レビュー

20mmと24mmのどっちを選ぶ? 星景写真を標榜する、シグマの“粋な”広角・単焦点レンズ2本をレビュー

シグマから2022年8月26日に発売された2本のレンズ「20mm F1.4 DG DN」と「24mm F1.4 DG DN」は、ともに開放絞り値F1.4の大口径・単焦点レンズ。フルサイズのミラーレスカメラに対応しており、シグマも参入するライカLマウントと、ソニーEマウント用の2タイプが用意されています。

高い光学性能を実現した、シグマの「20mm F1.4 DG DN」(ソニー「α7 IV」に装着)と「24mm F1.4 DG DN」

高い光学性能を実現した、シグマの「20mm F1.4 DG DN」(ソニー「α7 IV」に装着)と「24mm F1.4 DG DN」

これら2本の大きな特徴は、星景写真での活用を前面に押し出していること。星景写真は点光源(星)を画面いっぱいに写すことになるため、サジタルコマフレアなどの収差が目立ちやすくなります。それにもかかわらず、超広角の「20mm F1.4 DG DN」は「究極の星景レンズ」、広角の「24mm F1.4 DG DN」は「日常使いできる星景レンズ」とハッキリ謳っているのですから、よほど光学性能に自信があるのでしょう。

もちろん、光学性能にすぐれているということは、星景写真以外の分野、たとえば風景写真やスナップ写真などでも大いに使えるということです。超広角/広角レンズながら、開放絞り値F1.4だからこその大きな背景ボケは、ぜひ味わってみたいものです。

「究極の星景レンズ」のキャッチコピーで登場した超広角・単焦点レンズ「20mm F1.4 DG DN」(カメラはソニー「α7 IV」)

「究極の星景レンズ」のキャッチコピーで登場した超広角・単焦点レンズ「20mm F1.4 DG DN」(カメラはソニー「α7 IV」)

対する「24mm F1.4 DG DN」は「日常使いできる星景レンズ」を謳う広角・単焦点レンズ(カメラは同じくソニー「α7 IV」)

対する「24mm F1.4 DG DN」は「日常使いできる星景レンズ」を謳う広角・単焦点レンズ(カメラは同じくソニー「α7 IV」)

でも、そうなると当然出てくる悩みが「自分はどっちのレンズを選ぶべきだろう?」ですね。わかりやすく画角の広い20mmと、標準ズームの広角端としてなじみのある24mmですので、悩ましいのも当然と言えます。

今回はそうしたところを踏まえながら、それぞれのレンズの特性を見ていきましょう。

大口径の超広角/広角レンズとして十分にコンパクトなボディサイズ

「20mm F1.4 DG DN」と「24mm F1.4 DG DN」の2本は、星景撮影にバッチリ使えるほど高い光学性能を持つのが特徴ですが、もうひとつ、大変コンパクトに仕上がっていることも見逃せません。

2つのレンズを並べてみました。これだけではわかりにくいのですが、F1.4超広角レンズとしては驚きの小型・軽量化を達成しています

2つのレンズを並べてみました。これだけではわかりにくいのですが、F1.4超広角レンズとしては驚きの小型・軽量化を達成しています

・20mm F1.4 DG DN 87.8(最大径)× 113.2(長さ)mm/630g
・24mm F1.4 DG DN 75.7(最大径)× 97.5(長さ)mm/510g
※いずれもソニーEマウント用の場合

と書いても、数字の羅列だけで「ほう、それは軽いなあ」とはならないと思いますが、同じシグマで、同等スペックとなる先行モデル「20mm F1.4 DG HSM」と「24mm F1.4 DG HSM」と比べると、今回の2本のレンズがいかに軽いかがわかりやすいのではないかと思います。

・20mm F1.4 DG HSM 90.7(最大径)× 155.8(長さ)mm/1015g
・24mm F1.4 DG HSM 85.4(最大径)× 116.2(長さ)mm/740g
※いずれもソニーEマウント用の場合

