特別企画

価格.comのPVデータから読み解くミラーレスカメラの最新トレンド

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

価格情報を含めて製品に関するさまざまな情報が集まる価格.comには、日々多くのユーザーが訪れている。本記事では、価格.com「ミラーレスカメラ」カテゴリーにおける直近約3年間のPV(ページビュー)データを使って、ミラーレスカメラの最新トレンド、ならびにユーザー動向をレポートしたい。

キヤノン「EOS R5」(上段左)、ソニー「α7R V」(上段中央)、ニコン「Z 9」(上段右)など話題のミラーレスカメラが数多く登場した2020年からの約3年間を、価格.comのPVデータで振り返ります※価格.comには「ミラーレスカメラ」カテゴリーはなく、正確には「デジタル一眼カメラ」カテゴリーでの「ミラーレスカメラ」タイプになります。本記事では便宜的に「ミラーレスカメラ」カテゴリーと表記します。

キヤノン「EOS R5」(上段左)、ソニー「α7R V」(上段中央)、ニコン「Z 9」(上段右)など話題のミラーレスカメラが数多く登場した2020年からの約3年間を、価格.comのPVデータで振り返ります
※価格.comには「ミラーレスカメラ」カテゴリーはなく、正確には「デジタル一眼カメラ」カテゴリーでの「ミラーレスカメラ」タイプになります。本記事では便宜的に「ミラーレスカメラ」カテゴリーと表記します。

【メーカー別のPVシェア】キヤノン、ソニー、ニコンの人気が高い

まずは、価格.com「ミラーレスカメラ」カテゴリーのメーカー別シェアを見ていこう。

以下のグラフは、2020年3月〜2023年3月の期間でのメーカー別のPVシェア(ページビューの割合)を月別に表したものになる。

メーカー別のPVシェア

ミラーレスカメラのメーカー別のPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

ミラーレスカメラのメーカー別のPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

このグラフを見ると、注目度の高い新製品がリリースされたタイミングでシェアが伸びる傾向があることと、キヤノン、ソニー、ニコンの3メーカーが高い人気を誇っていることがわかる。

特にキヤノンは2020年7月〜8月にフルサイズミラーレス「EOS R5」「EOS R6」をリリースしたタイミングで一気に1位に躍り出て、それ以降、高いシェアをキープしている。さらに、2022年6月〜7月にAPS-Cミラーレス「EOS R7」「EOS R10」をラインアップに追加し、直近1年間では他メーカーとの差を広げている状況だ。

ソニーは順位の振れ幅が小さく、長い期間にわたって1位もしくは2位に位置している。2021年3月にフラッグシップモデル「α1」を、2022年12月にフルサイズミラーレスのスタンダードモデル「α7 IV」を発売したタイミングで1位を獲得している。ただ、直近では、2022年11月に「α7R V」をリリースしているものの、全体的なシェアには大きなインパクトを残しておらず、キヤノンとの差が広がっているのが少し気になるところだ。

ニコンは、フラッグシップモデル「Z 9」を発売した2021年12月の前後で1位を獲得。OMデジタルソリューションズもフラッグシップモデル「OM SYSTEM OM-1」をリリースした直後の2022年3月に1位に躍り出ている。富士フイルムは、1億画素のラージフォーマット機「GFX100S」を発売した2021年2月と、APS-Cミラーレスのダブルフラッグシップの高画素機「X-H2」を発売した直後の2022年10月にそれぞれ3位に上昇している。

【製品別のPV】「EOS R5」「EOS R6」が爆発的な人気

続いて、価格.com「ミラーレスカメラ」カテゴリーでの製品別のPV数をご覧いただきたい。具体的な数字は紹介できないが、以下に、2020年3月〜2023年3月の期間におけるPV数・上位20モデルを示す。

製品別のPV(上位20モデル)

ミラーレスカメラの製品別のPV(上位20モデル、集計期間:2020年3月〜2023年3月)

ミラーレスカメラの製品別のPV(上位20モデル、集計期間:2020年3月〜2023年3月)

この結果からは、直近3年間ではキヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R5」「EOS R6」が非常に高い人気を集めたことがわかる。先に示したメーカー別のPVシェアでも、「EOS R5」「EOS R6」がリリースされた2020年7月〜8月にキヤノンのシェアが大きく伸びており、この2モデルがここ3年のキヤノンの好調をけん引していたと言ってよいだろう。

