DJIはアクションカム「Osmo Action 4」を2023年8月2日に発売しました。本製品はタッチ操作に対応するデュアルディスプレイを搭載し、前面と背面の両方で操作が可能なほか、イメージセンサーが1/1.3インチへと大型化。夜景など低照度下での画質が従来機から向上しています。
本機の使い勝手や画質、手ブレ補正機能などについてレビューしていきます。
DJI「Osmo Action 4」。価格は58,300円(税込、以下同)〜
「Osmo Action 4」は、従来機「Osmo Action 3」のデザインを踏襲しており、見た目は同じ。本体サイズは70.5(幅)×44.2(高さ)×32.8(奥行)mmで、重量は145gと、従来機とまったく同じです。
フロントディスプレイは1.4インチの有機ELディスプレイ(320×320)を採用。GoProと大きく異なるのがフロントディスプレイでもタッチ操作に対応する点です
背面に2.25インチの有機ELディスプレイを搭載
「Osmo Action 4」の最大の進化点はイメージセンサーです。CMOSセンサーが従来の1/1.7インチから1/1.3インチへと大型化。FOVは155度、絞りはF2.8と従来機から変わりませんが、イメージセンサーの変更にともない、フォーカス範囲が0.3m〜から0.4m〜に変わっています。従来機のほうがより近い距離でピントが合うわけです。
感度は静止画がISO100〜12800、動画がISO100〜12800。シャッタースピードは静止画が1/8000〜30秒、動画が1/8000〜1/X秒(X:フレームレート設定値)と、こちらも従来機から変更されていません。
細かな点では、静止画撮影時と動画撮影時の最大解像度が異なっています。ただし、16:9比率の一般的なアスペクト比の動画については、1080pから4Kまでまったく同じなので、実用上大きな違いはないと考えていいでしょう。
・Osmo Action 4
静止画:3648×2736
動画:4K(4:3):3840×2880、4K(16:9):3840×2160
・Osmo Action 3
静止画:4000×3000
動画:4K(4:3):4096×3072、4K(16:9):3840×2160
外観デザインは従来機からほとんど変わりありませんが、いっぽうで、防水ケースなしでの防水性能が従来の水深16mから18mに向上しました。
ラインアップは、基本セットの「Osmo Action 4 スタンダードコンボ」(58,300円)と、アクセサリーを追加した「Osmo Action 4 アドベンチャーコンボ」(75,900円)の2種類。1日中撮影したいのなら、「Osmo Action 多機能バッテリーケース」と、3つの「Osmo Action エクストリーム バッテリー」が同梱されるアドベンチャーコンボがおすすめです。
今回借用したのは「Osmo Action 4 アドベンチャーコンボ」。「エクストリーム バッテリー」が2つ、「多機能バッテリーケース」、延長ロッドなどが付属します。長い時間撮影を行う人に向いているコンボセットです
「多機能バッテリーケース」は3つのバッテリーを同時充電可能。バッテリーを充電するほか、2枚のmicroSDメモリーカードも収納できます。加えて、USB Type-Cポート経由でスマホを充電するモバイルバッテリーとしても使えます
「Osmo Action 4」とバッテリーの合計重量は実測144.03g
「Osmo Action 4」のスペックを総括すると、フロントディスプレイのタッチ操作など使い勝手に関わる基本デザインは従来機から継承しつつ、カメラの最重要パーツであるイメージセンサーを大型化し、高画質化を狙ったモデルと言えます。
「Osmo Action」シリーズには、強力な磁力と位置決めクリップを組み合わせた独自のクイックリリース機構が採用されており、脱着のしやすさと、高い取り付け強度を両立しています。
カメラをアダプターマウントに近づけると磁力で吸着。さらに押し込むとクリップが開き、しっかりと固定されます
「Osmo Action 保護フレーム」はカメラを保護するだけでなく、フレーム左側のクイックリリース用取り付け穴を使用して、SNS用動画の撮影に便利な縦向き設置が可能。「Osmo Action 4」は横位置、縦位置を自動認識するので、向きを変えてフレームに取り付けると、撮影モードが自動で切り替わります
