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アクションカメラは今どきの“縦動画”を撮るのに超便利

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カメラ・写真系のYouTuberとして活躍中の写真家Jimaさんが「アクションカメラの可能性」を3回にわたって解説する短期連載の2回目。今回は、「縦動画撮影用カメラ」としてのアクションカメラのメリットを掘り下げます。

縦方向にセットしたアクションカメラ(画像のカメラはDJIの「Osmo Action 3」)

縦方向にセットしたアクションカメラ(画像のカメラはDJIの「Osmo Action 3」)

視聴方法が多様化し、縦動画が一般的に

皆さん、こんにちは。写真家のJimaでございます。

前回の記事「アクションカメラで“何気ない日常”を思い出として記録しよう」では、アクションカメラを「自分視点(POV視点/一人称視点)での日常記録用カメラ」として使用する魅力を語りました。

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写真家Jimaさんが「アクションカメラの可能性」を3回にわたり解説する短期連載。第1回は「日常の記録カメラ」としてのアクションカメラの魅力を紹介します。
2024/01/25 07:00

今回は、動画の利用シーンが多様化している状況を解説しながら、アクションカメラの柔軟性の高さを紹介したいと思います。

ご存じのように、最近は、テレビだけでなくPCやスマートフォン、タブレット端末など、さまざまなデバイスで動画を楽しめるようになっています。

スマートフォンの普及とともにPCやテレビは見ない(使わない)という人も増えています。そして見逃せないのが、スマホの普及にともない、「縦動画(縦向き動画)」が一般的になってきたことです。

スマートフォンは基本的に縦に持って使用します。縦方向の動画とも相性がいいです

スマートフォンは基本的に縦に持って使用します。縦方向の動画とも相性がいいです

たとえば、テレビのCMを見ても、両サイドに黒い帯を入れた縦動画の広告が増えています。ニュース番組やバラエティー番組などでも、視聴者が提供した縦動画が使われています。さらに、商業施設や交通機関などの広告スペースにおいても、設置性の高さから、縦動画の表示に適した液晶ディスプレイを配置するケースも珍しくありません。

極端な例をあげれば、最近は「SNSでは通常の横動画(横向き動画)は再生しない」「横向きの動画は映画やテレビだけ」という意見を目にすることもあります。

この流れは動画コンテストなどにも反映されており、最近は縦動画のコンテストが開催されていることも珍しくありません。

縦動画を対象にした動画アワード「-Nikon Presents- Vertical Movie Award 2024」

縦動画を対象にした動画アワード「-Nikon Presents- Vertical Movie Award 2024」

縦と横のどちらで撮ればいいの?

縦動画のサンプル

縦動画のサンプルをチェック!
※上記テキストリンクを押すとサンプルのYouTubeショートが開きます

横動画のサンプル

ちょっとした質問で恐縮ですが、上記の縦動画と横動画はどちらのほうが見やすいと感じましたでしょうか?

おそらく、今ご自身が使っているデバイスによって感じ方が変わったり、普段よく見ている動画のほうが見やすいと感じたりしたのではないでしょうか。

縦動画が市民権を得るなか、動画を撮影するときは、横と縦のどちらで撮ればよいのか判断できない場合もあるかと思います。そういうときは、その動画をどこで公開して、どういう人に見てもらうのかを意識するようにしましょう。

たとえば、YouTubeで動画を公開するのであれば、ショート動画でない限り横動画で収録することが望ましいです。対して、InstagramやX(旧Twitter)などスマートフォンで視聴する人が多いSNSであれば、縦動画を撮影・制作することが大切ですね。

左が縦動画の編集画面で、右が横動画の編集画面。縦でも横でも編集自体は同じツールで行えます

左が縦動画の編集画面で、右が横動画の編集画面。縦でも横でも編集自体は同じツールで行えます

筆者のプライベートのケースを紹介すると、身近な親族間だけで動画を楽しむ場合は縦動画を選択しています。これは、スマートフォンで見ることが多いと判断しているからです。

なお、縦向きでも横向きでも汎用的に使える素材として動画を撮影したい場合、4Kや8Kなどの高解像度で収録し、必要に応じて使い分けるという方法があります。ただ、この方法は、容易さや編集環境を考えると“気軽”とは呼べません。やはり、撮影時にどちらにするか決めておいたほうがよいと思います。

最近のアクションカメラは4K解像度での記録に対応しています

最近のアクションカメラは4K解像度での記録に対応しています

カメラと縦動画の相性問題

ただ、縦動画の撮影については困ることが多いのも事実です。

その理由は、世の中にある多くの一眼カメラは横向きで構えて横向きで撮ることを想定した形状だからです。

筆者所有の、ニコンのフルサイズミラーレス「Z 7」。写真撮影用としてだけでなく映像制作用の一眼カメラとしても活用しています

筆者所有の、ニコンのフルサイズミラーレス「Z 7」。写真撮影用としてだけでなく映像制作用の一眼カメラとしても活用しています

一眼カメラの場合、横向きで撮影する分には快適に利用できるのですが、縦向きとなると、カメラを囲うケージやリング式三脚座など別売のアイテムを用いる必要があります。

余談になりますが、数年前、リング式三脚座がそれほど流通していないころに、望遠レンズの三脚座を活用するなど試行錯誤していたのが懐かしいです。今は多くのメーカーからリング式三脚座が登場しており、筆者は3ブランドを併用して利用しております。