「20mm F1.4 DG HSM」と「24mm F1.4 DG HSM」は、本来一眼レフ用だったものをミラーレスカメラ用に再設計したもので、その分鏡筒の長さが追加されています。そのため、“真正”ミラーレスカメラ用である「20mm F1.4 DG DN」と「24mm F1.4 DG DN」より大きくなるのは仕方ありませんが、それにしても、新モデルは大幅に軽量化されています。

ミラーボックスのないミラーレスカメラに最適化するのは、描写性能やAF性能だけでなく、小型・軽量化にとっても有利である、というのがよくわかります。

手持ちのソニー「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」も並べてみました。F4通しの超広角ズームとたいして変わらないサイズであることがわかると思います

手持ちのソニー「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」も並べてみました。F4通しの超広角ズームとたいして変わらないサイズであることがわかると思います

充実の機能がすばらしい、実用性の高いレンズ

続いて、「20mm F1.4 DG DN」と「24mm F1.4 DG DN」に共通する機能面のお話になります。

フォーカスリングのほかに絞りリングを備えているだけでも“タダモノではない”気配を感じてしまいますが、鏡筒左手側に、単焦点レンズとは思えないほどズラリと並んだスイッチ/ボタン類が印象的です。こうした充実した操作系も、これら2本のレンズの大きな特徴と言えます。

フォーカスリングと絞りリングの間に並ぶスイッチ類とボタン。全部を使いこなす必要はないかもしれませんが、使ってみるとヒジョ〜に便利だったりします

フォーカスリングと絞りリングの間に並ぶスイッチ類とボタン。全部を使いこなす必要はないかもしれませんが、使ってみるとヒジョ〜に便利だったりします

「フォーカスモード切換えスイッチ」と「AFLボタン」については詳しい説明は必要ないかと思います。ちなみに「フォーカスモード切換えスイッチ」は、ピント合わせをAF(オートフォーカス)にするかMF(マニュアルフォーカス)にするかを選択するもので、「AFLボタン」はカメラボディ側で割り当てた機能を作動させるためのもの(初期設定でAFロック機能が割り当てられています)です。

こうした多くのスイッチ/ボタン類の中で目玉と言えるのが、「MFLスイッチ」です。

新搭載の「MFLスイッチ」。「マニュアルフォーカスロックスイッチ」ですね。なぜ今までなかったのだと言いたいほど便利なスイッチです

新搭載の「MFLスイッチ」。「マニュアルフォーカスロックスイッチ」ですね。なぜ今までなかったのだと言いたいほど便利なスイッチです

「MFLスイッチ」は、マニュアルフォーカスでピントを合わせた後、スイッチを「LOCK」するとフォーカスリングの操作が無効になるというもの。いったん合わせたピントがうっかりズレてしまわないよう、フォーカスリングにテープを貼って固定するなどと言った、これまでの涙ぐましい努力が必要なくなります。

2本とも、さすが星景写真を意識した、かゆいところに手が届くレンズと言えましょう。このスイッチは、星景写真だけでなく、風景写真や静物写真の撮影でも重宝しそうです。

「MFLスイッチ」の下側に配置されている「絞りリングクリックスイッチ」は、絞りリングの目盛りごとにクリックで操作するか、それともクリックなしでシームレスに操作するかを選択するもの。静止画撮影ではクリックがあったほうわかりやすいですが、動画撮影ではクリックがないほうが違和感なく明るさを変更できて便利です。

