レビュー

アンプ一体型ストリーマー「WiiM Amp」をレビュー、HDMI ARCでテレビ接続も可能とコスパ最強!

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ネットワークプレーヤーの「WiiM」シリーズの最新モデルとして、アンプ一体型のストリーマーLinkPlay「WiiM Amp」が2024年4月26日に発売された。

2024年4月26日に発売されたLinkPlay「WiiM Amp」。ダイレクトショップの販売価格は51,975円(税込み)

2024年4月26日に発売されたLinkPlay「WiiM Amp」。ダイレクトショップの販売価格は51,975円(税込み)

LinkPlay社の「WiiM」シリーズと言えば、2022年の「WiiM Mini」で日本上陸以降、一気に支持を獲得したハイコスパなネットワークプレーヤー。人気の理由はコンパクトな筐体に「AirPlay 2」やサブスク音楽配信などネットワークオーディオの充実、スマホアプリ操作などの使い勝手のよさ、そしてHi-Fiオーディオ愛好家の求めるオーディオ級の高音質が揃うモデルだったからだ。しかし、これまでに登場した「WiiM Mini」「WiiM Pro」「WiiM Pro Plus」は外部アンプの接続を前提とした純ネットワークプレーヤーだった。

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2023/06/24 09:00

そんな中で登場した最新の 「WiiM Amp」は、これまでのネットワークプレーヤーの仕様はそのままに、60Wのアンプを一体化したオールインワン仕様。LinkPlay社の呼び方としては”ストリーマーアンプ”だが、他社のオーディオ機器と呼び名を揃えるなら”ネットワークプレーヤー搭載プリメインアンプ”だ。「WiiM Amp」は、今どきの需要に合わせてかHDMI ARC端子搭載でテレビ接続にも対応している。

「WiiM Amp」を購入する前提で考えると、後は音質の好みの合うパッシブスピーカーを組み合わせればよいだけなので、Hi-Fiオーディオ入門のミニマム形として最適。「WiiM Amp」と持て余していたパッシブスピーカーを組み合わせ、今どきのストリーミング対応オーディオにアップグレードさせるのもよいだろう。

前置きは長くなったが、そんな「WiiM Amp」の使い勝手と音質をレビューしていく。

どことなく「Mac mini」にも似たミニマムな外見

まずは「WiiM Amp」の外見からチェック。本体カラーはシルバーとスペースグレーの2色展開(貸出機はシルバー)。「WiiM Amp」より前に発売された歴代の「WiiM」シリーズはブラックの樹脂製筐体を採用していたが、最新の「WiiM Amp」はアルマイト処理を施したアルミニウム筐体を採用し、Macっぽさもある洗練されたデザインに生まれ変わった。本体サイズは190(幅)×190(奥行)×63(高さ)mmとコンパクトだが、アルミニウム筐体となったことで剛性は高まったものの、重量は1.84kgと見た目以上に重くなっている。

外見は「Mac mini」に似ていると個人的には思った

外見は「Mac mini」に似ていると個人的には思った

付属リモコンは今どきのデジタルガジェット風

付属リモコンは今どきのデジタルガジェット風

「WiiM Amp」はESS Sabre DACチップ「ESS 9018 K2M」搭載し、内蔵アンプはTexas Instruments「TPA 3255」のClass-Dパワーアンプで、定格出力はチャンネルあたり60W(8Ω時)とパワフル。2.1chシステム向けにサブウーハー出力を搭載しているのもポイントだ。

60Wのアンプを搭載。パッシブスピーカーと直接接続可能だ

60Wのアンプを搭載。パッシブスピーカーと直接接続可能だ

今回、手持ちのスピーカーからJBLのパッシブスピーカー「STAGE A130」と組み合わせて小型のオーディオコンポを構築。「WiiM Amp」はHDMI ARC端子搭載でテレビとの接続も想定しているため、テレビ回りを設置場所にした。

