カメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+2025」(開催期間:2025年2月27日〜3月2日、会場:パシフィコ横浜)の会場で見かけたカメラ・レンズのなかから、特に話題を集めている新製品を紹介。シグマのフルサイズミラーレス「BF」やキヤノンのコンパクトデジタルカメラ「PowerShot V1」など、今年の春は注目度の高い製品がいくつも発売される。
「CP+2025」のブースのなかで特に目を引いたのがタムロンだ。日本映画界を代表する怪獣「ゴジラ」とのコラボレーションブースを展開。巨大な「ゴジラ」と「3式機龍(メカゴジラ)」を展示し、自由に撮影できるようになっていた
シグマ「BF」のシルバーカラーモデル
シグマの新しいフルサイズミラーレス「BF」は、今年の「CP+」の展示品のなかで最も話題を集めていると言っても過言ではない製品だ。初日(2月27日)の午前中に取材したときは、シグマのブースに入場制限がかかるほどの盛況ぶり。「BF」にいち早く触れたい人たちで長蛇の列ができてきた。
注目を集める理由は、これまでのカメラにはなかった斬新なスタイルと高品位なデザインを採用していることが大きい。アルミ削り出しのボディにシンプルな操作性を採用し、新しい撮影体験を楽しめそうなカメラに仕上がっている。
シンプルな操作性も特徴だ
実際に展示に触れてみたが、良質な金属の塊を持っているような感覚はほかのカメラでは得られないものだと感じた。フィードバックのあるハプティック仕様のボタン・ダイヤルの操作感も上々。ずっと触っていたくなる、非常に上質な仕上がりのカメラだ。
Sigma BF
発売日:2025年4月
シグマオンラインショップの価格:ボディ単体385,000円(税込)
「PowerShot V1」はキヤノンのコンパクトデジカメとしては約6年ぶりの新モデル
キヤノンのブースでは、コンパクトデジタルカメラの新モデル「PowerShot V1」が注目を集めていた。キヤノンのコンパクトデジカメとしては「PowerShot G7 X Mark III」以来となる約6年ぶりの新製品。1.4型の大きなCMOSセンサーを搭載しているのが最大の特徴だ。
マルチアクセサリーシューなど最新の仕様を採用
35mm判換算で焦点距離約16〜50mm相当(静止画撮影時)の画角に対応する超広角ズームを搭載し、動画撮影向けとして打ち出しているが、「デュアルピクセルCMOS AF II」などの高性能を備えており、もちろん静止画も快適・高画質に撮影できる。動画を含めてワンパッケージでいろいろ撮りたい人にぴったりの小型カメラと言えそうだ。
PowerShot V1
発売日:2025年4月下旬
市場想定価格:148,500円(税込)
「LUMIX Sシリーズ」の最上位モデル「LUMIX S1RII」
フルサイズミラーレスの新製品では、パナソニックの「LUMIX S1RII」もその充実したスペックに注目したいモデルである。
本格的な撮影に対応できる操作性を採用。倍率約0.78倍(約576万ドット)の電子ビューファインダーを搭載する
新開発の有効約4430万画素・裏面照射型CMOSセンサーと「L2 Technology」搭載の最新エンジンを搭載することで、従来モデルから大幅な性能向上を実現。最高約40コマ/秒の超高速連写が可能なほか、「LUMIXシリーズ」として初め8K動画(8K/30p)記録にも対応している。静止画撮影と動画撮影の両方がハイレベルなハイブリッド機として支持を集めそうだ。
LUMIX S1RII
発売日:2025年3月27日
市場想定価格: ボディ単体475,000円前後、レンズキット594,000円前後(いずれも税込)
高品位なデザインを実現したマイクロフォーサーズミラーレス「OM SYSTEM OM-3」
「OM SYSTEM OM-3」は、「OM SYSTEM」ファン待望の新製品だ。フィルム一眼レフの名機「OLYMPUS OM-1」をモチーフに、普遍的な美しさを感じる上質な小型ボディを採用。写真を撮るよろこびを強く感じるマイクロフォーサーズ機に仕上がっている。
上面のダイヤルは存在感があり、デザインのアクセントになっている
