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ゼンハイザーの最新リスニング向けイヤホン「IE 600」はボーカルを近くに感じる1台

ゼンハイザーから、リスニング向けの有線イヤホンの新モデル「IE 600」が発表された。発売日は3月8日で、市場想定価格は99,880円前後だ。

ゼンハイザーのリスニング向け有線イヤホンの最新モデル「IE 600」

ゼンハイザーのリスニング向け有線イヤホンの最新モデル「IE 600」

新モデルの「IE 600」は、昨年発売されたフラッグシップモデル「IE 900」と「IE 300」の間を埋める、ハイエンドクラスの製品。これまで同社のハイエンド製品は、ゼンハイザー創業の地であるドイツで製造を行っていたが、コンシューマー事業のSonova譲渡にともなう生産ラインの移転の関係で、今回の新製品から「Made in Ireland」となっている。ただし、ゼンハイザーの音作り・クラフトマンシップがなくなったというわけではなく、新モデル「IE 600」にも、ゼンハイザーのものづくりのノウハウがしっかりと受け継がれている。

なかでも注目したいのが、見た目にもインパクト大の特徴的なメタルハウジング。ドイツのへレウス社が提供する「AMLOY ZR 01」というアモルファスジルコニウム素材が使われている。鉄の3倍も頑丈でありながら伸縮性・柔軟性も兼ね備えており、低い温度にも強く、腐食や摩耗もしにくくて耐久性にすぐれていることから、NASAの火星探査機のドリルにも使用されている同素材。「IE 600」では、超高性能3Dプリンターを活用し、パウダー状態のアモルファスジルコニウム素材からレーザー照射による粉末焼結積層造形法を用いてハウジングを高精度に成形することで、音ブレが少なく、かつ見た目と使い勝手にもすぐれたハウジングを実現しているという。

アモルファスジルコニウムと呼ばれるNASAの火星探査機のドリルにも使用されているメタル素材をハウジングに採用

アモルファスジルコニウムと呼ばれるNASAの火星探査機のドリルにも使用されているメタル素材をハウジングに採用

重厚感のあるかっこいいデザイン。サンドブラスト加工のようなさらさらとした手触りで、指紋が付きにくいのもうれしいところ

重厚感のあるかっこいいデザイン。サンドブラスト加工のようなさらさらとした手触りで、指紋が付きにくいのもうれしいところ

メタル素材のため、イヤホン本体はやや重量感があるが、7mm径のコンパクトなダイナミック型ドライバーを搭載したことで、ハウジングが非常にコンパクトにまとまっており、装着感はかなり良好だ

メタル素材のため、イヤホン本体はやや重量感があるが、7mm径のコンパクトなダイナミック型ドライバーを搭載したことで、ハウジングが非常にコンパクトにまとまっており、装着感はかなり良好だ

また、「IE 600」でもうひとつ注目したいのが、搭載するドライバーユニットだ。ゼンハイザーはこれまでも一貫してダイナミック型ドライバー1発のドライバー構成を採用してきており、今回の「IE 600」でも同社が「TrueResponse(トゥルーレスポンス)トランスデューサー」呼ぶ虎の子の7mm径ダイナミック型ドライバーが搭載されている。

このTrueResponseトランスデューサー、名称こそ「IE 900」や「IE 300」と同じだが、「IE 600」では、ハウジング内の空気の量と流れる向きをコントロールするバックボリューム機構に改良が施されている。バックボリューム機構は、径を大きくすると低域の量感が大きくなり音圧が下がる、逆に径を小さくすると低域の量感が下がって音圧が上がるのだが、「IE 600」では前者を選択。低域と中域の分離感を高め、雑味の少ない存在感のある低音を再現できるようにしたほか、2〜3kHzの周波数帯域の盛り上がりをコントロールすることで、ボーカルがより近く感じられるチューニングに仕上げたそうだ。

搭載する「TrueResponse(トゥルーレスポンス)トランスデューサー」。分解図の右から2番目の中央に大きな白い穴のようなものが設けられている黒いパーツがバックボリューム機構にあたる

搭載する「TrueResponse(トゥルーレスポンス)トランスデューサー」。分解図の右から2番目の中央に大きな白い穴のようなものが設けられている黒いパーツがバックボリューム機構にあたる

また、音質面ではダイナミック型ドライバーの前方、ノズルの内側に2つの溝を設けた「デュアルレゾネーターチャンバー」を採用したのもポイント(「IE 900」はトリプルレゾネーターチャンバー)。高域をより伸びやかにし、刺さりを抑えた繊細な再現ができるようになったという。

ノズルの内側に2つの溝を設けた「デュアルレゾネーターチャンバー」。ここで耳に届く周波数帯域を整えることで、刺さりを抑えているという

ノズルの内側に2つの溝を設けた「デュアルレゾネーターチャンバー」。ここで耳に届く周波数帯域を整えることで、刺さりを抑えているという

このほか、ゼンハイザーのハイエンドイヤホンではおなじみとなっている、独自の「Fidelity Plus MMCX」規格のリケーブルにも対応。ケーブルについては、3.5mmと4.4mmバランスの2本が標準で付属する。キャリングケース、シリコンタイプとフォームタイプの2種類のイヤーピースなど、付属品もなかなか充実している。

「IE 600」に付属するキャリングケースとイヤーピース、メンテナンスツール

「IE 600」に付属するキャリングケースとイヤーピース、メンテナンスツール

ケーブルは3.5mmアンバランスと4.4mmバランスの2本が標準で付属する

ケーブルは3.5mmアンバランスと4.4mmバランスの2本が標準で付属する

「IE 600」をさっそく聴いてみた

今回、発売前の製品をひと足先に試すことができたので、最後にインプレッションをお届けしたい。組み合わせたDAPはAstell&Kern「KANN ALPHA」。

Astell&Kern「KANN ALPHA」と組み合わせて試聴した

Astell&Kern「KANN ALPHA」と組み合わせて試聴した

まずは、アンバランス接続で聴いてみる。低域については確かに音圧が少なめだ。ただ、量感はしっかりとあり、空間全体でしっかりと響かせるので、フルオーケストラの劇伴なども壮大なスケールがしっかりと感じられる。中音域もとてもクリアでしっかりと伸びており、ボーカルも繊細な質感を残したまま、嫌な刺さり方がしない絶妙な塩梅だ。

続いてバランス接続を試してみる。アンバランス接続に比べると、低域が多少落ち着いてさらにタイトになり、中高域の繊細さがさらに際立つ。全体的には解像度が高いものの、ソリッドにならずにとても自然な音色にまとめあげられていて、何時間でも聴いていられる質の高いサウンドだ。

基本的にはどんな楽曲もそつなくこなすが、やはりボーカルものとの相性がよさそう。ボーカルをていねいに聴かせてくれるので、アコースティックなバラード曲などでは、息づかいや繊細なニュアンスをより感じられるはずだ。

「IE 900」とは異なる方向のサウンドキャラクターを目指して開発された「IE 600」。価格が10万円弱となかなか高価な製品だが、所有欲を満たしてくれる高級感のあるデザインや、付属のケーブルだけでアンバランス・バランスの両方を楽しめる点など、ハイエンドイヤホンとしてなかなか魅力的な製品であることは確かだ。

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

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