絞りリング搭載レンズでは今や必須の「絞りリングクリックスイッチ」

絞りリング搭載レンズでは今や必須の「絞りリングクリックスイッチ」

鏡筒の右手側に搭載された「絞りリングロックスイッチ」

鏡筒の右手側に搭載された「絞りリングロックスイッチ」

「絞りリングロックスイッチ」は、リングのポジションが「A(オート)」の時にONすれば「A」で固定され、「A」以外でONすればF1.4からF16までは自由に絞りを設定できますが「A」には設定できなくなります。何を言っているのかわからないかもしれませんが、要するに、絞りのポジションを「A」に固定してしまうか、絞り値は自分で自由に選びたいけどうっかり「A」に入る事故を防ぎたいかを選ぶためのスイッチです。

さらに、両レンズの機能性ですごいのは、リアフィルターホルダーを備えていることです。

リアフィルターホルダーを標準装備

リアフィルターホルダーを標準装備

超広角/広角レンズがリアフィルターホルダーを備えているのはよくあることですが、今回の両レンズはフロントフィルターも併用できるところがよいのです。特に焦点距離20mmの場合、従来モデルの「20mm F1.4 DG HSM」は、前玉の押し出しが強く、フロントフィルターを装着できないタイプだったため、この意味は大きくなります。

フロント/リアでフィルターを使い分けられるので、星景写真ではフロントに光害カットフィルター、リアにソフトフィルターなど、フィルターワークの幅が大きく広がります。

リアフィルターホルダーの形に合わせてフィルターを切り出すためのガイドプレート(「20mm F1.4 DG DN」は「GP-21」、「24mm F1.4 DG DN」は「GP-11」)が付属します

リアフィルターホルダーの形に合わせてフィルターを切り出すためのガイドプレート(「20mm F1.4 DG DN」は「GP-21」、「24mm F1.4 DG DN」は「GP-11」)が付属します

付属品としてレンズフードが用意されています。「20mm F1.4 DG DN」にロック機構付きの花形フード(LH878-04)を装着したイメージです

付属品としてレンズフードが用意されています。「20mm F1.4 DG DN」にロック機構付きの花形フード(LH878-04)を装着したイメージです

こちらは、「24mm F1.4 DG DN」にロック機構付きの花形フード(LH782-01)を装着したイメージ。両レンズとも、着脱しやすい立派なレンズフードが付属しています

こちらは、「24mm F1.4 DG DN」にロック機構付きの花形フード(LH782-01)を装着したイメージ。両レンズとも、着脱しやすい立派なレンズフードが付属しています

実際に星景写真を撮ってみました

「20mm F1.4 DG DN」と「24mm F1.4 DG DN」は、星景写真を強く意識したレンズですので、実際に星景写真を撮ってみました。注目は、絞り開放(F1.4)で点光源(星)がきちんと点として写るかどうかです。

薄らと雲がかかっているうえに、月が昇り始めるギリギリの時間だったため、星景写真としてはベストな撮影条件とは言えませんでしたが、それでも何とか画面全体に星を写すことができました。確実に星の動きを止めるために、ISO1600でシャッター速度は6秒に固定しています。

■「20mm F1.4 DG DN」で撮影

「20mm F1.4 DG DN」で撮影。星の点像がわかりやすいように、RAW現像時にコントラストを調整していますα7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO1600、F1.4、6秒、ホワイトバランス:5400K、クリエイティブルック:VV2撮影写真(7008×4672、26.2MB)

「20mm F1.4 DG DN」で撮影。星の点像がわかりやすいように、RAW現像時にコントラストを調整しています
α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO1600、F1.4、6秒、ホワイトバランス:5400K、クリエイティブルック:VV2
撮影写真(7008×4672、26.2MB)

まずは、「20mm F1.4 DG DN」で撮った写真ですが、画質に関しては、さすが星景写真を意識しているだけあってお見事のひと言。サジタルコマフレアはほとんど見られず、星の点がきちんと点として写っています。厳密に言えば、隅のほうで大きめの明るい星がわずかに変形していますが、鑑賞レベルとしてはまったく問題ないと思います。開放F1.4の大口径とは思えないくらい、収差の抑制に成功しています。

