イヤーフックによる安定した着け心地とケーブルレスによる快適性から、スポーツやワークアウト向けの完全ワイヤレスイヤホンとして人気の「Powerbeats Pro」。「Powerbeats」シリーズ初の完全ワイヤレスイヤホンとして2019年5月に発売されてからすでに4年以上が経過し、後継モデルの登場が期待されていましたが、最新モデル「Powerbeats Pro 2」がついに発表されました。
カラーバリエーションはジェットブラック、クイックサンド、ハイパーパープル、エレクトリックオレンジの全4色展開で、価格は39,800円(税込)。明日2月13日から販売が開始されます。
Beats「Powerbeats Pro 2」
中身もデザインも大幅にアップデートされた「Powerbeats Pro 2」。さっそく新モデルの特徴を詳しく見ていきましょう。
Beatsがアップルファミリーに正式に加わったのが2014年のこと。これ以降、Beatsのサウンドテクノロジーにアップルの技術を組み合わせた製品が登場しはじめ、世代を追うごとに進化を遂げてきました。
なかでもアップルの技術との融合として最も象徴的なのが、アップル独自開発の“Appleシリコン”を取り入れたことでしょう。「Powerbeats」シリーズも、「Powerbeats Pro」の前身となるケーブル一体型のワイヤレスイヤホン「Powerbeats3 Wireless」で「Apple W1」チップを搭載。初の完全ワイヤレスイヤホンとして登場した「Powerbeats Pro」では、「Apple H1」チップが搭載されました。そして今回登場した「Powerbeats Pro 2」では、「AirPods Pro(第2世代)」や「AirPods 4」と同じ「Apple H2」チップが新たに搭載されました。
「Powerbeats Pro 2」には、「AirPods Pro(第2世代)」や「AirPods 4」と同じ「Apple H2」チップが新たに搭載されました
先代の「Powerbeats Pro」では、「Apple H1」チップを用いることで、スポーツやワークアウト向けの完全ワイヤレスイヤホンに求められるすぐれたバッテリー性能や安定した接続性を実現していました。いっぽうで、「Powerbeats Pro」では同じ「Apple H1」チップを搭載した「AirPods Pro」や「AirPods Max」のようなアクティブノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能、ダイナミックヘッドトラッキング機能などは非搭載となっていました。
「Powerbeats Pro」が登場した当時は、スポーツやワークアウト向けの完全ワイヤレスイヤホンにそれらの機能は不要という判断だったのかと思いますが、完全ワイヤレスイヤホンが日常生活で欠かせない存在となった昨今の状況を考えると、機能面でやや物足りなくなっていたのも事実です。
その点、今回登場した「Powerbeats Pro 2」はパワフルな処理能力を備えた「Apple H2」チップの搭載により、アクティブノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能、ダイナミックヘッドトラッキング機能など、「Powerbeats Pro」になかった数々の新機能が盛り込まれました。特に屋外でのスポーツやワークアウトでのイヤホン利用における安全性確保という点においてマストで押さえておきたい外音取り込み機能が利用できるようになったのは大きな進化点と言えます。
アクティブノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能、ダイナミックヘッドトラッキング機能など、「Powerbeats Pro」になかった数々の新機能を搭載
外音取り込み機能が搭載されたことで、屋外でのスポーツやワークアウトにも積極的に活用できそうです
また、「Powerbeats Pro 2」がスポーツやワークアウト向けの完全ワイヤレスイヤホンの新たな提案として、心拍数モニタリング機能を搭載した点も見逃せません。心拍数モニタリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンというのは他社からも発売されていますが、「Powerbeats Pro 2」は「Apple Watch」の開発で培った技術を活用。「Apple Watch」比で1/16という小型のハードウェアモジュールを用いることで、完全ワイヤレスイヤホンという小型のフォームファクターでありながら精度の高い心拍数モニタリングを実現したそうです。
イヤホン本体のノズル近く、赤く囲った部分が心拍数モニタリング用センサー。イヤホンの左右それぞれに配置されています
さらに、「Powerbeats Pro 2」は「Apple H2」チップを搭載したことで、測定した心拍数データをiPhoneやiPadの「Appleヘルスケアアプリ」を使ってリアルタイムでモニタリングが可能となっています。また、「Nike Run Club」などの対応するフィットネスアプリにも測定した心拍数データをリアルタイムで連携可能。測定したデータを「Appleヘルスケアアプリ」と連携させておけば、測定データをあとで振り返るといったこともできます。
