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アニメ作陣とREGZA X910の画質設計者も太鼓判

東芝の最新有機ELレグザでHDR版「シドニアの騎士」を見てきた!

映像配信サービスのNetflixは、同社初となるHDRアニメ「シドニアの騎士」の配信開始を記念し、東芝の最新有機ELテレビ「REGZA X910」を使用した上映イベントを開催。アニメ制作陣とREGZA X910の画質設計者がそのこだわりを語ってくれた。

Netflixと東芝が共同で開催したHDR版「シドニアの騎士」の上映イベント

Netflixと東芝が共同で開催したHDR版「シドニアの騎士」の上映イベント

アニメ「シドニアの騎士」は、弐瓶勉氏の同名コミックを原作に、ポリゴン・ピクチュアズが制作した3DCGアニメ作品だ。同作品はNetflixですでに配信されていたが、今年1月1日からは、既存のSDR版に加え、HDR版の配信がスタートした。

輝度を拡大し、映像表現の幅を広げる「HDR(ハイダイナミックレンジ)」は、薄型テレビの最新トレンドとして注目を集めている。HDR対応作品は、Ultra HD Blu-rayとして発売されているハリウッド映画が中心だが、NetflixもHDRを使ったコンテンツの制作に積極的で、海外ドラマシリーズの「マルコ・ポーロ」や、又吉直樹のベストセラー小説を実写化したドラマシリーズ「火花」など、Netflixのオリジナル作品を中心にHDR対応コンテンツを増やしている。アニメに関しても米国制作で劇場公開されているタイトルには例があるが、日本で制作・TV放送もされたアニメ作品としては「シドニアの騎士」が初のHDR版の制作が行われたタイトルとなる。

「シドニアの騎士」制作陣とREGZA X910の開発者が語るHDRの魅力

今回のイベントには、アニメ「シドニアの騎士」でプロデューサーを務めるポリゴン・ピクチュアズの石丸健二氏、同作品の副監督の吉平直弘氏、東芝で有機ELテレビ「REGZA X910」の高画質設計を担当する東芝ソリューション開発センター オーディオ&ビジュアル技術開発部グループ長の山内日美生氏が出席。Netflixからはコンテンツ制作の技術サポートを担当するメディアエンジニアリング&パートナーシップの宮川遙氏が登壇し、HDR版「シドニアの騎士」の魅力が口々に語られた。

左からポリゴン・ピクチュアズプロデューサーの石丸氏、副監督の吉平氏、東芝の山内氏、Netflixの宮川氏

左からポリゴン・ピクチュアズプロデューサーの石丸氏、副監督の吉平氏、東芝の山内氏、Netflixの宮川氏

プロデューサーの石丸健二氏は、「NetflixさんにHDR版として作っていただいたものを拝見した時に、光が明るいなと印象を持ちました。実際我々が作った映像を高解像度で(米国スタッフに)渡したものなのですが、HDR版を見ると情報が多くて、ディテールの色の多さが違いました」とHDR版を視聴した驚きを語る。

副監督の吉平直弘氏は「白と黒の表現が全然違います。明るい部分が白飛びして見えなかった、黒い所は黒潜りして見えなかったところが全部見えます。今までSDRの狭いレンジで一生懸命中間階調を再現していた所が、HDRでは高いコントラストを保ったまま、美しい中間階調が見える。作りたかった絵に近づいています」と、クリエイターの立場からその表現力を賞賛した。

会場ではHDRとSDRを並べて「シドニアの騎士」のクリップを上映

会場ではHDRとSDRを並べて「シドニアの騎士」のクリップを上映

HDR版はエレベーターの屋外の景色も表現されていた

HDR版はエレベーターの屋外の景色も表現されていた

東芝で有機ELテレビ「REGZA X910」の画質設計を担当する山内日美生氏は「HDRでは、星のところの一つ一つの明るさが違うことまでわかりますし、トンネルから出撃するシーンも、暗い所に非常に細かいディテールが出ています」とその表現力を語り、副監督の吉平直弘氏は「星の明るさは今まで表現することができなかったのですけど、HDRになると本当に小さい星もまぶしく表現でき、我々としてももっと色んなことができます」と、HDR版による新しい表現の期待を述べた。

Netflixの宮川氏は「HDRコンテンツは明部と暗部だけでなく、色の表現力も高まっています。SDRコンテンツはBT.709という色域ですが、HDRコンテンツはDCI P3を使っています」と色の表現力にも言及した。

トークショーでも言及されたトンネルからの発射のシーン

トークショーでも言及されたトンネルからの発射のシーン

宇宙のシーン。HDR版では暗部に浮かび上がる星の表現がSDR版よりもすぐれている

宇宙のシーン。HDR版では暗部に浮かび上がる星の表現がSDR版よりもすぐれている

夕日の色の濃さもHDR版の色域による表現

夕日の色の濃さもHDR版の色域による表現

今回、トークイベント終了後にHDR版の「シドニアの騎士」の1話全篇を視聴させていただいた。HDR版と聞くと高輝度で派手なシーンをイメージしがちだが、「シドニアの騎士」では、まぶしく感じるシーンもなかにはあるものの、全篇を通してまぶしいと感じるということはなかった。これについては、演出としてHDRを効果のある所にメリハリを付けて使用することで、3DCG制作の作品がアニメ的な表現を用いることで徐々に受け入れられていったように、アニメ的な表現のなかでHDRが受け入れられることを目指したということだ。

Netflixは世界最大規模のオリジナルコンテンツ制作会社に

イベントには、Netflix代表取締役社長のグレッグ・ピーターズ氏も登壇。Netflixの全世界の会員数は9300万人に到達し、年間60億ドル以上を投入して大量のオリジナルコンテンツを制作する会社になったと言及。HDR版の配信をスタートした「シドニアの騎士」については、「力強いビジュアルや空間設計が行われた作品」としてその魅力を語った。

Netflix代表取締役社長のグレッグ・ピーターズ氏

Netflix代表取締役社長のグレッグ・ピーターズ氏

東芝映像ソリューション常務取締役の池田俊宏氏も挨拶に登壇。同社初の4K有機ELテレビとなるREGZA X910については、”没入感”を映像のテーマとして掲げ、人間の見た目そのままの世界を再現するHDRの表現力を訴えた。

東芝映像ソリューション常務取締役の池田俊宏氏

東芝映像ソリューション常務取締役の池田俊宏氏

Netflixの宮川氏は、Netflixのユニークな取り組みとして、「MERIDIAN」というコンテンツを紹介。同社は、あえてエンコードの難しい高難易度に制作された同コンテンツを用いてエンコード技術を磨いているという。なお、同コンテンツはエンコード技術を検証するためにクリエイティブ・コモンズ・ライセンスにより無償公開されているのだが、「オープン・ソースで開発が進むシリコンバレーの考えをハリウッドに持ち込んでいる」と、高画質技術の発展に向けた取り組みをアピールしていた。

Netflixがクリエイティブ・コモンで公開する「MERIDIAN」

Netflixがクリエイティブ・コモンで公開する「MERIDIAN」

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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