特別企画

標準レンズをポートレート撮影で活用する実践テクニック

標準レンズ(焦点距離50mmの単焦点レンズ)は肉眼で見たままを素直に切り取れるのが大きな特徴。スナップ撮影で使う印象が強いかもしれないが、ポートレート撮影でも愛用者は多い。今回は、キヤノンの「RF50mm F1.2 L USM」を用いて、ポートレート撮影における標準レンズの使いこなし方を解説していく。

今回使用した「RF50mm F1.2 L USM」は、キヤノンの誇る光学技術を結集して作り上げた「Lレンズ」。赤いラインがその印だ

今回使用した「RF50mm F1.2 L USM」は、キヤノンの誇る光学技術を結集して作り上げた「Lレンズ」。赤いラインがその印だ

掲載する写真作例について
フルサイズミラーレスカメラ「EOS R3」を使用して、JPEG形式(最高画質)で撮影。すべての作例で、周辺光量補正:オン、歪曲収差補正:オート、デジタルレンズオプティマイザ:標準に設定しています。

標準レンズの二面性を知ろう

冒頭でも述べたように、標準レンズは肉眼に近い画角で目の前の被写体を切り取れるのが最大の魅力だ。実際に目で見た感動を、そのまま余計なフィルターを通さず、ストレートに表現できる。

いっぽう、標準レンズでは、望遠レンズのようなドラマチックな圧縮効果も利用できなければ、広角レンズのようなダイナミックな遠近感も演出できない。ほかの単焦点レンズと比べて目立った特徴がなく、個性の乏しい“凡庸なレンズ”というふうにも映りがちだ。

しかし、標準レンズの面白さは、この二面性にある。使いこなしの鍵を握るのが、「レンズ効果に頼らず切り取れる」という特徴を、撮り手がどう画作りに生かすのかということ。何となく使っているだけでは、個性のないワンパターンな写真しか撮れない。今回は標準レンズを最大限に生かす方法を、ポートレートを題材に解説していきたいと思う。

ポートレートの場合、自然な距離感で撮影しやすいのは標準レンズの強みのひとつ。望遠域は引きを意識しないと人物が大きく写りがちだし、広角は寄りを意識しないと、風景の中で人物が小さく埋没しやすい。標準域はこうした縛りもなく、軽快なフットワークで人物撮影に臨めるのであるEOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、7.7MB)

ポートレートの場合、自然な距離感で撮影しやすいのは標準レンズの強みのひとつ。望遠域は引きを意識しないと人物が大きく写りがちだし、広角は寄りを意識しないと、風景の中で人物が小さく埋没しやすい。標準域はこうした縛りもなく、軽快なフットワークで人物撮影に臨めるのである
EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、7.7MB)

「RF50mm F1.2 L USM」について

今回使用した「RF50mm F1.2 L USM」について解説しよう。本レンズはキヤノンが誇るプロ向けの「Lレンズ」に属する大口径・標準レンズ。ミラーレスカメラ「EOS R」のリリースに合わせて2018年10月に発売された製品だ。

大口径・標準レンズは、数あるレンズ群の中で、どのメーカーもプライドをかけて開発している、いわばメーカーの顔になるレンズで、これはキヤノンも例外ではない。

本レンズの魅力は、やはりF1.2という開放絞り値にある。ボケ方が全体の印象を大きく左右するポートレートの撮影では、このスペックは果たす役割がとても大きい。画質のよさも目を見張るものがある。どの被写界深度でも、安定した解像感で表現できる。このあたりの描写は後ほど解説したいと思う。

「RF50mm F1.2 L USM」とフルサイズミラーレス「EOS R3」の組み合わせ。レンズのサイズは89.8(最大径)×108mm(全長)で、重量は950g。旧型のEFレンズ「EF50mm F1.2 L USM」が、85.8(最大径)×65.5mm(全長)/重量約590gだったので、サイズ、重量ともに増した。ここはもう少し軽量化に力を入れてほしいところだが、果たすパフォーマンスの内容を考えると致し方ないのかもしれない

