レビュー
プロやハイアマチュアから注目を集める最新のクリップオンストロボ

“世界最小のスタジオライト”「Profoto A1」の実力を試した!

プロフェッショナル向けストロボを手がける「Profoto(プロフォト)」から同社初となるクリップオンストロボ「A1」が登場した。スタジオライトに匹敵する光の質にこだわって開発された、プロやハイアマチュア注目の製品である。キヤノン用とニコン用がラインアップされているが(ソニー用は今後登場する予定)、その人気は高く、予想を超える予約数のため、2017年11月下旬に予定されていた国内の入荷が2018年1月下旬に変更になったほどだ。ここでは、普段プロフォトのモノブロックストロボ「B2」を使用している筆者が、A1の実力を試してみた。

プロフォト初のクリップオンストロボ「A1」。画像は、ニコンの35mmフルサイズ一眼レフ「D850」にニコン用のA1を組み合わせたもの

今回、2灯のA1(ニコン用とキヤノン用それぞれ1灯)と、無線コントローラー「Air Remote TTL」を使用。オンカメラ1灯で光の回り方をテストしたほか、オンカメラ1灯+オフカメラ1灯での多灯撮影や、Air Remote TTLを使用してのオフカメラ撮影も行った

トップメーカーのプロフォトが手がける初のクリップオンストロボ

プロフォトは、スウェーデンのストックホルムに本社を置く、プロフェッショナル向けストロボのトップメーカーだ。40年以上にわたってプロ向けのストロボを開発してきており、最近では、HSS(ハイスピードシンクロ)やTTL自動調光、リモート無線シンクロ「Air Remote」などの多彩な機能を持つ、高品位なモデルを次々と発売。最新のラインアップでは、最高1/80000秒の超高速閃光時間を実現したスタジオジェネレーター「Pro-10」や、最大出力500Wsのバッテリー式モノブロックストロボ「B1X」、バッテリー分離型のコンパクトなモノブロックストロボ「B2」など意欲的なモデルが並んでいる。

そんなプロフォトの最新モデルとなるのがA1だ。同社としては初となるクリップオンタイプのストロボである。ただし、同社はクリップオンストロボではなく、クリップオンとしての使用が可能な「世界最小のスタジオライト」とうたっている。とはいえ、A1はけっしてスタジオでの使用のみを想定した製品ではない。他のプロフォト製品と同じように性能や機能にこだわって開発されており、スタジオライトに匹敵する品質を持つクリップオンストロボであると自信を持っている。だからこそ、同社はA1を「世界最小のスタジオライト」と表現しているのだ。

A1のパッケージにはA1本体、スタンド、バウンスカード、バウンスカード用ホルダー(ポーチ付き)、ドームディフューザー、ワイドレンズ、バッテリーチャージャー、ケースなどが付属する。スタンドは底面に1/4カメラネジ穴が搭載されており、スタンドや三脚に装着できる

スタジオライトに匹敵する高品質な光を実現

「世界最小のスタジオライト」をうたうA1の最大の特徴は、スタジオライトに匹敵する高品質な光を実現していることだ。

「高品質な光」とは、発光ごとに出力や色にばらつきが少なく、光が滑らかに広がることを意味する。クリップオンストロボは発光管が小さいこともあり、スタジオライトに比べると出力にムラが多く、色も青くなりがち。光も直線的なので、ヘッドを被写体に向けて光を直接当てると色や質感が損なわれてしまうことになる。そうしたクリップオンストロボのネガティブなところを払拭するため、A1には、プロ向けのスタジオライトの開発で培った技術が生かされている。

ヘッドには、一般的なクリップオンストロボのような四角形ではなく、スタジオライトと同じ円形のものを採用。発光管はクォーツ管で横長の形状になるが、前面にフレネルレンズを採用しているほか、焦点距離によって位置が変化する4枚のレンズと、発光部の後ろに金属のリフレクターを用いることで滑らかに広がる光を実現している。

