レビュー

話題沸騰のニコン「Z fc」レビュー。持つ喜び、撮る楽しみを味わえるクラシカルスタイルのミラーレス!

ニコンのミラーレスカメラ「Zシリーズ」の新モデルとしてこの夏に登場した「Z fc」。一眼カメラにそれほどなじみのないライト層をメインターゲットにした、クラシックな雰囲気のデザインが特徴の新製品だ。ライト層だけでなく、カメラ上級者やニコンファンからも熱い視線を注がれており、この夏最も注目を集めているカメラとなっている。本記事では、この注目製品のデザインや操作性の特徴を詳しくレビューしよう。

幅広い層から注目を集めているZ fc。装着しているレンズは「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」

幅広い層から注目を集めているZ fc。装着しているレンズは「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」

長年のユーザーには懐かしく、新しいユーザーには新鮮なヘリテージデザイン

まずは、Z fcの最大の注目点である外観デザインから見ていこう。

一見してわかるように、このカメラは、往年のMF(マニュアルフォーカス)フィルム一眼レフのようなクラシックなデザインを採用している。ニコンによると、1982年発売の「FM2」のシルバーカラーにインスパイアされたデザインということで、当時発売されていたニコン製MFフィルム一眼レフを思わせる雰囲気に仕上がっている。正面からのシルエットやペンタプリズム部(※ボディ中央上部の盛り上がった部分。一眼レフではペンタプリズムが収められている)の形状などを見ると、長年の写真愛好家やニコンファンは「FMシリーズ」や「FEシリーズ」を思い出して懐かしさを感じることだろう。当時を知らない新しいユーザーにとっては、メカニカルな雰囲気が強いデザインに個性や目新しさを感じるのではないだろうか。

正面からのたたずまいは、まさに往年のニコン製MFフィルム一眼レフ。少し高さのあるダイヤル類も存在感があってメカニカルな雰囲気を強調している

正面からのたたずまいは、まさに往年のニコン製MFフィルム一眼レフ。少し高さのあるダイヤル類も存在感があってメカニカルな雰囲気を強調している

ペンタプリズム部は特に再現度が高い。Z fcではシャッタースピードダイヤルがめり込むようなデザインになっている

ペンタプリズム部は特に再現度が高い。Z fcではシャッタースピードダイヤルがめり込むようなデザインになっている

左がZ fcで右がFM2。FM2とまったく同じ仕上がりにするのではなく、外装の塗装を若干暗い感じにするなどの工夫によって、当時の雰囲気をうまく再現している

左がZ fcで右がFM2。FM2とまったく同じ仕上がりにするのではなく、外装の塗装を若干暗い感じにするなどの工夫によって、当時の雰囲気をうまく再現している

ディテールを見ると、上面のダイヤル類はアルミ削り出しで、天面の表示はすべて刻印という凝りよう。ペンタプリズム部のNikonの刻印文字には1970〜80年代に使用していたデザインを採用した。アイピース(※ファインダー接眼部の目当て)がニコン伝統の丸形なのも注目点で、細かいところにも所有欲を刺激する、ニコンのこだわりが隠されている。

こうしたフィルム時代のクラシックなデザインを、マウント径が大きくなった最新のミラーレスに反映させるのは難しい作業だと思うが、とてもうまく落とし込めている。Z fcのデザインコンセプトはレトロ(懐古趣味)ではなくヘリテージ(遺産、伝統)とのことだが、このコンセプトの通り、最新のミラーレスにニコンの伝統的なデザインがうまく融合していると言っていいのではないだろうか。

アルミ削り出しのダイヤルを採用。天面の表示はプリントではなく刻印で高品位な仕上がりだ

アルミ削り出しのダイヤルを採用。天面の表示はプリントではなく刻印で高品位な仕上がりだ

ペンタプリズム部のNikonの刻印文字は1970〜80年代当時のデザインになっている

ペンタプリズム部のNikonの刻印文字は1970〜80年代当時のデザインになっている

アイピースの形状は伝統的な丸形。なお、アイピースを取り外すとわかるが、ファインダーの接眼部自体はZシリーズの他モデルと同じ角形になっている

アイピースの形状は伝統的な丸形。なお、アイピースを取り外すとわかるが、ファインダーの接眼部自体はZシリーズの他モデルと同じ角形になっている

Z fcは、カメラ本体以外のところでも、クラシックなスタイルを表現する工夫が施されている。付属のストラップは、ニコンのカメラでは一般的なイエローを差し色にしたものではなく、「Nikon Z」のロゴをホワイトであしらった特別仕様だ。さらに、パッケージの外装は艶のないシルバーを基調にしたやわらかい印象のデザインになっている。