「RF50mm F1.2 L USM」とフルサイズミラーレス「EOS R3」の組み合わせ。レンズのサイズは89.8(最大径)×108mm(全長)で、重量は950g。旧型のEFレンズ「EF50mm F1.2 L USM」が、85.8(最大径)×65.5mm(全長)/重量約590gだったので、サイズ、重量ともに増した。ここはもう少し軽量化に力を入れてほしいところだが、果たすパフォーマンスの内容を考えると致し方ないのかもしれない

筐体左側面にAF/MFの切り替えスイッチ、フォーカスリミッタースイッチがある。レンズ前面には、「RFレンズ」でおなじみのコントロールリングも搭載されている

筐体左側面にAF/MFの切り替えスイッチ、フォーカスリミッタースイッチがある。レンズ前面には、「RFレンズ」でおなじみのコントロールリングも搭載されている

付属のレンズフードを装着した状態。フィルター径は77mm。最小絞りはF16。最短撮影距離は0.4mで、最大撮影倍率は0.19倍。標準レンズは“寄り方”も大事なポイントなので、最短撮影距離0.4mというスペックもうまく活用したい。このあたりの詳細も後で解説していく

付属のレンズフードを装着した状態。フィルター径は77mm。最小絞りはF16。最短撮影距離は0.4mで、最大撮影倍率は0.19倍。標準レンズは“寄り方”も大事なポイントなので、最短撮影距離0.4mというスペックもうまく活用したい。このあたりの詳細も後で解説していく

標準レンズを使った画作りのポイント

ここからポートレート撮影時の標準レンズの効果的な使い方について解説していこう。

1.フットワークを意識し望遠っぽく、広角っぽく撮る

標準レンズでポートレートを撮る際、最も意識したいのがフットワークだ。軽快に寄り引きしながらバリエーションを撮ろう。広角・単焦点は寄りを、望遠・単焦点は引きを意識するのがポイントで、標準レンズはそうしたしがらみから解放されているのだが、そのままの距離感で撮れるからこそ、前後の寄り引きを意識することで、描写のマンネリを防ぐことができる。

フットワークを生かすときは、絞りの効果をうまく活用するのがポイントだ。たとえば、寄りで撮る際は絞りを開き、背景ボケを大きくしてみよう。望遠寄りのイメージで撮れる。

逆に、引きで撮る際は絞りを絞って、全域でピントを合わせるようにすると、広角寄りのイメージで被写体が切り取れる。下記の2枚の作例は同じレンズを使って撮影しているが、1枚目は望遠っぽく、2枚目は広角っぽい仕上がりになっている。

絞り値F4で寄って撮影。背景がボケることで、中望遠で撮ったような印象で切り取ることができたEOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F4、1/100秒、ISO400、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、8.5MB)

絞り値F4で寄って撮影。背景がボケることで、中望遠で撮ったような印象で切り取ることができた
EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F4、1/100秒、ISO400、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、8.5MB)

引きで全身を入れた。絞り値はF8で、奥行きのないシーンだったこともあって、ピントは全域で合っている。やや広角域で撮っているように見えるEOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F8、1/80秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景撮影写真(6000×4000、16.1MB)

引きで全身を入れた。絞り値はF8で、奥行きのないシーンだったこともあって、ピントは全域で合っている。やや広角域で撮っているように見える
EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F8、1/80秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、16.1MB)

2.背景を副題としてうまく入れ込もう

自然で素直な切り取り方ができるのが、標準域の単焦点レンズの魅力だが、これは平たく言えば、ほどよく背景を入れ込みながら人物を撮影できるということにほかならない。広角域ほど背景の要素は多くならないし、望遠域のように狭くもならない。標準域は、背景と人物をバランスよく配置しやすい画角なのだ。ここは意外と大きなポイントである。