「Osmo Action 4」単体では縦位置に取り付けられませんが、フレームを装着させると縦向きにアダプターマウントに設置させることができます
先述しましたが、「Osmo Action」シリーズの売りがフロントディスプレイ、背面ディスプレイともにタッチ操作に対応していることです。どちらの画面でも、左右スワイプで撮影モードの切り替え、下端から上にスワイプで解像度やフレームレートの変更、上端から下へスワイプで操作メニューへの移行、再生アイコンのタップでプレビューモードの起動、パラメーターアイコンのタップで露出、ホワイトバランス、カラー、視野角の設定などが可能です。
アクションカムは、背面が取り付ける面と近い場合、指が隙間に入らず背面ディスプレイを操作できないことがあります。そのため、フロントディスプレイでタッチ操作できることは「Osmo Action」シリーズの大きなアドバンテージ。ちなみに、GoProは最新モデルの「GoPro HERO11 Black」でもフロントディスプレイでのタッチ操作は行えません。
背面ディスプレイの操作UI。左上から撮影モード、解像度/フレームレート、パラメーター、プレビュー画面。タッチ操作をするぶんには十分な画面サイズで、レスポンスも良好です
1.4インチのフロントディスプレイでもアイコンなどの大きさは同等。操作感はほとんど変わりません
撮影や静止画や動画の管理、編集などはスマホ向けアプリ「DJI Mimo」(iOS/Android)でも行えます
それでは実際に「Osmo Action 4」で撮影した動画を見ていきましょう。
本機にはEIS(電子式手ブレ補正)機能として、全方向の揺れを補正する「ロックステディ」、その強化版「RS+」、全方向の揺れと±45度以内の水平方向の傾きを補正する「ホライゾンバランス」、さらにその強化版で360度の傾きも補正できる「ホライゾンステディ」が用意されています。つまり、「ロックステディ」、「RS+」、「ホライゾンバランス」、「ホライゾンステディ」順番で補正効果が強力になっていくわけです。
ただし、水平方向の傾きを補正すると臨場感が失われることもありますし、強力な補正効果を得るほど、撮影の画角が狭くなります。揺れの大きいシーンでは「ホライゾンステディ」を使うなど、どのような映像を撮るか、撮影シーンによって効果の異なるEISが使い分けられるようになっています。
各手ブレ補正機能の効果については、以下の動画からご確認ください。
ちなみに、「Osmo Action 4」は最大で4K 120fpsの動画を撮影できますが、その場合に利用できるのは「RS+」までです。4K 60fpsであれば「ホライゾンバランス」まで使えます。個人的には「ロックステディ」で十分快適に鑑賞できる映像を撮影できると感じました。
レビューしていて特に気に入ったのが、ホワイトバランスと露出の正確さ。下の動画ではトンネルを往復してみたのですが、入ったときも、出たときも素早く適切なホワイトバランスと露出に調整されます。
また、トンネル内は暗かったですが、撮影した映像にノイズはあまり出ませんでした。夜間にドライブしながらタイムラプス撮影した動画も明るく、キレイです。大型化された1/1.3インチCMOSセンサーが威力を発揮したのでしょう。
デュアルディスプレイを搭載してスタートした「Osmo Action」シリーズは、2世代目で小型化。3世代目でフロントディスプレイがタッチ操作に対応し、アクションカムとして再スタートを切りました。
今回紹介した4世代目の「Osmo Action 4」は、操作性の完成度が高かった3世代目の外観デザインを踏襲しつつ、イメージセンサーを大型化した正統進化モデル。2世代目は発熱が問題となりましたが、「Osmo Action 4」は動作環境温度が-20度〜45度とされており、実際7月末の直射日光下で試用していて熱暴走により録画が止まることはありませんでした。
使い勝手だけでなく、映像の画質にもしっかりとこだわりたい人にとって、「Osmo Action 4」は、GoProと肩を並べるくらい有力な選択肢と言えます。
レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。