ホワイトの「Nikon Z」ロゴを組み合わせた特別仕様の付属ストラップ

ホワイトの「Nikon Z」ロゴを組み合わせた特別仕様の付属ストラップ

シルバーを基調にしたデザインのパッケージ

シルバーを基調にしたデザインのパッケージ

このほか、ボディの人工皮革部分を全6色の「プレミアムエクステリア」に張り替えられる有償サービス(税込4,950円)を用意しているのも面白い。ホワイト、ナチュラルグレー、サンドベージュ、コーラルピンク、ミントグリーン、アンバーブラウンから選ぶことができる。発売当初は、このサービスを無料で受けられる数量限定キャンペーンが実施されている。

全6色の「プレミアムエクステリア」に張り替えたイメージ。ボディ前面とペンタプリズム部の人工皮革部分を好みのカラーにカスタマイズできる

全6色の「プレミアムエクステリア」に張り替えたイメージ。ボディ前面とペンタプリズム部の人工皮革部分を好みのカラーにカスタマイズできる

持ち運びやすい薄型・軽量ボディ。2種類のキットレンズも軽量

Z fcのいいところは、クラシックな雰囲気のデザインが、コンパクトなサイズに収まっていること。サイズは約134.5(幅)×93.5(高さ)×43.5(奥行)mm、重量は約445g(バッテリー・メモリーカードを含む、ボディキャップを除く)で、APS-Cサイズの撮像素子を搭載するミラーレスとしては薄型・軽量だ。ボディ前面はマグネシウム合金と樹脂を組み合わせて、背面に炭素繊維複合材料を採用するなどの工夫によって、剛性を確保しながら軽量化も実現している。

注目してほしいのは、キットレンズ(レンズキットに付属するレンズのこと)と組み合わせた際の総重量。Z fcでは、沈胴式の標準ズームレンズ「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」と、35mm判換算で焦点距離42mm相当の画角となる単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」がキットレンズとして用意されているが、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRを装着した場合は約580g、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)を装着した場合は約605g(いずれもバッテリー・メモリーカードを含む)と、いずれも軽量で持ち運びやすくなっている。

キットレンズとして用意されている標準ズームレンズNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRを装着したイメージ。このレンズは、Z fcのカラーにあわせてシルバーの鏡筒になっている

キットレンズとして用意されている標準ズームレンズNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRを装着したイメージ。このレンズは、Z fcのカラーにあわせてシルバーの鏡筒になっている

同じくキットレンズのNIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)を装着したイメージ。このレンズは、Z fcのクラシックなスタイルにマッチするように、ローレットやシルバーのラインなどAi Nikkorを思わせるデザインを採用している

同じくキットレンズのNIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)を装着したイメージ。このレンズは、Z fcのクラシックなスタイルにマッチするように、ローレットやシルバーのラインなどAi Nikkorを思わせるデザインを採用している

実際に使ってみても、これら2本のキットレンズとの組み合わせは重量バランスが非常によく、スペック以上にカメラが軽く感じた。デザイン面でもカメラにマッチする仕様になっているので、Z fcを購入するのであれば、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRが付属する「Z fc 16-50 VR SL レンズキット」と、NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)が付属する「Z fc 28mm f/2.8 Special Edition キット」のどちらかをファーストチョイスにしたいところだ。なお、2021年7月30日時点では、Z fc 16-50 VR SL レンズキットはすでに発売になっているが、Z fc 28mm f/2.8 Special Edition キットの発売日は未定となっている。

3つのダイヤルを駆使して本格的な撮影を楽しめる

デザイン面だけでなく操作性でもZ fcの特徴となるのが、上面に用意された露出設定用の3つのダイヤルだ。感度ダイヤル、シャッタースピードダイヤル、露出補正ダイヤルを搭載しており、ダイヤル操作での本格的な撮影を楽しめるようになっている。

上面左から感度ダイヤル、シャッタースピードダイヤル、露出補正ダイヤルを配置。M/A/S/P/AUTOの撮影モード切り替えレバーが感度ダイヤルと同軸の位置に用意されている

上面左から感度ダイヤル、シャッタースピードダイヤル、露出補正ダイヤルを配置。M/A/S/P/AUTOの撮影モード切り替えレバーが感度ダイヤルと同軸の位置に用意されている

感度ダイヤルとシャッタースピードダイヤルはロックボタン付きの本格的な仕様で、どのダイヤルも適度なクリック感があり、確実かつスムーズに操作することが可能。感度ダイヤルは1/3段刻み、シャッタースピードダイヤルは1段刻み、露出補正は1/3段刻みで設定できる。

カメラ初心者の人にとっては、ダイヤルでの設定は難しそうに思うかもしれないが、感度ダイヤルと同軸の位置にある撮影モード切り替えレバーでオートモードに一発で切り替えることもできるので、初めて一眼カメラを使うという人でも、使い始めから安心して撮影を楽しめるはずだ。なお、Z fcは、Zシリーズとして初めてオートモード時の露出補正に対応し、カメラまかせのオート設定で撮りながらも、露出補正ダイヤルで写真の明るさを調整することができる。

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