標準レンズを使う際は、人物を引き立たせる副題として背景の要素をうまく扱ってみたい。バリエーションを増やせるはずだ。

アルミフェンスを副題として背後に入れ込み撮影。モデルとともに雑多な街中の様子を切り取った。このように、背景に注目しながら画作りがしやすいのも、標準レンズの魅力だEOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.8、1/6400秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景撮影写真(6000×4000、9.2MB)

アルミフェンスを副題として背後に入れ込み撮影。モデルとともに雑多な街中の様子を切り取った。このように、背景に注目しながら画作りがしやすいのも、標準レンズの魅力だ
EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.8、1/6400秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、9.2MB)

3.自然な距離感でラフに撮ってみよう

素直に切り取れるレンズだからこそ、気軽なスナップ感覚でポートレートを撮影できるのも、標準レンズの魅力だ。距離感もちょうどよく、相手と適度にコミュニケーションを取りながら撮影できるのもいい。ふとした瞬間も逃さず撮影できる。

移動中の笑顔を1枚。こうした自然なカットも、焦点距離にまどわされず、シャッターチャンスを逃さず撮影できるEOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.8、1/1600秒、ISO400、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、7.7MB)

移動中の笑顔を1枚。こうした自然なカットも、焦点距離にまどわされず、シャッターチャンスを逃さず撮影できる
EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.8、1/1600秒、ISO400、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、7.7MB)

4.単焦点ならではの明るい開放絞り値を生かそう

標準域に限らず、単焦点レンズは総じて開放絞り値が小さく、ドラマチックなボケを画作りに生かしやすい。「RF50mm F1.2 L USM」ではF1.2まで絞りを開くことができ、浅い被写界深度を利用した描写が幅広く行える。背景ボケだけでなく、前ボケや前後ボケも演出できるし、背景の見え方(存在感)も被写界深度でより細かくコントロールできる。

特に「RF50mm F1.2 L USM」の場合、開放絞り値付近でもピントを合わせた場所の解像感が損なわれることなく、コントラストもしっかり維持される。瞳にだけピントを合わせても、カリッと浮き上がるようにピント面を表現できるのだ。浅い被写界深度の描写も、画質を気にせず果敢に挑めるのはすばらしい。

絞り開放で前後ボケを演出した。明るいレンズはその分、飛躍的に表現できる幅が広がるEOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/640秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景撮影写真(6000×4000、7.7MB)

絞り開放で前後ボケを演出した。明るいレンズはその分、飛躍的に表現できる幅が広がる
EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/640秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、7.7MB)

開放絞り値が小さいほど、選べる被写界深度の選択肢が増える。背景をどの程度目立たせたいのか、人物の存在感をどの程度浮き上がらせたいのかに合わせて、絞り値を選んでみたい。

絞り値ごとの背景の見え方の変化

開放F1.2で撮影。ここまで絞りを開けると、こうした奥行きのない背景もしっかり背景ボケを演出できる。ピントは右目に合っているが、絞り開放でもコントラストがしっかり残って高解像に描写されている。周辺減光も良好だ。この辺りの画質はさすが「Lレンズ」と言ったところEOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景撮影写真(6000×4000、6.5MB)

開放F1.2で撮影。ここまで絞りを開けると、こうした奥行きのない背景もしっかり背景ボケを演出できる。ピントは右目に合っているが、絞り開放でもコントラストがしっかり残って高解像に描写されている。周辺減光も良好だ。この辺りの画質はさすが「Lレンズ」と言ったところ
EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、6.5MB)

絞り値F8で撮影。人物がしっかりシャープに浮き上がるように描写されているEOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F8、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景撮影写真(6000×4000、10.4MB)

絞り値F8で撮影。人物がしっかりシャープに浮き上がるように描写されている
EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F8、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、10.4MB)

