に4K対応コンテンツが増えてきているとはいえ、テレビ放送などはまだまだハイビジョンが主流だ。こういったコンテンツを有機ELテレビで見た際にさらに高画質で楽しめるというのはありがたい。
今回、ブルーレイレコーダーとあわせて、Ultra HD Blu-ray対応プレーヤーの新モデル「UBP-X700」も発表された。
こちらは製品名からもわかるが、既存の「UDP-X800」よりもワンランク下のスタンダードモデルという位置付け。機能面では、「UDP-X800」に搭載されていたDVD Audio再生機能やBluetoothオーディオ機能などが省略されたが、HDR機能に関しては「UDP-X800」の発売から約1年経過したということもあり、「UDP-X800」でサポートされていなかった「Dolby Vision」が新たにサポートされた。横幅が「UDP-X800」よりも約110mm小さくなり、設置性も向上している。
Ultra HD Blu-ray対応プレーヤー「UBP-X700」
なお、今回紹介したブルーレイレコーダー6機種は5月26日、プレーヤーは6月23日の発売予定。市場想定価格は、ブルーレイレコーダーが6〜11万円前後、プレーヤーは3万円前後だ。
AV家電とガジェット系をメインに担当。ポータブルオーディオ沼にどっぷりと浸かっており、家のイヤホン・ヘッドホンコレクションは100を超えました。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットも増えてます。家電製品総合アドバイザー資格所有。