同じ被写体を感度別で撮影した作例を掲載し、画質をレビュー。あわせて、今回試用してみて感じた「Df」の魅力をまとめる。
※「Df」に「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8 G Special Edition」を装着して、室内の蛍光灯下(インバーター回路内蔵の蛍光灯ライトを利用)で同じ被写体を感度別にJPEG形式で撮影してみました。撮影は、絞り優先AEでF値をF8に固定し、焦点距離:50mm、画質モード:FINE、画像サイズ:L、JPEG圧縮:画質優先、高感度ノイズ低減:標準、長秒時ノイズ低減:しない、測光モード:マルチパターン測光、ホワイトバランス:オート(オート2)、露出補正:0.0、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、自動ゆがみ補正:しないの設定で行っています。なお、ISO204800相当(拡張設定)は露出オーバーのため撮影していません。
感度別に撮影した写真のサムネイル画像
※以下に掲載する画像は、JPEG形式の撮影写真の一部分(300×225)をピクセル等倍で切り抜いた画像となっています。リサイズ・補正を行なっていない撮影写真は、画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。
ISO50相当(拡張設定) 4928×3280(撮影写真) F8、1/2秒
ISO100 4928×3280(撮影写真) F8、1/4秒
ISO200 4928×3280(撮影写真) F8、1/8秒
ISO400 4928×3280(撮影写真) F8、1/15秒
ISO800 4928×3280(撮影写真) F8、1/30秒
ISO1600 4928×3280(撮影写真) F8、1/60秒
ISO3200 4928×3280(撮影写真) F8、1/125秒
ISO6400 4928×3280(撮影写真) F8、1/250秒
ISO12800 4928×3280(撮影写真) F8、1/500秒
ISO25600相当(拡張設定) 4928×3280(撮影写真) F8、1/1000秒
ISO51200相当(拡張設定) 4928×3280(撮影写真) F8、1/2000秒
ISO102400相当(拡張設定) 4928×3280(撮影写真) F8、1/4000秒
「Df」は、有効1625万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーと、画像処理エンジン「EXPEED 3」を採用しており、スペック的には、ニコン製デジタル一眼レフのフラッグシップモデル「D4」ゆずりの画質が得られるカメラだ。ただ、「D4」は2012年3月発売のモデルで、フラッグシップではあるものの、有効3630万画素センサー採用の「D800/D800E」のような高い解像感が得られるわけではない。けっしてニコンの最先端のスペックというわけではないのだが、「Df」の画質は、非常にクオリティが高い。画素数を抑えていることでダイナミックレンジが広く、色描写が豊かだ。派手な色の出方がしないのも好印象で、「D800/D800E」や「D610/D600」とはひと味違った描写が得られるカメラだと思う。
また、オールドレンズを使うという意味でも、画素数が少ないことはメリットがある。画素ピッチが広いため、レンズに要求される性能(解像力)が「D800/D800E」ほど高くないのだ。今回、Part3 画質レビュー 自由作例で、「NIKKOR-N Auto 24mm F2.8」など古い「NIKKORレンズ」を使った作例も掲載したが、十分な解像感が得られているのがわかるはずだ。
さらに、高感度画質のよさも報告しておきたい。センサーの画素数を有効1625万画素に抑えることで、高感度でのノイズレスな画質を実現している。また、感度が上がっても色のバランスが大きく崩れないのも特徴。ISO3200では低感度と比べてカラーバランスがほとんど変わらない状態で、ノイズがほとんど気にならない画質を実現している。ISO6400ではノイズの粒がやや大きくなるが、ノイズ自体はかなり少ない。かつ解像感も高い。十分に常用できるクオリティだ。驚異的なのはISO12800で、わずかにカラーノイズが乗ってくるものの、解像感が高く、非常にバランスのよい画質に仕上がっている。
ニコン製デジタル一眼レフ伝統の仕上がり設定「ピクチャーコントロール」に対応
RAW記録は、12ビット記録と14ビット記録を選択できる
自動ゆがみ補正機能も搭載(対応レンズでの利用が可能)
感度自動制御に対応
低速限界も設定できる
高感度ノイズ低減は、「しない」「弱め」「標準」「強め」から選択できる
2013年11月5日の新製品発表会で「Df」のベータ機に触れた際は、「操作フィーリングのよいカメラ」だと感じたが、「ずっと使ってみたい」と思うカメラかというと、そうは思えなかった。その理由は、上面のメカニカルダイヤルの操作感に対して(特に露出補正)、あまりいい印象を持てなかったからだ。デジタルとアナログの融合をテーマにした製品だが、ややアナログの主張が強く、「懐古趣味的な使い方から脱せないカメラなのでは?」とも思えた。ただ今回、「Df」の実機をじっくりと使ってみて、その印象は大きく変わった。特に、シャッターフィーリングを中心に撮影フィーリングが非常によく、カメラとしてのクオリティの高さに感心した。使ってみないとわからない感覚ではあるが、「ずっと使っていたい」「撮影をしていたい」と感じさせる高品位なカメラなのである。これが、このカメラの最大の魅力だ。
さらに、使い勝手だけでなく、画質も一級品だ。ダイナミックレンジの広さによる色表現の豊かさと、高感度でのノイズレスな描写が特徴で、ニコン製デジタル一眼レフの中でも画質クオリティの高い製品となっている。それぞれ方向性の異なるカメラではあるが、画質の実力という点では、「D800/D800E」や「D610/D600」に負けないものを備えているのは間違いない。
このように、「Df」は、マニアのためのカメラとしての側面もあるが、使い勝手にすぐれた高画質で軽量なフルサイズ一眼レフという側面もあわせ持っているのだ。価格は、価格.com最安価格(2014年1月21日時点)でボディ単体が25万円となっており、「D610」と比べると10万円程度高い。スペックだけを見るとけっしてコストパフォーマンスの高い製品ではないが、すばらしい操作フィーリング、「D4」ゆずりの高画質、レトロ感あふれる小型・軽量ボディ、非Ai方式レンズの利用など、他のカメラでは得られない部分が多いカメラであることを考慮すると、納得できる価格ではないだろうか。