■「24mm F1.4 DG DN」で撮影

「24mm F1.4 DG DN」で撮影。同じく、星の点像がわかりやすいように、RAW現像時にコントラストを調整していますα7 IV、24mm F1.4 DG DN、ISO1600、F1.4、6秒、ホワイトバランス:5400K、クリエイティブルック:VV2撮影写真(7008×4672、25.7MB)

「24mm F1.4 DG DN」で撮影。同じく、星の点像がわかりやすいように、RAW現像時にコントラストを調整しています
α7 IV、24mm F1.4 DG DN、ISO1600、F1.4、6秒、ホワイトバランス:5400K、クリエイティブルック:VV2
撮影写真(7008×4672、25.7MB)

続いて、「24mm F1.4 DG DN」で撮った写真です。こちらも、焦点距離24mmでF1.4の絞り開放で撮ったとは思えないほどすばらしい描写性能です。画角が狭まり、星が大きく写る分、「20mm F1.4 DG DN」よりも隅のほうでのサジタルコマフレアの影響も、幾分目立ちやすくなっています、それでも収差の影響はやはりごくわずかと言ってよいでしょう。

2本のレンズに残存するごくわずかなサジタルコマフレアですが、実用上はまったく問題がないと思います。ごくわずかな収差も消したいようなら、1〜2段絞れば(F2〜F2.8)さらに良好な結果が得られます。シャッター速度を速くしたり、感度を上げたりする必要がありますが、一般的な星景写真のカメラ設定としてはそれでも十分に許容範囲。大口径F1.4のありがたみを感じるところです。

■「20mm F1.4 DG DN」で撮影した写真を編集

「20mm F1.4 DG DN」で撮影。上の写真と同じRAWデータから現像後に「Photoshop」で星景写真向けのレタッチをしてみました

「20mm F1.4 DG DN」で撮影。上の写真と同じRAWデータから現像後に「Photoshop」で星景写真向けのレタッチをしてみました

前掲のような星景写真の場合、撮って出しのJPEG画像や、コントラストを調整しただけの画像だと、撮影条件によっては「こんなもの?」と物足りなさを感じるかもしれません。

しかし、適切なRAW現像とレタッチを施すことで、ネットでよく見かける、見ごたえのある写真にすることができました。大切なのは、シッカリとしたRAWデータを得るための、ハイスペックで高性能なレンズを使うことなのだな、と改めて思った次第です。

風景で解像性能を確認してみる

星景写真を撮ってみると、「20mm F1.4 DG DN」と「24mm F1.4 DG DN」の2本は、いずれも、サジタルコマフレアをはじめとした諸収差がよく抑えられていることがわかりました。

では、風景写真だとどうでしょう? 点像の具合がよいのだから解像性能も高いのでは?と考えたいところですが、実は、被写体の写りは点像の連続なので、ごくわずかな像の乱れでも集合すると思いがけない解像性能の低下が見られることもあります。

■「20mm F1.4 DG DN」の絞り開放で撮影

「20mm F1.4 DG DN」で撮影。あえて絞り開放F1.4で風景写真を撮ってみましたα7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.4、1/4000秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST 、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、29.0MB)

「20mm F1.4 DG DN」で撮影。あえて絞り開放F1.4で風景写真を撮ってみました
α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.4、1/4000秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST 、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、29.0MB)

まずは、「20mm F1.4 DG DN」を使って開放F1.4での撮影です。やはり周辺部分、特に四隅では比較的わかりやすく解像感が低下しています。とは言っても、これは画像を100%拡大してようやく確認できるレベルの話。この程度であれば、焦点距離20mm、開放絞り値F1.4のレンズとして、非常にすぐれた描写性能と言えると思います。

■「20mm F1.4 DG DN」の絞り値F5.6で撮影

「20mm F1.4 DG DN」で撮影。絞りをF5.6にすれば、画面の四隅まで完璧にスッキリシャープになりますα7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F5.6、1/250秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、31.1MB)

