レビュー
Android TV搭載で映像配信サービスも手軽に楽しめる

BenQ「TH685i」は低遅延で輝度性能も優秀なゲーミングプロジェクター

超大画面の映像体験を届けるプロジェクターの世界で、用途特化型プロジェクターを多数投入するブランドがDLPプロジェクターの雄・BenQだ。「TH685i」は、そんなBenQが“ゲーミングプロジェクター”として今年3月に発売したニューモデル。昨今の映像機器の世界でゲーミングの意味するところは、高速応答・低入力遅延のレスポンスさで、TH685iは応答速度8.3ms(120Hz動作時)というカタログスペックを掲げて登場してきた。

BenQのゲーミングプロジェクターTH685i

BenQのゲーミングプロジェクターTH685i

プロジェクターとしての基本スペックは、DLP方式によるフルHD(1080p)対応、コントラスト10000:1という画質性能はミドルスペックだが、輝度スペック3500ルーメンと明るさ重視なのもTH685iの特徴となっている。モバイル系プロジェクターが500ルーメン前後、ホームプロジェクターでは2000ルーメン前後のものが多いことを考えると、いかにTH685iが輝度志向で色調整されているかがわかるだろう。

つまり、暗室を想定したホームシアター用ではなく、部屋が明るいままでもゲームをプレイしやすい、というのがTH685iの立ち位置。価格.com最安価格はスポット的に10万円を切ることも出てきている、戦略的プライスだ。

実際にTH685iを設置してみると、デザイン面としてはゲーミングらしさの欠片もない一般的な外見。本体サイズは312(幅)×110(高さ)×225(奥行)mmと中型クラス。バッテリーは備えていない据え置きタイプだ。

投写レンズは1.3倍のズームに対応。僕の部屋で約1.3mの距離から投写した際のスクリーンサイズは、説明書の記載の数値から計算すると最小で約40インチ、最大で約52インチ。ズーム機能のおかげで、大画面だけでなく短めの画面サイズも確保できる。設置の際のズーム・フォーカスは手動ではあるが、プロジェクター前面のダイヤルを回すだけなので難しいこともない。

1.3メートルの距離での投写サイズは最大で約52インチだった

1.3メートルの距離での投写サイズは最大で約52インチだった

本体前面のダイヤルを回してフォーカスとズームを調整

本体前面のダイヤルを回してフォーカスとズームを調整

なお、底面の高さ調整脚を利用することで斜め上向きの投写もでき、垂直方向の台形補正は最大±30度まで自動で働く。

台形補正は垂直補正のみで最大30度まで設定可能

台形補正は垂直補正のみで最大30度まで設定可能

TH685iはゲーミングプロジェクターとして登場したモデルだが、最近のBenQ製ホームプロジェクターの型番に付く“i”は「QS01 Android TV ハードウェアキー」付属の意味。パッケージに内蔵されているスティック状の端末を装着するだけで、買ったその日からAndroid TVを楽しめるのだ。

製品に付属している「QS01 Android TV ハードウェアキー」

製品に付属している「QS01 Android TV ハードウェアキー」

本体背面に格納できるので、実質Android TV内蔵プロジェクターと同じ扱いができる

本体背面に格納できるので、実質Android TV内蔵プロジェクターと同じ扱いができる

実際にTH685iの電源を入れると、デフォルトで起動するのは「QS01」と表記される内蔵のAndroid TV画面。そして、輝度スペック3500ルーメンという数値どおり、とにかく画面が明るくクッキリしていて、壁が大画面に変わる体験をしっかり感じられる。

見た目にもハッキリとわかるほど明るい3500ルーメンというスペック

見た目にもハッキリとわかるほど明るい3500ルーメンというスペック

試しに照明を消してみると、3500ルーメンという輝度スペックは伊達じゃなく、ちょっと眩しすぎるくらいのパワフルな高画質映像を堪能できる。フルHDなので解像度としては飛び抜けてはいないが、プロジェクターの画質はやはり輝度の影響が大きいのだ。部屋の照明を付けても表示性能は負けないし、外光の差し込む日中も見られるくらい。この明るさまでくるとテレビ代わりとしても現実的だ。