「WiiM Amp」と「STAGE A130」でシステムを構築

「WiiM Amp」と「STAGE A130」でシステムを構築

実際のセットアップは非常に簡単。電源とスピーカーの接続を済ませた後、スマホに「WiiM Home」のアプリをインストール。すると、近くの「WiiM Amp」を認識するため、ガイドにしたがって操作していけばOKだ。アップル製品やSonosなどと同様、いい意味でオーディオ製品らしさがまったくないし、アカウント登録や起動時のログインなど、わずらわしさがないところも好印象だ。

設置以降の操作はほぼ「WiiM Home」のアプリでできる

設置以降の操作はほぼ「WiiM Home」のアプリでできる

「WiiM Home」アプリは多数のサブスク音楽配信とネットワークサービスに対応。メジャーどころでは、SpotifyやAmazon Music、TIDALなどが使用できる。

「WiiM Home」アプリからサブスク音楽配信に直接アクセス

「WiiM Home」アプリからサブスク音楽配信に直接アクセス

なお、同じくハイレゾロスレス対応のApple Musicは非対応……ではあるものの、iPhoneやMacから「AirPlay 2」でキャストすれば再生は可能だ。同じようにAndroidスマホユーザーもChromecastで各種音源をキャストできる。

「AirPlay 2」対応のため、iPhoneからApple Musicの再生も可能

「AirPlay 2」対応のため、iPhoneからApple Musicの再生も可能

音質にもこだわるユーザーから特に支持されているサービスといえばAmazon Musicだろう。Amazon Music HDなら、192kHz/24bitのロスレスオーディオでの再生が可能だからだ。そんなAmazon Musicを再生する際の操作方法は以下の2通り。

1つは「WiiM Amp」を「Amazon Alexa(Works with Alexa)」としてAmazonアカウントに登録しておくことができるため、登録後は「WiiM Amp」がAmazon「Echo」シリーズ等と同じ扱いになり、Amazon Musicアプリから再生先として指定できる。もう1つはAmazon Musicにログインし、「WiiM Home」のアプリから操作・選曲する方法だ。

Amazon Musicアプリからも再生できるため扱いやすい

Amazon Musicアプリからも再生できるため扱いやすい

小型プリメインとして音質のコスパは良好

実際に「WiiM Amp」のサウンドを聴き込んでみた。

スピーカーを設置したリスニング時の写真

スピーカーを設置したリスニング時の写真

宇多田ヒカル「BADモード」を聴いてみたのだが、すぐに「WiiM Amp」のよさがわかった。小型ブックシェルフスピーカーの「STAGE A130」による再生であるが、キックドラムの低音のパワー感が小気味よく駆動されるし、歌声の背後にサウンドステージが広がる。Dyana Krallのジャズナンバー「夢のカリフォルニア」でもボーカルは透明感ある空間に浮かぶし、アコギやピアノの音色も艶やか。ウッドベースの音の刻みの克明さは特筆ものだ。

オーディオ的な解釈では、DAC性能による分解能の高さと余裕あるアンプ駆動によるS/N、音純度にすぐれたサウンド。サウンドクオリティは格安アンプの粋ではなく、質感表現のレベルにまで踏み込んでいる。実のところ、「WiiM Amp」を設置して最初の出音を聴いた瞬間に「これが約5万円はコスパよすぎだな」と思ったほど。

再生ソースはAmazon Music(Amazon Musicアプリから「Amazon Alexa(Works with Alexa)」として操作、および「WiiM Home」アプリからAmazon Musicを操作)の音質が最も良好。AirPlay経由では若干中高域の音に差があるものの、これはオーディオ愛好家のレベルであって通常のリスニングレベルでは十分高音質だ。

また、「WiiM Amp」にはサブウーハー出力端子もあるため2.1chのシステム構築も可能だ。サブウーハー出力の設定は「WiiM Home」アプリから登録でき、レベルやクロスオーバー周波数、フェーズ、レイテンシー+/-が調整可能。

アプリからサブウーハー関連も設定可能。レベルとクロスオーバー周波数は耳を頼りに50Hzに設定

アプリからサブウーハー関連も設定可能。レベルとクロスオーバー周波数は耳を頼りに50Hzに設定

リスニング位置に陣取り、音楽を再生した状態のままリアルタイムでサブウーハー出力のOn/Offなどを切り替えられるため聴き比べが容易、というのも地味にうれしい。リスニング環境のJBL「STAGE A130」に同じシリーズのサブウーハー「STAGE A100P」を追加した2.1ch環境の音質は、リズム刻みの深さの伸びが加わり、ライブ感や臨場感が大幅にアップする効果を確認できた。

