イベントレポート

【CES2024】TVS REGZAのAI技術が進化! OLEDは新パネルを採用

米国ラスベガスで大型家電見本市「CES 2024」が開幕し、さっそく各社のプレスカンファレンスでは新製品が発表されている。TVS REGZAは昨年に続きCESへ出展しており、それに合わせて、国内でも説明会を実施。2024年製品への搭載が見込まれる新技術の展示が行われた。

説明会で強調されたメッセージは、「レグザは有機ELも本気、Mini LED液晶も本気」。2023年までに引き続き、有機ELテレビでも液晶テレビでも高画質化に力を入れていくという。

この文脈でフィーチャーされるのは、2024年もオリジナル映像処理エンジンである「レグザエンジンZRα」。TVS REGZAのコアと言えるこのエンジンにはAIが含まれており、その中身が毎年進化しているのだ。もちろん「レグザエンジンZRα」は2024年の高級モデルにも搭載される見込みで、進化の内容は画質だけではなく、音質にも及ぶ。

2024年も、同社最上位グレードの映像処理エンジンは「レグザエンジンZRα」が継続される

2024年も、同社最上位グレードの映像処理エンジンは「レグザエンジンZRα」が継続される

高画質技術の進化:AIがシーンを判別して画質を最適化する「AI光景再現テクノロジー」

まず説明されたのは、画質処理についての進化について。2023年モデルまでは、再生したコンテンツタイプをAIが判別し、その種類に合わせた最適化を行っていたという。新たに追加された機能はシーンごとの判別だ。

シーンごとに映像の最適化を図るのが新機能の主眼。特定のシーンを検出すると、それに対して最適な処理をかける

シーンごとに映像の最適化を図るのが新機能の主眼。特定のシーンを検出すると、それに対して最適な処理をかける

上のスライドのように、刻一刻と変わる映像にあわせて夜景や花火、スポーツなどの特徴的なシーンを検出して、カラースペースを広げる、黒を沈める、ピークを伸ばすなどの最適化を行うというもの。

たとえば夜景の処理はどうかといえば、明るい光の色が抜けず、しっかりと色が乗ったまま輝くことが理想だろう。そういったベーシックな点を最適化しつつ、闇に埋もれがちなごく小さな光を適宜エンハンスしてコントラスト感を出す。もし、夜景以外のシーンで同じ処理をしてしまうと、色が不自然になってしまうこともあるような“攻めた”処理だ。最適化された処理を適切なシーンに適用することで、画質をより最適な状態で見せるということだ。

花火のシーンも似たような絵柄だと思ってしまうところだが、局所的に光っては消える、という動きがかなり大きい。この夜景との違いが実は最適化処理にも大きな影響を及ぼすという。符号化で暗部にノイズが出やすいという特徴があるので、夜景とは大分異なる処理が必要になるというのだ。

そのほか、大きな格闘イベントのリング上は全方向からの照明で空間全体がハレーション気味。こうしたコンテンツを臨場感たっぷりに楽しむために考えたのは、そのハレーションを除去するという処理。同時に選手の体を検出して筋肉の隆起を強調するような処理も入る。これにより、全体に見通しがよく、選手に集中して見られるような画質を目指したとしている。

こうした処理が現実的にどこまで効果的に適用されるかはわからないが、ながらく自動画質調整モードとして「おまかせ」を推進してきたTVS REGZAのこと、期待はできるだろう。

Mini LED制御もさらに進化:「Mini LED高コントラストテクノロジー」

「レグザエンジンZRα」の進化は有機EL、液晶テレビ双方に適用されるものだが、Mini LED液晶テレビのソフトウェアについてはさらに特徴的な進化があると紹介された。

Mini LEDバックライトを従来よりもダイナミックに制御することで、より高いコントラストを実現するというものだ。2024年以降のMini LEDバックライトは平均輝度もピーク輝度も稼げるような新世代のハードウェアとなる見込みだが、それだけでなく、さらにソフトウェアでも精密なコントロールを行う

Mini LEDバックライトは、細かなLEDバックライトを映像に合わせて個別にリアルタイムで明滅させる(ローカルディミングする)ことで高いコントラストを得られるというメリットがある。

しかし、LEDの点灯時間については短くするにも限度がある。その限度よりも素早い応答性を得るために、LED消灯時には同時に電流を絞る処理も行い、黒の部分の「締まり」を追求するのだ。さらに、この処理で「絞った」分の余剰電流を、ピークを光らせるために流用。結果として高いコントラストを得るという。

Mini LEDバックライトのシステム自体も最新になることが見込まれるいっぽうで、有機ELパネルについてももちろん最新になるとも説明された。現在販売されている有機ELテレビには搭載されていない、「2024年モデル」とのこと。詳細は非公開だが、LGディスプレイ製が採用される模様だ。

高音質技術の進化:マルチアンプ駆動のイコライジングを最適化

高音質化のための処理については、ユニットごとのイコライジングを施して没入感を得る「レグザイマーシブサウンド 5.1.2」が紹介された。

TVS REGZAの高級テレビといえば多くのユニットを要することがひとつの特徴でもある。新処理では、これらの制御時に各ユニットで周波数特性を調整した後に合算するという方法をとる。かなり計算量は増えることになるが、より臨場感を高める効果を期待できるという。

多くのスピーカーユニットの特性をそれぞれに最適化し、その後合算することが新機能のポイント

多くのスピーカーユニットの特性をそれぞれに最適化し、その後合算することが新機能のポイント

テレビの画質チェック時は自動画質調整モードの確認を

2024年は始まったばかりだが、このCESでの展示だけでも有機ELテレビ、Mini LED液晶テレビの成熟が進みそうな期待を持たせてくれる。

特に自動画質調整を行う画質モードは最新のテレビでは定番機能と言えるし、この機能が適切に進化することはユーザーにとっての恩恵がとても大きい。テレビの使い方として、基本的には自動画質調整系のモードで固定してしまうのが一般的なはずだからだ。

また、ここにはメーカーごとの考え方つまり「画作り」が反映されやすい。テレビの画質を見る場合にはぜひチェックしてほしいポイントだ。

なお、2023年の有機ELテレビについては5メーカーの画質比較を実施している。自動画質調整系のモードの比較映像も確認できるので、この動画も以下からご覧いただければ幸いだ。

柿沼良輔(編集部)
Writer / Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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