「20mm F1.4 DG DN」で撮影。絞りをF5.6にすれば、画面の四隅まで完璧にスッキリシャープになります
α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F5.6、1/250秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、31.1MB)

絞りを1段も絞れば急激に画面全体の解像感が向上するのですが、隅々まで完璧にシャープにしたいのでしたら、F5.6以上にすれば大丈夫だと思います。風景写真でしたらもっと絞り込むのが普通ですのでまったく問題ありません。ここに書いていることは、あくまで重箱の隅をつつくように細かく見た場合の話ですので、いずれの絞り値でも安心して使えると考えてもらって差し支えありません。

「20mm F1.4 DG DN」周辺部切り出し

周辺部を等倍で切り出した画像。F5.6まで絞ると周辺まで非常にシャープな特性が得られます

周辺部を等倍で切り出した画像。F5.6まで絞ると周辺まで非常にシャープな特性が得られます

■「24mm F1.4 DG DN」の絞り開放で撮影

「24mm F1.4 DG DN」で撮影。こちらも、あえて絞り開放F1.4で撮影していますα7 IV、24mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.4、1/4000秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、28.6MB)

「24mm F1.4 DG DN」で撮影。こちらも、あえて絞り開放F1.4で撮影しています
α7 IV、24mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.4、1/4000秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、28.6MB)

「24mm F1.4 DG DN」を使って絞り開放F1.4での撮影です。やはり周辺部分は解像感が低下していますが、20mmに比べるとかなり低減されています。一般的に、広角レンズは焦点距離が短くなるほど、周辺部の画質確保が難しくなるので、超広角20mmと広角24mmの差が現れたということだと思います。

■「24mm F1.4 DG DN」の絞り値F2.8で撮影

「24mm F1.4 DG DN」で撮影。絞りの違いによる周辺部の画質向上は20mmより早く、F2.8で画面全体の解像感がほぼ安定しましたα7 IV、24mm F1.4 DG DN、ISO100、F2.8、1/1000秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、30.5MB)

「24mm F1.4 DG DN」で撮影。絞りの違いによる周辺部の画質向上は20mmより早く、F2.8で画面全体の解像感がほぼ安定しました
α7 IV、24mm F1.4 DG DN、ISO100、F2.8、1/1000秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、30.5MB)

絞り開放での画質が安定している分、絞り込んでいった時の画質の安定も「24mm F1.4 DG DN」のほうが早いです。F2.8でほとんど問題ないくらい、周辺部まで均質な解像感が得られます。F2.8というのは大口径ズームレンズの開放絞りに相当するわけですから、いかに単焦点レンズである本レンズの描写性能がすぐれているかがわかります。

「24mm F1.4 DG DN」周辺部切り出し

周辺部を等倍で切り出した画像。「24mm F1.4 DG DN」では、F2.8程度まで絞れば画面全域で均質な画質を確保できます

周辺部を等倍で切り出した画像。「24mm F1.4 DG DN」では、F2.8程度まで絞れば画面全域で均質な画質を確保できます

ただ、少し気になったのが、絞り開放での周辺光量の低下です。

本記事の作例写真は、星景写真以外すべて、レンズ補正を「周辺光量補正:オート」で撮影していますが、両レンズとも絞り開放F1.4時はわりとハッキリと周辺光量の低下が目立ちます。このあたりはコンパクト化の弊害があるかもしれませんが、ひとつだけ確かなのは、基本的に「周辺光量補正」は常に「オート」にしたほうがよいということ。もちろん、意図して周辺光量を落としたい時はこの限りでありません。