三脚座リングを使えば、横位置と縦位置を自在に切り替えられます

三脚座リングを使えば、横位置と縦位置を自在に切り替えられます

もちろん、縦動画の撮影は、スマートフォンなど適したデバイスを使えば済む話なのですが、前回の記事「アクションカメラで“何気ない日常”を思い出として記録しよう」で紹介したように、スマートフォンにはスマートフォンの役割があります。動画は、スマートフォンとは別に、小さいカメラで撮ることに価値があると考えております。

そうなるとスマートフォンや一眼カメラ以外で縦動画にも気軽に対応可能なカメラを探す必要が出てきます。

そして筆者がたどり着いたのが、意外なのですがアクションカメラでした。アクションカメラは筐体が小型で、ケースを付けることで縦向きにセルカ棒(自撮り棒)に取り付けることが可能です。

コンパクトなアクションカメラは縦位置での撮影もやりやすいです

コンパクトなアクションカメラは縦位置での撮影もやりやすいです

これに気づいたとき、「アクションカメラは動画撮影のハードルを下げるすばらしい機材だ」と再認識しました。

アクションカメラはスポーツなど派手なアクティビティーで利用されることが多いですが、小型・軽量で手ブレ補正性能や堅牢性にすぐれているため、気軽な縦動画撮影に便利です。非常に汎用性の高い録画機なんです。

もちろん、ボケ味や暗所耐性など一眼カメラに軍配が上がる要素は多くありますが「数万円で気軽に縦でも横でも使える」のは、高価なカメラと併用して使う魅力があると言えるでしょう。映像の品質に限界があることは事実ですが、それ以上に、時代に適したショートムービーを撮影する機材として活躍します。

広角すぎる点には注意

アクションカメラを縦向きで使う場合に注意したいのが画角です。アクションカメラは超広角レンズを採用しているものがほとんどですので、縦動画を撮影すると想像以上に遠近感(パースペクティブ)が強調されてしまいます。

「Osmo Action 4」を使って超広角で撮影した動画から切り出した画像

「Osmo Action 4」を使って超広角で撮影した動画から切り出した画像

遠近感を抑える使い方として提案したいのが、手ブレ補正機能です。アクションカメラの多くは、手ブレ補正機能を活用する際に画面がクロップされます。その結果、広角特有の遠近感をやわらげることができます。

筆者の場合、DJIの最新アクションカメラ「Osmo Action 4」でいえば、全方向の手ブレを補正する「RockSteady」や、全方向の手ブレと±45度以内の水平方向の傾きを補正する「HorizonBalancing」を適用することで極端な歪みを抑えることを意識しています。

「Osmo Action 4」の手ブレ補正の設定画面

「Osmo Action 4」の手ブレ補正の設定画面

まとめ

カメラは使い分けることが大事です。高精細な映像を残したい場合は一眼カメラで収録することが望ましいですが、縦動画を含めて気軽に動画撮影を行いたい場合はアクションカメラが便利だと思います。

動画撮影を楽しむには、「撮っていない状態」から「撮っている状態」に、ゼロからイチに移れることが大きなポイントだと考えます。

もし、縦動画に興味があるけれど撮影や編集に手間取っているという人は、アクションカメラを候補に含めていただけると幸いです。

本記事の内容をまとめた解説動画

おまけ 動画における音声の扱い方

最後に、動画撮影・制作時の音声について少し解説したいと思います。

当たり前ですが、動画は、視覚的な映像(動く絵)だけでなく、音声(環境音)を情報として含めることが可能です。音声を入れることで臨場感を伝えられるという強みがあります。

ただし、音声は一定の品質を確保しないとノイズとして映像に悪影響を与える場合があります。映像が4Kなど高精細で美しいのに、風切り音や周囲の騒がしい音などが入っていて「動画が見づらかった」という経験をしたことがある人も多いことでしょう。

筆者は、ノイズになる音が動画に入るのであれば、環境音をなくしてBGMで動画を仕上げることを推奨しております。もしくは、環境音を動画編集時に-20dbほど小さくしてBGMと調和させることで臨場感が伝わってくる形を意識しております。

旅先を紹介するVlogなどでは、きれいに音が録れている部分は残して、ナレーションで動画に音声を追加するなどの工夫をしてもよいでしょう。

環境音を小さくしたPOV動画

なお、良質な音を録るには、シンプルで不要な音が収音されない環境を作ることや、風切り音の対応など「必要な音だけを録る」ことに集中する必要があります。状況に応じて全指向性(無指向性)より単一指向性のマイクを選ぶなど、「収音の仕方」と「収音する機材」の知見が求められます。

音質にこだわると大きいマイクが必要になるため、“気軽”とはかけ離れてしまいます。もし、音質にこだわる場合は、いい意味でアクションカメラによる気軽な動画撮影の領域を超えている状態だと推測いたします。

こうなると一眼カメラなどを揃えて、高精細な映像と良質な音声による高品質な映像を追い求めるのがよいのではないでしょうか。

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2024/01/25 07:00
Jima
Writer
Jima
撮影の楽しさを学べるYoutubeチャンネル カメラ塾【JimaTube】を運営するフリーの写真家。JimaTubeでは、フォトスタジオでプロカメラマン兼ディレクターとして活動した知識・経験を生かし、カメラや写真に関する情報を精力的に発信している。
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真柄利行(編集部)
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真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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