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Mini LED搭載モデルも! 最新映像エンジンを搭載したふたつのレグザ最高峰モデルをレポート

Mini LED搭載モデルも! 最新映像エンジンを搭載したふたつのレグザ最高峰モデルを解説

2022年の夏商戦に向け、レグザの最新モデルがついに姿を現した。TVS REGZAは5月17日、レグザの最高峰モデルとして、4K有機ELレグザ「X9900L」シリーズと4K Mini LED液晶レグザ「Z875L」「Z870L」シリーズを発表した。発売日や価格などは以下のとおりだ。

■4K有機ELレグザ「X9900L」シリーズ
65X9900L(65V型、6月中旬発売、市場想定価格55万円前後)
55X9900L(55V型、6月下旬発売、市場想定価格38.5万円前後)

■4K Mini LED液晶レグザ「Z875L」シリーズ
75Z875L(75V型、6月下旬発売、市場想定価格55万円前後)
65Z875L(65V型、6月下旬発売、市場想定価格41.8万円前後)

■4K Mini LED液晶レグザ「Z870L」シリーズ
55Z870L(55V型、6月下旬発売、市場想定価格30.8万円前後)

いずれも、Android TVモデルではなく、レグザ独自の全録機能「タイムシフトマシン」を始めとしたレグザ独自のプラットフォームを搭載したモデルとして登場。事前にメディア関係者向けに開催されたイベントでは、レグザ公式YouTubeチャンネルにも出演している声優・小岩井ことりさんもゲストとして登場し、新製品の特徴解説が行われた。

メディア説明会には声優・小岩井ことりさんも登壇

メディア説明会には声優・小岩井ことりさんも登壇

4K有機ELも4K液晶も画質・音質を大きく強化

新モデルのコンセプトは、“誕生、ふたつのレグザの最高峰”。今回発表された製品群はコンセプトのメッセージどおり、有機ELと液晶というパネルの異なるそれぞれのハイエンドモデルとして登場する。ちなみに、4K有機ELレグザ「X9900L」シリーズと、4K Mini LED液晶レグザ「Z875L」シリーズの2シリーズは、CES 2022で披露した新開発の映像エンジン「レグザエンジンZRα」を搭載する共通するポイントとなっている(詳しくはこちら)。まずは、シリーズ分けの基本となるパネルとサウンド部分から詳しく紹介していこう。

4K有機ELレグザの最新モデルとして今回発表されたのが、65V型と55V型の2サイズ展開で登場する「X9900L」シリーズ。パネルには「新世代レグザ専用高コントラスト有機ELパネル」を搭載。放熱構造をレグザ独自設計したもので、新しい高冷却インナープレートによって輝度を約2割アップしたという。また、新世代の有機ELパネルの特性として、焼き付きへの耐性が大幅に改善しているのも大きな特徴となっている。

4K有機ELレグザのフラッグシップモデルとなる「X9900L」シリーズ。画面サイズは65V型と55V型の2サイズ

4K有機ELレグザのフラッグシップモデルとなる「X9900L」シリーズ。画面サイズは65V型と55V型の2サイズ

「X9900L」シリーズのスペック概要

「X9900L」シリーズのスペック概要

「新世代レグザ専用高コントラスト有機ELパネル」を搭載。これまでよりも輝度が約2割アップしているという

「新世代レグザ専用高コントラスト有機ELパネル」を搭載。これまでよりも輝度が約2割アップしているという

「X9900L」シリーズのスピーカーシステムは、「重低音立体音響システムXHR」を搭載。10基のスピーカーを大容量アンプで駆動する新開発のシステムだ。Dolby Atmosの立体音響、そしてハイレゾ対応でハイレゾロゴも取得している。また、リモコンに搭載された音声認識用マイクを利用したオーディオキャリブレーションにも対応。ちなみに、外部スピーカー出力は残念ながら廃止されたようだ。

レグザとして初めて画面内に音が定位して聴こえる音場を狙ったスピーカーシステムで、スピーカー構成がとても特徴的だ。2wayバスレフボックスのメインスピーカーのほかに、左右のサイドとトップにホーンガイド付きのツイーター、さらに画面中央に有機ELパネルを振動させるスクリーンスピーカー1基、背後には重低音バズーカも搭載する。店頭で流れるオーディオのデモ映像は小岩井ことりさん作曲の音楽で、各スピーカーの特徴もわかりやすい。

