GoProからアクションカムの最新モデル「GoPro HERO12 Black」(以下、HERO12 Black)が2023年9月13日に発売されました。GoProは、どちらかと言うとクリエイター向けという印象がありますが、超小型サイズの取り回しのよさや、頑丈な設計など、スマートフォンにはない魅力が多々あり、ちょっとしたお出かけや旅行など、普段使いでも非常に重宝します。
そこで、最新モデルの「HERO12 Black」と、公式サイトで販売中の過去モデル「HERO11 Black&10」を比較し、初めてGoProを買うならどれ? という視点で動画レビューを行いました。
「HERO12 Black」の細かいスペックなどは以下の記事からご確認ください。
最初に「HERO12 Black」の注目ポイントを解説します。「HERO11 Black」から大きく進化した点としては、以下に列挙したとおりで、正直なところ劇的に変わったというわけではありません。
・HDR動画/静止画対応
・手ブレ補正「HYPERSMOOTH 6.0」
・連続撮影時間アップ
・Maxレンズモジュラー2.0対応
・ねじ穴搭載
・クリエイター向け機能拡充
そこまで進化しなかった要因としては、「HERO10 Black」から「HERO11 Black」への進化幅が非常に強力だったからです。具体的にはイメージセンサーの大型化、新しい8:7というアスペクト比、10bitカラーの対応があげられます。そして、この3点に関しては、「HERO12 Black」でも変わっていません。
イメージセンサーが大型化したことにより、日中での撮影はもちろん、特に夜や室内の撮影では画質、明るさの次元がまったく異なります。また、10bitカラーの対応により、色の再現度も段違いになっています。
また、「HERO11 Black」からは8:7のアスペクト比で撮影できるようになり、撮影後に16:9、4:3、9:16など好きなアスペクト比にクロップすることが可能になりました。つまり、8:7で撮影しておけば、YouTubeやTikTokなどさまざまなプラットフォームに柔軟に対応できるようになったというわけです。これは初心者やクリエイター関係なく、あらゆるGoProユーザーにとって非常に便利な機能になっています。
手ブレ補正「HYPERSMOOTH」やマイク性能に関しては、新しくなるごとにアップデートしていますが、購入の決定的な理由になるほどではありません。動画の画質や、SNS向け動画の撮影のしやすさ、使い勝手な高さという点においては、「HERO11&12 Black」は圧倒的に勝っていると言えます。
では、「HERO11 Black」と「HERO12 Black」の違いはどれくらいあるのでしょうか。
先ほど「HERO12 Black」の注目ポイントで触れましたが、HDR動画/静止画の対応が非常に大きいです。カメラにあまり詳しくない人にすれば、機能のひとつくらいに感じるかもしれませんが、実際に動画で比較してみると、画質面に大きな影響を及ぼすことがわかると思います。
以下の画像を見ると、日中でも夜でも「HERO12 Black」のほうがキレイに撮れています。白飛びしている部分が少なく、階調表現が豊か。また、被写体のエッジもよりシャープにとらえられています。
加えて、「HERO12 Black」は超広角で撮影できる「Maxレンズモジュラー2.0」が装着できるのもポイントです。「HERO11 Black」は初代「Maxレンズモジュラー」を装着できるのですが、「Maxレンズモジュラー2.0」は初代から最大解像度とフレームレートが2.7K60p→4K60pへと高画質化を遂げました。また、視野角も155→177度へと大幅にアップしています。左右ほぼ180度を動画に収められるということで、非常に面白いレンズだと感じました。
「Maxレンズモジュラー2.0」は、もともと付いているレンズを取り外して装着します。付け替えに工具などは必要なく、レンズを回せばOKです
「Maxレンズモジュラー2.0」のありとなしを比較した動画(下記画像参照)を比べると、ありのほうは圧巻の超広角で、ものすごく面白い絵が撮れます。トンネルみたいな狭いところを走りながら撮ったりしてもいいですし、レンズの歪みを利用して変顔を撮ったり、とにかくアイデア次第でいろんな動画が撮れます。
「Maxレンズモジュラー2.0」のなし(左)、あり(右)
狭いトンネルのような場所で撮ると、FPVらしい没入感の高い動画が撮れます
レンズの歪みを利用して変顔もお任せです
ただし、1点注意してほしいのが、「Maxレンズモジュラー2.0」(別売り)でVlog撮影を行うと、超ワイドな画角とレンズの歪みにより、ちょっと気持ち悪い絵になってしまいます。そのため、Vlog中心の利用を考えている人は「Maxレンズモジュラー2.0」を買うのは考えたほうがよさそうです。
次は連続撮影時間について解説します。「HERO12 Black」は「HERO11 Black」から約2倍の連続撮影時間を達成したとされています。
「HERO11 Black」では気温25度の環境下(HYPERSMOOTHオン)において5.3K/60pの撮影時で35分、4K/120pで28分の連続撮影が可能(スペック値)で、これ以上撮影すると熱暴走によりシャットダウンしてしまう問題がありました。
しかし、「HERO12 Black」では同一環境下で5.3K/60pの撮影時で70分、4K/120pで58分の連続撮影を実現したとのことです。
実際に検証してみたのですが、「気温:約28度、直射日光」という環境では、4K60pの撮影時で「HERO11 Black」が約15分、「HERO12 Black」が約21分でシャットダウン。「HERO12 Black」のほうが長時間撮影できましたが、約2倍とまではいきません。Vlogなどで長時間撮影を行う人は、正直GoPro以外のアクションカム、DJI「Osmo Action4」やInsta360「Insta 360 ONE R」を選ぶほうがいいと思います。
また、「HERO12 Black」はねじ穴に対応したのにも注目です。従来機までは、GoPro専用のマウント(本体と自撮り棒を接続するパーツ)が必要でした。これの取り付けが面倒で、かつ、外での撮影時に持って行くのを忘れると、自撮り棒などに装着できなくなり、絶望するしかありません。
ようやく「HERO12 Black」でねじ穴が搭載され、使い勝手が高くなりました。これは大きなポイントだと思います
初めて「GoPro」を買うのであれば、オススメは「HERO12 Black」です。ただ、少しでも節約したいのであれば「HERO11 Black」でも問題ないとも思います。しかし、総合的に見ると「HERO12 Black」のほうがキレイに撮れますし、動画では触れていませんが、画面のUIなどがよりわかりやすくなっており、初心者にとってより使いやすいモデルだと思います。
「HERO10 Black」は、とにかく安いですが、やはり画質面やSNSとの親和性のことを考慮すると、今買うのにはおすすめできません。価格は魅力的ですが、どうせ買うのであれば「HERO11 Black」を買うほうが幸せになれるでしょう。「HERO10 Black」と「HERO11 Black」だと約8000円の価格差がありますが、それ以上の性能差があります。
動画では、記事では紹介していない比較シーンや、サブスクリプションの必要性なども解説しています。気になる人は、動画もチェックしてみてくださいね。