円形のフレネルレンズを採用するなどして滑らかに広がる光を実現

円形のフレネルレンズを採用するなどして滑らかに広がる光を実現

色温度は、一般的なスタジオライトの多くがそうであるように、デイライトの5500K前後に設計。クリップオンストロボは発光管が小さいため、デイライトよりも色温度が高くなる傾向がある。6000Kを超えるものが多く、環境光に合わせにくいところがあるが、5500K前後のA1ではそうした心配はない。スタジオライトと組み合わせる場合にも適した設計だ。

最大出力は76Ws。クリップオンストロボの光量は一般的にGN(ガイドナンバー)で表記されるが、A1はスタジオライトに位置づけられていることもあり、スタジオライトでは一般的なWs(ワットセカンド)が単位に用いられている。プロフォトの製品では小型のB2でも最大出力は250Ws。スタジオライトとして見るとA1の光量はけっして多くない。だが、実際に使ってみるとクリップオンストロボとしては十分なパワーを持っていることがわかる。

以下に、同じカメラを使って、A1と他社製のクリップオンストロボの光を比較した作例を掲載する。他社製のものはフラッグシップに位置付けられる大光量のものだ。撮影は、幅4m×高さ3m×奥行5mくらいの広さの屋内で、ブラインド越しに外からの環境光が薄く入る状況で実施。被写体との距離は2mほど。光の質を比べるため、ディフューザーなどは使用せず、ストロボのヘッドを被写体に向けて発光している。測光は人物の顔の部分で行い、カメラの露出値をF8、1/125秒、ISO400で固定したうえで、それぞれのストロボの光量を調整した。

WB:5500K、F8、1/125秒、ISO400、焦点距離70mm

WB:5500K、F8、1/125秒、ISO400、焦点距離70mm

WB:6100K、F8、1/125秒、ISO400、焦点距離70mm

WB:6100K、F8、1/125秒、ISO400、焦点距離70mm

上の作例ではまず光の回り方を確認してほしい。ヘッドを被写体に向けて光を直接当てて撮っているが、A1では減光が自然で、光が滑らかに広がっている。ムラが少なく、より均一に光が被写体に当たっている感じだ。いっぽうの他社製のクリップオンストロボは光が直線的でムラがあり、画像の中央から横にかけては強く、隅では減光が目立つ。

また、色温度にも注目してほしい。A1はホワイトバランスを5500Kに設定することでニュートラルな色が得られた。発光ごとのムラが気になることもなく、何回発光しても5500K付近で安定している印象。いっぽうの他社製のクリップオンストロボは5500Kでは青みが強かったため、6100Kまで上げている。発光による色のバラつきも気になるところで、何枚か撮った中では色合いが大きく異なるものもあった。発光ごとに色温度が異なってしまうのは、特に環境光と合わせて撮る場合に補正が難しい。その点、5500Kで安定しているA1はとても扱いやすい。

なお、A1の出力は最大出力から4.3段分下げた「5.7」となった(※A1の出力表示については後述するが、一般的なクリップオンストロボとは異なる)。この条件で計算する限り、照射角にもよるが、A1の最大出力をガイドナンバーで表すなら30〜40近くくらいのパワーはあることになる。光を均一に出すことを重視して設計されたA1にとってガイドナンバーの数値は不利な面があるのであまり気にする必要はないが、それでも十分な光量を持つことがわかっていただけるはずだ。

連続使用でも出力のばらつきが少なく安定。リサイクルタイムも短い

A1は、専用のリチウムインバッテリーを採用することで、連続使用時でも安定した発光を実現しているのも特徴だ。

発光量の誤差は0.2段で、色温度の誤差は±150Kと非常に高いスペックを実現している。実際に連写で発光を続けてみても、明るさのムラはまったくと言っていいほどなく、色温度も5500K付近で安定する。一般的なクリップオンストロボだと特に連続して使用した際に光量や色温度の違いに悩まされることがあるが、A1ではそういったことはない。

さらに、フル発光でバッテリーが切れるまで連写できるのもポイント。リチウムイオンバッテリーの採用によって出力が安定していることに加えて、発光管の前に赤外線をカットするフィルター(ガラス製のヒートシールド)を搭載し、リフレクターを支える部分にプラスチックではなくセラミック素材を採用するなどの発熱対策がしっかりと施されていることも大きいのだろう。発光は最大出力で約350回と、単3形電池を採用する一般的なクリップオンストロボと比べると倍近く多い。

