レビュー
8K/360°カメラではブッチギリのスペック!

8K/10bit撮影可能な6万円台の360°カメラ「QooCam 8K」レビュー

「QooCam(クーカム)8K」は、中国の深セン市を拠点とするVRスタートアップ企業のKanDao Technology(カンダオ テクノロジー)が開発、販売する360°カメラです。コンシューマー向けとしては世界最小の8K/360°カメラであり、記事作成時点の直販価格が67,100円(税込)と手ごろであることも魅力です。

「QooCam 8K」で撮影した360°動画

8K/360°カメラといえば、サイズが大きく高価なのが普通で、同社の「Obsidian Go」を例にしても、プロ用のデジタル一眼カメラより大きく、価格も20万円以上という業務用の仕様でした。

そんな中登場した「QooCam 8K」は、ポケットに入るコンパクトサイズで、価格もほかの360°カメラと同等レベルとあれば、Vlogger的に気にならないはずがありません。そこで、メーカーから実機を1台提供してもらい、実際に撮影を行いました。その結果をレポートします。

なお、ファームウェアやアプリは「鋭意改良中」とのことなので、時間が経てば撮影できる映像のクオリティがアップする可能性がありますが、今回は取り急ぎのファースト インプレッションということで、お読みいただければ幸いです。また、本稿は筆者がVlogger(ビデオブロガー)として映像を中心に制作を行っていることから、動画を中心とした内容となっています。

「QooCam 8K」フォトレビュー

「QooCam 8K」は2000万画素の1/1.7インチセンサーを備え、最大解像度は7680×3840、30fps、10bit、ビットレート200Mbpsでの撮影が可能です。8K撮影が行えるコンシューマー向け製品は、360°カメラより高価なデジタル一眼カメラでもまだ登場していないことを考えると、モンスター級のスペックと言えるでしょう。

カメラ本体は、ごく標準的な成人男性(筆者)の手にスッポリとおさまるサイズで、これまでの8K/360°カメラと比べると驚くほどコンパクト。メーカー公称の本体寸法は57(幅)×145(高さ)××33(奥行き)mmです

本体重量(micro SD カード込み)は実測で228g

本体重量(micro SD カード込み)は実測で228g

本体下部には2.4インチのタッチ対応ディスプレイを備えています。動画、写真、タイムラプスなどの撮影モードの切り替えや、解像度、フレームレート、ビット深度、絞り、ISOなどの設定が可能です

iOS/Android用の無料アプリから遠隔操作も行えます(Wi-Fi接続)。また、アプリには豊富なチュートリアルや編集機能も備わっており使い勝手は良好。日本語化も適切に行われており、初めて使う場合でも悩むことはなさそうです(写真はiOSアプリ)

側面に、本体ストレージ64GBに加えて、最大256GBまで容量を拡張できるmicro SD カードスロットを装備

側面に、本体ストレージ64GBに加えて、最大256GBまで容量を拡張できるmicro SD カードスロットを装備

「QooCam 8K」ファーストインプレッション

ここからは「QooCam 8K」を実際に野外に持ち出して撮影した動画(最上部の埋込動画参照)をチェックしていきましょう。なお、記事作成時点では8K書き出しができるmacOS用のアプリが準備中であったため、4Kにダウンコンバートした映像を使用していますが、それでも元データの高精細さがわかる結果となっています。

室内でウサギを撮影。比較的明暗の差が少なく、動きが激しくない場面ではステッチ(つなぎ目)の乱れも少ない映像になっています

前後のレンズが本体の厚さ分、離れているため、被写体に近づきすぎるとステッチが乱れてしまいますが、これは360°カメラの設計上、仕方ないところでしょう

広角レンズのため、長さ160cmほどの自撮り棒の先に取り付けて撮影すると撮影者の全身までもがしっかり入ります。このまま360°映像として使用するほか、アプリで任意の場所を選んで16:9の動画として書き出すことも可能です

明るい野外で小走りをしてみたところ、手ブレはほとんどなく、ソフトウェアによる手ブレ補正は優秀です

明るい野外で小走りをしてみたところ、手ブレはほとんどなく、ソフトウェアによる手ブレ補正は優秀です

10bit撮影の効果は?