また、ニコンのフラッグシップモデル「Z 9」や、OMデジタルソリューションズのフラッグシップモデル「OM SYSTEM OM-1」など話題を集めた製品も高いPV数を誇っている。

面白いのは、ハイエンドモデルだけでなく、ミドルクラスやエントリーモデル、さらには発売から時間が経過したモデルがランキングの上位に入っていること。ここからは、価格.comユーザーは、少し古いモデルであっても価格やクチコミなどの情報を幅広くチェックしていることが読み取れる。

【撮像素子のPVシェア】ユーザーが注目するのはフルサイズだけではない

最近のミラーレスカメラはフルサイズがメインで、ユーザーもフルサイズに特に注目していると言われているが、価格.comのデータではどうだろうか?

以下に掲載するグラフは、価格.com「ミラーレスカメラ」カテゴリーにおける撮像素子のPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)。これを見ると、ユーザーは決してフルサイズのみに注目しているわけではないことがわかる。

撮像素子のPVシェア

撮像素子のPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)※黄色は中判サイズ

撮像素子のPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)※黄色は中判サイズ

新製品がリリースされたタイミングにもよるがAPS-Cは30〜40%、フォーサーズ(マイクロフォーサーズ)は10〜20%(タイミングによっては30%超)のシェアを獲得している。むしろ直近ではフルサイズが伸び悩んでいるとも取れる結果だ。

【ユーザーレビューの評価点】ミラーレスユーザーの不満点は?

ミラーレスカメラは小型・軽量で高画質・高性能なのが特徴だが、価格.comユーザーは実際のところどう評価しているのだろうか?

以下のレーダーチャートは、価格.comユーザーレビューでのミラーレスカメラ全体、ならびに一眼レフカメラ全体の評価点をまとめたものだ(期間:2019年1月〜2023年3月)。

価格.comユーザーレビューでのミラーレスカメラ全体、ならびに一眼レフカメラ全体の評価点(集計期間:2019年1月〜2023年3月)

価格.comユーザーレビューでのミラーレスカメラ全体、ならびに一眼レフカメラ全体の評価点(集計期間:2019年1月〜2023年3月)

これを見ると、ユーザーはミラーレスカメラの「携帯性」と「画質」を高く評価していることがわかる。いっぽうで、「操作性」「バッテリー」「ホールド感」については一眼レフのほうが評価が高い。

この結果からは、最近のミラーレスカメラ(特にハイエンドモデル)は、操作性やバッテリー性などが大幅に改善しているものの、ユーザーからするとまだ満足できない点があるとも読み取れる。

ちなみに、価格.comにおけるミラーレスカメラと一眼レフカメラのPVシェアをチェックしてみると、いまだに一眼カメラが一定のシェアをキープしている。もちろん、ミラーレスカメラのほうがシェアは高いが、一眼レフカメラは直近でも2割ほどのシェアを占めている。まだまだ一眼レフカメラを使っているユーザーが多いことを裏付けている。

ミラーレスカメラと一眼レフカメラのPVシェア

ミラーレスカメラ/一眼レフカメラのPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

ミラーレスカメラ/一眼レフカメラのPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

動画撮影の盛り上がりは? 背面モニターはバリアングル式に注目が集まる

最近のミラーレスカメラは、静止画撮影だけでなく動画撮影の機能も充実している。エントリーモデルでも4K動画記録に対応するものが増え、ハイエンドモデルの中には8K動画記録に対応するものも登場している。

以下に掲載するのは、価格.com「ミラーレスカメラ」カテゴリーでの4K動画記録に対応するモデルのPVシェア、ならびに動画記録画素数別のPVシェアを示すグラフだ。

やはり、じわじわと4Kへの注目が高まっており、2022年に入ったあたりから、4K動画記録に対応するモデルのPVシェアが80%を超えるようになった。直近では、8K動画記録への注目度も高まっているようだ。

4K動画記録対応モデルのPVシェア

4K動画記録対応モデルのPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

4K動画記録対応モデルのPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

動画記録画素数別のPVシェア

動画記録画素数別のPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

動画記録画素数別のPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

また、最近は、動画撮影の盛り上がりに合わせて、横開きのバリアングルモニターを搭載するモデルが増えてきている。以下に掲載するチルトモニター/バリアングルモニターのPVシェアを見ても、チルトモニターのシェアが下がるいっぽうで、バリアングルモニターのシェアが大きく伸びていることがわかる。

チルトモニターのPVシェア

チルトモニターのPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

チルトモニターのPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

バリアングルモニターのPVシェア

バリアングルモニターのPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

バリアングルモニターのPVシェア(期間:2020年3月〜2023年3月)

製品の価格に対するユーザーの意識は変わった?

