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最新世代「QD-OLED」とMini LED 2つのフラッグシップが揃う2024年「AQUOS」

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シャープのテレビ「AQUOS(アクオス)」の2024年モデルが一挙に発表された。ラインアップは有機ELテレビやMini LEDバックライト搭載液晶テレビなど、全部で17機種。パネル解像度はすべて4K(3,840×2,160)だ。

ここでは、「2つのフラッグシップモデル」として、展開される「QD-OLED」パネル搭載有機テレビ「GS1」ラインとMini LEDバックライト搭載液晶テレビ「GP1」「GP2」ラインを中心に概要を紹介する。

発表された17機種は以下のとおり。

●「GS1」ライン:有機ELのフラッグシップ「AQUOS QD-OLED」
「4T-C65GS1」 65V型 市場想定価格60万5,000円前後 6月15日発売
「4T-C55GS1」 55V型 市場想定価格44万円前後 6月15日発売

●「GQ1」「GQ2」ライン:「WOLED」パネルのスタンダード有機EL
「4T-C77GQ1」 77V型 市場想定価格80万3,000円前後 6月22日発売
「4T-C65GQ1」 65V型 市場想定価格47万3,000円前後 6月22日発売
「4T-C55GQ1」 55V型 市場想定価格36万3,000円前後 6月22日発売
「4T-C48GQ2」 48V型 市場想定価格28万6,000円前後 6月22日発売
「4T-C42GQ2」 42V型 市場想定価格27万5,000円前後 6月22日発売

●「GP1」「GP2」ライン:Mini LEDバックライト搭載 液晶のフラッグシップ「AQUOS XLED」
「4T-C75GP1」 75V型 市場想定価格71万5,000円前後 6月15日発売
「4T-C65GP1」 65V型 市場想定価格47万3,000円前後 6月15日発売
「4T-C55GP1」 55V型 市場想定価格36万3,000円前後 6月15日発売
「4T-C50GP2」 50V型 市場想定価格25万3,000円前後 6月15日発売
「4T-C43GP2」 43V型 市場想定価格24万2,000円前後 6月15日発売

●「GN1」「GN2」ライン:倍速パネルのスタンダード4K液晶
「4T-C75GN1」 75V型 市場想定価格39万6,000円前後 7月6日発売
「4T-C65GN1」 65V型 市場想定価格28万6,000円前後 7月6日発売
「4T-C55GN1」 55V型 市場想定価格24万2,000円前後 7月6日発売
「4T-C55GN2」 55V型 市場想定価格20万9,000円前後 7月20日発売
「4T-C50GN2」 50V型 市場想定価格18万7,000円前後 7月20日発売

有機ELテレビ、Mini LEDバックライト搭載液晶テレビ、それぞれで比較的小型(42V型/43V型)の製品があることに注目したい

有機ELテレビ、Mini LEDバックライト搭載液晶テレビ、それぞれで比較的小型(42V型/43V型)の製品があることに注目したい

明るさを向上させた有機EL/Mini LED液晶「2つのフラッグシップ」

冒頭のとおり、シャープでは有機ELテレビ「AQUOS QD-OLED(キューディーオーレッド)」とMini LEDバックライト搭載液晶テレビ「AQUOS XLED(エックスレッド)」をどちらが上、とすることなく「2つのフラッグシップモデル」として展開するという。

「映画やライブを、ムード満点に楽しむ」のが「AQUOS QD-OLED」、「明るいリビングで、いろいろな番組を見る」のが「AQUOS XLED」という具合に、視聴環境や好みのコンテンツに合わせて選ぶことを提案している。

ユーザー目線で言えば、これは合理的なすみ分けと言えるだろう。「ムード満点」は部屋を暗くして、テレビに正対して映画を見ると言い換えてもよいと思う。明るく、原理的に「焼き付き」の心配のないMini LEDバックライト搭載液晶テレビは使いやすく、安心感もあるだろう。シャープ製テレビに限らず、選択の際のひとつの基準にできる発想だ。

すべてのモデルの映像処理エンジンが進化

「QD-OLED」の「GS1」ライン、「XLED」の「GP1」「GP2」ラインに搭載される映像処理エンジンは「Medalist S5X」。従来よりも処理速度を向上させ、より緻密な映像処理を行うという

