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ゼンハイザー開放型モニターヘッドホン最上位「HD 490 PRO」。2種類のイヤーパッドで使い分けが可能

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ゼンハイザー開放型モニターヘッドホン最上位「HD 490 PRO」。2種類のイヤーパッドで使い分けが可能

ゼンハイザージャパンから、開放型のリファレンススタジオモニターヘッドホン「HD 490 PRO」「HD 490 PRO Plus」が発表された。発売日は3月21日、市場想定価格は「HD 490 PRO」が66,000円前後、「HD 490 PRO Plus」が77,000円前後(ともに税込)だ。

同社は2021年にコンシューマー事業をSonovaへと譲渡、ゼンハイザーブランドは現在、プロフェッショナル向け製品をゼンハイザー自身が、コンシューマー向け製品をSonovaが展開する形となっている。今回登場する「HD 490 PRO」と「HD 490 PRO Plus」は、製品名にPROを冠したプロフェッショナル向け製品となり、コンシューマー向け製品となる既存の「HD600」シリーズや「HD800」シリーズなどとは異なり、国内ではゼンハイザージャパンの取り扱いとなる。

ゼンハイザーのプロフェッショナル向けモニターヘッドホンは、これまで「HD 400 PRO」(2022年発売)が最上位モデルとして君臨していたが、今回の「HD 490 PRO」「HD 490 PRO Plus」の登場により、久々に最上位モデルがアップデートされることになる。なお、「HD 490 PRO」と「HD 490 PRO Plus」の違いは付属品のみで、ヘッドホン本体はまったく同じものとなる。

「HD 490 PRO Plus」には、「HD 490 PRO」のパッケージ内容に加え、3mケーブル、ヘッドバンド用追加パッド(ファブリック素材)、ケースが付属

「HD 490 PRO Plus」には、「HD 490 PRO」のパッケージ内容に加え、3mケーブル、ヘッドバンド用追加パッド(ファブリック素材)、ケースが付属

現代の音楽制作環境の変化に合わせてモニターヘッドホンを再定義

近年はPCを使った音楽制作が主流になりつつあり、リスナーもイヤホンやヘッドホンで音楽リスニングを楽しむようになってきていることから、エンジニアやミュージシャンにとってすぐれたモニターヘッドホンへの重要性はますます高まってきている。同社はこういった音楽制作環境の変化に合わせてモニタリングヘッドホンにも変化が必要であるという認識から、今回の新製品では新たな製品開発のアプローチを導入。

具体的には、数千ものオンライン製品レビューを分析するとともに、開発段階からプロユーザーへのインタビューを実施し、リアルな意見を製品開発に反映。新製品では、音楽制作に求められる「音の正確さ」はもちろんのこと、現代のモニターヘッドホンに求められる長時間装着でも疲れない「快適さ」、制作とミックスの両方をカバーできる「汎用性」、長期にわたって安心・快適に使える「耐久性」にも注力したそうだ。

音だけでなく、現代のモニターヘッドホンに求められる「快適さ」「汎用性」「耐久性」にも注力

音だけでなく、現代のモニターヘッドホンに求められる「快適さ」「汎用性」「耐久性」にも注力

トランスデューサー(ドライバーユニット)は口径38mmのものをチョイス。正確かつ明瞭な低音再生を実現するため、磁気回路に最先端のネオジム磁石を使用したほか、低周波シリンダーを導入したそうだ。また、「HD 400 PRO」にも導入されている傾斜をつけたイヤーカップデザインを採用し、トランスデューサーの配置を最適化することで、5〜36,000Hzという非常に広い周波数特性と、ワイドで立体的なサウンドステージを実現。オープンメッシュのイヤーカップカバーには独自の「オープン・フレーム・アーキテクチャ」を採用し、THD・共振を最小限に抑えるとともに、ヘッドホンの耐久性も高めているという。

「HD 400 PRO」にも導入されている傾斜をつけたイヤーカップデザインを採用

「HD 400 PRO」にも導入されている傾斜をつけたイヤーカップデザインを採用

オープンメッシュを採用したイヤーカップカバー。ハニカム構造で耐久性アップにも寄与している

オープンメッシュを採用したイヤーカップカバー。ハニカム構造で耐久性アップにも寄与している

長時間の使用を想定し、本体は重量260g(ケーブルを含まない)という軽量設計を採用。どんな形状の頭でも同じ側圧になるように設計したという特許技術を用いた独自のヘッドバンドを採用することで、快適性とともにユーザーを問わず同じ音響効果を得られるようにこだわったそうだ。