映像データのクオリティを判断するデータとして、解像度やビットレートなどに加えてビット深度という指標があります。ざっくりと書くと、ビット深度は「1ピクセルに割り当てられる色データの量」で、この値が大きければ大きいほど微妙な色合いの違いを記録でき、見た目が美しい映像になるほか、撮影後に編集ソフトなどで色を調整する幅が広がるといったメリットがあります。

もちろん、ビット深度だけを比べて映像の良し悪しを決めることはできませんが、一般的にビット深度が深い(数字が大きい)ほど、よいデータであると言えます。例をあげると、ソニー「α7 III」は内蔵ストレージに記録できるのが最大8bitなので、10bitを実現している「QooCam 8K」のすごさがおわかりいただけるかと思います。

10bitで撮影した編集前のデータです

10bitで撮影した編集前のデータです

こちらは動画編集ソフトを使用して、色を調整したデータです。空や芝生、帽子の色などが鮮やかになっていることが確認できます。8bitデータの場合は色を調整しようとすると不自然なシマ模様(バンディング)が出てしまうことがありますが、「QooCam 8K」の10bitデータであれば、大幅に調整しても映像は乱れませんでした

DNG形式で撮影した写真をiOSアプリで書き出した画像です。補正は一切していませんが、白い柱は白く、空は青く、実際の見た目と同じような色が表現できています。また、雲の後ろにある太陽など、明るい部分も極端に白飛びすることなく撮影できているのは見事です

「QooCam 8K」で暗所撮影をテスト

デジタル一眼カメラなどと比べてセンサーサイズが小さい360°カメラは、一般的に暗所での撮影が苦手です。特に、手持ちで歩くなど移動しながらの撮影は、映像がブルンと乱れるゼリーエフェクトというノイズが出ることも少なくありません。そこで、今回は日没後の河原に「QooCam 8K」を持ち出して、暗所撮影の性能テストを行いました。

曇りの夜、街灯とスマホのライトだけを頼りに撮影した映像のスクリーンショットです。ソフトウェア補正で暗いところを明るく持ち上げているためノイズが目立ちますが、雲の様子までしっかり撮れているのはびっくり。肉眼でもここまではっきりと雲は見えていませんでした

極端に暗い場所では、前後のカメラ(センサー)で撮影した映像のホワイトバランスが適切に調整されず、ステッチ部分を境に崩れてしまうことがありました。この点はファームウェアのアップデートなどで改善されることを願います。

歩きながらの撮影では、デジタル手ブレ補正による乱れ(ゼリーエフェクト)が少し発生しますが、これは許容範囲内でした。

写真はディテールがきれいに保持されているいっぽうで、ホワイトバランスをオートで撮影すると緑がかった感じになってしまいます

実写サンプルをまとめた動画(本記事最上部の埋込動画)には、このほかにも4K/120fps動画や、暗所で歩きながら撮影したデータもありますので、ぜひチェックしてみてください。

「QooCam 8K」を実際に使ってわかったこと

「QooCam 8K」は、6万円台という価格で、8K/30fps、10bitの撮影ができるという怪物スペックを備える唯一無二の8K/360°カメラと言えます。解像度などのスペックで選ぶなら、間違いなくこの1台という超強力な製品です。

いっぽうで、バッテリー駆動時間においては、メーカー公称で45分、実測で30分台後半と、少し物足りないと感じたことも事実です。
また、ステッチの乱れや暗所に弱いことなど、チューニングが間に合っていないように思える点も気になりました。こういった点が今後のアップデートで改善されれば、本当にパワフルなカメラになる予感がします。コスパ重視で360°カメラを選びたい人は、必見中の必見と言える1台です。

【記事作時点の情報】
・ファームウェアバージョン:U0U062
・iOSアプリバージョン:v2.7.5
・macOS アプリ:使用できず
※動画編集にはApple「Final Cut Pro X」を使用

Mr.TATE(Masahira TATE)

Mr.TATE(Masahira TATE)

世界50カ国以上を旅したバックパッカー。週刊アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。

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