レビュー
カメラマンの吉村永氏が徹底チェック

富士フイルム「GFX100」レビュー、1億画素のカメラでどんな写真が撮影できるのか?

画質をチェック

気になる画質だが、1億画素の解像力たるや驚愕に値する。人物のスタジオ撮影などではモデルの瞼(まぶた)にのったちょっとしたパウダーの質感やメイクのアラまでもあくまでも克明に映し出す。それでいながら肌や髪の毛の質感が硬くなりすぎたりしないのは豊かな階調表現力があってこそ。また、JPEG撮って出しでも発色が鮮やかで美しく感じられるのは富士フイルムのカメラの共通した美点。イメージセンサー上の独自のフィルター配置により高い解像度と発色をバランスさせた「X-Trans配置」のフィルターではなく、GFXのセンサーのフィルター配置は一般的なベイヤー配置と呼ばれるもの。よく、「RAW撮影して現像時に調節すればどのカメラも発色は同じ」と考える人がいるのだが、富士フイルムのセンサーは同じベイヤーのフィルターではあっても、分光特性が独自のものになっており、この辺りに色の違いの秘密とノウハウがありそうだ。

RAW撮影といえば、GFXシリーズはプロ用のキャプチャー&現像ツールの定番とも言えるデンマークの「Capture One」に正式対応。富士独自のフィルムシミュレーションも高い精度で再現できるのは大きな魅力だ。

そしてもうひとつ驚かされたのがノイズ特性。1億画素の44×33mmセンサー、画素ピッチが3.6μmということであまり期待しなかった部分だが、高感度でもノイズの粒子が均一に揃っており、色ムラや解像度劣化が極めて少ないことが特筆できる。単にPC画面上で100%拡大してみれば高感度時のノイズはあるのだが、実鑑賞時には解像度が高い分、ノイズの粒子が相対的に小さくなることにも気をつけて確かめてほしい。

このノイズ特性とダイナミックレンジだが、同じプロセスで作られた同じ画素ピッチのセンサーであれば基本的な特性は中判であってもフルサイズやAPS-C型センサーのカメラと変わることはない。だが、GFX100は中判では初めてとなる裏面照射型構造で光の取り込み効率を上げ、銅配線で信号伝達スピードを確保する最新設計で画素の小ささをカバー。

さらに、高解像度を確実に結像させるため、最大効果5.5段分のボディ内手ブレ補正機能をも採用している。また、レンズは一昨年の登場当初から「1億画素に対応する」とアナウンスしていた高解像度のGFレンズ群。画素数向上で考えられる画質劣化を最小限に抑えたシステムプロダクトなのだ。

曇りの日のお台場の風景。画面の隅まで精密に再現された景色は、これまでのデジタルカメラの常識を塗り替える
GF32-64mmF4 R LM WR使用、F8、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:マニュアル、JPEG
撮影写真(11648×8736、48.7MB)

神社の片隅で見つけたねこ。カメラ本体は大きいが、高解像度な中判カメラでありながらスナップ的な撮影も可能。猫の毛並みの質感再現も見事だ
GF32-64mmF4 R LM WR使用、F5、1/125秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、 JPEG
撮影写真(11648×8736、51.9MB)

晴天の屋外で車を撮影。木陰に入った車なので、太陽光が挿す部分との光量の差が大きかったが狙い通りのコントラストで撮影できた
GF120mmF4 R LM OIS WR Macro使用、F4、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、JPEG
撮影写真(11648×8736、37.5MB)

<STANDARD>

<STANDARD>
撮影写真(11648×8736、42.2MB)

<ETERNA(エテルナ)>

<ETERNA(エテルナ)>
撮影写真(11648×8736、42.9MB)