ヘッドバンドやイヤーパッドの素材・形状・配置などを細部までこだわり、音へ影響することなく装着時の快適性を追求したという

ヘッドバンドやイヤーパッドの素材・形状・配置などを細部までこだわり、音へ影響することなく装着時の快適性を追求したという

さらに、さまざまな音楽制作環境で使えるよう、用途によって使い分けられる2種類のイヤーパッドが付属しているのも「HD 490 PRO」と「HD 490 PRO Plus」の大きな特徴だ。ベロア素材のイヤーパッドは温かみのある音で遠近感を生み出すことで、音楽制作全般で利用できるように、ファブリック素材のイヤーパッドはフラットでニュートラルな音で特にミキシング用途に適しているという。なお、2種類のイヤーパッドは簡単に付け替えでき、取り外して洗濯機で丸洗いすることも可能だ。

写真左がベロア素材のイヤーパッド、右がファブリック素材のイヤーパッド

写真左がベロア素材のイヤーパッド、右がファブリック素材のイヤーパッド

イヤーパッドの形状は同じだが、表面素材を含めて最適化を実施。利用用途に適した音響特性に仕上がっているという

イヤーパッドの形状は同じだが、表面素材を含めて最適化を実施。利用用途に適した音響特性に仕上がっているという

メガネをかけた人でも長時間快適に装着できるよう、イヤーパッドのメガネのツルの部分が当たる部分のクッション性も工夫したそうだ

メガネをかけた人でも長時間快適に装着できるよう、イヤーパッドのメガネのツルの部分が当たる部分のクッション性も工夫したそうだ

ケーブルは、ケーブル伝搬ノイズを防ぐため、特許取得済みのケーブルコイル構造を採用。なお、ヘッドホンからは片側出しとなるが、利用する環境に合わせてヘッドホンの左右どちらに接続するかユーザーが選択可能となっている。

ケーブル伝搬ノイズを防ぐため、ケーブルコイル構造を採用

ケーブル伝搬ノイズを防ぐため、ケーブルコイル構造を採用

ヘッドホン側のコネクターはミニXLR

ヘッドホン側のコネクターはミニXLR

ヘッドホンの左右どちらにもケーブルを接続できる

ヘッドホンの左右どちらにもケーブルを接続できる

付属ケーブルのプラグ部分は3.5mm。標準プラグ変換アダプターも付属する

付属ケーブルのプラグ部分は3.5mm。標準プラグ変換アダプターも付属する

このほか、DAWのプラグインとして使用可能なイマーシブオーディオ制作ツール「Dear Reality」のソフトウェア「dearVR MIX-SE」のアクティベーションコードも付属。イマーシブオーディオをはじめとしたさまざまな音響環境のシミュレーションが可能で、スタジオ以外の場所でもミキシングなどの作業を手軽に行えるようになっている。

ゼンハイザー「HD 490 PRO」と「HD 490 PRO Plus」の主な仕様

ゼンハイザー「HD 490 PRO」と「HD 490 PRO Plus」の主な仕様

「HD 490 PRO」を実際に聴いてみた

今回、短時間ながら「HD 490 PRO」を試聴するとこができたので、最後にインプレションをお伝えする。

イヤーパッドの異なる「HD 490 PRO」2台を聴き比べてみた

イヤーパッドの異なる「HD 490 PRO」2台を聴き比べてみた

サウンドはフラットなタイプで、モニターヘッドホン然としたクセのないニュートラル志向。低域もしっかりとつかみやすく、いい意味で開放型ヘッドホンらしくないところが面白い。傾斜をつけたイヤーカップデザインのおかげか、サウンドステージがしっかりと広がり、距離感もつかみやすく、立体感もしっかりと感じられた。

ベロア素材のイヤーパッドは音の境界線がシームレスになるようで、楽曲の全体像がわかりやすくなり、作品そのものを聴き込むのに適していると感じた。モニターヘッドホンでありながら自然な音調で聴き疲れしにくいのも◎。いっぽう、ファブリック素材のイヤーパッドはベロア素材のものに比べて音の粒立ちがよく、音色も寒色系にシフト。音楽制作において1つひとつの音をしっかりと確認し、細部まで音を作り込みたいならファブリック素材のイヤーパッドのほうが向いているだろう。このあたりは、製品の狙いどおりといったところか。

「HD 490 PRO」でも6万円オーバーと決して安くはないモデルだが、1台で2つの使い方ができ、幅広いシーンに対応できるというのはなかなか面白い。音楽制作向けのハイエンドな開放型モニターヘッドホンが近年徐々に増えているが、新たな選択肢が増えたことはうれしいかぎりだ。気になる人はぜひ、手に取ってみてほしい。

遠山俊介(編集部)
Writer / Editor
遠山俊介(編集部)
2008年カカクコムに入社、AV家電とガジェット系の記事を主に担当。ポータブルオーディオ沼にはまり、家にあるイヤホン・ヘッドホンコレクションは100オーバーに。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットにも手を出している。家電製品総合アドバイザー資格所有。
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