米国・ラスベガスで行われた世界最大級の家電見本市「CES 2020」。ノイズキャンセリング対応モデルが多数出展されていた完全ワイヤレスイヤホンなど、オーディオ関連の注目製品を紹介しよう。
CES 2020の会場で見つけたオーディオ関連の話題をまとめてレポート!
オーディオの大きなテーマを先に紹介すると、CES 2020では空間を再現する立体音響に関連する技術の出展が目立った。その代表格が、ソニーの「360 Reality Audio」。今年はワンボディで立体音響を再現するワイヤレススピーカーや、サウンドバーに組み込んだデモンストレーションを披露。ソニーによるCES 2020最大の出展となった電気自動車の試作車「VISION-S」も「360 Reality Audio」対応だ。
ソニーの立体音響技術「360 Reality Audio」
ソニーが披露した電気自動車の試作機「VISION-S」の車載オーディオシステムも「360 Reality Audio」搭載だ
ワンボディの2.1chスピーカーで立体音響を再現するデモンストレーション
サウンドバーを中心としたマルチch環境で立体音響を再現するデモンストレーションも行われていた
立体音響技術以外にもうひとつテーマとなっていたのが、頭外定位を再現する試みだ。JVCは、専用のマイク内蔵ヘッドホンで耳の個人特性を測定して、自然な空間の広がりを再現するシステム「EXOFIELD THEATER(XP-EXT1)」を発表。専用トランスミッターにHDMI端子で入力するホームシアター志向の製品で、1000ドル程度での発売を予定している。
JVCの「EXOFIELD THEATER(XP-EXT1)」
クリエイティブも昨年から展開していた耳の形に応じて音をパーソナライズする「Super X-Fi」の進化版「Super X-Fi Gen2」を披露。空間再現の精度を高めるとともに、2020年は「Super X-Fi」をエコシステム化し、対応製品を多数発売していく予定だ。
「Super X-Fi Gen2」のデモンストレーションの様子
トリプルドライバー搭載イヤホンに「Super X-Fi」を組み込んだ「SXFI TRIO」も展示されていた
CES 2020では、完全ワイヤレスイヤホン、特にノイズキャンセリングに対応したモデルが多数出展されていた。なかでも最注目モデルがテクニクス「EAH-AZ70W」。テクニクスで完全ワイヤレスイヤホンという時点でインパクトのあるモデルだが、フィードフォワード・フィードバック方式、そして、デジタル方式・アナログ方式も組み合わせた「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」を搭載。グラフェンコートPEEK振動板採用の大口径10mmダイナミックドライバーを生かし、重低音部分までしっかりとノイズキャンセリングが効くのが特徴だ。価格は280ドル程度と、アップル「AirPods Pro」やソニー「WF-1000XM3」といった競合製品がしのぎを削る激戦区に投入される。
「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」に対応したテクニクス「EAH-AZ70W」
さらに、パナソニックブランドからも完全ワイヤレスイヤホン「RZ-S500W」「RZ-S300W」が登場。「RZ-S500W」は8mm径のダイナミックドライバー搭載で、こちらも「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」に対応。「RZ-S300W」は6mm径のダイナミックドライバー搭載で、こちらは重低音志向のモデルとなる。「RZ-S500W」は180ドル、「RZ-S300W」は120ドル程度を予定しているそうだ。
パナソニックブランドからは、ノイズキャンセリング対応完全ワイヤレスイヤホン「RZ-S500W」と重低音志向の完全ワイヤレスイヤホン「RZ-S300W」
Shureからも初の完全ワイヤレスイヤホン「AONIC 215」が出展された。製品名に記載されている数字の通り、「SE215」を完全ワイヤレス化したモデルで、耳の後ろにハンガーのようにかけて固定する構造を採用。イヤホン部分はMMCX端子で交換可能となっており、Shureの他製品ユーザーにも注目してほしいモデルだ。価格は279ドルで、2020年春に発売を予定している。
Shureの名機「SE215」を完全ワイヤレス化した「AONIC 215」
円形の専用ケースで充電する。本体のみの連続再生は約8時間だ
オーディオテクニカもノイズキャンセリング対応完全ワイヤレスイヤホン「ATH-ANC300TW」を出展。「QUIET POINT」シリーズとして展開するモデルで、「QUIETPOINT ハイブリッドデジタルノイズキャンセリング技術」を搭載。価格は229ドルを予定している。
オーディオテクニカのノイズキャンセリング対応完全ワイヤレスイヤホン「ATH-ANC300TW」
クリプシュは世界最小サイズのノイズキャンセリングイヤホン「T10 TRUE WIRELESS SMART EARPHONES」を展示。小型のBAドライバーを搭載しており、同社の有線イヤホンファンも注目だ。こちらも、完全ワイヤレスイヤホンの大きなトレンドとなっているアクティブノイズキャンセリングに対応している。また、オイルライター風のケースが特徴的な「T5 TRUE WIRELESS」をベースに、ノイズキャンセリング機能を加えた「T5 TRUE WIRELESS ACTIVE NOISE CANCELING SMART EARPHONES」も展示されていた。
「T10 TRUE WIRELESS SMART EARPHONES」は超小型BAドライバー搭載、ノイズキャンセリング対応の注目モデル
「T5 TRUE WIRELESS ACTIVE NOISE CANCELING SMART EARPHONES」もノイズキャンセリング対応だ
JVCケンウッドもスポーツヘッドホン「AE」シリーズから完全ワイヤレスイヤホン「HA-AE5T」を発売。空気抵抗と風切り音を低減させる「エアロスリムデザイン」を採用のスポーツ仕様で、クアルコムの「TWS Plus」にも対応している。
JVCのスポーツ用完全ワイヤレス「HA-AE5T」
PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。