レンズ補正は「周辺光量補正:オート」、「倍率色収差補正:オート」、「歪曲収差補正:切」で撮影しています。ソニー「α7 IV」の初期設定です

レンズ補正は「周辺光量補正:オート」、「倍率色収差補正:オート」、「歪曲収差補正:切」で撮影しています。ソニー「α7 IV」の初期設定です

しかしながら、ちょっと欠点にも見えるこの周辺光量の低下、両レンズとも1段絞っただけであっさり解決されます。1段絞っただけで解決されるのは、それだけ基本的な光学性能がすぐれていることの証明でもあります。

■「20mm F1.4 DG DN」の絞り値F2で撮影

「20mm F1.4 DG DN」で絞りを1段絞ったF2で撮影。両レンズとも絞りを1段絞っただけで、周辺光量の低下は劇的に改善されますα7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F2、1/2500秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、29.7MB)

「20mm F1.4 DG DN」で絞りを1段絞ったF2で撮影。両レンズとも絞りを1段絞っただけで、周辺光量の低下は劇的に改善されます
α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F2、1/2500秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、29.7MB)

周辺光量の低下を比較(絞り値F1.4とF2)

絞り開放で撮影したものと比べると違いがよくわかるはずです。F2だと周辺光量落ちがほぼ目立ちません

絞り開放で撮影したものと比べると違いがよくわかるはずです。F2だと周辺光量落ちがほぼ目立ちません

同様に、「倍率色収差補正」も常に「オート」がおすすめです。後からレタッチソフトで消すこともできますが、倍率色収差は周辺光量補正と違って、何かの表現や作画性に役立つ部分はありませんので、最初から消せるものは消しておいたほうが正解だと思います。反対に、「歪曲収差補正」は、常に悪というわけではありませんので、状況に応じて「オート」と「切」を使い分けるのがおすすめです。

スナップでうれしい大きな背景ボケの魅力

星景写真、風景写真ときたところで、スナップ写真での両レンズの活用を見てみたいと思います。超広角/広角の大口径レンズが、普段使いでどこまで楽しめるのかは、やはり興味ありますよね。目にして「いいな」と思ったものをパシャパシャと撮ってみました。

■「20mm F1.4 DG DN」で撮影

α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.4、1/400秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、5.8MB)

α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.4、1/400秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、5.8MB)

「20mm F1.4 DG DN」の最短撮影距離は23cm。ミラーレスカメラ専用の超広角レンズとしては、まあまあ寄れるほうですけど、大口径F1.4のレンズに限ると、かなり寄れる部類に入ります。絞り開放で主要被写体を見事にキリリと浮き上がらせてくれるさまは、さすがです。

なお、「20mm F1.4 DG DN」の場合、周辺の玉ボケがわりと派手な口径食(玉ボケがレモン型になる現象)を見せています。「レンズ補正」の「周辺光量補正」にはちょっと気を使いたいですね。

「24mm F1.4 DG DN」で撮影

α7 IV、24mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.4、1/400秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、5.7MB)

α7 IV、24mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.4、1/400秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、5.7MB)

「24mm F1.4 DG DN」の最短撮影距離は25cm。やはりミラーレスカメラ専用の大口径・広角レンズとしてはかなり寄れます。絞り開放で主要被写体を見事にキリリと浮き上がらせる描写力は「20mm F1.4 DG DN」と同じ。シグマらしいシャープな画作りが生きています。周辺の玉ボケの口径食は、「20mm F1.4 DG DN」と比べると、だいぶ緩和されていてクセがありません。

■「20mm F1.4 DG DN」で撮影

α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.4、1/200秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、17.5MB)

α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.4、1/200秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、17.5MB)

超広角レンズのイイところですが、狭い室内でも被写体に大きく寄りながら、背景を広々と写すことができます。しかも大口径なので生活感をボカしてごまかせる。とは言っても焦点距離20mmの広い画角だと、パースが強くデフォルメが大きいので、画になる位置を探すのに苦労します。

「24mm F1.4 DG DN」で撮影

α7 IV、24mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.6、1/100秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、6.3MB)

α7 IV、24mm F1.4 DG DN、ISO100、F1.6、1/100秒、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、6.3MB)

