レビュー

4K有機ELブラビア最大の83V型! ソニー「BRAVIA XRJ-83A90J」の大迫力を体験してきた

夏のスポーツイベントを目前に控えた今、薄型テレビの売れ行きが好調だ。思えば地デジへの移行ブームで湧いたのは12年も前のことで、そろそろ買い替えのタイミング。年々テレビの大型が進み、最近では4Kテレビで55V型は当たり前、せっかくだから65V型も買っちゃう? という感覚も普通になるくらい。そんななかで、ソニーが最新の4K有機ELテレビA90Jシリーズの最大サイズとして展開するのが83V型の「BRAVIA XRJ-83A90J」。7月19日時点の価格.com最安値は97万7,985円だ。

4K有機ELブラビア最大の83V型となる「BRAVIA XRJ-83A90J」

4K有機ELブラビア最大の83V型となる「BRAVIA XRJ-83A90J」

83V型の超大画面で映画やゲームを体験すれば迫力もすごいのだろうな……と思いつつも、83V型はさすがに巨大過ぎて編集部にお借りして試聴することも困難。そこでソニーストア銀座で実施されている『4K有機ELテレビ ブラビア「A90Jシリーズ」特別体験会』のためにシアタールームに用意された実機を体験してきた。

『4K有機ELテレビ ブラビア「A90Jシリーズ」特別体験会』のためにシアタールームに用意された「BRAVIA XRJ-83A90J」を体験してきた

『4K有機ELテレビ ブラビア「A90Jシリーズ」特別体験会』のためにシアタールームに用意された「BRAVIA XRJ-83A90J」を体験してきた

83V型の大画面はまさにおうち映画館

さっそくソニーストア銀座のシアタールームで83V型の4K有機ELブラビア「XRJ-83A90J」を前にすると……もう見た瞬間からあまりに巨大だ。自宅で65V型を毎日使っている僕から見ても83V型というサイズ、18インチ差はあまりに大きかった。感覚的にいうと、65V型はまだ大きなテレビという感覚だが、83V型のサイズはホームシアター用のスクリーン、つまり映画館的な雰囲気が漂い始める。ソニーストア銀座のシアタールームでは「XRJ-83A90J」を中心とした5.1chのスピーカーセットも組まれているので、まさしくホームシアターを想定した環境だ。

横に人が立つと83V型の大きさがおわかりいただけるだろう

横に人が立つと83V型の大きさがおわかりいただけるだろう

ソニーストアで展開している「ブラビア実寸サイズ用紙 送付サービス」で一番大きい「65V型〜85V型 実寸サイズ用紙」を「XRJ-83A90J」の前で広げてみたところ、ちょうど画面が覆いかぶさるほどだった。自宅への導入を検討している人は、「65V型〜85V型 実寸サイズ用紙」で大きさを確認するのがよさそうだ

ソニーストアで展開している「ブラビア実寸サイズ用紙 送付サービス」で一番大きい「65V型〜85V型 実寸サイズ用紙」を「XRJ-83A90J」の前で広げてみたところ、ちょうど画面が覆いかぶさるほどだった。自宅への導入を検討している人は、「65V型〜85V型 実寸サイズ用紙」で大きさを確認するのがよさそうだ

ソニーストア銀座のショールームのデモンストレーションとして用意されているのが、認知特性プロセッサー「XR」搭載の機種の購入者に提供される「BRAVIA CORE」を使った映画『スパイダーマン ファーフロムホーム』の夜のバトルシーン。「XRJ-83A90J」で鑑賞すると……さすがにすごい。有機LEテレビの暗闇の深さから、爆発のエフェクトのまぶしさ。それが一画面で共存していて……これはもう映画館でしょ、いやリアルの映画館だと黒はさほど沈んでいないので映画館超えでしょ、という映像体験だ。

「BRAVIA CORE」で映画『スパイダーマン ファーフロムホーム』を視聴

「BRAVIA CORE」で映画『スパイダーマン ファーフロムホーム』を視聴

画面内を飛び回るスパイダーマンもこれだけの大画面だと迫力が全然ちがう

画面内を飛び回るスパイダーマンもこれだけの大画面だと迫力が全然ちがう

4K HDRやDolby Atmosのコンテンツを持ち込んで画質・音質を全方位チェック

改めて「XRJ-83A90J」の画質・音質のポイントを紹介しておこう。まず画質面で押さえておきたいのが、AIを使って人の脳のように映像を分析する認知特性プロセッサー「XR」と、温度センサーと放熱用アルミシートを搭載することで、有機ELパネルの特性を最大限発揮するためのソニー独自技術が組み込まれた有機ELパネルだ。

