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目指したのはリビングオーディオセンター TechnicsのHDMI搭載ネットワークアンプ「SU-GX70」

昨今、テレビでネット動画や音楽ストリーミングサービスを手軽に楽しめるようになるなど、テレビを中心にソースの多様化が進んだことで、テレビと組み合わせて音楽や映像を高音質で楽しみたいという新しいニーズが生まれている。こういったニーズに応えるべく、テレビとの接続を想定したHDMI搭載のプリメインアンプやネットワークオーディオプレーヤーなどがメーカー各社から続々と登場しているのは周知のとおり。

パナソニックのTechnics(テクニクス)ブランドから6月下旬に発売が予定されているネットワークオーディオアンプ「SU-GX70」(メーカー希望小売価格22万円)も、そんなニーズに応えるべく開発された製品だ。Technicsとして初めてHDMI ARCを搭載し、音楽だけでなく映像も高音質で楽しめる“リビングオーディオセンター”を目指して開発された意欲作となっている。

Technics「SU-GX70」

Technics「SU-GX70」

今回、発売に先駆けてメディア向けセミナーが開催されたので、実機の写真を交えながら、「SU-GX70」の特徴を詳しくレポートしていこう。

テレビと組み合わせて音楽や映像を高音質で楽しめる「SU-GX70」

テレビと組み合わせて音楽や映像を高音質で楽しめる「SU-GX70」

ネットワークオーディオはもちろん、テレビやPC、アナログプレーヤーとの接続もこれ1台でOK。HDMIには独自のノウハウを投入

まずは「SU-GX70」の特徴を簡単に説明しよう。「SU-GX70」は、“グランドクラス”で展開されるネットワーク機能搭載のステレオオーディオアンプだ。Amazon Music、Spotify Connect、Deezerなどのストリーミングサービスやインターネットラジオに対応したほか、Wi-FiやBluetooth(コーデックはSBC/AAC)も内蔵しており、Chromecast built inやAirPlay 2を使ったスマートフォン連携も可能となっている。

また、HDMI ARC×1に加え、5系統のデジタル入力(光デジタル×2、同軸デジタル×1、USB Type-A×1、USB Type-B×1)や、3系統のアナログ入力(LINE×2、PHONO(MM)×1)も用意されており、テレビはもちろん、PCやUSBメモリー、アナログプレーヤーといった多彩な機器と接続できるのも大きな特徴となっている。

「SU-GX70」の背面。豊富な入出力端子がずらりと並ぶ

「SU-GX70」の背面。豊富な入出力端子がずらりと並ぶ

そんな「SU-GX70」の目玉機能であるHDMI ARCに関しては、同社がHDMIの規格化やHDMIのLSI開発に携わって造詣が深いこともあり、かなりこだわって作り込んだという。なかでも注力したのが、HDMIの伝送ノイズの低減だ。

HDMI ARCにはさまざまな高音質化技術を投入し、音質に徹底的にこだわったという

HDMI ARCにはさまざまな高音質化技術を投入し、音質に徹底的にこだわったという

HDMIはテレビから音声信号受け取るために、規格上、映像信号の伝送が必要となっている。単純な黒の映像信号でも伝送信号の0と1が常に切り替わっているそうで、このスイッチングノイズがHDMI LSIのノイズになってしまうという。そこで、「SU-GX70」では、映像信号を480pの解像度に抑えて伝送レートを下げるとともに、各ピクセルの値をすべて0に揃えた正真正銘の黒の映像信号を使用することで、HDMI LSI内のノイズを徹底的に抑制。さらに、音声信号をHDMI LSIをバイパスし、デジタルオーディオインターフェイスレシーバーに直接入力することで、音声信号への影響を徹底的に排除したという。

映像信号の伝送レートを下げたり、HDMI LSIをバイパスして音声信号を音声信号をDIRに直接入力するなど、HDMIの伝送ノイズを低減させるためのさまざまな工夫が盛り込まれている

映像信号の伝送レートを下げたり、HDMI LSIをバイパスして音声信号を音声信号をDIRに直接入力するなど、HDMIの伝送ノイズを低減させるためのさまざまな工夫が盛り込まれている

また、フルデジタルアンプ「JENO Engine」を活用し、HDMI ARCに関しても入力から出力まで高品位なデジタル伝送を一貫して採用するとともに、デジタル伝送過程で生じるジッターに関しても、ノイズシェーピング方式のクロック再生成回路とサンプリングレートコンバーターを組み合わせた独自のジッター削減回路で徹底的に抑制しているという。