「QD-OLED」の「GS1」ライン、「XLED」の「GP1」「GP2」ラインに搭載される映像処理エンジンは「Medalist S5X」。従来よりも処理速度を向上させ、より緻密な映像処理を行うという

まずは17機種に共通する最新仕様について紹介しておこう。映像処理のためのエンジンが最新世代のものにアップデートされている。「QD-OLED」および「XLED」に搭載されるのが「Medalist S5X」、そのほかが「Medalist S5」。どちらもAIによる画質・音質の最適化などを図る最新エンジンだ。「Medalist S5X」と「Medalist S5」で処理能力は異なるようだが、基本機能は共通している。

「AIオート」で「むずかしさゼロ」

「AIオート」モードを選べば、画質・音質を自動で最適化してくれる。その際は、再生するコンテンツだけでなく、周囲の明るさ・色温度も参照する

「AIオート」モードを選べば、画質・音質を自動で最適化してくれる。その際は、再生するコンテンツだけでなく、周囲の明るさ・色温度も参照する

最新映像処理エンジンで実現する主な機能として紹介されたのが「AIオート」などの画質の自動最適化だ。コンテンツのジャンル判別や映像のリアルタイム解析、照明の具合などを総合的に判断し、AIが常に映像の最適化を図る。シャープでは、こうした機能を前面に押し出し、「むずかしさゼロ」のテレビとしてアピールするようだ。

コンテンツに応じた自動最適化を図る映像モードを持つことは、昨今のテレビでは当然になりつつある。機能自体がほかのテレビとの差異にはなりづらいが、PCモニターとの大きな差となることは間違いない。特に映画を楽しむためのディスプレイ(画面)として使うならば、テレビのこうした機能を積極的に評価して、選んでほしい。

映像の精細感を出す超解像処理もAIが自動で行うほか、低ビットレートの映像に表れがちなノイズも自動で処理できるとしている

映像の精細感を出す超解像処理もAIが自動で行うほか、低ビットレートの映像に表れがちなノイズも自動で処理できるとしている

番組ジャンルがわかる場合はそれを判別の基準に使い、さらに映像をリアルタイムでエリア別に参照し、局所的にコントラストを調整する

番組ジャンルがわかる場合はそれを判別の基準に使い、さらに映像をリアルタイムでエリア別に参照し、局所的にコントラストを調整する

OSはGoogle TVで、各種ネット動画サービスもテレビだけで再生可能。リモコンには各種動画へのダイレクトボタンを搭載する

OSはGoogle TVで、各種ネット動画サービスもテレビだけで再生可能。リモコンには各種動画へのダイレクトボタンを搭載する

2024年のAQUOSでは、2画面同時表示機能の復活もアピールする。以前は搭載されていたが、Android、Google TVへの移行にあたってしばらく使えなかった機能だ。放送+放送あるいは放送+HDMI入力の2画面表示に対応し、左右の画面を拡大/縮小表示できる

2024年のAQUOSでは、2画面同時表示機能の復活もアピールする。以前は搭載されていたが、Android、Google TVへの移行にあたってしばらく使えなかった機能だ。放送+放送あるいは放送+HDMI入力の2画面表示に対応し、左右の画面を拡大/縮小表示できる

ゲーム需要を受けて、「GS1」「GQ1」「GP1」ライン、「GN1」の75V型モデルで144Hz駆動にも対応する

ゲーム需要を受けて、「GS1」「GQ1」「GP1」ライン、「GN1」の75V型モデルで144Hz駆動にも対応する

明るさを増してパネル駆動も最適化した「GS1」ライン

それでは、それぞれの“ライン”の特徴を見ていこう。有機ELテレビのフラッグシップ「GS1」ラインは、昨年に引き続き、量子ドット技術を活用した有機ELパネル「QD-OLED」を採用する。純度の高い色を取り出しやすいことが特徴とされる、サムスンディスプレイ製の最新世代有機ELパネルだ。