円安や原材料費の高騰などの影響で最近はインフレが進んでいるが、カメラ製品も例外ではない。特に、最近のミラーレスカメラはメーカーがハイエンド向けを中心に展開していることもあって、全体的にスペックが上がり、かつ価格も上昇している。

以下の分布図は、2023年3月末時点において、主要6メーカーが販売していたミラーレスカメラ製品(ボディ単体とレンズキット)の価格.com最安価格をプロットしたもの。赤線が中央値だ。

最安価格の分布図(主要6メーカー)

ミラーレスカメラ製品の価格.com最安価格の分布図(2023年3月末時点での価格情報より抽出、100万円を超える価格の富士フイルム「GFX100」は除外)。赤線が中央値

ミラーレスカメラの価格.com最安価格の分布図(2023年3月末時点での価格情報より抽出、100万円を超える価格の富士フイルム「GFX100」は除外)。赤線が中央値

赤線の中央値は、キヤノンが135,724円、ニコンが142,822円、ソニーが157,596円、富士フイルムが235,152円、OMデジタルソリューションズが176,014円。キヤノンは10万円以下の低価格モデルをいくつか用意していることもあって、この中では若干値が低いが、全体的に価格は数年前よりも確実に上昇している。

次のグラフは、価格.com「ミラーレスカメラ」カテゴリーにおける、価格帯別のPVシェアを示したものだ。期間は2022年4月〜2023年3月で、各月の月末時点での価格.com最安価格から価格レンジを決定している。

価格帯別のPVシェア

価格帯別のPVシェア(期間:2022年4月〜2023年3月)

価格帯別のPVシェア(期間:2022年4月〜2023年3月)

このグラフを見ると、直近1年間は、ほぼ毎月にわたって20万円以上の価格帯がシェア50%を超えており、なかには60%オーバーの期間もある。高価格帯のハイエンド機が増えているのでこの結果は妥当だが、それと合わせて注目してほしいのが、15万円未満の価格帯が20%以上のシェアで推移していることだ。このグラフからは、低価格帯の製品についても一定のニーズがあることが読み取れる。

まとめ ユーザーは高価格帯のフルサイズ以外にも目を向けている

以上、各種PVデータを使って、価格.com「ミラーレスカメラ」カテゴリーの最新トレンドとユーザー動向をレポートした。

ここ数年、ミラーレスカメラのスペックと価格が全体的に上昇したこともあって、ユーザーのハイエンド志向は間違いなく高まっている。ただ、本記事で紹介したデータを総合的に判断すると、必ずしもそれがフルサイズに限定されているわけではないのが面白い。APS-C機やマイクロフォーサーズ機もしっかりとビューを稼いでおり、フルサイズ未満のフォーマットに対しても確かなニーズがあることが読み取れるのだ。

また、15万円未満の比較的手ごろな製品が一定の注目を集めていることも付け加えておきたい。高くてよいものだけでなく、そこそこの価格でコストパフォーマンスにすぐれるカメラも求められているのである。

そのあたりのニーズをうまく拾っているのがキヤノンと言えそうだ。プロ・ハイアマチュア向けのフルサイズ機からエントリー向けのAPS-C機まで幅広く製品をラインアップし、着実に価格.comでのPVシェアを伸ばしている。

最近は、どのメーカーも、ミラーレスカメラのラインアップの中でハイエンド向けのウェイトが高めているが、今後もこの傾向が続くのか、それともキヤノンのように幅広いラインアップを展開するのか興味は尽きない。また、動画撮影のニーズをどう拾って、カメラとして形にしていくのかにも注目していきたい。

価格.comマガジン編集部
Writer
価格.comマガジン編集部
パソコン・家電からカップ麺に至るまで、何でも自分で試してみないと気が済まないオタク(こだわり)集団。常にユーザー目線で製品を厳しくチェックします!
記事一覧へ
真柄利行(編集部)
Editor
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×