性能も妥協がなく、フラッグシップモデル「OM-1 Mark II」と同じ撮像素子(有効約2037万画素の裏面照射積層型Live MOSセンサー)と画像処理エンジンを搭載。画質とAFの性能は「OM-1 Mark II」と同等だ。最高約50コマ/秒の超高速連写も実現している。ボディの信頼性も高く、「OM-1 Mark II」と同じ防塵・防滴等級IP53に対応している。
OM SYSTEM OM-3
発売日:2025年3月1日
市場想定価格: ボディ単体264,000円前後、レンズキット297,000円前後(いずれも税込)
左が「Otus ML 1.4/50」で、右が「Otus ML 1.4/85」
レンズの新製品で特に注目したいのが、コシナが発表した新しい「Otus」シリーズだ。描写力の高さから支持を集めた一眼レフ用のシリーズが、約11年ぶりにミラーレス用として復活する。「カールツァイスはもうコンシューマー向けの新しいレンズを商品化しないのでは?」と思っていた人も少なくないはずで、うれしいサプライズだ。
発表されたラインアップは、完全新設計の「Otus ML 1.4/50」「Otus ML 1.4/85」の2モデル。ソニーEマウント用、ニコンZマウント用、キヤノンRFマウント用が用意される。コシナの「CP+2025」のブースでは両レンズとも手に取って試すことができた。
Otus ML 1.4/50
発売日:2025年5月(予定)
希望小売価格:280,000円(税込)
Otus ML 1.4/85
発売日:2025年後半(予定)
希望小売価格:未定
コシナのブースでは、正式発表前の参考製品として「フォクトレンダー」ブランドの大口径・中望遠レンズ「PORTRAIT HELIAR 75mm F1.8 E-mount」などが展示されていた
ソニーは「CP+2025」開幕前日の2月26日に、高性能な「Gレンズ」2本をリリース。「CP+2025」のソニーブースではいち早く実機が展示されていた。
小型・軽量な超広角・単焦点レンズ「FE 16mm F1.8 G」
「FE 16mm F1.8 G」は、開放F1.8の大口径ながら重量約304gの小型・軽量設計を実現した超広角・単焦点レンズ。最短撮影距離がAF時で0.15m、MF時で0.13mと短く、近接撮影性能にすぐれるのも特徴だ。
FE 16mm F1.8 G
発売日:2025年4月11日
市場想定価格:140,000円前後(税込)
焦点距離800mm対応の超望遠ズーム「FE 400-800mm F6.3-8 G OSS」
「FE 400-800mm F6.3-8 G OSS」は、「αレンズ」として初めて焦点距離800mmをカバーする超望遠ズームレンズ。別売のテレコンバーターの装着に対応し、最大で焦点距離1600mmでの撮影が可能だ。野鳥や野生動物、スポーツなどの撮影で威力を発揮する1本になりそうだ。
FE 400-800mm F6.3-8 G OSS
発売日:2025年3月19日
市場想定価格:410,000円前後(税込)
ファン待望の焦点距離35mm/開放F1.2の大口径・広角レンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」
ニコンは、ミラーレスカメラ「Zシリーズ」用の開放F1.2レンズとして、これまでに「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」(2020年12月発売)と「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」(2023年3月発売)を商品化してきた。いずれも写りのよさで非常に高い評価を得ているが、この開放F1.2シリーズのラインアップに待望の準広角レンズ「NIKKOR Z 35mm f/1.2 S」が追加された。
ほかの2本と同様、光学性能を徹底追求しているのが特徴。レンズ構成はEDレンズ3枚とED非球面レンズ1枚を含む15群17枚だ。サイズは90(最大径)×150mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)で、重量は約1060g。ほかの2本と同様に重量級のレンズではあるが、圧倒的な描写力を楽しめる1本に仕上がっている。
NIKKOR Z 35mm f/1.2 S