有機EL発光層の前面に光の波長を変化させる量子ドット層を置き、任意の色を取り出す。量子ドット技術の概要は下記関連記事からご覧いただきたい

有機EL発光層の前面に光の波長を変化させる量子ドット層を置き、任意の色を取り出す。量子ドット技術の概要は下記関連記事からご覧いただきたい

従来よりも輝度が向上したという最新の「QD-OLED」を採用しつつ、シャープ独自のパネル構造「クールダウンシールドII」と、パネル駆動回路「クライマックスドライブ2.0」で、従来モデル比(「4T-C65GS1」と「4T-C65FS1」との比較で)約15%増しの明るさを実現したという。

また、単に明るいだけでなく、「QD-OLED」パネルに対する知見が積み重ねられたこともパネル制御に生かされているという。シャープとしては「QD-OLED」採用製品は2代目。より最適化が進んでいるということだろう。

発光時の放熱を効率的に行う「クールダウンシールドII」を採用。効率よく熱を分散し、放熱することで、熱上昇を抑えることが狙いだ。発光を制御するための回路が進化したことが「GS1」ラインのポイント

発光時の放熱を効率的に行う「クールダウンシールドII」を採用。効率よく熱を分散し、放熱することで、熱上昇を抑えることが狙いだ。発光を制御するための回路が進化したことが「GS1」ラインのポイント

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ブラッシュアップされた11スピーカーシステム

上向きに設置されたハイトスピーカーを使い、立体音響を再現する「AROUND SPEAKER SYSTEM PLUS」を搭載。11基のスピーカーを総合100W出力のアンプで駆動する。従来よりもサブウーハーの容積を増やすなどの強化がされており、「GS1」と「GP1」で共通の仕様だ

上向きに設置されたハイトスピーカーを使い、立体音響を再現する「AROUND SPEAKER SYSTEM PLUS」を搭載。11基のスピーカーを総合100W出力のアンプで駆動する。従来よりもサブウーハーの容積を増やすなどの強化がされており、「GS1」と「GP1」で共通の仕様だ

上向きにセットされたハイトスピーカー(ミッドレンジ)のユニットが、「パワーボイススピーカー」に変更されたことが「GS1」「GP1」ラインでの進化のポイント。磁気回路に、高い磁束密度を持ったネオジムを使っている

上向きにセットされたハイトスピーカー(ミッドレンジ)のユニットが、「パワーボイススピーカー」に変更されたことが「GS1」「GP1」ラインでの進化のポイント。磁気回路に、高い磁束密度を持ったネオジムを使っている

ハイトスピーカーの前面に取り付けられたユニット保護用のパンチングメタルも改良されている。開口率を上げることでより抜けのよい音を実現したという

ハイトスピーカーの前面に取り付けられたユニット保護用のパンチングメタルも改良されている。開口率を上げることでより抜けのよい音を実現したという

幅広いサイズ展開のスタンダード有機EL「GQ1」「GQ2」ライン

「AQUOS」の有機ELテレビは、採用パネルによって明確に2つに分かれる。「GQ1」「GQ2」ラインは、LGディスプレイ製のいわゆる「WRGB」パネルを使った製品群だ。LGディスプレイ製の有機ELパネルには、「MLA」技術を使った高級品もあるが、こちらはあくまでスタンダード品だろう。

「GQ1」と「GQ2」ラインの主な違いは、画面サイズとそれにともなうパネル構造、パネル駆動回路、そしてスピーカーシステム

77V型、65V型、55V型を揃える「GQ1」ラインは、「GS1」ラインから少し簡素にはなっているが、独自構造のパネル炭素製シートを省略した「クールダウンシールド」)を採用。これを「Sparkling Drive EX」で制御する。

いっぽうの「GQ2」ラインは48V型と42V型。こちらのパネル構造は独自品を謳っておらず、制御回路は“無印”の「Sparkling Drive」だ。それでも、いずれも最新世代のパネルを使っていると見込まれるため、従来モデルよりも高輝度化されているはずだ。

また、「GQ1」「GQ2」ラインどちらもスピーカーシステムにもこだわりを見せる。「GQ1」ラインは上向きに音を放射するハイトスピーカーとしてミッドレンジとツイーターを搭載する2ウェイ構成。「GQ2」は小型ながらハイトスピーカーとしてツイーターを搭載。立体的な音響空間の再現を目指している。