認知特性プロセッサー「XR」。同プロセッサーを搭載した2021年のブラビア上位モデルは「BRAVIA XR」というブランドで展開されている

認知特性プロセッサー「XR」。同プロセッサーを搭載した2021年のブラビア上位モデルは「BRAVIA XR」というブランドで展開されている

ソニーがデモンストレーションとして用意したコンテンツのみを体験するだけではおもしろ味がないので、今回はUltraHD Blu-rayなどのディスクメディアを自前で持ち込んでいろいろと視聴してみた。ちなみに、ソニーストア銀座のショールームではユーザーのディスクメディア持ち込みも可能とのことだ。

まず、画質・音質チェックの定番として『ボヘミアン・ラプソディ』を視聴してみた。試聴するにあたり、映像モードは「シネマ」に切り替えている。さっそく視聴を始めてみたが……83V型の大画面で観ると、フィルムグレインもはっきりと認識できていて、色温度を抑えたトーンでフィルムっぽい映像表現が徹底していることがわかる。ちなみに、明るい部屋向けの映像モードである「スタンダード」は色温度が高く、ブルーがかっていてモード間の狙いもはっきり異なることがわかった。

映像とともに音も重要な『ボヘミアン・ラプソディ』だが、「XRJ-83A90J」は映像と音の一体感が凄まじい。83V型の大画面を前にすると視界のかなりの面積が映像で占めることになるが、歌声、そしてバンド演奏が聴こえる位置は画面に映し出された映像と完全に一致している。ステージの歌声がダイレクトにダイナミックに聞こえてくるだけでなく「XRJ-83A90J」ではおもしろいことにバスドラムの低音までも画面の中に定位する不思議な感覚だ。これは画面を振動させるソニー独自の音響技術「アコースティックサーフェス オーディオ プラス」の効果だ。

画面を振動させるソニー独自の音響技術「アコースティックサーフェス オーディオ プラス」。83V型「XRJ-83A90J」の画面を震わすアクチュエーターの位置はおおよそこの辺りだ

ただし、ホームシアターの音として最高かというと……「XRJ-83A90J」の音の広がりはせいぜい画面の幅くらいまでで、歓声も背後の空間まで回るイメージは乏しい。83V型の「XRJ-83A90J」といえども音質はシアター的と呼ぶよりテレビ的だ。ちなみに、「XRJ-83A90J」にはスピーカー入力がありセンタースピーカーモードで「XRJ-83A90J」自体を5.1chのセンターとして使うことができるのだが……センターチャンネルは台詞や歌声の再現を担うため音質も重要。本格的なシアターシステムにはやや実力不足なので、5.1chを組むならセンターシステムも別途購入したほうがいいかもしれない。

BRAVIAの内蔵スピーカーをセンタースピーカーとして活用できる「センタースピーカーモード」。センタースピーカー入力は左側面に用意されている

BRAVIAの内蔵スピーカーをセンタースピーカーとして活用できる「センタースピーカーモード」。センタースピーカー入力は左側面に用意されている

いっぽうで、比較的サウンドとして相性がよかったのが映画『テネット』、DTS-HDで音源を収録しているタイトルだ。飛行機で格納庫に突っ込むシーンでは低音をBGMとして鳴らして緊迫感を出してくれているし、画面からもパワーある肉厚な低音が流れて気持ちよく、爆音の再現も迫力感がある。そして、繰り返しになるが「XRJ-83A90J」の画質は格別だ。画面のサイズ感、フィルム撮影の質感の再現は映画的なのだが、同時に有機ELらしい奥行き感、肉眼を超えるかのような超高解像感は本当にすばらしい。

最後に、Official髭男dismの最新シングル「Universe」に収録されている「Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 - Arena Travelers -」のBlu-ray Discを視聴してみた。音源がDolby Atmosで収録されているというかなり珍しいライブ映像だが、映像と音の一体感をしっかりと体感することができた。特に『宿命』は、美しい歌声が画面内へ広がるとともに、伴奏の楽器もすばらしいサウンドフィールドを作り上げて、画面と音の位置の対応関係まで巧みに再現してくれた。やはり83V型という大画面で観るライブ映像は、これまでとは違った没入感だ。

視界を覆うほどの大画面で見る映像はやはり格別。これだけ大画面なら、ライブ観戦やスポーツ観戦も大迫力で楽しめる

視界を覆うほどの大画面で見る映像はやはり格別。これだけ大画面なら、ライブ観戦やスポーツ観戦も大迫力で楽しめる

4K/120fpsの映像信号で最小遅延8.5ms! PS5と組み合わせにも最適なゲーミングも見逃せない

2021年のテレビ市場は大画面化のほかにもうひとつの大きなテーマがある。それが、ゲーミングスペックの強化だ。今回体験した「XRJ-83A90J」を含むA90Jシリーズでも、HDMI2.1で規定されている4K120 fps、VRR(後日アップデートで対応)、ALLM、eARCが揃っている。

