レビュー

浅草橋から隅田川を散歩しながら「X-T3」のモノクロ調整機能でレトロな空間を切り撮る

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FUJINON XF8-16mmF2.8 R LM WR」は単焦点を超えるズームレンズ

Xマウントで最も広角なレンズは単焦点ではなく、意外にもXF8-16mmF2.8だ。つまり12mmが使いたければ、このレンズを選ぶしかない。単焦点で最も広角なのは14mmなので、違いはたった4mmしかない。しかし、35mmフルサイズの画角に換算すれば12mmと21mm。これはかなり違う。広角レンズといえば「XF10-24mmF4 R OIS」もある。これなら15mm〜36mmをカバーでき、汎用生も高く、重さも、実売価格も体と懐に優しい。しかし、今回はあえて男は黙って12mmということで、こちらのレンズをチョイスした。

このレンズを手にすると、やはり8mmを多用してしまう。ズームなので他の焦点距離も使えるが、8mmで切り撮ると面白い被写体を探したくなるという趣味性の高い画角なのだ。ちなみに望遠端は16mm。これ1本で散歩するには多少の割り切りが必要となっている。

広角端と望遠端だけをみると、このズームレンズは非日常に浸るためのものに思えるが、途中の画角を使えば、まっとうな超広角レンズとしても機能する。非球面レンズやスーパーEDレンズなどを贅沢に使った13群20枚というレンズ構成で周辺部の解像度まできっちり確保。被写界深度もとても深く、絞り込んでおけば、ピントを合わせる必要がなくスナップに最適だ

逆光で丸の内を撮影。嫌なゴーストは発生せず、逆光にもかなり強いレンズということがわかる。ちなみに、今回は広角感を強調するためにアスペクト比16:9を選択
X-T3、FUJION XF8-16mmF2.8 R LM WR、8mm(35mm換算12mm)、ISO200、F8、1/550秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:STANDARD、JPEG
撮影写真(6240×3512、10.0MB)

モノクロ調整でやや温黒調にすると古い町並みと新しい街並みが、うまくマッチして見える。これがもっと都会であれば、冷黒調が似合いそうだ
X-T3、FUJION XF8-16mmF2.8 R LM WR、8mm(35mm換算12mm)、ISO160、F7.1、1/350秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ACROS、温黒調:2、JPEG
撮影写真(6240×4160、15.5MB)

隅田川に羽ばたく鳥を収めた1枚。空が広い。小平氏はスポット測光でマニュアルモードにて撮影。完全なサイレント撮影のため電子シャッターを使うことも多いそうだ
X-H1、FUJION XF8-16mmF2.8 R LM WR、8mm(35mm換算12mm)、ISO200、F11、1/1000秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ACROS、JPEG 撮影:小平尚典
撮影写真(6000×4000、10.0MB)

鉄橋に電車が来るのを狙って撮影。遠近感が自然で、言われなければ超広角レンズを使ったとは分からない
X-H1、FUJION XF8-16mmF2.8 R LM WR、8mm(35mm換算12mm)、ISO200、F7.1、1/1000秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ACROS、JPEG 撮影:小平尚典
撮影写真(6000×4000、10.3MB)

ライカ気分になれる「FUJINON XF14mmF2.8 R」は万能単焦点レンズ

ライカ気分になれる「FUJINON XF14mmF2.8 R」は万能単焦点レンズ

一眼レフカメラの超広角レンズと言えば湾曲して巨大な前玉と浅くて大口径なフードを思い出す。これがレンジファインダーカメラなら、後玉が大きくて、前玉はコンパクトなレンズが存在していた。例えばライカ用の「SUPER ANGULON 21mm F3.4」などだ。このレンズは使いこなしが難しかったが、解放からシャープな描写で周辺光量落ちもなく、歪みも少ない。まさに散歩に最適とあって、3本の交換レンズの中で最も撮影枚数が多かいレンズとなった。

隅田川の遊歩道にはさまざまな鳥がやってくる。かなり接近しても逃げない。広角なので遠くに見えるが、本当はもっと近い
X-T3、FUJINON XF14mmF2.8 R、14mm(35mm換算21mm)、ISO160、F5.6、1/1400秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME、JPEG
撮影写真(6240×4160、12.4MB)

さらに近づくとさすがに鳥は逃げ出してしまったが、AF-Cモードの高速連写で飛び立つ瞬間を捉えることができた
X-T3、FUJINON XF14mmF2.8 R、14mm(35mm換算21mm)、ISO160、F5.6、1/1250秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME、JPEG
撮影写真(6240×4160、12.7MB)