出力は、他のプロフォト製品と同様に、2.0〜10.0の9段の範囲で0.1段ステップの調整が可能。一般的なクリップオンストロボでは1/3段ステップに対応しているものが多いが、A1はより細かく調整することができる。特に、弱い光を0.1段刻みで調整できるのが使いやすいところだ。閃光時間は発光量によって異なるが1/20000〜1/800秒となっている。

一般的なクリップオンストロボでは光量を表すのに1〜1/256(1が最大値で1/256が最小値)といったように表示されるが、A1では他のプロフォト製品と同様の表記が用いられている。光量は2.0がもっとも弱く、10.0がもっとも強い。1.0ごとに明るさが絞り1段分変わる仕様だ。ダイヤルを回すことでダイレクトに光量を変更することができる

さらに、レスポンスにすぐれるのもA1の魅力。リサイクルタイム(発光が終わって次の発光ができるようになるまでの充電時間)は0.05〜1.2秒と非常に短い。大光量タイプのクリップオンストロボの場合、なかには2秒を切るものもあるが、フル発光では約3〜5秒以上のリサイクルタイムを必要とするものが多い。A1ではフル発光でも1.2秒の短いリサイクルタイムで発光できるので、待ち時間のストレスがなくどんどん撮ることができる。試してみたところ、出力が7.0(最大出力から-3.0段)であればD850の7コマ/秒連写時でも安定して連続発光を続けることができた。

A1の操作は他のプロフォト製品と同様にシンプルでわかりやすい。メニュー操作は、液晶モニターに表示される内容を見ながら中央のダイヤルとボタンで選択する仕組みだ。視認性が高く、屋外でもモニターは見やすかった

ズーム操作はヘッドのリングを回して行う。ズームは、手動で設定できるほか32〜105mmの焦点距離に自動で対応。後述する付属オプションの「ワイドレンズ」を使えば14〜24mmにも対応する。モニターに焦点距離が表示されないのが少々わかりにくいと感じたくらいで、操作にはすぐに慣れることができた

リチウムイオンバッテリーもワンタッチで着脱・装着できるので扱いやすかった。充電時間は約80分

リチウムイオンバッテリーもワンタッチで着脱・装着できるので扱いやすかった。充電時間は約80分

モデリングライトやHSS、Air Remoteなど多彩な機能を搭載。TTLからマニュアルに発光量を移行できるのも便利

A1には、スタジオライトでは一般的なLEDのモデリングライトが備わっている。スタジオの撮影で光の当たり方を見たり、暗いところでピントを合わせるのに役立つ。他のプロフォト製品と同じように電球色に近い色で、ズーム操作にも対応している。

スタジオライトと同様にモデリングライトを搭載。電球色に近い色だ

スタジオライトと同様にモデリングライトを搭載。電球色に近い色だ

また、A1には、他の最新のプロフォト製品と同様、HSS(ハイスピードシンクロ)やTTLといった機能が搭載されている。HSSでは、1/200秒や1/250秒といったカメラ側の同調速度よりも速い、最速1/8000秒(※カメラによって異なる)のシャッタースピードで発光することが可能。通常のシンクロと比べると出力に制限はあるようだが、発光は安定しており、通常と同様に2.0〜10.0の9段階で調整できるのが便利だ。高速シャッターでのシンクロが可能なHSSは、すばやく動く被写体の動きを止めたい場合や、日中の撮影において大口径の単焦点レンズで背景を大きくボカしたい場合などに便利。より自由度の高いストロボ撮影が行える。

シンクロモードは1st(先幕)、2nd(後幕)、HI-S(ハイスピードシンクロ)、X-SYNCが用意されている。X-SYNCは、シンクロ接点が中央にあるホットシューであれば、他社用のA1を装着した場合でもマニュアル発光で動作できるモードだ(※TTLやHSSは使用できない)