5.ぐっと寄って撮ってみよう

標準レンズを使う際は寄りにも挑戦したい。広角ほどではないものの、パースが付いて迫力のある描写になる。ピントを浅くすれば、表情にもより力強く焦点を当てられる。撮影時は、自分のレンズがどの程度まで近づけて撮れるか、最短撮影距離を一度撮影してみて、感覚を掴んでおくといいだろう。

ぐっと寄ることで臨場感が増す。50mmならではのゆるやかなデフォルメ効果が、被写体に寄ることで強調され動きのある描写に。上の作例と同じシーンだが、寄るだけでバリエーションが撮れるEOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/6400秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景撮影写真(6000×4000、7.9MB)

ぐっと寄ることで臨場感が増す。50mmならではのゆるやかなデフォルメ効果が、被写体に寄ることで強調され動きのある描写に。上の作例と同じシーンだが、寄るだけでバリエーションが撮れる
EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/6400秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、7.9MB)

ピアスに焦点を当てた。「RF50mm F1.2 L USM」の最短撮影距離は0.4m。スペックは標準的だが、寄り切ることで表現の幅が広がるEOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F2.0、1/320秒、ISO400、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、8.1MB)

ピアスに焦点を当てた。「RF50mm F1.2 L USM」の最短撮影距離は0.4m。スペックは標準的だが、寄り切ることで表現の幅が広がる
EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F2.0、1/320秒、ISO400、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、8.1MB)

中望遠レンズ「RF135mm F1.8 L IS USM」と比較してみる

ここでは参考までに、中望遠レンズと標準レンズで描写を比較してみた。使用したのは「RF50mm F1.2 L USM」と同じ「Lレンズ」の「RF135mm F1.8 L IS USM」だ。なお、「RF135mm F1.8 L IS USM」については過去のレビューもご覧いただきたい。85mm単焦点レンズと比較した記事もある。

左が「RF50mm F1.2 L USM」で、右が「RF135mm F1.8 L IS USM」。「RF135mm F1.8 L IS USM」は「RF50mm F1.2 L USM」よりも全長が22.3mm長い。最大径は同程度。「RF135mm F1.8 L IS USM」のほうが重く見えるかもしれないが、重量は「RF50mm F1.2 L USM」が約950g、「RF135mm F1.8 L IS USM」が約935gとほぼ同じだ

左が「RF50mm F1.2 L USM」で、右が「RF135mm F1.8 L IS USM」。「RF135mm F1.8 L IS USM」は「RF50mm F1.2 L USM」よりも全長が22.3mm長い。最大径は同程度。「RF135mm F1.8 L IS USM」のほうが重く見えるかもしれないが、重量は「RF50mm F1.2 L USM」が約950g、「RF135mm F1.8 L IS USM」が約935gとほぼ同じだ

1.背景の入り方・圧縮効果の比較

「RF50mm F1.2 L USM」と「RF135mm F1.8 L IS USM」を使って、横位置と縦位置の2パターンで撮影した。いずれのパターンも人物は同じサイズで、絞り値も統一している。

RF50mm F1.2 L USM

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F2.0、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、9.0MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F2.0、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、9.0MB)

RF135mm F1.8 L IS USM

EOS R3、RF135mm F1.8 L IS USM、F2.0、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、8.1MB)

EOS R3、RF135mm F1.8 L IS USM、F2.0、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、8.1MB)

上記の比較作例を見ると、50mmは入り込む背景の要素が多く、自然な見え方なのがわかるだろう。135mmでは背景が引き寄せられ、人物により焦点が当たっている印象だ。

RF50mm F1.2 L USM

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F2.0、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(4000×6000、8.7MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F2.0、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(4000×6000、8.7MB)

RF135mm F1.8 L IS USM

EOS R3、RF135mm F1.8 L IS USM、F2.0、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(4000×6000、7.3MB)

EOS R3、RF135mm F1.8 L IS USM、F2.0、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(4000×6000、7.3MB)