「X9900L」シリーズに搭載されたスピーカーシステム「重低音立体音響システムXHR」

「X9900L」シリーズに搭載されたスピーカーシステム「重低音立体音響システムXHR」

トップや左右サイドのツイーターなど、合計10基のスピーカーを用いることで、リアルな音場空間を再現

トップや左右サイドのツイーターなど、合計10基のスピーカーを用いることで、リアルな音場空間を再現

4K Mini LED液晶レグザは、「Z875L」「Z870L」の2シリーズ展開となる。2シリーズにわかれているのは、75V型と65V型の2サイズ用意する「Z875L」シリーズのみ「レグザエンジンZRα」を搭載、55V型のみの「Z870L」シリーズは「レグザエンジンZRα」非搭載と仕様面の違いがあるためだ。

4K Mini LED液晶レグザ「Z875L」「Z870L」シリーズ

4K Mini LED液晶レグザ「Z875L」「Z870L」シリーズ

「Z875L」「Z870L」シリーズのスペック概要

「Z875L」「Z870L」シリーズのスペック概要

最大の特徴はなんといってもMini LED広色域量子ドット液晶パネルの搭載だろう。画面直下に敷き詰めされた極小のMini LEDを緻密に制御することで高コントラストを実現したほか、量子ドットシートを用いて、青色LEDから光の3原色を直接取り出すことで、広色域を実現している。

バックライトとして青色LEDを画面下にびっしりと敷き詰めるとともに、量子ドットシートを組み合わせて高純度の色を取り出すことで、明るく、より自然な色味の映像を実現

バックライトとして青色LEDを画面下にびっしりと敷き詰めるとともに、量子ドットシートを組み合わせて高純度の色を取り出すことで、明るく、より自然な色味の映像を実現

さらに、上位モデルの「Z875L」は、「レグザエンジンZRα」を活用し、仮想細分割エリアで点灯値を算出してから最終的なエリア点灯値を生成する仮想細分割点灯値生成と、階調つぶれを監視しながらLED点灯にあわせて映像補正を行う高コントラスト映像補正を組み合わせた「Mini LEDエリアコントロールZRα」を搭載し、高輝度と引き締まった黒を再現するという。実際に実機をチェックしてみたが、今までの液晶テレビにはない圧倒的な輝度感と色彩豊かな映像を確認できた。

上位モデルの「Z875L」シリーズには、独自の高コントラスト化技術「Mini LEDエリアコントロールZRα」を搭載

上位モデルの「Z875L」シリーズには、独自の高コントラスト化技術「Mini LEDエリアコントロールZRα」を搭載

左が従来機種、右がMini LED広色域量子ドット液晶パネルを採用した機種。これまでの液晶テレビとは一線を画す、明るく色彩豊かな画質を確認できる

左が従来機種、右がMini LED広色域量子ドット液晶パネルを採用した機種。これまでの液晶テレビとは一線を画す、明るく色彩豊かな画質を確認できる

スピーカーシステムは、「重低音立体音響システムZP」を搭載。7基のスピーカーによるシステムで、Dolby Atmosの立体音響、リモコンに搭載された音声認識用マイクを利用したオーディオキャリブレーションにも対応する。スピーカー構成は、2wayバスレフボックスのメインスピーカーを本体下部に2基、トップツイーターを背後上部に2基配置。背面には重低音バズーカも搭載する。

「Z875L」「Z870L」シリーズに搭載されたスピーカーシステム「重低音立体音響システムZP」

「Z875L」「Z870L」シリーズに搭載されたスピーカーシステム「重低音立体音響システムZP」

最新の映像エンジン「レグザエンジンZRα」を搭載。ソフトは独自プラットフォームで新規開発

4K有機ELレグザ「X9900L」シリーズ、4K Mini LED液晶レグザ「Z875L」「Z870L」シリーズに共通する重要な方向転換が、新エンジン「レグザエンジンZRα」の搭載と、レグザ独自プラットフォームの採用だ。

「X9900L」シリーズと「Z875L」シリーズに搭載されている「レグザエンジンZRα」は、2基のLSIで構成されている新エンジンだ。正確にはシステムと基本的な画質処理が「レグザエンジンZR II」と呼ばれるLSI(「Z870L」シリーズはこのLSIのみ搭載)で、さらに「X9900L」「Z875L」シリーズには、新規開発の高画質化処理専用LSIの「レグザエンジンZRα」をあわせて搭載している。システム+高画質専用チップの組み合わせは、レグザの最上位クラスで実績のある構成だ。ちなみに、「レグザエンジンZRα」はとても高価なLSIで、55V型の「Z870L」シリーズはコスト面から採用を見送ったという。