明るさを向上させたMini LED液晶「GP1」「GP2」ライン

「AQUOS」における液晶テレビのフラッグシップとして展開されるのが、Mini LEDバックライト搭載の「AQUOS XLED(エックスレッド)」。75V型、65V型、55V型の「GP1」と、50V型、43V型という比較的“小型”の「GP2」ラインで構成されている。

「GP1」ラインだけが4K/144Hz駆動への対応や広視野角の「N-Black Wideパネル」を採用することを考えれば、画質的な本命はこちらと言えるが、「GP2」で“小型”のMini LEDバックライト搭載液晶テレビに選択肢が生まれたこと自体に注目したい。

PCモニターなどでは小型のMini LEDバックライト搭載液晶モデルは存在するが、テレビでMini LEDを……と考えるとどうしても55V型以上がメインとなってしまう現状があったのだ。「GP2」ラインは映り込みを抑える「N-Blackパネル」ではあるものの、そこまで大きな画面ではない。画面に正対していれば、そこまで視聴時の角度がつくことはないため、広視野角処理が必須ではないという判断がされたのかもしれない。

2022年モデル「4T-C65EP1」と比べると、「4T-C65GP1」の明るさは約15%アップ。これは「AQUOS史上最高の明るさ」であるという

2022年モデル「4T-C65EP1」と比べると、「4T-C65GP1」の明るさは約15%アップ。これは「AQUOS史上最高の明るさ」であるという

実用的なスペックとして注目したいのが、広視野角を実現する「N-Black Wide」パネル。「GP1」ラインのみに採用されたパネルで、斜めから見ても色が浅くならないという

実用的なスペックとして注目したいのが、広視野角を実現する「N-Black Wide」パネル。「GP1」ラインのみに採用されたパネルで、斜めから見ても色が浅くならないという

左が2022年モデル「4T-C65EP1」で右が新製品「4T-C65GP1」。斜めから見ると、「4T-C65GP1」のほうが色の変化が少ない。写真でも、「4T-C65EP1」では色が浅く見えてしまうことがわかるだろう

左が2022年モデル「4T-C65EP1」で右が新製品「4T-C65GP1」。斜めから見ると、「4T-C65GP1」のほうが色の変化が少ない。写真でも、「4T-C65EP1」では色が浅く見えてしまうことがわかるだろう

「GP2」ラインとして50V型、43V型がラインアップされる

「GP2」ラインとして50V型、43V型がラインアップされる

スタンダードな倍速4K液晶「GN1」「GN2」ライン

最後に紹介するのは、倍速パネルのスタンダードな4K液晶テレビ「GN1」「GN2」ライン。「GN1」と「GN2」ラインの大きな違いは、バックライトのエリア駆動(ローカルディミング)に対応するかどうか。「GN1」では、エリアごとに分けられたLEDバックライトを分割して駆動し、高コントラスト化を図っている。簡単に言えば、このバックライトを非常に細かく分割したのがMini LEDということ。

また、「GN1」ラインの75V型のみ144Hz駆動に対応し、広視野角の「N-Black Wideパネル」を搭載するなど、少しスペックが充実している。

まとめ:「QD-OLED」の有機ELと“小型”Mini LED液晶に注目!

有機ELテレビ、Mini LEDバックライト搭載液晶テレビ、ともに明るさを向上させたという順当な進化を遂げた2024年の「AQUOS」。ユーザーとして考えるならば、気になる点は2つ。「QD-OLED」パネルを採用した「GS1」ラインの画質と、“小型”Mini LEDバックライト搭載液晶「GP2」の存在だ。

良し悪しはともかく、LGディスプレイ製のパネルとは異なる発色を見せていた「QD-OLED」搭載テレビがどのようにブラッシュアップされたか、「GS1」ラインには期待したいところ。

また、43V型から選べるMini LEDバックライト搭載液晶テレビとして、市場で「GP2」の存在がどう受け入れられるか、そして画質はどうか、このあたりに注視したい。

柿沼良輔(編集部)
Writer / Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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