TTLに対応しているのは一般的なクリップオンストロボと変わらないが、A1では、TTLとマニュアル発光の切り替えでプロフォトらしい機能が備わっている。側面のスイッチでTTLとマニュアル発光をすばやく切り替えられるうえ、TTLからマニュアル発光に切り替えた際にTTLで得た発光量を引き継げるようになっているのだ。これはTTLで適正露出を得てマニュアル発光で微調整する場合にとても便利だ。

側面のスイッチでTTLとマニュアル発光を切り替えた際に、TTLの発光量を引き継ぐことが可能。一般的なクリップオンストロボではこうした機能は備わっておらず、マニュアル発光に切り替えると出力を再調整する必要がある

さらに、A1は、プロフォトのリモート無線シンクロ「Air Remote」も搭載している。送信と受信の両方に対応しているので、オンカメラ(ストロボをカメラのホットシューに装着した状態)で無線シンクロのマスターとしても、オフカメラ(ストロボをカメラから離した状態)でスレーブとしても機能する。具体的には、プロフォトの無線コントローラー「Air Remote TTL」をカメラのホットシューに装着することで、オフカメラのA1をHSS やTTLを使って発光することが可能。A1をオンカメラで使う場合でも、キヤノン用・ニコン用にかかわらずオフカメラのA1とシンクロ可能で、同じくHSSやTTLといった機能を利用できる。オンカメラのA1をトランスミッターとして活用し、オフカメラのA1のみを発光するといった使い方も可能だ。もちろん、A1以外のAir Remote対応プロフォト製品と組み合わせることもできるので、たとえばB1XやB2とA1を組み合わせての多灯撮影も行える。

プロフォトの無線コントローラーAir Remote TTLを使用すれば、A1をオフカメラで使用することができる

プロフォトの無線コントローラーAir Remote TTLを使用すれば、A1をオフカメラで使用することができる

A1をAir Remoteのマスターとして使用することも可能。8つの無線チャンネルを設定でき、通常発光時は最大300m、TTL使用時は最大100mの距離で発光が行える。ストロボのグループ設定はA〜Fに対応(A〜CはTTL対応)。A1ではA〜Dの4グループを手元で調整することができる

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED、29mm、WB:オート0、F4、1/8000秒、ISO1600、ピクチャーコントロール:ポートレート
シャボン玉が作れるおもちゃのリングを振ってもらい、その様子をHSSで連写撮影した中の1枚。素早い動きを広角で近寄って撮っているため、シャッタースピードは1/8000秒に設定した。ライティング設定は、斜め上の位置からのオフカメラのA1(出力7.0、ドームディフューザー使用)をメインに使用し、オンカメラのA1(出力5.0、ドームディフューザー使用)をフィルライトで使用して影を薄めている

上のHSS作例を撮影した際の一連の連写作例。15コマ連写した中の最初の8枚をピックアップして並べてみた。15コマの連写の中でストロボはすべて発光し、明るさが落ちるようなこともなかった

D850、AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED、WB:オート0、F4、1/4000秒、ISO250、ピクチャーコントロール:ポートレート
こちらは逆光の日中シンクロで撮影した作例。絞りをF4、シャッタースピードを1/4000秒に設定することで、背景をボカしつつ振り向いた瞬間の動きを止めて撮っている。ライティングはオンカメラとオフカメラのA1を使用。いずれもソフトバウンスにドームディフューザーを組み合わせて出力は9.6に設定した

D850、AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G、WB:オート0、F4.5、1/200秒、ISO200、ピクチャーコントロール:ポートレート
オンカメラのA1とB2の2灯を組み合わせて撮影した作例。B2はグリッドを装着し、被写体の斜め後ろからの太陽光を演出するバックライトとして活用した。オンカメラのA1はドームディフューザーを使用し、出力は5.0。B2の出力も5.0とした

D850、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G、WB:オート0、F5.6、1/200秒、ISO64、ピクチャーコントロール:ポートレート
オフカメラのA1を斜め上の位置に設置してレンブラントライティング気味に仕上げた1枚。背景の露出は少しアンダーめに設定した。A1の出力は7.0。アクセサリーはドームディフューザーを使用した。また、顔の影を薄めるためレフ板も使用している

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