サードパーティアプリの一部でも心拍数モニタリング機能に対応。発売時点で日本市場で対応するアプリは、「Nike Run Club」と「Slopes」、「YaoYao ジャンプロープ」の3つになるそうです
なお、これまでのBeats製品同様、「Powerbeats Pro 2」は「Beatsアプリ」を使ってAndroidデバイスでも心拍数データ連携含めてほぼすべての機能にアクセスできます。ただし、ノイズキャンセリング/外音取り込みモードの切り替えや「Appleヘルスケアアプリ」との連携など、シームレスなユーザー体験という点ではアップル製品との組み合わせのほうがベターなのは間違いありません。
アクティブノイズキャンセリングや心拍数モニタリング機能などの新機能ばかり注目されがちですが、「Powerbeats Pro 2」は装着感や音質についても大きく進化しています。
Beats「Powerbeats Pro 2」のイヤホン本体(写真はエレクトリックオレンジ)
まず装着感についてですが、激しく動いた際にも安定した装着感を得られるイヤーフック付きイヤホンという「Powerbeats」シリーズに共通するデザインは今回も引き継がれています。そのうえで、アップルが持つ膨大な耳型のデータなどの活用や、約1,000名のアスリートを対象にテストを実施し、ブランドの頭文字「b」のロゴをあしらったコントロールボタンや音量調節ボタンといった「Powerbeats Pro」譲りの操作性や、IPX4等級の耐汗耐水性能などはそのままに、快適さと音響性能を両立したデザインを追求したそう。
なかでも特にこだわったのがイヤーフックだそうで、高い柔軟性とグリップ感、快適さを追求するため、「Powerbeats Pro 2」ではニッケルチタン合金が新たに採用されました。イヤーフック部分だけで50%以上小型化しており、重量も先代の「Powerbeats Pro」に比べて20%も軽くなったそうです。さらに、イヤホン本体の小型・軽量化により、充電ケースも「Powerbeats Pro」から33%小型化し、携帯性もアップしています。
「Powerbeats Pro 2」ではイヤーフックにニッケルチタン合金を新たに採用。フックの部分はフレキシブルに動き、やわらかな素材で覆われていて耳当たりもよく、メガネをかけている人でも装着しやすくなっています
写真左が「Powerbeats Pro」、右が「Powerbeats Pro 2」の充電ケース。「Powerbeats Pro」に比べて33%小さくなりました。厚みもだいぶ抑えられたので、持ち運びしやすくなっています
付属のイヤーチップはXS/S/M/L/XLの全5サイズに拡大。耳へのフィット感をより細かく調整できるようになったのもポイントです
音質に関しても、「Studio Buds」よりも大きい9.5mmの2層構造カスタムメイドトランスデューサーや高出力アンプの採用、新しいベント設計の導入など、アコースティック構造を中心に徹底的に追及。アクティブノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能など、新しいリスニングモードにもしっかりと対応しつつ、バランスのとれた迫力のサウンドに仕上げたそうです。
実際に「Powerbeats Pro 2」のサウンドを体験してみましたが、昨今のBeats製品とはひと味違ったサウンド。締まったタイトな低音域でBeatsらしい迫力さは残しつつ、サウンドバランス的には若干のカマボコ型で、ボーカル曲だとしっかりと前に出てきます。スポーツやワークアウト向けイヤホンということもあり、屋外で利用するケースが比較的多いかと思いますが、外音取り込み機能をオンにした状態でも低音が心地よく鳴ってくれるので、周囲がある程度騒がしい街中などでも気持ちよく聴けるかと思います。
なお、バッテリー駆動時間ですが、イヤホン本体はノイズキャンセリング機能オフで10時間、ノイズキャンセリング機能オンで8時間、充電ケース併用の場合はノイズキャンセリング機能オフで45時間、ノイズキャンセリング機能オンの場合で36時間となっています。また、心拍数モニタリング機能は省電力なセンサーモジュールを用いたことで、バッテリーへの影響はほぼないそうです。
ここまで「Powerbeats Pro 2」の特徴を詳しく見てきました。元々「Powerbeats Pro」の時点でもスポーツやワークアウト向けの完全ワイヤレスイヤホンとしてはかなり完成度が高かったですが、ノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能、心拍数モニタリング機能が新たに加わり、スポーツやワークアウトだけでなく、日常使い含めてさらに使いやすくなったのは間違いありません。
イヤホンをウェアラブルデバイスのように健康管理に活用する事例としては、「AirPods Pro 2」が耳の聴こえ方を補助するという方向性ですでに先行していますが、今回登場した「Powerbeats Pro 2」は心拍数モニタリング機能を搭載することで、まったく異なる方向性を示してくれました。心拍数までモニタリング可能なスポーツやワークアウト向けの完全ワイヤレスイヤホンの貴重な選択肢として、特にアップルユーザーにとって魅力的な1台になってくれそうです。