フルデジタルアンプ「JENO Engine」を活用し、HDMI ARCも入力から出力まで高品位なデジタル伝送を一貫して採用している

フルデジタルアンプ「JENO Engine」を活用し、HDMI ARCも入力から出力まで高品位なデジタル伝送を一貫して採用している

さらに、HDMI回路やネットワーク回路に起因したノイズへの対策として、HDMI回路とネットワーク回路をそれぞれ独立した形で電源オフにできる「Pure Amplification Mode」を搭載。こちらは、電源をオフにすることで、余裕のある電源供給にも貢献してくれるそうだ。

「Pure Amplification Mode」で使用できるセレクターの一覧。HDMI ARCだけでなく、ネットワーク機能や多彩な入力端子でさまざまな入力ソースに対応した「SU-GX70」ならではの機能と言える

「Pure Amplification Mode」で使用できるセレクターの一覧。HDMI ARCだけでなく、ネットワーク機能や多彩な入力端子でさまざまな入力ソースに対応した「SU-GX70」ならではの機能と言える

もちろん、TechnicsのHi-Fiコンポーネントらしく、HDMI ARCに関する部分以外も見どころは多い。たとえば、電源まわりでは、低ノイズ・低インピーダンス化を狙い、プリアンプ用電源からパワーアンプ用専用電源を独立して搭載。アナログ入力も、LINEとPHONOをディスクリート構成にするとともに、フォノイコライザー回路はMMカートリッジ特化でクオリティを追求するなど、かなりこだわった作り込みがなされている。

ほかにも、スピーカーの設置場所に合わせて最適な音質に調整する「Space Tune」の搭載や、テレビ台に収まりやすいスリムな筐体、インテリアや組み合わせるデバイスに合わせて選べる2色のカラーバリエーションの採用など、リビングへの設置を想定した配慮もうれしいところ。HDMIを含む多彩な入力ソースへの対応と合わせ、1台でさまざまな使い方ができる、まさにリビングオーディオセンターにふさわしい充実したモデルと言えそうだ。

インテリアや組み合わせるデバイスに合わせて選べるように、シルバーとブラックの2色のカラーバリエーションを用意

インテリアや組み合わせるデバイスに合わせて選べるように、シルバーとブラックの2色のカラーバリエーションを用意

ヘアライン仕上げの7mm厚アルミフロントパネルや、アルミ無垢材を使用したボリュームノブなど、デザインも細部までこだわっている

ヘアライン仕上げの7mm厚アルミフロントパネルや、アルミ無垢材を使用したボリュームノブなど、デザインも細部までこだわっている

「SU-GX70」を聴いてみた

今回、発売に先駆けて「SU-GX70」にスピーカー「SB-G90M2」を組み合わせた環境で試聴することができた。

「SU-GX70」を試聴

「SU-GX70」を試聴

USBメモリーに格納されたDSD音源や、ネットワークSACDプレーヤー「SL-G700M2」を使ったCD音源、「SL-1200G」を使用したアナログレコード音源、ブルーレイレコーダー「ディーガ DMR-ZR1」を使用した映像コンテンツなどを試聴させてもらったが、やはり印象的だったのはHDMI ARCを活用した映像コンテンツの試聴だ。

今回、エリック・クラプトン『The Lady In The Balcony: Lockdown Sessions』に収録されている『Layla』のライブ映像を試聴させてもらったが、とにかく中高音がとてもクリアで、感情豊かに響くアコースティックギター、やさしいタッチで奏でられるキーボード、細かなニュアンスを巧みに描き分けるドラムまで、まるで会場で直接聴いているかのようなリアルなライブ感が見事に再現できており、紛れもなくHi-Fiサウンドだった。ここまでサウンドクオリティがアップすると、音楽コンテンツだけでなく、映画やゲームなどと組み合わせるもの面白そうだ。

6月24日(土)と6月25日(日)の2日間にわたって東京国際フォーラムで開催される「OTOTEN AUDIO & HOME THEATER FESTIVAL 2023」では「SU-GX70」も展示されるということなので、興味のある方はぜひTechnicsブースに足を運んでみてはいかがだろうか。

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

AV家電とガジェット系をメインに担当。ポータブルオーディオ沼にどっぷりと浸かっており、家のイヤホン・ヘッドホンコレクションは100を超えました。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットも増えてます。家電製品総合アドバイザー資格所有。

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