イベントレポート
5月30日より一般公開スタート

「NHK技研公開 2019」はフルスペック8KとAR、VR、インテグラル3Dと未来の放送技術満載だ

2030〜2040年頃にはAR、VR、裸眼3D技術の放送に

「技研公開 2019」のテーマは“ワクからはみ出せ、未来のメディア”。この言葉の意味する所は4K/8Kスーパーハイビジョンの高画質化の次のステップとして3DやAR・VRなどをさまざまなデバイス試聴で目指す、テレビのワクに収まらない体験を目指すというもので、“2030〜2040年ごろのメディア技術 ダイバースビジョン”として会場入ってすぐのホールで出展している。

“2030〜2040年ごろのメディア技術 ダイバースビジョン”が今年最大のテーマ

“2030〜2040年ごろのメディア技術 ダイバースビジョン”が今年最大のテーマ

NHKがダイバースビジョンを構成するのがドーム型ディスプレイやヘッドマウントディスプレイ(HMD)、さらにARグラス、そしてインテグラル3D(裸眼3D)の技術だ。高精細VR映像コンテンツの制作として、3台の8Kカメラによる180度映像を撮影し、没入感と臨場感を感じる広視野の映像を実現。あくまでこれはコンテンツ制作側で「技研公開 2019」の出展では、擬似的に没入感と臨場感ある体験を再現するため、8台の4Kプロジェクターによる巨大スクリーンで上映していた。

ドーム型ディスプレイやヘッドマウントディスプレイ(HMD)による視聴を想定

ドーム型ディスプレイやヘッドマウントディスプレイ(HMD)による視聴を想定

来場者のイメージとして8台の4Kプロジェクターで臨場感を再現

来場者のイメージとして8台の4Kプロジェクターで臨場感を再現

ARグラスをしたテレビ視聴体験も、目玉のひとつ。ARグラスを装着した状態でテレビ画面をみると、『チコちゃんに叱られる!』の番組の途中からテレビの枠からチコちゃんが出てきたり、『みんなで筋肉体操』の武田真治が目の間でスクワットをして見せたり、同じ放送を観ている両親がARで部屋のなかに現れたり……と、まさにテレビのワクから出る体験を目指していくのだ。技術的にはインターネット回線を通してタイムスタンプを配信、リアルタイムにARで合成する仕組みだ。

テレビの枠を超えてチコちゃんが現れるARのデモ

テレビの枠を超えてチコちゃんが現れるARのデモ

もうひとつの技術が3D。NHK技研は以前から裸眼3Dのインテグラル3Dを全面に押しだしている。今回出展された新技術「視点に追従するインテグラル3D映像」ではWebカメラで視聴者の瞳の位置をトラッキングして、視点に応じた要素画像を合成。これにより水平領域の視野角を従来比約3.3倍(81.4度)、垂直を約6.6倍(47.6度)に拡大。457.7ppiの高画素と商店距離の長いレンズアレーにより、3D映像の光線密度を水平・垂直とも従来の約2倍に拡大。昨年までの出展は視野角や視聴位置に制限されたが、今年の出展では視線トラッキングをするため1人用に限定される代わりに、より表示画質を引き上げている。

「視点に追従するインテグラル3D映像」では視点追従による裸眼3D映像の画質を向上

「視点に追従するインテグラル3D映像」では視点追従による裸眼3D映像の画質を向上

番組制作のスマートプロダクションにAI技術を導入

技研公開には番組制作に関わる技術も紹介されている。そのひとつがサッカー中継でデモンストレーションをしていた「スポーツ映像の状況理解技術」だ。サッカー中継の際にセンサーカメラを導入し、AIの機械学習による状況理解AIを使って、選手・ボールの位置と速度、選手の顔の向きなどの競技の状況をメタデータとして認識。同時に熟練カメラマンが試合をどのように捉えるかという制作ノウハウを入力していきロボットカメラを操作。サッカー中継の試合の状況を理解した上で、自動的に最適なカメラワークで番組制作を進められるという代物だ。

番組制作のための研究としては番組制作の手助けだが、センサーカメラで撮影した映像はフィールド状の選手の位置を3Dモデル化して視点を動かすような活用も想定する。

サッカーのフィールドをデータ化する「スポーツ映像の状況理解技術」

サッカーのフィールドをデータ化する「スポーツ映像の状況理解技術」

このほかにも「インテグラル3Dに向けた3DCG映像のリアルタイム生成技術」という技術も開発されている。「技研公開 2019」ではボルダリング選手をモーションデータ取得装置と呼ばれるカメラで撮影することで、映像からモーションデータを取得。CGデータへと合成することで、タブレット型のインテグラル3D端末で立体映像として視聴できる。映像の解析によってCGデータが行われるので専用のスーツなどは必要なく競技映像が使えるし、CGデータ化すればボルダリング競技を壁の真横から観戦するような体験も可能になるようだ。

ボルダリングの様子をリアルタイムで3DCG化する「インテグラル3Dに向けた3DCG映像のリアルタイム生成技術」

ボルダリングの様子をリアルタイムで3DCG化する「インテグラル3Dに向けた3DCG映像のリアルタイム生成技術」

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

関連記事
価格.comマガジン タイムセール
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る