<Velvia(ベルビア)>

<Velvia(ベルビア)>
撮影写真(11648×8736、53.8MB)
雨の日の屋外で撮影。1/80秒という遅めのシャッター速度だがブレ補正の効果で気軽な手持ち撮影ながらブレを感じさせない描写。撮影はフィルムシミュレーション「STANDARD」で行なったが、同時に撮影したRAWデータから、富士フイルムのカメラでは人気のフィルムシミュレーションを現像アプリ「Capture One」で再現してみた
GF120mmF4 R LM OIS WR Macro使用、F4、1/80秒、ISO200、ホワイトバランス:晴れ、JPEG (ETERNA とVelviaの2枚はCapture One Pro 12.1でRAW現像)

 <スキンエフェクト なし>

<スキンエフェクト なし>
撮影写真(11648×8736、20.4MB)

 <スムーススキンエフェクト 強>撮影写真(11648×8736、20.6MB)

<スムーススキンエフェクト 強>
撮影写真(11648×8736、20.6MB)

<スムーススキンエフェクト 弱>
撮影写真(11648×8736、20.5MB)
人物をスタジオでストロボ撮影。フラットなライティングだが肌の質感、衣類の繊維の再現までがリアル。人物の肌の荒れを軽減する「スムーススキンエフェクト」は強と弱が選べるが、どちらも肌を不自然にツルツルにすることがないので、レタッチの手間を大幅に軽減してくれるGF32-64mmF4 R LM WR使用、F5.6、1/125秒、ISO200、ホワイトバランス:オート、JPEG(強と弱はRAWファイルをカメラ内現像でエフェクトをかけた)
モデル:松本祥佳(まつもとひろか 株式会社エスニョ Twitterアカウント

夕暮れ時の雨のレインボーブリッジを撮影。感度を切り替えながら撮影したが、ノイズの粒子がとても細かく、形状が揃っていることに感心。多くのカメラで画像がぐずぐずになってくるISO12800といった超高感度域でも解像感の劣化は極小。通常は気になる横縞状のカラーノイズなどもほとんど見られず、驚きの高感度性能と言える
撮影写真
ISO200(11648×8736、43.3MB)
ISO400(11648×8736、44.7MB)
ISO800(11648×8736、45.7MB)
ISO1600(11648×8736、47.2MB)
ISO3200(11648×8736、50.6MB)
ISO6400(11648×8736、47.0MB)
ISO12800(11648×8736、53.0MB)
ISO25600(11648×8736、58.9MB)

まとめ

総じて、GFX100はこれまでの中判デジタルの常識をことごとく破壊して登場した優秀なシステムカメラといえる。これまでの中判カメラは高解像度、高画質であることを最優先に作った主に業務用のカメラだったので、実際の使い勝手などでは通常にカメラには追いつかなかった部分が多かった。高画質が求められる広告写真などの分野向けにスタジオでPCにつないで使うこと前提のために記録メディアを選び、液晶モニターの見えは今ひとつ。操作に対するレスポンスも緩慢で三脚に据えても三脚自体の共振などでブレた写真になりやすいというのがあたりまえの世界。こういった不便さを、プロの経験と勘で補いながら使うのが中判カメラの常識といってもよいだろう。価格も高解像度モデルは500万円以上という、高級車並のプライスを下げていたものだ。

ところがGFX100は、これまでAPS-C型や35mm版フルサイズセンサーの一眼レフやミラーレスカメラを使っていたユーザーが持ち替えても、ちょっと大きなカメラというだけで使い勝手やフィーリングに違和感を覚えない。この「あたりまえ」に感じるところまで完成度を高めてあるところがGFX100のすごさでもある。中判カメラの常識や独特な作法、文法をまったく意識せず、スナップ撮影のカメラとしても十分使える気軽さ。これに最新の高解像度を両立させたのが本モデル、GFX100なのだ。

吉村 永

吉村 永

テレビ番組制作から雑誌編集を経てフリーランスに。音楽ものVideoClipの撮影から雑誌、新聞などの取材、芸能誌でのタレント、アーティストなどの撮影を中心とする人物写真のカメラマン。カメラグランプリ2018選考委員。最近はドローンも飛ばしてます!

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る