この2枚は、奥行きのある公園の路地にて縦位置で撮影している。圧縮効果の違いがよくわかるだろう。135mmのほうが人物が浮き上がって見える。

2.ボケ具合の比較

RF50mm F1.2 L USM

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、6.7MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、6.7MB)

RF135mm F1.8 L IS USM

EOS R3、RF135mm F1.8 L IS USM、F1.8、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、6.5MB)

EOS R3、RF135mm F1.8 L IS USM、F1.8、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、6.5MB)

両レンズのボケ具合を比較するため、絞り開放で人物を同じサイズで切り取ってみた。レンズは望遠になるほど被写界深度が浅くなるが、F1.2という明るい開放絞り値を持つ「RF50mm F1.2 L USM」であれば、十分な背景ボケを堪能できる。

背景の広さにも注目で、135mmよりも50mmのほうが入り込む範囲が広く、その分、にぎやかな印象だ。135mmはよりシンプルにまとまって見える。

3.デフォルメの比較

RF50mm F1.2 L USM

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.8、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(4000×6000、7.2MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.8、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(4000×6000、7.2MB)

RF135mm F1.8 L IS USM

EOS R3、RF135mm F1.8 L IS USM、F1.8、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(4000×6000、7.8MB)

EOS R3、RF135mm F1.8 L IS USM、F1.8、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(4000×6000、7.8MB)

ポートレートの撮影では、顔の輪郭がレンズのデフォルメ効果の影響を受けやすい。広角ほど顔がほっそりとデフォルメされ、望遠ほど見たままの自然なフォルムで描写されていく。

このデフォルメ効果は寄りで撮る場面で違いが生じやすい。この2枚の比較作例を見ても、135mmの描写のほうが自然な見え方なのがわかる。対して、50mmのほうはほほがややほっそりして見える

「RF50mm F1.2 L USM」で撮影したそのほかの作例

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F2.0、1/80秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、8.2MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F2.0、1/80秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、8.2MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/5000秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景撮影写真(6000×4000、8.6MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/5000秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、8.6MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.6、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景撮影写真(4000×6000、8.8MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.6、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(4000×6000、8.8MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/640秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、7.3MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/640秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、7.3MB)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート撮影写真(6000×4000、7.3B)

EOS R3、RF50mm F1.2 L USM、F1.2、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ポートレート
撮影写真(6000×4000、7.3B)

まとめ 使いこなしのポイントはフットワーク。寄り引きを工夫しよう

標準レンズは、焦点距離135mmなどの中望遠域と比べて、適度な距離感から被写体をストレスなく狙えるのがいい。入り込む背景もほぼよい広さで、周囲の情景とともにポートレートを撮りたいシーンで有効だ。

使いこなしのポイントはやはりフットワーク。寄り引きを工夫することで、多様な撮り方が可能だ。同じような距離感ばかりだと、背景を変えたところでどれも似たような描写になってしまうので注意したい。

今回は「Lレンズ」の「RF50mm F1.2 L USM」を使ったが、キヤノンには廉価に購入できるコンパクトサイズの「RF50mm F1.8 STM」もあるし、一眼レフ用の「EFレンズ」の中にも気軽に利用できる標準レンズがラインアップされている。その中で「RF50mm F1.2 L USM」を用いる魅力は、F1.2という開放絞り値を高解像に利用できるところだ。

今回紹介したテクニックの多くは、どの標準レンズでも実践できるものである。ぜひ、表現がマンネリするようなときに活用してみてほしい。

モデル:片岡真千

河野鉄平

河野鉄平

フォトグラファー。写真家テラウチマサト氏に師事後、2003年独立。ポートレートを中心に活動。2022年1月に新著『上手い写真は構図が9割』(玄光社)発売。ポーラミュージアムアネックス(2015年/銀座)など写真展も多数。Profoto公認トレーナー。
Instagram:teppei_kono_eye
Twitter:@teppei_kono

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