暗室の投写では白が眩しく明るすぎるくらい

暗室の投写では白が眩しく明るすぎるくらい

外光の入る日中で投写しても十分実用的だ

外光の入る日中で投写しても十分実用的だ

TH685iのAndroid TVはもちろんGooglePlayも利用可能なので、映像配信との相性は抜群だ。音声検索もできるYouTubeはもちろんのこと、Amazonプライム・ビデオ、TVer、Hulu、DAZNなどのメジャーな映像配信アプリに対応。ただ、残念なことにNetflixのアプリはインストールすることができないため、Amazon Fire TV Stick等の対応機器を別途用意する必要がある。なお、YouTubeとAmazonプライム・ビデオはスマホアプリからの連携も動作することを確認できた。

Amazonプライム対応は心強いが、NetflixはChromeブラウザーを活用したミラーリングや、Amazon Fire TV Stick等の対応機器を別途用意して接続するなど、ひと手間が必要となる

Amazonプライム対応は心強いが、NetflixはChromeブラウザーを活用したミラーリングや、Amazon Fire TV Stick等の対応機器を別途用意して接続するなど、ひと手間が必要となる

TH685iの付属リモコン。Amazonプライム・ビデオは専用ボタンも搭載

TH685iの付属リモコン。Amazonプライム・ビデオは専用ボタンも搭載

TH685iの実機を使って気が付いたのが、内蔵スピーカーが5W×1のモノラル仕様ながら音空間をうまく作り出してくれること。独自の「CinemaMaster Audio+2」が効果的に働いているのだろう、プロジェクターに耳を近付けてみても、音の出どころがわからないほど自然な音の広がりで空間を満たしてくれる。

YouTubeでスポーツ観戦なんて用途でも明るさと音の広がりのよさでグッと臨場感が高まる

YouTubeでスポーツ観戦なんて用途でも明るさと音の広がりのよさでグッと臨場感が高まる

映像モードは主役の「Game」のほかに、高輝度でややグリーンの強い「Bright」、明るい部屋に向けだが色バランスの整った「LivingRoom」、暗室向けで色温度を下げた「Cinema」、スポーツ用にグリーンの映える「Sports」が用意されている。

映像モードは5種類を用意。通常のメニューより簡単で選びやすい

映像モードは5種類を用意。通常のメニューより簡単で選びやすい

それでは本命、ゲームプレイを始めてみよう。テストはPS5僕が最近プレイしている『原神』で遊んでみたのだが……PS4版ながらHDR出力対応の『原神』では強制的に映像モードが「HDR10」に切り替わってしまい、高速モードもオフで固定される。なお、TH685iで公表しているスペックは1080p/120Hzで8.33msのみでほかフォーマットの記載はないが、4K対応の上位機種にあたる「TK700STi」では1080p/120Hzで8.33ms、1080p/60Hzでは16.67msのため本機も同水準と推定される。

フルHD映像入力なら「Game」のモードも設定できる

フルHD映像入力なら「Game」のモードも設定できる

実験用に映像出力を1080pかつHDRをオフにして映像モード選択可能にして「Game」の設定でプレイしたところ、映像のフレーム遅延の低減が体感できた。特にハッキリと体感できたのが映像の応答性、すなわちDLPデバイスの反応速度に由来する残像で、速い動きに対する追従性が向上。映像遅延、そして映像のキレを重視するゲーマーならHDRよりも高速応答重視でセッティングして遊ぶべきだろう。

“ゲーミングプロジェクター”として登場したTH685iだが、低遅延・高速応答というゲーマーが本当に求める性能だけでなく、3500ルーメンという非常に明るい輝度性能とAndroid TV一体化で、ゲームもプレイするし、映像配信サービスも視聴したいし、いつも暗室という訳でなく明るい部屋で使うよね、という今どきのプロジェクターユーザー像を捉えたなかなか完成度の高い製品に仕上がっていた。10万円前後でフルHD対応のプロジェクターの購入を検討している人なら、間違いなく最有力候補になるはずだ。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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