2017年2月9日、ambie(アンビー)は東京都内で発表会を開催し、耳を塞がず音楽を楽しめるイヤホン「ambie sound earcuffs(アンビー サウンド イヤカフ)」を発表した。同社は、ベンチャーキャピタルのWiLとソニービデオ&サウンドプロダクツが、WiLが持つオープンイノベーションノウハウと、ソニーの音響技術を掛け合わせたオーディオ製品やデジタルコンテンツの開発を行うために設立したジョイントベンチャー。今回発売されるambie sound earcuffsは、同社の第1弾製品となる。価格は5500円(税別)で、本日より、同社Webサイトのほか、RonHermanや蔦谷家電といったライフスタイルショップで発売を開始する。
ambie sound earcuffsの発表会の様子。左から、ambie sound earcuffs開発責任者の三原良太氏、ゲストの高橋メアリージュンさん、高橋ユウさん、代表取締役の松本真尚氏
ambie sound earcuffsは、名前が示す通り、イヤーカフのように耳にはさんで装着できるというこれまでにないまったく新しいイヤホンだ。耳の裏側にドライバーユニットを配置し、そこから音道管を通じて耳穴近くで音を出す仕組みになっており、これまでのイヤホンのように耳穴を塞がず装着できるため、会話などのミュニケーションをしながらでも音楽を楽しめるというのが最大の特徴となっている。
ambie sound earcuffs
ambie sound earcuffsを手のひらにのせたところ。本体は約5.2g(ケーブル含まず)と非常に軽量だ
イヤーカフのように耳に挟んで装着する
実際に装着するとこんな形になる
ambie sound earcuffsなら、イヤホンのように周囲の音が聴こえないということもなく、スピーカーのように周囲の人を巻き込んで音楽を聴く必要もない
サウンド面では、ソニーの音響技術を活用した外磁型磁気回路搭載の9mm径の高感度ダイナミックドライバーを採用することで、耳を塞がない構造でありながら、豊かな音の表現を実現したという。また、音道管を通る際に減衰する帯域を持ち上げるようにチューニングすることで、音のバランスを最適化したほか、独自の音道管設計により、解放感と音漏れのバランスを最適化することで、音漏れも一般的なイヤホンと同等レベルまで軽減しているという。
なお、今回のambie sound earcuffs、スペックを見てみると、インピーダンスが16Ωということを除き、一般的なイヤホンの仕様に記載されているような音響特性や感度が明らかにされていない。これについては、製品の特性上、耳の穴に直接音が届かず、装着状況によって音の感じ方も異なるため、あえて記載していないということだ。
ソニーの持つすぐれた音響技術を用いることで、耳を塞がないというこれまでにない構造を実現しつつ、音質面で満足のいくものができたという
大量の耳の寸法データをもとに設計したというイヤカフ構造の本体は、さまざまな耳の形に対応できるように曲面設計を採用。外装にはシリコン素材を用い、柔らかな装着感を実現している。なお、本体は防水や防滴には非対応。カラーバリエーションは、Asphalt Black、My Heart White、Pop Sky、Stamp Orange、Toypu Brown、Cuctas Greenの全6色をラインアップしている。ケーブルは約1.2mのY字型で、左側にはワンボタンタイプのインラインリモコンとマイクを装備。プラグは3.5mm4極でストレート形状だ。
Asphalt Black
My Heart White
Pop Sky
Stamp Orange
Toypu Brown
Cuctas Green
インラインリモコンも装備している
今回、手持ちのスマートフォンの中にある音楽ファイルを聴きながら登壇者の話を聴くという、これまでにないスタイルで発表会が行われ、実際に製品を体験することができた。スポーツイヤホンなどでも、アンビエント構造を採用して、周囲の音を聞き取りやすくするというものはこれまでにもあったが、ここまではっきりと周囲の音を聞きとれるというのはこれまでなく、かなり新鮮な体験だった。構造上、密閉型のイヤホンに比べると低音域がかなり薄いが、耳穴を圧迫されない解放感は、耳穴を塞がないambie sound earcuffsならではだ。
いっぽうで、気になったのが音漏れ。BGM程度の音量で聴いている分には問題ないのだが、音楽をしっかりと聴き込むといった感じの音量になると、やはり音漏れが気になる。図書館などの静かな場所や、満員電車などで使うときはボリュームに注意したほうがいいだろう。また、ambie sound earcuffsは、ケーブルを引っかけてしまったときに誤ってケガをしないように、音道管の先のシリコンパーツが外れて、耳から本体がすぐに外れるようになっているのだが、これが装着に慣れていないとけっこう簡単に外れてしまう。一回装着してしまえば、外れるようなことはないのだが、慣れるまでは注意が必要かもしれない。
音道管の部分の先に取り付けられているシリコンパーツは簡単に外れてしまう
パッケージには、シリコンパーツの予備が2つ付属する
いろいろと書いてしまったが、周囲の音をここまでしっかりと聞きとれるambie sound earcuffなら、これまでのイヤホンでは楽しめなかった新しい体験ができるのは間違いない。好きな音楽を楽しめるイヤホンが欲しいけど、周囲の音が聴こえないのは怖いという人には、ambie sound earcuffsはかなりうってつけの製品といえそうだ。