「X9900L」「Z875L」シリーズは、「レグザエンジンZR II」と「レグザエンジンZRα」の2チップ構成を採用

「X9900L」「Z875L」シリーズは、「レグザエンジンZR II」と「レグザエンジンZRα」の2チップ構成を採用

ソフトウェアは、昨年のAndroid TV採用の路線から一転して、レグザ独自開発ソフトウェア(Linuxベース)に回帰。全録機能の「タイムシフトマシン」や「おまかせ録画」、また「ボイスコントロール」などのレグザの独自機能も搭載する。

「タイムシフトマシン」などのレグザ独自機能を搭載

「タイムシフトマシン」などのレグザ独自機能を搭載

Android TVレグザで省かれたヒストグラム表示もしっかりと復活している

Android TVレグザで省かれたヒストグラム表示もしっかりと復活している

実はこのレグザ独自開発ソフトウェアは、従来のレグザで採用していたソフトにそのまま戻した訳ではない。今回発表されたレグザ2022年モデルのシステムプラットフォームに向けて、レグザの操作性や機能を継承した完全新規開発のソフトウェアとなっている。レグザ独自開発ソフトの刷新は、今後主力モデルでレグザ独自開発ソフトを採用していく意思表示と言えそうだ。

「X9900L」「Z875L」には、“ZRα”と名前の付く多数の高画質技術が搭載されている。技術の元になっているのは「レグザエンジンZRα」に搭載されたハードウェアAIエンジンで、高ビット精度の信号処理と最新の超解像技術を強化。LSIの処理能力としても従来比4倍ほどの高性能化された。特に、映像視聴中にAIによる顔認識が働くこと、そして”超解像の2回まわし”が可能となったところがポイントだ。

「AIナチュラルフォーカステクノロジー」は、AIにより近景と背景を判別して、被写体や近景のみに超解像をかけることで遠近感を損なわず高画質化するというもの。「美肌AIフェイストーンZRα」は、顔認識をしたうえで肌色を補正するというもので、人物に最適化した超解像も働く。「ネット動画AIビューティZRα」では、ネット動画の特性にあわせてバンディングを低減。「地デジAIビューティZRα」は、レグザが以前から採用する自己合同性超解像によるフレーム間の差分を利用したノイズリダクションを、対象フレームを変えて2回まわしすることで地デジ特有のチラつくノイズを強力に除去するという。

被写体や近景のみに超解像をかけることで遠近感を損なわず高画質化する「AIナチュラルフォーカステクノロジー」

被写体や近景のみに超解像をかけることで遠近感を損なわず高画質化する「AIナチュラルフォーカステクノロジー」

顔認識をしたうえで肌色を補正する「美肌AIフェイストーンZRα」

顔認識をしたうえで肌色を補正する「美肌AIフェイストーンZRα」

ネット動画の特性にあわせてバンディングを低減させる「ネット動画AIビューティZRα」

ネット動画の特性にあわせてバンディングを低減させる「ネット動画AIビューティZRα」

地デジ特有のチラつくノイズする「地デジAIビューティZRα」

地デジ特有のチラつくノイズする「地デジAIビューティZRα」

なお、今回発売された3シリーズとも4K/120p入力にも対応している。これは、外見は従来ソフトウェアのままでも新プラットフォーム上で動作している成果だ。

今回発表された3シリーズは、すべて4K/120p入力にも対応。レグザでおなじみの強力なゲーミング機能ももちろん搭載

今回発表された3シリーズは、すべて4K/120p入力にも対応。レグザでおなじみの強力なゲーミング機能ももちろん搭載

このほか、リモコンは3シリーズ共通で最新の「新レグザリモコン」を付属。ネット動画ダイレクトボタンがさらに充実し、デフォルトで9つのサービスを呼び出せるようになったほか、レグザ独自の「マイチョイス」も2ボタンに拡大し、使い勝手が大きく向上している。

新デザインのリモコン。「Net.TV」を加えた10のサービスにダイレクトにアクセスできる

新デザインのリモコン。「Net.TV」を加えた10のサービスにダイレクトにアクセスできる

今回は、4K有機ELレグザ「X9900L」シリーズと4K Mini LED液晶レグザ「Z875L」「Z870L」シリーズというレグザ最高峰モデルのみの発表だったが、新開発の映像エンジンを用いた新しいアプローチの高画質機能や、独自のスピーカーシステムを核にした高音質化、レグザ独自開発ソフトウェアなど、注目すべき点はかなり多かった。今後のミドル以下のモデルも含めたフルラインアップの発表も多いに期待できそうだ。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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