その点、焦点距離24mmだと、パースも穏やかでデフォルメも強くないので、比較的自然に写すことができました。絞り開放F1.4の被写界深度も、24mmくらいだとそこそこ広く、猫の両眼をカバーするようになるので画作りも楽になります。

■「20mm F1.4 DG DN」で撮影

α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F、1/13秒、ホワイトバランス:日陰、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、17.7MB)

α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F、1/13秒、ホワイトバランス:日陰、クリエイティブルック:ST、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、17.7MB)

なんだかスナップに関しては「24mm推し」みたいになっていますが、構図や配置が決まるシーンに出会えた時は、20mmならではの世界観が味わえるのも事実です。かつて「手が届く範囲にモノを入れて大きく写すのが超広角でのスナップの基本」と教わりましたが、確かにそうしたシーンをモノにした時は達成感があります。一発大物狙いと言ったところでしょうか? 個人的には20mmの焦点距離は好みです。

■「24mm F1.4 DG DN」で撮影

α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F8、1/125秒、ホワイトバランス:日陰、クリエイティブルック:VV、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(7008×4672、15.7MB)

α7 IV、20mm F1.4 DG DN、ISO100、F8、1/125秒、ホワイトバランス:日陰、クリエイティブルック:VV、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(7008×4672、15.7MB)

対して、標準ズームの広角端にも採用されている24mmは、やはり安定感があって多くの被写体に向いているなと思わせてくれます。「手が届く範囲にモノを入れて大きく写すのが超広角でのスナップの基本」なのは変わりませんし、人の目を引く派手な構図を作るのは難しくなりますが、シグマが言うところの「日常使いできる星景レンズ」の意味はとてもよく理解できます。

まとめ 両レンズとも最高の性能を実現。好み・目的に応じて選びたい

描写性能に関しては、どうしても細々とした見方をしてしまうのですが、今回紹介した「20mm F1.4 DG DN」と「24mm F1.4 DG DN」の2本は、どちらも現代のミラーレスシステムにおいて、最高の性能を見せる非常にすぐれたレンズだと断言できます。

さすが「星景写真」を標榜するレンズで、さすがシグマの「アーティスティック・ライン」のレンズ。それでいて、大口径な超広角レンズとは思えないほどコンパクトなところがありがたいのです。

「A(Art)」のマークは、最高の光学性能と豊かな表現力に注力して開発された、シグマの最高峰レンズの証し

「A(Art)」のマークは、最高の光学性能と豊かな表現力に注力して開発された、シグマの最高峰レンズの証し

新機構「MFLスイッチ」は、一度決めた撮影距離に完全固定できるため、星景写真には大変重宝するもの。今回の試写のように、カメラの電源をON/OFFしながらの撮影や、レンズをとっかえひっかえしながらの撮影でも、一度決めた撮影距離が変わることはないため、思っていたよりもありがたみを実感できました。風景や静物の撮影でも便利に使えそうです。

こうなってくると、「自分はどっちのレンズを選ぶべきだろう?」というのは、単純にユーザーの好み、あるいは目的によると思います。超広角から広角域は1mmの差でかなり画角が変わるため、突き詰めていくとわりとハッキリ好みが分かれるものです。

もし、超広角の世界に不安があるなら、標準ズームの広角端にもなっている「24mm F1.4 DG DN」から始めるのがよいでしょう。好みや目的が決まっているのなら、問答無用でどちらかに決めてしまってよいと思います。究極的には、「両方所有する」ということになりそうですね。

曽根原 昇

曽根原 昇

信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌などで執筆もしている。写真展に「エイレホンメ 白夜に直ぐ」(リコーイメージングスクエア新宿)、「冬に紡ぎき −On the Baltic Small Island−」(ソニーイメージングギャラリー銀座)、「バルトの小島とコーカサスの南」(MONO GRAPHY Camera & Art)など。

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