また、PS5を接続するとALLMによって自動的に相手側のハードウェアを認識し、映像モードを自動で「ゲーム」に切り替えてくれるのも大きな特徴だ。ソニーが公表しているスペックでは、映像モード「ゲーム」を使用することで、4K/120fpsの映像信号に対して最短8.5msまで入力遅延を短縮してくれるという。

ちなみに、有機ELパネルを低遅延化するにあたって「焼付き対策の処理をスキップしているのでは?」という疑問があったが、担当者に確認したところスキップされているのは認知特性プロセッサー「XR」の一部処理などで、焼付き対策処理はスキップしていないそうだ。

BRAVIA A90Jシリーズは、HDMI2.1で規定されている4K120fps、VRR(後日アップデートで対応)、ALLM、eARCなどをしっかりとサポート。PS5などの最新ゲーム機との組み合わせもばっちりだ

BRAVIA A90Jシリーズは、HDMI2.1で規定されている4K120fps、VRR(後日アップデートで対応)、ALLM、eARCなどをしっかりとサポート。PS5などの最新ゲーム機との組み合わせもばっちりだ

PS5を接続すると、映像モードは自動で「ゲーム」に切り替わる。4K/120 fpsの映像信号に対して最短8.5msまで入力遅延を短縮してくれるという

PS5を接続すると、映像モードは自動で「ゲーム」に切り替わる。4K/120 fpsの映像信号に対して最短8.5msまで入力遅延を短縮してくれるという

BRAVIA A90Jシリーズのゲームモードの性能をフルに活用するなら、PS5側の映像設定で「120Hz出力を有効にする」を必ずONにしておこう

BRAVIA A90Jシリーズのゲームモードの性能をフルに活用するなら、PS5側の映像設定で「120Hz出力を有効にする」を必ずONにしておこう

今回、ソニーストア銀座のシアタールームで体験できたゲームは『FINAL FANTASY VII REMAKE』。映像信号としては4K/60fpsなのでFPSほどシビアなタイミングが求められるタイトルではないが、アクションRPGとして操作の遅延は体験できるということでチョイスした。

「XRJ-83A90J」のゲームモードの実力を『FINAL FANTASY VII REMAKE』でチェック

「XRJ-83A90J」のゲームモードの実力を『FINAL FANTASY VII REMAKE』でチェック

実際に映像モードを「ゲーム」とそのほかのモードで切り替えながら、クラウドの攻撃のアクションの違いを体験してみると……確かにボタン操作に対する動きの追従スピードが異なる。時間にするとワンテンポにも満たないズレだが、タイミングがシビアのゲームはワンテンポどころではないレスポンスが求められている訳で、差分が感じられるなら相当に効果がある。格闘ゲームやバトロワ系のゲームなど、シビアなタイミングが要求されるタイトルをプレイするなら、映像モード「ゲーム」を積極的に使いたいところだ。

映像モードを切り替えながら体験してみたが、確かに映像設定を「ゲーム」にすると、ボタン操作に対する動きの追従スピードが上がっていることが確認できた

映像モードを切り替えながら体験してみたが、確かに映像設定を「ゲーム」にすると、ボタン操作に対する動きの追従スピードが上がっていることが確認できた

大画面テレビのおもしろさを再発見

今回、4K有機ELブラビア最大の83V型「XRJ-83A90J」をじっくりと体験させてもらったが、これまでのテレビとはひと味違ったこの大迫力の映像体験が自宅で楽しめるようになるとは本当に驚きだ。

あまりにも大画面すぎるため、今回はソニーストア銀座での体験レポートとなったが、ソニーストア銀座では、83V型の「XRJ-83A90J」や弟分モデルで77V型の「XRJ-77A80J」が壁掛け設置してあったりと、大画面の基準の感覚を狂わせてくれるような展示が満載だ。ソニーのブラビアでテレビのサイズ選びに迷った人は、ソニーストア銀座に足を運んでみると、テレビを大画面にするおもしろさを発見できるかかもしれない。

ソニーストア銀座では、83V型の「XRJ-83A90J」や、弟分の77V型「XRJ-77A80J」の壁掛け設置も展示されている。スイーベル対応の壁掛けユニットや壁寄せスタンドなど、さまざまな設置方法が提案されているので、大画面テレビの設置を検討している人は大いに参考になるはずだ

ソニーストア銀座では、83V型の「XRJ-83A90J」や、弟分の77V型「XRJ-77A80J」の壁掛け設置も展示されている。スイーベル対応の壁掛けユニットや壁寄せスタンドなど、さまざまな設置方法が提案されているので、大画面テレビの設置を検討している人は大いに参考になるはずだ

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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