発売日:2025年2月28日
ニコンダイレクトの価格:437,800円前後(税込)
動画撮影用に最適化されたパワーズームレンズ「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」も展示されていた。2025年4月の発売予定で、ニコンダイレクトの価格は368,500円(税込)
ニコンのブースでは、光学125倍ズーム対応の超望遠コンパクトデジカメの新モデル「COOLPIX P1100」を試すことができた。2025年2月28日の発売予定で、ニコンダイレクトの価格は149,600円(税込)
「CP+2025」の開幕前にシグマがリリースした新しいレンズは、「16-300mm F3.5-6.7 DC OS | Contemporary」と「300-600mm F4 DG OS | Sports」の2本だ。
APS-C用の高倍率ズームレンズ「16-300mm F3.5-6.7 DC OS」
「16-300mm F3.5-6.7 DC OS」は、ミラーレス用として初めて「約18.8倍」のズーム倍率を実現した、APS-C用の高倍率ズームレンズ。ズーム倍率を考慮するとコンパクトなサイズ感(Lマウント用の重量が615g)に収まっている。焦点距離70mmでハーフマクロ撮影が可能なのも特徴だ。
16-300mm F3.5-6.7 DC OS
発売日:2025年4月(Lマウント用、ソニーEマウント用)、2025年5月(キヤノンRFマウント用、フジXマウント用)
シグマオンラインショップの価格:118,800円前後(税込)
本格的な超望遠撮影用の「300-600mm F4 DG OS」
「300-600mm F4 DG OS」は、本格的なスポーツフォトやネイチャーフォト向けの大口径・超望遠ズームレンズ。超望遠・単焦点レンズに匹敵する高い光学性能とサイズ感はそのままに、ズームレンズの機動力と利便性を兼ね備えたモデルだ。
300-600mm F4 DG OS
発売日:2025年4月(Lマウント用、ソニーEマウント用)
シグマオンラインショップの価格:1,298,000円前後(税込)
開放F2.8通しながらコンパクトな超広角ズーム「RF16-28mm F2.8 IS STM」
キヤノンはミラーレス用の「RFレンズ」において、携帯性を重視した大口径レンズを積極的に展開しているが、「RF16-28mm F2.8 IS STM」はその最新モデル。手ブレ補正機構ユニットの小型化や沈胴構造の採用、カメラ側の電子歪曲収差補正の活用などによって開放F2.8通しの明るさながら、全長約91.0mm(収納時)/重量約445gの小型・軽量設計を実現している。
RF16-28mm F2.8 IS STM
発売日:2025年2月下旬
キヤノンオンラインショップの価格:188,100円(税込)
「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」はより手軽に超望遠撮影を楽しめるズームレンズ
マイクロフォーサーズ用のレンズでは、この春、OMデジタルソリューションズの新しい超望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」がリリースされる。35mm判換算で焦点距離200〜800mm相当の画角をカバーするモデルのII型だ。最大7.0段補正効果を発揮する「5軸シンクロ手ぶれ補正」に新たに対応するようになった。カメラに装着した状態で三脚座を取り外せるようになったのもポイントだ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II
発売日:2025年3月1日
希望小売価格:231,000円、1.4xテレコンバーター限定セット240,625円(いずれも税込)
焦点工房が展示していたMonsterAdapterの「LA-FZ1」。モーター非内蔵の初期AFニッコールをAFで使用できるマウントアダプターだ。2025年夏の発売予定で、参考価格は59,000円(税込)
富士フイルムのブースにはインスタントカメラ「instax“チェキ”」シリーズの新製品「instax WIDE Evo」が並んでいた。2025年2月6日の発売で、市場想定価格は55,000円(税込)