ドイツのヘッドホン・イヤホンメーカーのULTRASONEから、久々の新製品が一挙2モデル登場した。ひとつは、静電型ドライバーを搭載したイヤホン「SAPHIRE(サファイア)」。もうひとつが、「Edition 15」をベースにした密閉型ヘッドホン「Edition 15 Veritas」だ。
新製品を持って来日したULTRASONE CEOのMichael Willberg氏
同社にとって久々のイヤホンタイプの新製品となる「SAPHIRE」。発売は4月を予定しており、市場想定価格は399,980円となっている。
ULTRASONE「SAPHIRE」
2004年に全世界限定999台で発売した「Edition7」のように、究極のハイエンド製品を投入したいというコンセプトの元に開発された製品で、ドライバー構成、低域にBAを2基、中域と高域にBAを1基、超高域に静電型ドライバーを2基使用した。4Way6ドライバーとなっている。静電型ドライバーを使っていることだけでも珍しいのに、それを2基搭載しているというところからも、かなり意欲的な製品だということがわかる。
4Way6ドライバー構成を採用
ハウジングについては、高い耐久性と剛性を兼ね備えた航空機グレードのアルミニウムを採用。「ULTRASONE Tribute 7」をオマージュしたメタリックブルーの塗装とシルバーのフェイスプレートによるラグジュアリーなデザインも見どころだ
航空機グレードのアルミニウム表面にメタリックブルーの酸化皮膜塗装を施している
イヤホンケーブルは2pinコネクターを採用。3.5mmアンバランスタイプのケーブルのほか、2.5mm4極バランスケーブルも標準で付属する。なお、3.5mmアンバランスタイプは銀コートメッキ採用とのこと。
標準で2種類のケーブルが付属
今回、少しの時間ではあるが、発売前の製品をいち早く試聴することができた。BAドライバーと静電型ドライバーのみ、しかも6つものドライバーで構成されているということもあり、聴く前までは音のつながり部分や、BAドライバーっぽい高解像度なサウンド、悪く言えば聴き疲れするような音なんじゃないかと不安な気持ちを抱いていたのだが、その不安はまったくの杞憂だった。音のつながりはとても自然だし、低域もBAを2基積んだおかげで、しっかりと感じることができた。そして何よりも高域から超高域にかけてのレンジの広さと音の繊細さがすごかった。BAドライバーだけだと、ここまでの空気感はなかなか再現できない。価格は約40万円と決して安くはないが、これだけのサウンドを手軽に持ち運べるイヤホンサイズに収めたというのはかなり画期的といえそうだ。
2017年の「Edition 15」の発売以降、各方面から「Edition 15」の密閉型タイプの要望が多く、その要望に応える形で開発したのが「Edition 15 Veritas」だ。こちらも「SAPHIRE」同様に発売は4月を予定。市場想定価格は399,980円となる。
ULTRASONE「Edition 15 Veritas」
ゴールドとチタンという異なる特性の素材を組み合わせた40mm径の「GTC ドライバー」や、アメリカンチェリーウッドを採用したイヤーカップなど、基本的な部分は「Edition 15」から踏襲している。
「Edition 15」と同じ40mm径の「GTC ドライバー」を搭載
いっぽう、サウンドチューニングについては密閉型に合わせて一から見直しを実施。同じドライバーユニットを使ってはいるものの、密閉型となったことで音の反響がまったく異なるため、メカニカルの素材をアルミからステンレスに変更し、イヤーパッド内側の形状も変えたという。
ちなみに、一般的に開放型から密閉型に変更した場合、音抜き用の穴が埋まるため、ヘッドホン本体の重量は重くなるはずだが、前述した素材の変更等もあり、「Edition 15 Veritas」では「Edition 15」から若干軽くなっている。
「Edition 15」のようにプレート部分に穴はないが、レザー刻印で「Edition 15」のような見た目を再現
装着感の部分についても若干変更が加えられており、「Edition 15」と同じシープスキンレザーながら、素材を保湿性にすぐれたメリノー種のものに変更された。これにより、密閉状態が長時間続くような状況でも、快適に使えるようになったという。
イヤーパッドはメリノー種のシープスキンレザーに変更。内側の形状も変更されている
ケーブルについては「Edition 15」同様、LEMOコネクターの3.5mm/3極プラグのものが長さ違いで2種類(12mと3m)付属。レザー張りの高級感あるキャリングケースも「Edition 15」同様付属する。
レザー張りの専用ケースも「Edition 15」と同様だ