隅田川の支流に船が入ってきた。歪みが少なく、とても21mmで撮ったとは思えない。絞らなければ描写も柔らかく、ノスタルジックな風景に最適だ
X-T3、FUJINON XF14mmF2.8 R、14mm(35mm換算21mm)、ISO160、F5.6 +0.67、1/280秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ACROS、温黒調:2、JPEG
撮影写真(6240×4160、15.5MB)

X-T3にはボディ内手ブレ補正はないが、注意深くシャッターを切れば1/2秒でもブレない。絞りを開放にしたくなるが、F5でも天ぷらのピントが少々甘くなってしまった
たX-T3、FUJINON XF14mmF2.8 R、14mm(35mm換算21mm)、ISO160、F5、0.5秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ACROS、JPEG
撮影写真(6240×4160、13.3MB)

水面の模様に惹かれて小平氏が撮った1枚。水面の反射がデジタルフィルターを使ったように見える
X-H1、FUJINON XF14mmF2.8 R、14mm(35mm換算21mm)、ISO200、F4.5、1/500秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:STANDARD、JPEG 撮影:小平尚典
撮影写真(6000×4000、12.9MB)

隅田川に集まった水鳥。遠くにスカイツリーも見える。階調性がよく暗部もつぶれてない
X-H1、FUJINON XF14mmF2.8 R、14mm(35mm換算21mm)、ISO200、F8 −0.33、1/1250秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ACROS、JPEG 撮影:小平尚典
撮影写真(6000×4000、11.4MB)

現代の標準レンズ「FUJINON XF18mmF2 R」は存在を主張しない

現代の標準レンズ「FUJINON XF18mmF2 R」は存在を主張しない

普段使っているスマホのカメラ機能のレンズは28mm相当が多い。これでほとんどの人が写真を撮っているのだから、現代の標準レンズの画角は28mmといっても間違いではないだろう。そこでX-T3のお散歩標準レンズとして推したいのが「FUJINON XF18mmF2 R」。もっと明るく、もっと広角に強いレンズが他にもあるので、ついついそちらに目移りしてしまうが、普段使い用とあなどってはいけない。パンケーキレンズらしい地味な顔をしているが、意外にもシャッターチャンスに強いのだ。

川沿いにある木造の船宿と周りに林立するビルディング。水準器機能を使って撮影すれば垂直に歪みのない画像が得られる
X-T3、FUJINON XF18mmF2 R、18mm(35mm換算27mm)、ISO160、F3.2、1/1800秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ACROS、温黒調:2、JPEG
撮影写真(6240×4160、15.0MB)

橋の欄干にあったかんざしのオブジェ。浅草橋にちなんだものなのだろうか。青銅色と赤の対比に惹かれてつい撮ってしまった
X-T3、FUJION FUJINON XF14mmF2.8 R、14mm(35mm換算21mm)、ISO160、F52、1/1900秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME、JPEG
撮影写真(6240×4160、11.3MB)

隅田川の遊覧船。松本零士がデザインした近未来的なデザインのモデルが来たので思わず撮影
X-T3、FUJINON XF18mmF2 R、18mm(35mm換算27mm)、ISO160、F4、1/1800秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ACROS、温黒調:2、JPEG
撮影写真(6240×4160、13.8MB)

橋を下から見る機会はあまりないが、たくさんのリベットが打たれ、いかなる重さにも耐えてくれそうだ
X-H1、FUJINON XF18mmF2 R、18mm(35mm換算27mm)、ISO200、F3.2、1/125秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ACROS、JPEG 撮影:小平尚典
撮影写真(6000×4000、11.0MB)

ゴン川野
Writer
ゴン川野
カメラとオーディオが専門のライター。モノクロフィルムの現像、カラーのプリントを経て、デジカメ時代に突入。現在は仕事もプライベートもミラーレスOLYMPUS OM-D E-M1MK2を愛用。「阿佐ヶ谷レンズ研究所」にて掲載記事をまとめて発信中。
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遠山俊介(編集部)
Editor
遠山俊介(編集部)
2008年カカクコムに入社、AV家電とガジェット系の記事を主に担当。ポータブルオーディオ沼にはまり、家にあるイヤホン・ヘッドホンコレクションは100オーバーに。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットにも手を出している。家電製品総合アドバイザー資格所有。
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