テレビ接続やUSBメモリー再生などネットワーク再生以外もアリ

「WiiM Amp」は、外部入力端子が取り揃えられているためネットワーク再生以外でも活躍する。オーディオ関連ではライン入力、光デジタル入力もあるし、USBメモリー再生もできるうえにスマホなどとBluetoothで接続することも可能。なお、操作はリモコンやアプリから切り替え可能だ。

背面の入力端子。プリメインアンプに近いひと通りの端子が揃う

背面の入力端子。プリメインアンプに近いひと通りの端子が揃う

外部入力の目玉は、何と言ってもテレビ接続可能なHDMI ARC搭載。つまり「WiiM Amp」を薄型テレビに接続し、パッシブスピーカーと組み合わせれば小型シアターとしての使い方もできるのだ。ただ、音声信号はステレオPCMのみでDolby DigitalもDTSも非対応で、特別サラウンド機能がある訳でもない。しかし、これはほかのプリメインアンプも同様だ。最近流行りの“プリメインアンプをオーディオ用のスピーカーとしてステレオで超高音質に再生したい”という用途に応えている。

テレビ側にはサウンドバーなどと同じ扱いで認識される

テレビ側にはサウンドバーなどと同じ扱いで認識される

実際に「WiiM Amp」のテレビ音声再生も確認してみた。HDMI CECの連動は正しく作り込まれていて、「REGZA Z970M」との接続では外部オーディオシステムとして認識し、テレビ側のリモコンのみで音声操作も連動。なおテレビ側の音声出力は、Dolby Digital音声が入って来た際にオートでは出なかったため、最初からPCMの設定に固定してしまうことを推奨したい。

電源連動は、「WiiM Amp」が電源スタンバイ状態でも、テレビの電源が入ると自動で電源復帰して音が出せる。なお、起動中の優先順位は後から入力したほうが優先で、音楽再生中でもテレビを付ければテレビ音声に切り替わるため扱いやすい。電源管理については、「WiiM Amp」は自動でスタンバイするため心配不要だ(初期設定では2分)。

テレビ用スピーカーとして「WiiM Amp」のサウンドを聴くのは格別だった。今回組み合わせた「STAGE A130」はHi-Fiオーディオ用のスピーカーとしては安価なモデルではあるが、地デジのニュースやバラエティを見るだけでも音の通りのよさ、情報量の多さを実感。映画鑑賞などエンタメ目的でも、やはりスピーカー音質のよさは正義だ。

ステレオではあるが、高音質なHi-Fiスピーカーでサブスク動画配信を視聴する体験は格別

ステレオではあるが、高音質なHi-Fiスピーカーでサブスク動画配信を視聴する体験は格別

抜群の使いやすさと、音質コスパにすぐれる「WiiM Amp」。サブスク配信前提のHi-Fiオーディオ入門、テレビ接続用の2chオーディオシステムなど、今どきのオーディオシーンに全方位にマッチした入門モデルとして個人的にはとても満足なモデルだと思った。

折原一也
Writer
折原一也
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家。「オリチャンネル」主催。IT系出版の編集者出身で、2004年に独立後はモノ雑誌やオーディオ・ビジュアル専門誌で活動。2009年より音元出版主催のVGP審査員。画質・音質にこだわるAV評論家ではあるが、ライフスタイルになじむ製品、コスパにすぐれた製品を評価する庶民派。2022年に立ち上げたYouTubeチャンネル「オリチャンネル」では、取材メディアの人間として一次情報の発信、検証と測定データに基づくレビューなど独自の発信も行っている。最近のマイブームはAI全般。
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手柴太一(編集部)
Editor
手柴太一(編集部)
出版社でファッション誌やカルチャー誌、WEBファッションマガジンの編集を経て、現職へ。家電初心者ならではの視点で、読者に寄り添った記事を制作できるよう現在奮闘中。趣味は映画、漫画、小説、麻雀、総合格闘技観戦、等。
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